✨『美しき天才、エルフォーリオ 〜優雅なる貴公子〜』✨ 作:Riho
第7話は、ついに迎えたデビューセレクション・札幌2000m本番!
「日差しが眩しい」「靴に砂が入るのが嫌」と不満タラタラなエルぼっちゃま。
服部さんの超絶覇王通訳、泥を回避するための最速退勤スパート、そして初勝利の裏で胃薬を飲むタケシの勇姿(?)をどうぞお楽しみください! ☀️ ✨
本日もまた、ひとつの美しくも奇妙な伝説のページが開こうとしております✨✨
北の大地・札幌の青空の下、眩しい太陽の光が青々としたターフを照らし出す夏の日——☀️
サラブレッド育成学園(サラ学)のデビューセレクション・札幌2000mコースの開催を知らせるファンファーレを前に、メインスタンドは開門と同時に押し寄せた観客で足の踏み場もないほどの超満員!グラデーションのような熱気に包まれております!おお〜ッ! 大歓声!!
熱気と熱狂は飽和状態に達し、場内全体がビリビリと皮膚を刺すような地鳴りのようなざわめきに包まれておりました!
「おい見ろ……! ついにパドックにあの鹿野宿舎のメンバーが入ってきたぞ……! ✨」
「1番人気……単勝期待値MAX! ノーザンクラブの最高傑作、エルフォーリオ様だ……っ! 」
「嘘だろ……なんだあの気品は……!? 歩いているだけなのに、周りの景色が一瞬で王宮の庭園に見えてくるぞ……っ!? 薔薇咲いてる!?」
スタンドを埋め尽くしたエルフォーリオ様の親衛隊やファンの女の子たちが、手作りのうちわやペンライトを握りしめ、次々と頬を染めてうっとりと溜息を漏らします……キュン……ッ!キュン……ッ!きゅるんッ!
「まあ……なんて美しく幻想的なお姿……✨ 」
「立ち姿だけで一冊の高級画集ができてしまいますわ……ッ! ✨」
一方、専用の見学エリアで静かにその歩調を見守る学園のレディたちもまた、その底知れないオーラに息を呑み、思わず肌を泡立たせておりました……!
「無駄な力が一切削ぎ落とされた完璧な踏み込み……。これが、噂のエルフォーリオ……!」
プロのスカウト陣もまた、鋭い眼光でメモ帳を握りしめ、身を乗り出して呟きます! ✨
「見てみろ、あの歩調……! 周囲の歓声やカメラのフラッシュにも一切動じない。あれこそが真の王者の持つ『絶対的な静寂』だ……!極限の精神統一……!」
——ですが、みなさま☘️
その「絶対的な静寂」を纏うエルフォーリオの心の中で、一体どのような思考が巡っていたか……わたくしたちは知っておかねばならないのでございます……! あらやだ〜!
(……うわぁ、日差しが眩しすぎるよ……太陽さん張り切りすぎ……☀️ パドックをグルグル回らされる意味が本当にわからない……。足の裏に砂が入るのも嫌だし、汗をかくのもベタついて最低だ。あぁ……控え室のあのエアコン24度設定の革張りソファに戻りたい……ぬくぬくモコモコ……☁️ ️ そもそも、なんで僕はこんなところで大勢に見られながら歩かされなきゃいけないんだろ……?)
そう、我らが貴公子は「パドック周回」という概念すらめんどくさく、ただただ「早く終わらせて横になりたい」と全神経で切望していただけでございます!あくびふぁ〜あ……!
そして場面は、本番直前の**【発走準備エリア】**へ——進みます!! ✨
出走を控えたライバルたちが荒い息を吐き、緊張感でピリピリとした空気が漂う中、期待のエリートアスリート・エルドラドやアストラリスたちが鋭い眼光で牽制し合っております!バチバチッ!!⚡️⚡️
「ふん……噂のエルフォーリオか。あの気圧されるようなオーラ……だが、レースになれば譲らんぞ!メラメラッ 」
ライバルたちが勝手にメラメラと対抗心を燃やす中、発走準備エリアで専用のレーシングウェアに身を包んだエルフォーリオは、ただ半目でポツンと立ち尽くしておりました……ぽつん…… ☁️
(……はぁ。ゲートって狭くて暗くて居心地が悪いんだよね……狭小物件だよ……。早く入って、早く走って、早く帰ろう……それだけを考えて全速力で帰ろう……ダッシュで退勤…… )
その時でございます!⏰✨チャリーン!!
「エルぼっちゃまーーっ! 滝涙ッ!!」
両手に最高級シルクの汗拭きタオルと、氷でキンキンに冷やした超高級ミネラルウォーターを抱えた執事の服部さんが、涙をボロボロと流しながら駆け寄ってまいりました! ❄️✨
「おいたわしい……! このような泥と砂にまみれたコースへ足を踏み入れねばならぬとは……っ! ぼっちゃま、ご無理だけはなさいますなよ……っ! 」
すると、心底だるくなったエルフォーリオは、服部さんにしか聞こえない絹のように滑らかな小さな「王子様ボイス」でボソッと囁いたのでございます……ささやきボイス…… ✨
「……じい。だるい……。靴に砂が入るの嫌だから、一瞬で終わらせて帰るね…… 充電切れそう……」
ですが……服部さんのお耳は、本日も絶好調に遠かったのでございます!! 難聴MAX!!
ぼっちゃまの消え入るような甘い呟きは、服部さんのお耳を通過した瞬間、恐ろしいまでの覇王的超訳を引き起こしてしまいました!ドカーン!!
「『この程度の距離、瞬く間に駆け抜け、我が真の覇道を切り拓いて見せよう』……とおっしゃっている……っ!! なんと気高き決意! なんという圧倒的な覚悟でございますかーーっ!! ✨神々しすぎるッ!」
服部さんは感動のあまり膝から崩れ落ち、オレンジ色のハンカチで顔を覆いながら、傍らにいた専任トレーナー・タケシの胸をバシバシと激しく叩きました!バシバシッ!バシバシッ! 胸筋崩壊!!
「お聞きになりましたかタケシ様ッ!? ぼっちゃまは今、一瞬でこの戦いを平定すると宣言されたのです! さあ、勝利の準備をーーッ!! ✨わっしょーい!!」
「へ……!? どこをどう解釈したらそうなるんだよ服部さん!! 今あきらかに『砂が入るの嫌だから早く帰る』って言ってたろ!! 捏造通訳もいい加減にしろ!! 」
タケシが必死の形相でツッコミを入れますが、服部さんは全く聞いておりません!スルー技術100点!!
がしゃん……! がしゃん……! ✨
ファンファーレが鳴り響き、一人、また一人と枠順通りにゲートへと収まっていきます。
ライバルのエルドラドやアストラリス……そして、最後に我らがエルフォーリオが、静かにゲートへと吸い込まれていきました。
場内が一瞬で静まり返り、ピンと張り詰めた緊迫感が全スタジアムを支配します……ゴクリ……。
『バンッーーーーーッ!!!』
ゲートが開いた瞬間、地鳴りのような大歓声!きゃああああっ!!
超がつくほどのドスローペースでレースの幕が開けました!
真っ先に飛び出したのは、先行グループのライバルたち! 先頭に立ってレースのペースを握ります。
一方、我らがエルフォーリオは——なんと、集団の後方、6番手付近をトボトボと追走!トボトボ……
「おおっと! 1番人気のエルフォーリオは後方からの追走! じっくりと前方を見極め、牙を研いでおります!かっこいい〜ッ!」
実況の熱い声が響き渡りますが、手すりを握りしめるタケシは青ざめて叫びました!ガタガタガタ!!
「見極めてるんじゃねぇ!! ただ単に走るのがだるくて後ろにいるだけだろあれ!! 」
その通りでございます。エルの心の中は……
(……はぁ、前の人たちが蹴り上げる芝の塊や砂が飛んできて嫌だな……飛散物注意だよ……。服が汚れるのは最低だ……。適当に後ろをつついていって、終わったらすぐシャワーを浴びよう……ポカポカのお湯……風呂キャンセルはしない……シャワーを浴びよう…… )
コーナーを巡り、レースが動き始めます!くるくるッ!
ゆったりとしたペースに痺れを切らしたライバルたちが、徐々にポジションを上げようと焦りを見せる中、エルのすぐ前には、強豪のエルドラドがぴったりと絶好の位置をキープ!
そして——運命の最終コーナー!くるりとターン!✨
残り400mの標識が見えたその時でございます!
(……ん? ちょっと待って……?ピクッ)
エルフォーリオの美しい眉が、ピクッと跳ね上がりました。
(このまま前の人たちの後ろにいたら……もし前の人がコケたり砂を蹴り上げたりしたら、僕に大量の泥がかかっちゃうんじゃないか……!? それにゴールした後に混雑して帰るのが遅くなるのも嫌だ……!!)
「絶対に泥を被りたくない! 誰もいない綺麗なコースを爆走して、誰よりも早くあの涼しい控え室のソファにダイブするんだ——!! ️ ✨」
とにかく服を汚したくない一心と、極限の「早く帰りたい欲望」が合体して大爆発した瞬間でした!メラメラッ……(※目指すは最速退勤) ✨
「……邪魔だ、どいてくれ……!!」 ヴォーグ!!
最終コーナーを回りながら、エルフォーリオが大外へスッと持ち出します!
直線を向いた瞬間、エルのエンジンが爆発しました!ドカァァァン!! ✨
そのフォームには一切の無駄がなく、まるで氷の上を滑る滑走のごとき完璧で美しい走り!スーッ……⛸️ルッツジャンプ級!!
「出たぁぁぁぁッ!! エルフォーリオだッ! 大外から一気に前を飲み込んでいくぅぅぅッ!!超絶スピード!!」
観客席から割れんばかりの絶叫と悲鳴が上がります!キャァァァァッ!!
逃げ粘るアストラリスをあっさりと捉え、内から必死に喰らいついてくる強豪エルドラドが猛追してきますが、エルフォーリオのスピードはまったく衰えません!ビュンビュンッ!!
(あぁぁぁ! 汗かいてきた! ベタベタして気持ち悪い! 早く! 1秒でも早くゴールして汗を拭きたいんだーーーッ!!タオル!汗拭きシート!!早く!! )
「速い! 速すぎるッ! エルフォーリオ! 追いすがるエルドラドにわずかな差をつけて今、見事な1着ゴールイン!! ✨」
ゴォォォォォールッ!!!
1着で駆け抜けた瞬間、エルフォーリオは一切の勝利ポーズも取らず、そのままの勢いで速やかに減速。真っ直ぐに控え室への道へと足早に向かいました!スタスタ……
「キャァァァァァーッ!! エルフォーリオ様ぁぁぁッ!!✨ ✨すきーーーッ!!」
「勝ち誇ることもなく、静かに引き上げるあの孤高の美学……! 痺れるわぁッ!! 」
スタンドのファンの女の子たちが大歓声で歓喜の涙を流し、見学エリアのレディたちもその圧倒的な美技にただただ感嘆の息を漏らします!
VIP視察席では、鹿野宿舎長が鼻水を垂らしながら、オレンジ色のハンカチをバケツの中にジャバジャバと絞り込んでおりました!ジャババババ!!
「ううっ……! 見たかタケシ……! あの最後の爆発的なスパート……! 『汚れた泥など一瞬で置き去りにしてやる』という、ぼっちゃまの強い意志と誇りを感じたぞ……っ! ワシは……ワシは感動したーーッ!! (プール一杯分の涙バシャーン! )」
「だから違うって!! ただ泥が嫌で早く帰りたかっただけなんだってば!! どこに意志があるんだよ!!」
そこへ、勝利に感動してボロボロと号泣している執事の服部さんが、最高級のシルク毛布を抱えて駆け寄ってまいりました!フワフワ〜ッ!ふんわり羽毛!!
「エルぼっちゃまーっ! お見事な平定でございましたッ! ぼっちゃまは今、心の中で『この程度の走りは、我が日常の一片に過ぎん』とおっしゃっておられますッ!!神々の遊び!!」
「言ってねぇよ!! 捏造通訳もそこまでにしろじいさん!!アゴ外れるぞ!!」
タケシの魂のツッコミが大歓声の渦の中に見事にかき消されていきます!ワチャワチャ!!
一方、控え室の特注ソファに速攻でダイブし、服部さんに冷やしタオルを顔に乗せられながら、エルフォーリオは心の中で深々とため息をつきました……はぁ〜ん……☁️
(……はぁ。勝っちゃったから、また次も走らなきゃいけないのかな……。走るのって、本当に疲れるなぁ……☁️ 次は100年後にしてほしい……)
ズキッ……!!⚡️ キリキリ……!!
勝利の余韻に沸き立つ陣営の中で、ただ一人、タケシだけがみぞおちを押さえてうずくまりました!胃液が出そう!!
「ぐはっ……! デビュー戦にして、俺の胃に深刻なダメージが……ッ! 記念すべき1勝目の裏で……胃薬のカウントが始まっちまった……っ! ううっ……!!」
タケシは震える手でポケットから1錠目の白くて丸い錠剤を取り出し、水を探す間もなく生唾とともに喉の奥へ押し込みました……!ゴクッ……!ゴクッ……!
こうして、本人の「だるい」という切実な本音を完全に置き去りにしたまま、美しき怠惰の貴公子による無傷の伝説が、ここに華々しく開幕したのでございます…… ✨
第7話をお読みいただき、本当にありがとうございました!✨
泥を被りたくない&早く帰りたいためだけに大外から爆走し、見事1着を勝ち取ったエルフォーリオ!
1勝目からすでに胃が完全崩壊しかけているタケシの奮闘も楽しんでいただけたら嬉しいです!笑
「面白かった!」「初勝利おめでとう!」「タケシの胃を応援したい!」と思っていただけたら、ぜひページ下部から【評価(★★★★★)】や【ブックマーク登録】をポチッと押していただけると励みになります! ✨
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