​ ✨『美しき天才、エルフォーリオ 〜優雅なる貴公子〜』✨ ​    作:Riho

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第9話は、3歳クラシックへの最重要ステップ【共同通信アニバーサリーカップ】!
寒さに震えパドックで目を閉じかけるエルぼっちゃまと、少女漫画のセリフを思い出して呟いた一言を『王宮の舞踏会への招待』と超絶妄想通訳する服部さん。
そして汗くさい混雑を避けて最速退勤するためだけに鋭いイン突きを見せる貴公子の激走、カウント「3」に進むタケシの胃薬の行方をどうぞお楽しみください!  ✨


  第9話:『共同通信アニバーサリー・王宮への招待状』☀️✨

皆様、秋の激闘から厳しい冬の寒さを乗り越え、東京メインスタジアムには柔らかく穏やかな春の陽光が差し込み始めておりました…… ✨ 

 

本日開催されるのは、3歳クラシックの頂点へと続く最重要ステップ——【共同通信アニバーサリーカップ】(東京・トラック1800m)!! ✨ 

 

絶好の**「素晴らしいグランドコンディション」**に恵まれたスタジアムは、開門と同時に押し寄せた観客によって足の踏み場もないほどの超満員! ‍ ‍ ‍ ✨ 朝から熱気で溢れかえるメインスタンドからは、地鳴りのようなざわめきが終始響き渡っております。⚡️ 

 

それもそのはず、本日の目玉はデビューから無傷の2連勝を飾り、その圧倒的な美貌と走りで界隈の話題を独占する「美しき貴公子」——エルフォーリオ様の今年初戦だからでございます!! ✨ 

 

今や学園のレディたちにとって、彼の出走するレースは単なる競技ではなく**「美の鑑賞会」**。見学エリアには、朝早くから完璧な装いで駆けつけたレディたちが集結し、双眼鏡や高級一眼レフカメラを手に息を呑んで待機しておりました。 ✨ 

 

☕️ 「皆様、ついにお披露目の刻ですわ……! 冬の間、お姿を拝見できなかった寂しさが今日ついに満たされますのね……!」

 

 ️✨「ああ、見て……! 掲示板に『エルフォーリオ』の名が刻まれているだけで、この殺風景なスタジアムがヨーロッパの王宮庭園に見えてまいりますわ……!」

 

レース開始30分前、周回展示を行うパドックに選手たちが姿を現すと、場内のボルテージは最高潮に達いたしました!! 狂乱!!

 

しかし——エルフォーリオ様が優雅な足取りでパドックの周回コースを踏みしめた瞬間、スタジアムを包んでいた雑音が一瞬で途切れ、静寂が広がります! ✨グラウンド騒然…!

 

「……っ!? なんだこの空気感は……!?」  

 

「声が出ない……! 他の選手(サラメン)たちがどれだけ気合を入れて周回していても、彼が中央を通るだけで全員が引き立て役に見えてしまう……!」 ✨✨

 

1番人気に推された実力派・ステラノヴァや、不敵な笑みを浮かべるシャハリアル、鋭い眼光を光らせるヴィクティファロスといった強力なライバルサラメンたちが、鍛え上げられた肉体を誇示するように歩を進めております。しかし、エルフォーリオ様の身に纏うオーラは、それらすべての力みを無効化するかのように洗練されておりました。✨ 

 

最前列で最推しの団扇を握りしめるファンは、感涙を浮かべて小声で囁き合います……!   

 

 ️✨「すごい……声をかけることすらおこがましいわ……。あの余計な筋肉の力みが一切ない滑らかな歩行……まさに計算し尽くされた極上のシルエット……っ!」

 

 ✨「見て、あの木漏れ日を反射するサラツヤな髪の毛……! 伏せられた長い睫毛がほんのり揺れるたびに、時間が止まって見えるわ……!」

 

コースの状態を分析していたベテラン解説者も、マイクを握る手を震わせて唸りました! ️ 

 

「見事というほかありません……! 立ち姿の重心がミリ単位でブレていない。冬を超えて体重はプラス表記ですが、太め感は一切なし! 無駄なエネルギー消費を100%抑え込んだ、まさに効率化を極めた究極のアスリートの姿です!!」  

 

——ですが、皆様 ✨

 

世界中が彼の「静寂の芸術」に勝手に酔いしれ、感動の涙を流しているその瞬間……エルフォーリオ様の頭の中を支配していたのは、文字通り**「絶望的なまでの怠惰」**でございました……!   

 

☁️ ️**(……ふぁ〜あ、寒すぎるよ……。2月だからって日陰がこんなに冷たいなんて聞いてないな……。なんで僕はこんな大勢の前でぐるぐる歩かされなきゃいけないの……? パドックって長すぎて本当にお気に召さないな……。控え室のふかふかクッションと電気毛布に戻って、ぬくぬくお昼寝したいのに……。お肌が乾燥しちゃうじゃない……。あぁ、だるい……もう歩くのやめたいな…… )**

 

そう、皆様が「王者の絶対的な集中力」と見誤っていたその表情の正体は、単に「寒くて眠くて、怠惰のあまり目を半分閉じて意識を飛ばしかけているだけ」の素顔だったのでございます!   

 

パドックを終え、本番直前の控え室へと戻られたエルフォーリオ様。

 

特注ソファーに深く沈み込み、すでに半分魂が抜けかけているエルフォーリオ様……ぽつん…… ☁️ ️

 

 (……ふぅ、ため息が出ちゃうくらい退屈だなぁ。このレースが終わったら、すぐに美浦の部屋へ帰るからね……。……あ、そういえば昨日、じいが部屋で読んでいた少女漫画……あのキザな主人公、なんて言っていたっけ……? 『王宮の舞踏会』……だったかな……? ふふ、くだらないなぁ…… )

 

出走数分前だというのに、本気でどうでもいい雑念に浸っていたエルフォーリオ様!ふぁ〜あ……!  

 

その時でございます!⏰✨

 

隣で待機していた執事の服部さんが、ハッと息を呑んで大粒の涙をこぼしました! 人型ハンカチ!!

 

「おぉ……おぉ……っ! ぼっちゃま! 今、私の愛読書『恋するドレスコード』のセリフを口になさいましたね……っ!? つまり……本日のレースで勝利した暁には、詰めかけた大勢のファンの方々を『僕の舞踏会へ招待する』という、至高のファンサービスをお考えになられているのですかーーっ!? ✨(※重度妄想)」

 

服部さんは感動のあまり胸の前で固く両手を組み、震える吐息を漏らしながら、傍らにいた専任トレーナー・タケシの肩をガシッと掴んで激しく揺さぶりました!ガシガシッ! 肩外れるッ!!

 

「お聞きになりましたかタケシ様ッ!? ぼっちゃまは今、レースの先にあるファンとの約束に思いを馳せておられるのです! なんと深い愛……まさに真の王者ーーッ!! ✨ 」

 

「絶対にちがう!! ただ昨日じいが読んでた少女漫画のセリフを思い出して『くだらない』って呆れてただけだろ!! 勝手な捏造通訳も大概にしろよ!!   」

 

タケシが必死の形相でツッコミを入れますが、服部さんは「ああ……主の慈愛に涙が止まりません……っ!」とハンカチを噛み締めて感涙にむせんでおります!

 

一方、VIP視察席ではノーザンクラブの勝己代表が、高級ワイングラスを優雅に傾けておりました…… ✨ 

 

「フッ……見ろ。1番人気のステラノヴァやシャハリアルが発する強烈な圧力を、まるで春風のようにさらりと受け流している。他者を意識せず、自らの美学のみに集中する……あれこそが真の選ばれし者の余裕よ……!」

 

(※実際は「レースが終わったら送迎車の中で高級いちごタルトを食べたいなぁ」としか考えておりません。  )

 

場面は、本番直前の発走準備エリアへと移ります!! ✨

 

出走を控えたライバルたちが荒い息を吐き、ピンと張り詰めた緊迫感が漂う中、有力サラメンたちが鋭い眼光で牽制し合っております!バチバチッ!!⚡️⚡️ 

 

 「ふん……噂のエルフォーリオか。あの気圧されるようなオーラ……だが、この東京の広い直線ならば俺のスピードが上回る! 蹴散らしてやるぞ!」(ヴィクティファロス)

 

 「一冠目に向けて、ここで負けるわけにはいかない……! 王者の鼻を明かしてやる!」(シャハリアル)

 

ライバルたちが勝手に熱く対抗心を燃やす中、専用のレーシングウェアに身を包んだエルフォーリオ様は、ただ半目でポツンと立ち尽くしておりました……ぽつん…… ☁️

 

 (……はぁ。スタート枠の中って狭くて暗くて居心地が悪いんだよね……完全に狭小物件だよ……。サッと入って、サッと走って、サッと帰ろう……それだけを考えて走るんだ……即退勤だよ…… )

 

がしゃん……! がしゃん……! ✨

 

係員の手によってシグナルが点滅し、一人、また一人と枠へと収まっていきます。1番人気のステラノヴァ、そしてシャハリアル……最後に我らがエルフォーリオ様が、何とも気が乗らなさそうな足取りで静かに枠へと吸い込まれていきました。

 

場内が一瞬で静まり返り、10万人近い観客の息を呑む音が全スタジアムを支配いたします……ゴクリ……。

 

『バンッーーーーーッ!!!』     

ゲートが開いた瞬間、地鳴りのような歓声!きゃああああっ!! ✨ 

 

各選手が一斉に飛び出します! 1800mのスタート地点は、観客席の前を通り過ぎる絶好のロケーション。

 

先頭に立ったのはタイタニス! 続いてディープクラウン、ハートビートが続き、ゆったりとしたスローペースでレースを引っ張ります。

 

 ✨「さあ、注目のエルフォーリオは……中団やや後ろ、7番手付近のインコースを追走! 完璧な折り合い! じっくりと手応えを温存しております!」

 

実況の熱いアナウンスがスタジアムに響き渡りますが、モニターを食い入るように見つめるタケシは、胃を押さえながら叫びました!ガタガタガタ!! ⚡️

 

「手応えを温存してるんじゃねぇ!! ただ単に前についていくのが面倒で、風除けのために人の後ろに隠れてるだけだろあれ!!  」

 

その通りでございます。エルの心の中は……

 

☁️**(……ふぅ、やっぱり東京のコースは無駄に広くて嫌になっちゃうな……。前の人たちの汗くさい熱気が風に乗って飛んでくるよ……最悪だな……。少し離れて、風上側に隠れて走ろう……)**

 

レースはそのまま3コーナーから4コーナーへ。じっくりとした展開に痺れを切らしたライバルたちが、徐々にポジションを上げようと仕掛け始めます!⚡️ 

 

「3〜4コーナー中間! 後方にいた選手たちが一斉に動き出す! シャハリアルが前に取り付く! ヴィクティファロスも外から進出!」

 

各選手が腕を激しく振り、足取りを強める混戦模様! しかし、エルフォーリオ様だけは……一切の無駄な力みもなく、まるでスーッと氷の上を滑るかのようなフォームでインコースのポテンシャルを維持しておりました。❄️✨

 

そして、運命の最終直線! 東京スタジアム名物の「525mの長い坂」が選手たちの前に立ち塞がります!

 

残り400mの標識を通過!   

 

ここで真っ先に仕掛けたのは、パワフルな走りで抜け出してきたヴィクティファロス!

 

「ここだ! このまま押し切るぞーッ!」と必死の形相でスパートをかけます!

 

すぐ隣からはシャハリアル、外からはステラノヴァが猛烈な勢いで追いすがってくる!

 

まさに大混戦! 誰が勝ってもおかしくない大激闘!  

 

その時でございます!

 

中団のインコースにいたエルフォーリオ様は、前の選手たちが外側へ膨らみながら激しく競り合っている光景を冷ややかに見つめておりました……ピクッ⚡️ ️✨

 

 (……はぁ、みんな必死すぎて暑苦しいよ……。ゴールした後にあの人たちと揉みくちゃになりながら地下通路へ帰るなんて絶対に嫌だ……。あ、インコースがガラ空きじゃない。あそこを通って真っ先にゴールすれば、誰にも邪魔されずにすぐ帰れる……!)

 

「……失礼するよ……」 ✨ 

 

外へ広がるライバルたちのスキを見逃さず、エルフォーリオ様は最短距離のインコースへスッと進路を取ると、一瞬でトップギアへ踏み込みました!

 

そこから繰り出されたのは、まるで地面から浮いているかのような洗練された超高速スパート!! ✨ ⚡️

 

 ️ 「内が開いたぁぁぁッ!! エルフォーリオだッ! 鋭い一閃! 最短ルートを鮮やかに突き抜ける! 圧倒的な瞬発力だぁぁぁッ!!」

 

観客席から割れんばかりの絶叫と悲鳴が上がります!キャァァァァッ!!   ✨

 

「な、なんだあの次元の違う切れ味は……!? 一瞬で全員を置き去りにしていったぞ……っ!!」

 

「混雑回避のための即退勤ダッシュ」を敢行したエルフォーリオ様は、粘るヴィクティファロスを一瞬で置き去りにし、圧倒的な差を広げて堂々の1着ゴールイン!! 無傷の3連勝で、重賞のタイトルを鮮やかに手中に収められましたッ!!  ✨ 

 

  ゴォォォォォールッ!!!  ✨

1着で駆け抜けた瞬間、エルフォーリオ様は勝利の余韻に浸ることもなく、スピードを落としながらそのまま直線で狙い通り地下通路へと一番乗りで消えていかれました!スタスタ……  

 

 「キャァァァァァーッ!! エルフォーリオ様ぁぁぁッ!!✨ ✨すきーーーッ!!」

 

 ✨「勝利の余韻すらファンに残して、風のように去っていくあの洗練された美学……! 痺れるわぁッ!!」

 

スタンドのファンの女の子たちが大歓声で歓喜の涙を流し、見学エリアのレディたちもその圧倒的な美技にただただ感嘆の息を漏らします!✨ 

 

そして、勝利インタビューの時間がやってまいりました。詰めかけた数十人の報道陣とフラッシュの嵐。 ⚡️うんざりした表情のエルフォーリオ様は、隣の服部さんに耳打ちをいたしました……ささやきボイス…… ✨

 

 (……じい。疲れたから早く帰りたいな。昨日じいが部屋で読んでたあの漫画のセリフ、なんて言ってたっけ……?…… )

 

ですが……服部さんは本日も完璧な「妄想代弁モード」をフル回転!!  ✨

 

服部さんは感動のあまり胸を押さえ、マイクに向かって朗々とその「大捏造通訳」を叫びました!!

 

  ✨「『……皆様。ようこそ、僕の王宮の舞踏会へ招待しよう』……とおっしゃっておりますーーっ!!」

 

「「「キャァァァァァーーーーーッ!!!✨ ✨(バタバタバタッ!失神者続出!)」」」

 

スタンドのレディたちが悲悲鳴をあげ、あまりの尊さに倒れ込む者まで出る大パニック!!   

 

一方、テレビの前で応援していた鹿野宿舎長は——!!  

 

  「ううっ……! 見たかタケシ……! 『無駄な遠回りを排し、最短距離で己の美学を示す』というぼっちゃまの気高き覚悟(※大勘違い)が、あの完璧なイン突きを生んだのだ!! ワシは……ワシは感動したーーッ!!(マイバケツに涙ジャババババ! )」

 

オレンジ色のハンカチを絞りながら、バケツに涙のプールを作る宿舎長!

 

  「だから違うって!! ただ汗くさい混雑が嫌で一番早く控え室に帰りたかっただけなんだってば!! 漫画のセリフだぞそれ!!どこに覚悟があるんだよ!!」

 

タケシの魂のツッコミが大歓声の渦の中にかき消されていきます! ✨

 

一方、検量室の奥、特注シルク毛布にくるまりながら、服部さんに高級イチゴタルトを口へ運ばせるエルフォーリオ様  ✨

 

 (……タケシ、次の美浦の部屋のベッド、もっとフワフワな布団に変えておいてね…… )

 

ズキッ……!!⚡️ キリキリ……!!

 

勝利の余韻に沸き立つ陣営の中で、ただ一人、タケシだけがみぞおちを押さえてうずくまりました!胃液が出そう!!

 

  「ぐはっ……! 3連勝のめでたい裏で……俺の胃薬(太田胃散)のカウントが早くも『3』になった……ッ!  ううっ……!!」

 

タケシは震える手でポケットから3錠目の白い錠剤を取り出し、水なしで喉の奥へ押し込むのでございました……!ゴクッ……!ゴクッ……!  

 

こうして、本人の「早く寝たい」という切実なワガママを完全に置き去りにしたまま、美しき怠惰の貴公子による無傷の圧勝劇は、幕を閉じたのでございます……  ✨   す




第9話をお読みいただき、本当にありがとうございました!✨
汗くさい混雑に巻き込まれず一番早く控え室へ帰るためだけにガラ空きの内を突き、見事な重賞制覇&無傷の3連勝を飾ったエルフォーリオ!
勝利後すぐに高級イチゴタルトを食べながらワガママを言い、またしても胃を痛めるタケシの奮闘も楽しんでいただけたら嬉しいです!笑
「面白かった!」「重賞制覇&3連勝おめでとう!」「タケシの胃薬(太田胃散)を応援したい!」と思っていただけたら、ぜひページ下部から【評価(★★★★★)】や【ブックマーク登録】をポチッと押していただけると励みになります!  ✨
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