俺は転生した。
「おぎゃー」
転生前は勇者だった男だ。何が勇者だって? 魔王を倒した勇敢な者としての称号としてだ。
「おー、よしよし」
何故、転生したとわかるか?
国へ帰ったら、毒を盛られて殺されていたらしい。
俺を殺せる毒なんて、幾つもねーのにな。国の奴らも、頑張ったんだろうな。
自称女神がそう言っていた。
「おぎゃー」
悔しいだろうから、記憶を保持したまま転生させてあげるとも。復讐でもなんでも、許してあげるとも。
邪神か?
復讐なんか、別に望んでいなかった。だって、さっさと殺して欲しかったから。
「よく、よくぞ……」
魔王を殺して死ぬつもりでいたのに、助けられちまったんだ。ついて来てくれた、気の良い奴らに。
魔王は、俺の母親だった。
「おぎゃー」
国の奴らだって、生かしておく理由はないだろ?
魔王より強い魔王の息子だぜ? 勇者でも。
火種になるし、どうせまともにゃ生きられない。
追放で済ます程、甘い奴らじゃ平和を作れんよ。
どうせ死ぬしかなかった人生なんだから、別に恨みはないんだけどよ。
「お、俺にも子供が……」
ただ、アイツらまで酷い目にあってたりしたらとかだけは、心配だったんだ。犬、猿、雉。俺の友達。
桃から産まれたわけじゃないけどさ。成り行きってやつだ。
「おぎゃー」
復讐が云々というのなら、そんなに時間も経ってないんだろうな。アイツらがどうなったかを調べて、それから考えてみてもいいか。
「生まれてきてくれて、ありがとうね」
しかし産まれたばかりでも、以前のままで考えられるのも地獄だな。周りが全然見えねーし。
状況はよくわかる。わかるけど、それが活かせるかは別の話だ。
「おぎゃー」
泣いてることしかできないしな。でも、男として産まれたからには、一生懸命にやるしかない。
そう信じて生きてきた。
だから理不尽かもしれない運命だって、受け入れて生きてきたんだからさ。
「見て、見て。笑ったわ」
「おーおー……。可愛いなぁ。チェレステは」
それが、新しい名前か。空色か、悪くはないな。
仲が良さそうなご夫婦でよかったぜ。
そういや俺も、結婚なんかはしてみたかったわ。
あまり大きな声じゃ言えないが、アレとかもやってみたかったし。
経験、出来るといいな。
「おぎゃー」
ちっと以前は出来なかった事に挑戦もしてみたい。アイツはやっぱり邪神じゃなくて、女神でよかったのかもしれないな。
この新たな人生では、あわよくば……。
女と合体してみたい。
「きっと、素敵な子になるわ。なんたって、チェレステは私達の可愛い娘なんですから」
なんでさ。
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