✨『美しき天才、エルフォーリオ 〜優雅なる貴公子〜』✨ 作:Riho
第5話から舞台は「サラブレッド育成学園(サラ学)」美浦校へ!
大勢の報道陣とファンが詰めかける正門前で、相変わらず大爆睡をかますエルぼっちゃま。
服部さんのロマンティック大翻訳と鹿野宿舎長の号泣、そしてタケシの腰と胃の限界突破をどうぞお楽しみください! ✨
本日もまた、ひとつの美しくも奇妙な伝説のページが開こうとしております✨✨
北の大地・北海道安平町での幼少期を経て、ついに我らがエルフォーリオは、日本最高峰のアリートアスリート育成機関「サラブレッド育成学園(サラ学)」美浦校へと足を踏み入れる運命の日を迎えたのでございます ✨
その日は、朝から抜けるような青空が広がっておりました。
学園の正門前には、全国から集まった凄腕のスカウト陣、大手スポーツ紙の記者たち、そして噂を聞きつけた熱烈なファンやレディたちが押し寄せ、押し合いへしあいの大混乱!熱気と興奮はまさに最高潮に達しておりました!
「おい見ろ! あの名門・鹿野宿舎の専用送迎車が到着したぞ……!」
「ついに……あのノーザンクラブ最高傑作、美しき天才エルフォーリオ様がこの美浦の地に降り立たれるのか……っ!?」
「噂では、その姿を一目見ただけで息を呑み、腰を抜かすほどの気品だとか……っ!」
フラッシュの光が群衆の中で激しく交差する中、黒塗りの最高級送迎車が、重厚なエンジン音を静めて正門前へと静かに停車いたします……!シュー……! ✨
集まった誰もが息を呑み、固唾を呑んで、後部座席のスモークガラスのドアを見つめておりました……ゴクリ……!
風すらも止まったかのような、重苦しいまでの緊張感——。
——ですが、みなさま☘️
車内で何が起きていたか、わたくしたちは知っておかねばならないのでございます……!
スモークガラスで遮られた車内の後部座席——。
そこでは、外界の喧騒などどこ吹く風とばかりに、エルフォーリオがノーザン特注の最高級シルククッション(※雲のような肌触り)をぎゅっと抱きかかえ、まるで無重力空間に浮遊しているかのように深く深く沈み込み、完璧に爆睡していたのでございます!
移動中の車揺れが気持ち良すぎた結果、目的地に到着したことすら気づかず、完璧な二度寝の深淵に落ちておりました……!あくびふぁ〜あ……!
(……あぁ、実に心地よい揺れだったね……☁️ このクッションの触感、特注にした甲斐があったよ……。ん……外がなにやら騒がしいけれど、僕には関係のないことさ……おやすみ…… )
「……おい、着いたぞエルフォーリオ! おい、起きろって! 頼むから自分の足で降りてくれ……っ!」
助手席から降りてきた専任トレーナーのタケシが、冷や汗を流しながらドアを開け、必死の面持ちで声をかけます!
ですが、我らが貴公子は「ん……☁️」と微かな桃色の吐息を漏らし、さらに深くクッションに美貌を埋めるだけ!指一本、まつ毛一筋たりとも動かす気配がございません!
その時でございます!⏰✨
「おのれタケシ様! ぼっちゃまの尊きお眠りを妨げるとは何事ですかーっ!! 」
両手いっぱいにエルフォーリオの大量の着替え(※すべて最高級シルク製、パジャマだけで10着)と大量の安眠グッズを抱えた執事の服部さんが、涙を撒き散らしながら叫びました!
そして、じいは車内に向かって恭しく膝を折り、耳元へスッと顔を近づけたのでございます ♂️
「エルぼっちゃま……! おいたわしい……! 長旅の疲れがお体に障りましたか……? この下界の泥臭い熱気にお心を痛めておられるのですね……っ! 」
すると、眠気でトロトロになったエルフォーリオは、美しい瞳をわずかに薄開け、じいにしか聞こえない絹のように滑らかな小さな「王子様ボイス」でボソッと呟いたのでございます ✨
「……じい。歩くのが面倒だ……。部屋まで僕を運んでおくれ……? クッションも忘れないでね…… 」
ですが……じいのお耳は、あいにく本日も絶好調に遠かったのでございます
ぼっちゃまの消え入るような甘い囁きは、じいのお耳を通過した瞬間、恐ろしいまでのロマンティック超訳を引き起こしてしまいました!
「『我が足跡を刻むのは、この学園の頂点に立つその時のみ』……とおっしゃっている……っ!! なんと気高き誓い! なんという絶対王者の美学でございますかーーっ!! ✨」
じいは感動の涙をボロボロと流しながら崩れ落ち、抱えていたダンボール3箱分もの大量の荷物を、通りかかったタケシの胸にドカンと押し付けました!
「タケシ様! ぼっちゃまのお言葉通り、お体はわたくしめが恭しくお運びいたします! 荷物をお持ちなさい!」
「へ……!? ぐわっ!? 重っ!! ていうか絶対そんなこと言ってねぇだろじいさん!! ただ歩くのがだるくて運べって言っただけだろ!!」
タケシが荷物の重みで膝をガクガクさせながらツッコミを入れる中、じいはエルフォーリオを恭しくお姫様抱っこ(※特大クッション付き)で抱え上げ、堂々と車外へと降り立ったのでございます!抱擁……!✨
「キャァァァァァーッ!! エルフォーリオ様よーっ!!✨ ✨」
「なんて幻想的なお姿……! お手伝いの方に抱えられ、まるで降臨された天使のよう……っ!!」
集まったレディたちが悲鳴を上げ、失神する者が続出!
報道陣のカメラのシャッター音が「カシャシャシャシャ!!」と嵐のように響き渡ります!
その光景を、感涙で顔をグショグショに濡らしながら出迎えたのは、名門・鹿野宿舎のトップたる鹿野宿舎長でございました!熱血!情熱!涙もろい熱血漢……!
「おお……! おお、エルフォーリオ……っ!! ✨」
鹿野宿舎長は、執事の服部さんに抱えられて完璧に目を閉じ、すやすやと静かな寝息を立てるエルの姿を見るやいなや、溢れ出る涙を抑えきれず、オレンジ色のハンカチで顔を覆いました!
「なんと神々しい……! 長時間の移動の疲れすら一切顔に出さず、学園に到着した瞬間からこれほどまでに深く高度な『精神統一(睡眠)』に入っておられるとは……っ!! 凡百の生徒ならば浮かれ跳ね回る場面で、己の体力を一滴たりとも無駄にせぬその姿勢……ワシは感動したぞーーっ!! バケツ一杯どころかドラム缶一杯の涙!!」
「ち、違います宿舎長! こいつただ移動中に爆爆睡して起きてないだけです!! 助けてください、この荷物で俺の腰が破滅しそうです!!」
タケシが必死に叫びますが、鹿野宿舎長の耳にはタケシの悲鳴など届いておりません!ハンカチをギュッと絞りながら号泣しております!
その時、学園の最高要人として視察に訪れていた勝己代表が、満足そうに深々と頷きました!
「うむ……素晴らしい。己が住まう宿舎の門をくぐる瞬間すら、『静』の境地を維持しておる。見よ、あの乱れぬ寝顔……いや、無の境内! タケシトレーナーよ、彼の一挙手一投足にはすべて意味があるのだ……!✨」
「意味ねぇよ!! 全員そろって深読みしすぎなんだよ!! 」
タケシの魂の絶叫が美浦校の空に空しく響き渡ります!
服部さんに抱えられたまま、高級絨毯が敷き詰められた鹿野宿舎の最高級個室へと運ばれていくエルフォーリオ。
ふかふかの特注ベッドの上にそっと横たえられた瞬間、エルフォーリオは心の中で深く満たされた吐息を漏らしておりました ✨
(……うん、完璧だね。足を使わずに部屋まで行けるなんて、じいは本当に気が利くなぁ……。このベッドのマットレスも悪くない……。あぁ、これで心置きなく明日まで眠れるよ……おやすみ…… )
口元にわずかな満足の笑みを浮かべ(※ただの幸せな寝顔)、完璧な二度寝の深淵へと落ちていくエルフォーリオ ✨
ズキッ……!!⚡️
その背中を見送り、大量の荷物を床に叩きつけたタケシの両肩とみぞおちに、破壊的な激痛が走りました!
「ぐぬぬ……っ!! 腰が……そして胃が痛ぇぇぇっ!! 」
タケシは震える手でポケットを探り、白くて丸い錠剤を取り出しました。
水を探す余裕すらなく、生唾とともに二錠の錠剤を喉の奥へ押し込みます……!ゴクッ……!ゴクッ……!
「やってやる……! サラ学美浦校でも、この動かない王子と妄想大人たちを相手に……俺の胃と腰が壊れる前に叩き直してやる……っ!!」
胃を押さえ、青ざめた顔で天井を見上げるタケシ。
こうして、周囲の盛大な勘違いと感動の涙、そして専任トレーナーの悲鳴とともに、美しき天才エルフォーリオの「サラブレッド育成学園」での新たな日々が、重厚かつ鮮烈に幕を開けたのでございます…… ✨
第5話をお読みいただき、本当にありがとうございました!✨
「歩くのが面倒だから運んで」という一言から、お姫様抱っこで降臨して周囲を大感動(&タケシを大絶望)させたドタバタ学園編のスタート、楽しんでいただけたら嬉しいです!笑
「面白かった!」「タケシの胃と腰を応援したい!」と思っていただけたら、ぜひページ下部から【評価(★★★★★)】や【ブックマーク登録】をポチッと押していただけると励みになります! ✨
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