東方混迷郷   作:熊殺し

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地霊殿112話

魔「ここが地底の入り口かぁ・・・思ったより深いんだな」

 

 

霊夢と魔理沙の真下にあるのは巨大な穴。

リュウト達が入った地底世界への入り口である。

しかし悠長に話などしている暇はない。

 

 

霊「さっさと入るわよ、時間が無いんだから」

 

魔「はいはい、わかってるって。

零夜なら全然余裕だと思うんだけどなぁ」

 

 

ぶつくさ言いながらも霊夢に催促されて素直に従う魔理沙。

二人は重力に身を任せ、穴の中へと吸い込まれるように落ちていった。

 

 

_________________________________

 

 

その頃、最下層ではリュウトが空の怒涛の攻撃に押されかけていた。

 

 

リ「こいつ、エネルギーは底なしか!?」

 

空「どうやら機動力が自慢みたいだけど、此処じゃあそれも出来ないわね」

 

 

レーザーと弾幕を撃ちまくってリュウトを追う空。

その勢いは留まることを知らず、核融合で生まれる無限に近いパワーで圧倒していた。

しかし太陽の光ならリュウトだって吸収することが出来る、が、変身しているだけでエネルギーを消耗するのでキリが無い。

 

 

空「啖呵切っておいてこの様だなんて笑いものね、このまま火力で圧倒してあげるわ」

 

 

空の漆黒色の翅が炎を纏って無数にリュウトに襲い掛かる。

光剣でそれをはじき返し、此方も背部ウイングから光の矢じりを飛ばす。

この狭い空間の中で二人は見事なドッグファイトを繰り広げていた。

 

 

リ「もう少し広いところなら本気を出せるというのに・・・」

 

空「そういうのを負け惜しみっていうのよ、素直に負けを認めなさい」

 

リ「この程度で負けを認めては遊び相手に不足だろう?

もう少し遊んでやるから掛かってこい」

 

空「・・・減らず口も度を過ぎると命が危ういわよ?」

 

 

空は右腕に装備した核融合制御棒の排熱ハッチを開き、内部に重水素を充満させていく。

膨大な熱量によって蒸発した水蒸気と熱気が各部から噴き出し、同時に光が漏れ出した。

拡散レーザーの嵐がリュウトを襲った。

 

 

リ「そんな攻撃に!」

 

空「だったら避けてみな」

 

 

拡散のランダム攻撃だったとしてもリュウトの機動力で容易に回避できる。

しかし、威力が強すぎるレーザーは掠っただけでも十分致命傷になってしまう。

それに気づくのが遅れたリュウトは癖で最低限の回避しかしなかった為に、右へ反れたと同時に左腕が熱せられた。

 

 

リ「うあっ熱!!」

 

 

左腕に意識が集中してしまったリュウトに更に熱線が追い打ちをかける。

砲身から出るレーザーを軸に六本の回転するレーザーが地下施設の壁を容易く溶解させていった。

大きな爆発と蒸気が彼の周りに立ち込める中、レーザーの発射パターンが一気に変わる。

 

 

空「火炎弾、速射形態へ変更」

 

 

砲身が変形し、ハッチが閉じて前方向に六つの穴が開放されると、制御棒が回転して火炎弾が高速で数千発と発射される。

まさにとどめの一撃だ。

 

 

ブオオオオオオオオオオン!

 

 

無限に生み出されるエネルギーを潤沢に使用して敵を圧倒する空。

空から出る太陽の光の全てを吸収できるわけではないリュウトにとっては苦しい戦いだった。

戦闘機のバルカン砲並の速度で発射される弾丸をウイングで防御しつつ、光を補充していくものの、これでは身動きが出来ない。

 

 

リ「くそっ!防御が追いつかん!」

 

 

これではウイングが貫かれると考えたリュウトは急降下し、マグマすれすれを飛行して同時に魔法陣をばら撒く。

個々の陣からは弾幕が発射され、空の砲撃を妨害した。

弾は中々のスピードだが、撹乱の為のものなので威力は大したものではない。

攻撃が止んだすきにリュウトは燐の元へ行き、咲夜を連れて逃げるように促した。

 

 

リ「今のうちに咲夜を連れて脱出しろ!

俺が時間を稼ぐうちにな!」

 

 

彼は鬱陶しそうに弾幕を振り払う空に蹴りを入れてそのまま燐達の居る抜け道の向かい側にあった穴へ押し込む。

此処からは格闘戦となり、剣を両手持ちにして横振りするが、制御棒で防がれてしまった。

 

 

空「少し効いたよ、でも浅かったね」

 

リ「手加減してやったんだ、感謝しろよ?」

 

空「優しいのね、お礼に貴方が得意そうな格闘戦で相手してあげるわ」

 

 

制御棒で光剣を押し返し、距離を取った後、砲身の先端からエネルギーの刃が出現した。

棒自体の長さも相まってかなりの大剣へと変貌を遂げた。

 

 

空「これでどう?」

 

リ「大きさと威力だけが全てではないぞ?」

 

 

しかし、彼の言葉はそのひと振りで一瞬で消え去った。

力任せに横名振に振られた剣は気づいた頃には目の前まで迫っており、僅かにガードが遅れたリュウトは力を入れる前に吹き飛ばされた。

 

 

ガキィィィン!!

 

 

リ「うおっ!?」

 

 

勢いを殺せなかったリュウトはそのまま外壁へ激突し、土煙を上げる。

背中の痛みを気にしている暇もなく、顔を上げれば目の前には空の剣先があった。

 

 

空「油断しすぎよ、そんなので良く今まで生きてこられたものね。

これなら上の奴らも点で大したことなさそう、直ぐに地上支配出来そうね」

 

リ「チッ・・・」

 

 

向けられたら制御棒を片手で抑え込み、空の顔面を掴んだまま手のひらでエネルギーを爆発させる。

顔が炎に包まれた空はよろめき、尻もちをついた。

 

 

空「顔が・・熱い・・・」

 

リ「嘗めんなよ・・・何も知らないくせに」

 

空「やっとそれらしくなってきたじゃないか」

 

 

顔が燃えたまま空は制御棒で再びリュウトへ振リ掛かるが、彼も光剣で斬りかかりそのまま鍔競り合いとなる。

 

 

リ「パワーは互角、スピードは俺の方が上の筈なのに何故・・・何故こうも反応が遅いんだ」

 

 

リュウトは不思議な状態に陥っていた。

能力を行使した彼のスピードは通常よりも遥かに速くなる。

にも関わらず、何故空の攻撃に対応しきれないようになっていた。

その時、彼はあることに気が付いた。

 

 

リ「汗が・・・出ていない?」

 

空「あらあら、大変ねぇ」

 

 

長時間戦っているうちに地下空間の気温は急速に上がっていき、既に空間温度は120度を突破しようとしていた。

彼は知らぬうちに熱中症の症状が出ていたのだ。

 

 

リ「これ以上長引くと俺の体も危険だな。

思った以上に苦戦した結果がこれか・・・・」

 

空「早く決着着けないと危ないんじゃないの?」

 

リ「分かっているさ、だから・・・殺す気で掛かる」

 

 

リュウトは今まで溜めていた光を全て放出する勢いで能力を開放する。

体中が眩い光で覆われ、衝撃波が空間中に響き渡った。

輝く光の粒子が舞い散る中、彼は新たなる姿を手に入れた。

 

 

to be continue...

 


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