東方混迷郷   作:熊殺し

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さあ、始まるざますよ!


地霊殿111話

現在、お燐に連れられて地下施設へ向かっているリュウト達は、道のりの間で他愛ない話で暇を潰していた。

さとりの部屋からはかなり距離があり、どうしても暇だったのだ

 

 

リ「結局、妹の事は関係なかったんだな」

 

燐「こいし様は気まぐれで動いてるだけだからね、放っておいても勝手に帰ってくるのさ。

第三の目(サードアイ)を閉じたからって別にどうってこと無いしね、強いて言うなら自由奔放すぎるのが困りどころかなぁ」

 

 

コンビナートのキャットウォークのような道を歩きながらそんな話をしていると、最下層の出口から明るい日の光が漏れ出していた。

そして何より、地底に来た中で今が一番暑い。

放射線被曝の危険性が少なく咲夜に身体的影響は無いと思っていたが、これは熱中症の危険が出てきた。

リュウトは歩みを止め、咲夜に一旦引き返すように促した。

 

 

リ「君は戻った方がいい、あまりに暑いから体の水分が一気に吹き飛ぶぞ」

 

咲「ここまで来て私だけ引き返すなんて出来ません、最後までお供致します」

 

リ「しかしなぁ、タクラマカン砂漠なんて比じゃない暑さだぞ?

人間が生存できる環境じゃないんだ、俺はともかく君は此処に居るだけで体力が持っていかれる。

下手をすれば死に至るかもしれないぞ」

 

咲「リュウトさん、私を此処に連れてきたのは私を信頼しているからですよね?

なら私はどんな状況でも貴方と一緒に戦いますわ」

 

リ「・・・わかった、好きにしてくれ。

但し、無理だと感じたら絶対に早めに言ってくれ、手遅れになるかもしれないからな」

 

 

咲夜の意志に根負けし、結局二人で行くことになった。

そんな恋人同士の絆が垣間見えた会話の後にお燐が一言。

 

 

燐「安心しなよ!死体になったら責任持ってあたいが運ぶからさ!」

 

リ「ぶ、物騒な事言うんじゃない!」

 

 

唐突に恐ろしいことを口にし出したお燐を叱る。

さらっとこういう事を平気で言うところが妖怪らしいというかなんというか。

兎も角先に進んでみると、そこには頑強な鋼鉄の内壁で覆われたさらに下へと続く巨大な空洞があり、最下層には地球のマントルがむき出しとなっていて凄まじい熱気があふれ出していた。

 

 

リ「地霊殿の地下にこんな場所があったとは・・・」

 

咲「下にある真っ赤なのはマグマですかね?」

 

燐「そうだよ、あれが灼熱地獄の中心だね。

昔は悪い魂をあの中に突き落としてたみたいだよ?」

 

咲「魂は消えずに灼熱の火に焼かれて苦しむ・・・・恐ろしいですわね」

 

 

真っ赤に燃えるマグマを見下ろした咲夜は恐怖を感じた。

この空間をこんなにも明るく照らすほど赤い・・・そこで彼女はふと上を見上げた。

・・・太陽がある。

 

 

燐「あれが今のお空の現状だよ、まだ完全に太陽になりきってるわけじゃ無いみたいだけどこのままだと危ないみたい」

 

リ「いいや、今のままでも十分危ういぞ、既に核融合炉としての機能を完成させている。

あの状態になってからどれくらいだ?」

 

燐「一週間くらい前・・・だったかな」

 

リ「一週間もあの状態を維持しているのか?もう臨界状態を維持出来るほどのエネルギーがあるという事は・・・」

 

 

今、太陽の中核に居る空は核融合をし続け、常に臨界を保っている。

その生成されたエネルギーは太陽の形を維持するために使っているのだろうが、それ以上の逃げ場を無くしたエネルギーは卵を電子レンジで温めた時のように暴発して殻を破るだろう。

もしそうなれば、核爆発で周囲数十キロメートルを消失させてしまう可能性さえある。

 

 

リ「クソッ、なんとしても貯めたエネルギーを使い果たさせなければ危険だ・・・!」

 

咲「り、リュウトさん!?」

 

 

スペル:ライトニングスパーク(小)

 

 

リュウトはミニ太陽に向けて出力を抑えたレーザーを放つ。

通常の攻撃では太陽の外壁で消滅してしまうからだ。

かといって強すぎると逆に暴発を促すこととなりかねない。

 

 

燐「ちょっと!大丈夫なんだろうね!?」

 

リ「安心しろ、核融合を邪魔するだけだ」

 

 

彼の言う通り、太陽は一瞬怯み、弾けるように消えていった。

その際に飛び散った炎がそこら中に燃え移っていたが、元々燃えているようなものだから気にしない。

火の殻を破り、中から生まれたのは、白いマントを真っ黒な翼に羽織った鴉の少女だった。

 

 

リ「姿を現したな・・・八咫烏」

 

 

瞳にはハイライトが無く、胸に付けた目のようなブローチが赤黒く光っている。

空自体に生気は無いが、胸のブローチが彼女を操っているようだった。

彼女を操っている者の正体こそ、太陽の化身である八咫烏だ。

 

 

空「誰?私の邪魔をするのは」

 

 

その声は何処か冷たく、機械的な口調だった。

簡潔に言うと、心が無い。

 

 

リ「お前が八咫烏だな?どうやって空の体を奪った?」

 

空「図が高い、私は太陽神アマテラスの使徒だ。

気安く名を呼ぶな人げ・・・・お前、人間ではないな?」

 

リ「ご名答、俺は純粋な人間ではなく神と人間の混血だ、それを見破るとは流石は太陽神なだけはある。

 

空「私は神獣であって神ではない。

それすら見破れないとは、やはり所詮人間だな」

 

リ「・・・妙に癇に障る言い方だな」

 

 

彼は八咫烏の上からの口調に少々苛ついたが、そんなことを気にしていては話が進まない。

一旦我慢してリュウトは質問を再度聞いた。

 

 

リ「もう一度聞く、どうやって空の体を奪った?」

 

 

その問いに八咫烏は簡単に答えた。

 

 

空「これはあいつの体ではなく、私とあいつの体だ。

あいつは表で私は裏、そして今あいつは私の力が強くなって完全に精神を抑え込まれている。

遂に念願の地上侵略が出来るのだ・・・誰にも邪魔されてなるものか、太陽の偉大なる力で地上を再び紅蓮の炎で焼き尽くすのだ」

 

リ「随分と物騒な事を計画しているんだな」

 

空「分かったら邪魔しないでくれる?じゃないと・・・消すよ?」

 

 

その瞬間、一気に空間の熱気が上昇し、体感温度は優に50度を超えた。

咲夜はその時、急激な環境の変化で気を失ってしまった。

 

 

バタッ

 

 

リ「咲夜!!」

 

燐「ちょっと、お嬢さん!?

お空止めなよ!さとり様も怒るよ!?」

 

空「空の飼い主か、私は飼われた記憶は無い。

どうしようと知ったことか」

 

 

彼女にとっては関係のない赤の他人がどうなろうが知った事ではないだろう。

しかしこの行動はリュウトの堪忍袋の尾を切った。

 

 

リ「平和的解決を望まない、か・・・いいだろう。

お前がそれを望むなら俺もそうしてやる、咲夜の体調が悪化する前に蹴りをつけよう」

 

 

戦闘態勢に入った空と対峙するようにリュウトは剣を抜く。

地底の太陽と地上の光、両者の対決は今始まった。

 

 

to be continue...




リュウトの抜いた剣というのは忘れがちのグラディウスですね、パチュリーが改修したものを更に改修し、結局また柄だけになりました。
刀身はリュウトの霊力で形成されますが、初号のように太くなく、かなり細くなりました。
例えるならレイピアほどの細さに留めることでエネルギー消費を少なくしています。
戦闘ではこれを活躍させていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。

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