東方混迷郷   作:熊殺し

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久しく投稿でござる。
今回は久しぶりなキャラが登場です。
いずれはこの人の話も書きたいなぁ。


緋想天89話

~永遠亭~

 

 

何時もと同じ、晴れた日の夜に見える満点の星空。

文明の光が一切ない世界で見る夜空はとても美しい。

そう思うのは本当の夜空を知らない現代人くらいなのかもしれない。

しかし、古来より月という天体は人々から崇高なものとして崇められてきた。

一際大きく輝き、日々姿を変える不思議な球体を、人は神に等しいものと考えていたのだ。

地上人に限った話・・・だが。

 

 

輝「今夜も月が美しい。

私の最も嫌うものなのに、どうしてこんなにも美しいのかしら」

 

 

月の姫だった彼女は、縁側に座りながら月見酒に洒落込んでいた。

酒の水面に映る中秋の名月を眺めながらの晩酌は何時も心を癒してくれる。

月の都の姫だった輝夜は、地上の世界に憧れて不死の薬を飲む重罪を犯し、罪人として天から追放された。

地上の生活は辛いこともあるが、後悔はしていない。

今の生活で十分充実しているから。

そんな、遥か昔の感傷に浸っていると、後ろから輝夜を呼ぶ声が聞こえて来た。

 

 

響「輝夜さん、こんな夜中に何してるの?」

 

輝「あら、珍しいお客さんね」

 

 

後ろから声を掛けてきたのは、居候として永遠亭にやって来た霊夢の曾孫、博麗響華だった。

響華は輝夜の横に{よいしょっ}と言いながら座り、 胡坐をかきながら輝夜に質問する。

 

 

響「それで?

こんな夜中にお酒飲みながら何してたの?」

 

輝「別に、何もしてないわよ?

強いて言うなら・・・昔を思い出してたわ」

 

響「昔?

それって、月に居た時の?」

 

輝「さぁ、どれくらい昔かしら?

月の姫だった時の記憶なんてもう殆ど残ってないわ」

 

 

響華の質問を曖昧な表現であしらい、手にした杯に口づけする。

都で絶世の美女と謳われただけあり、一つ一つの動作に何処か色っぽい雰囲気を纏っている気がする。

女の響華でさえ惚れてしまいそうな程だ。

しかし、彼女は当時の事を他人に一切話そうとしない。

あの時を思い出してしまうから。

 

 

輝「そんな事より、最近鈴仙から面白い話を聞いてね?

何だか此処一週間程、幻想郷の天気が極端におかしいらしいのよ。

とある場所では濃霧が立ち込め、ある場所では霧雨が降り続け、かと思えばある場所では晴天が続いている。

こんなに違う天気が同じ地域に同時に起こるなんて、変だと思わない?」

 

響「あ、その話知ってる!

里で結構な話題になってたよ。

確かに変だよね・・・。

そういえば、最近ここら辺も風が強いような気がするけど、関係あるのかなぁ?」

 

 

里に出かける事の多い響華は、既にこの話を里で小耳に挟んでいた。

彼女は謎に疑問を浮かべながら口元に手を当てる。

それに応えるかのように輝夜はクスリと笑った。

 

 

輝「クスっ、気になるんだったら調べてみれば?

貴女、博麗の巫女なんでしょう?」

 

響「え、でもそれは未来の世界での話だし・・・。

あまり下手に世界に干渉するような行為はしない方が良いってお兄ちゃんも言ってたし」

 

輝「良いじゃない、別に原因を調べるだけなんだもの。

やりたい事を我慢しない方が良いわよ?

これは人生の先輩から言える台詞だから」

 

 

響華はこの言葉を聞いて悩んだ。

未来を変えることが出来る過去への干渉。

普通ならば絶対にやってはいけない行為だ。

しかし、そんなものは自分たちがこの時代に飛んできた時から既に変わってしまっている。

今更気にしても仕方が無いのも事実だった。

暫く考えぬき、漸く決心がついた。

 

 

響「・・・そうだよね。

時代が違っても博麗の使命を任されたことに変わりはないんだもん」

 

輝「フフッ♪

その意気よ、響華なら絶対大丈夫だわ」

 

 

輝夜の確信の籠った言葉に鼓舞された響華は、縁側から外へ跳ね起きる。

そして、鈴虫たちのオーケストラの中、気合の一言を叫んだ。

 

 

響「よぉし、そうと決まれば張り切って異変解決するぞぉ!

えい、えい、オー!!」

 

 

古臭い掛け声とともに彼女は拳を天に掲げる。

こうして、もう一人の博麗の使命を背負った少女による異変解決が始まった。

 

 

永「貴女達!

一体今何時だと思ってるの!?

夜更かしも大概にして、早く寝なさい!」

 

輝・響「ご、ごめんなさいっ!」

 

 

・・・・異変解決は明日の朝になりそうだ。

 

 

to be continue...

 

 

 




今回の異変は響華ちゃんが解決に向かいます。
どうなるかは読んでのお楽しみ。
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