この世界には、我々の知らないもう一つの世界がある。
その世界は、人間、妖怪、妖精、はたまた神といった色々な種族が入り交じって暮らしている幻の楽園。
この物語は、そんな奇妙な世界{幻想郷}で起こった不思議なお話・・・。
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秋、星の煌めく幻想郷の夜空に1つの流星が流れた。
光り輝くその小さな点は、湖畔の島にひっそり佇む立派なレンガ造りのお屋敷{紅魔館}へ落ちていった。
~紅魔館 レミリアの部屋~
赤レンガで出来た大きな洋館。
此処の当主、レミリア スカーレットは、先の時代で名を馳せた高貴な吸血鬼のお嬢様だ。
透けるような薄紫のブロンドヘアに美しい緋色の瞳。
鋭く白い八重歯は人間の血液を啜る度に口から血を溢し、純白のドレスを真っ赤に染める。
付いた二つ名はスカーレットデビル、真っ赤な悪魔だ。
が、それも昔の話。
今ではすっかり大人しくなっている。
風呂上がりの彼女は真っ白なパジャマに袖を通し、部屋に置かれた赤いソファに腰掛けながら紅茶を飲んでいる真っ最中だった。
レミ「肌寒いわね・・・もう冬が近づいてるのかしら?」
少し寒気を感じ、誰も居ない部屋で小言を呟く。
温かい紅茶の入ったティーカップからは湯気が立ち込め、近づいたレミリアの顔を加湿器のように潤していた。
そんな季節の流を感じさせるような体験をした直後。
突然、部屋の窓が大きな音を立てて震え始めた。
ガチャガチャガチャガチャ・・・
レミ「ん?突然どうしたのかしら?
・・・風?」
だが、窓の震動の音が鳴る中で、また別の音が聞こえてきた。
キィィィィィィン!!!!
突如部屋の外から鳴り響く大きな音。
風を斬るような音は段々大きくなり、直後豪快な破壊音が館中に響き渡った。
レミ「何!?何が起こったの!?」
いきなり聞こえてきた大きな音にレミリアが驚き、ガタッという音を出しながらソファから跳びあがる。
何が起こったのか気になり、外の様子を見に行こうと小走りでカーディガンをクローゼットから取り出そうとすると、何者かが部屋の扉を勢いよく開けてきた。
バン!
咲「失礼致します!!」
扉を勢いよく開けて出てきたのは紅魔館のメイド長、十六夜咲夜だ。
彼女は銀色のショートカットを揺らし、息を切らしてかなり疲労している。
メイドは簡潔に事を述べた。
咲「お嬢様!大変です!
空から隕石が落ちてきて庭園が半壊しています!!」
レミ「え!?」
急いで窓の外を確認しようとしたが、レミリアの部屋からは中庭しか見えない。
庭園を確認するには外に出るしかなかった。
レミ「仕方ない。
咲夜!外へ出るわよ!」
咲「畏まりましたわ!」
レミリアは咲夜を率いて外へと出るための大ホールへ向かった。
その頃、庭園では落ちた衝撃で出来たクレーターの中心で倒れている男が一人いた。
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右の前髪だけ上にあがった特徴的なヘアスタイルを持つ、ボロボロのTシャツとジーンズを穿いた青年。
???
「うっ・・・くっ・・・がはぁっ」
館の瓦礫と土に埋もれて大の字に倒れて勢いよく吐血した。
どうやら内蔵を痛めているようだ。
さらに落ちた勢いが強すぎて館まで被害が出ており、壁が完全に破壊され、周辺の窓ガラスも全て割れていた。
男は必死に動こうとするが、体が言うことを聞かず、どう足掻いても全く動く気配が無い。
大量の傷口からは血液が流れ続け、頭の中も真っ白になっていった。
???「クソッ体が動かん・・・。
折角助かったのに・・・これでは・・・いみ・・・が・・・」
男は閉じていく目蓋に抵抗せず、そのまま眠りにつくように意識を手放した・・・。
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レミ「これは・・・」
レミリアは目の前の光景に愕然とした。
美しく手入れされた自慢の庭が跡形もなく消えているのだから。
だが、怪我人が出なかっただけ良かったと言えるだろう。
咲「土煙が酷いですわ。
お嬢様、少しお下がりになられては?」
レミ「そうね・・・ん?
ちょっと待って、穴の中から人の気配が微かにするわ」
微弱な霊力の流れに気がついたレミリアは穴に近づいて中を覗きこんだ。
すると、大穴の中にはで血まみれで放って置けば確実に死ぬであろう重傷を負った謎の青年が力無く倒れていた。
二人は下へ降りてそっと歩み寄り、男の顔を確認した。
咲「酷い怪我ですわね・・・。
骨も幾つか折れているようです」
落ちた時の怪我なのか、それとも元々怪我を負っていたのか、どちらかも解らないほどの重傷だ。
こんなところに放置しておく訳にもいかない。
レミ「一体何があったのかわからないけど彼はまだ生きてるわ。
息も辛うじてしてる。
知ってること聞き出さなくちゃね。
咲夜!この男を回収して治療するわ、パチェに回復術を掛けさせて」
咲「かしこまりました!すぐにベッドを用意致します!」
咲夜は命令通りに男を抱き抱え、空き部屋のベッドまで運んでからパチュリーを呼んだ。
現在はとある一室で男の容態を調べさせていた。
~簡易病室~
真っ白なベッドに寝かせた男に魔方陣の治療術を施して、紫のネグリジェのような格好をした魔女のパチュリーが容態を確認する。
聴診器を当てている最中、咲夜が口を開いた。
咲「パチュリー様、容態はどうなのでしょうか?」
パ「酷い怪我で出血多量。
もう少し遅かったら死んでたかもねこの人・・・。
でも回復術を掛けているから、一週間あれば怪我も治り軽く動けるようにはなると思うわ」
咲「そうですか、なら一安心ですわね」
咲夜は胸に手を当て、ほっと一息つくが、問題はこれからだ。
パ「でも一体この人どこから来たのかしら?
普通の人間じゃ即死よ?
もしかしたら人間じゃないかも・・・」
妙だった。
通常の人間ならば後遺症が残っても可笑しくないレベルの致命傷を負っているにも関わらず、軽い治癒魔法を掛けた瞬間から傷口は閉じ始めている。
1日経てば骨折も治りそうな勢いだった。
だがこの青年が目覚めない以上、詮索した所で何の解決にもならない事も明白だった。
咲「詳しい事はこの方の意識が戻ってから調べましょう」
パ「そうね、このまま考えても無意味だわ。
咲夜、レミィに報告お願いね」
咲「かしこまりましたパチュリー様」
男の正体を知るのは一先ず意識が回復してからにし、咲夜は男が無事であることをレミリアに報告しに部屋を退室した。
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~レミリアの部屋~
コンコン
レミリアは男の容態が気になりつつも何時も通り玉座に座って堂々と振る舞う。
使用人の咲夜が訪ねてきても同様だ。
咲「咲夜です、報告に参りました」
レミ「入りなさい」
内心、全く落ち着いていなかったが、外側では平常心を装いつつ、咲夜を部屋に入れた。
咲「失礼します、パチュリー様によると一週間もあれば怪我も治り動けるようになるそうです」
レミ「そう・・・報告ありがと。
彼の目が覚めたら教えてくれないかしら?
聞きたいこともあるし」
咲「畏まりました。
では目が覚め次第報告に参ります」
レミ「ええ、お願いね」
咲「はい。
では、失礼致します」
キィ・・・バタン
咲夜が去った後レミリアは安堵の表情を浮かべるが、一人考え込んでいた。
レミ「何故かしら、見ず知らずの男を助けてしまうなんて・・・。
でもあの男を見ているとなんだか紅魔館に、いえ、幻想郷に影響を与えそうな、そんな気がする。
彼の運命はこれからどうなるのかしら・・・」
窓の外の真っ黒なキャンパスに映る星空を見上げながら呟く。
レミリアは自らの、運命を操る程度の能力で青年から何か不思議なモノを感じとっていた。
これが紅魔館の住人と男の最初の出逢いである。
まだこの青年が幻想郷の未来に変革をもたらす事になるとは、この時は誰も考えてすらいなかった・・・。
はい、1話終了です、とてつもなく短いです、そしてわかりました、小説書くのって大変ですね、、、ちなみに主人公の名前を出さないのはまだ決まってないからです。次回からちゃんとやります
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