東方混迷郷   作:熊殺し

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紫さんヘルプミー!!!


地霊殿115話

紫{しょうがない、私の出番ね}

 

霊「え?」

 

 

聞こえてきたのは紫の声。

その瞬間、突如上空に巨大な異空間への門が開いた。

両端がリボンで結ばれており、中には無数の目玉が浮いている気持ちの悪い代物だったが、二人はそれに見覚えがあった。

 

 

魔「紫のスキマか!?あんなデカいのは初めて見たぜ・・・」

 

空「そ、そんな馬鹿な!?」

 

 

スキマは徐々に下へ降りていき、テラフレアを虚空の中に飲み込んでいく。

覆いかぶさったスキマが口を閉じ、まるで捕食し終わって満足したかのように消えると、そこには何も残されてはいなかった。

 

 

 

魔「おぉ!流石紫だぜ!」

 

紫{あなた達もまだまだね、今回は助けてあげたからあとは自分たちでどうにかしなさいな}

 

霊「・・・フン」

 

 

素直じゃない霊夢はさておき、ほぼ戦闘能力が無くなった空をどうするかはこの二人に委ねられた。

 

 

霊「アンタ、まだ戦うつもり?

言っとくけど、これ以上やるつもりだったら私達も手加減なしで徹底的にやるわよ?」

 

空「まさか・・・私がこんな屈辱を味わうことになるなんて・・・。いいわ、ここまで来たんだから・・・徹底的にやろうじゃないの・・・・」

 

 

ふらふらと飛びながら再び二人に制御棒を向け、核融合の力で最後の一発を撃とうとする。

能力は使えても体が持たない、制御棒も故障寸前の状態ではせいぜい一発撃つのが限界なのだ。

 

 

空「特大花火は消えたけど、この一発でケリをつけるわ」

 

 

半壊の制御棒を左手で抑え、照準を合わせる。収束していくエネルギーの圧で徐々に崩壊していくが、そんなことは構わない。

・・・・発射体制が整った。

 

 

空「食らえ核融合レーザー!」

 

霊「私の後ろに隠れなさい魔理沙!博麗二重結界ッ!」

 

 

放たれたレーザーは霊夢に襲い掛かり、結界の傘に直撃する。

傘に遮られたレーザーは拡散して地に降りかかるが、着実に結界を破壊しつつあった。

しかし、破壊される事は想定のうち。本命の一撃を撃ち込むために魔理沙が反撃の狼煙を上げようとしていた。

 

 

魔「霊夢、時間稼ぎは十分だぜ!

穿て!魔砲ファイナルスパーク!!」

 

 

八卦炉に溜まった魔力を全て開放し、究極の一撃を放つ。

結界は破られたが、魔法のレーザーは科学のレーザーを押し返していった。

 

 

空「そんな!これを押し返すなんて!」

 

魔「私のとっておきの大技なんだ、当たり前じゃねぇか!

んじゃあとは頼むぜ?霊夢!」

 

霊「任せなさい、きついの一発お見舞いするわよ!」

 

 

スペル:夢想天生

 

 

二つの砲が消滅し、強い光を放つ。

目くらましとなって空の視界を遮り、目を開けた時には既に霊夢が眼前に迫っていた。

白く輝くその身体はさながら神話に出てくるような存在に見えた。

 

 

霊「これはアンタが望んだことよ、後悔しない事ね」

 

空「私が・・・負ける?太陽神の使徒である私が・・・?」

 

霊「まずは一つ目!」

 

 

右ストレートで空の頬を殴ると、霊夢の周りを陰陽玉が回り出す。

 

 

霊「二つ、三つ、四つっ!」

 

 

最初は一つだけだった陰陽玉が、霊夢が左ストレート、右左回し蹴りと攻撃する度に一つずつ増えていく。

続けて腹に掌底、祓い棒で左回転横払い。

七連撃と同時に陰陽玉も七つとなった。

 

 

霊「これを撃たれるのはアンタが初めてだけど、死なない事を祈るわ」

 

 

玉の輝きが一層増し、一寸先も見れないほどの光と共に空は弾幕の大爆発に巻き込まれた。

その光は、今まで地底を照らしてきた何よりも明るく美しく輝いていた。

 

 

_____________________

 

 

リ「う・・・此処は、地底・・・・じゃないのか?」

 

 

目を覚ました時、彼はもう地底には居なかった。

気が付いたら布団を被って和室で寝ていたのだから。

しかし、知らない場所ではなかった。

 

 

リ「・・・神社か?」

 

 

そう、彼が居るのは博麗神社だ。

どうやら戦いは終わったようで、八咫烏の気配も感じない。

なら誰が此処へ運んできたのだろうか?咲夜だろうか?

 

 

リ「いや、咲夜じゃないな、おばあちゃんか?」

 

 

気分は良かったので布団から起き上がり、木洩れ日が透ける襖を開ける。

強い日差しに目が眩み、反射的に手で日指を作るが、その姿を間近で見ていた者が居た。

 

 

魔「お?リュウトもう大丈夫なのか?

お前、熱中症なんだからもう少し寝た方が良いんじゃないか?」

 

リ「魔理沙が何で此処に居るんだ?」

 

 

縁側で裸足を伸ばす魔理沙が振り向きながら心配そうに言ってきたので、神社に居る理由を何となく聞いてみる。

彼が倒れる寸前に幽かに見たのは曾祖母の霊夢だけだった筈。

 

 

魔「私も一緒に行ったんだよ、お前気が付いてなかったのかぁ?」

 

リ「俺が見たのはばあちゃんだけだ、その後は全く覚えていない」

 

魔「ちぇー!折角私の新技披露したってのによぉ!」

 

 

新技というワードが少し気になったが、今はそれどころではない。

 

 

リ「そうだ・・・咲夜はどうしたんだ?」

 

 

一緒に地底へ行った筈の咲夜はどうしたのか。

紅魔館へ戻ったのだろうか?だとすれば何故自分だけ此処に居るのだろうか?

 

 

魔「あぁ、あいつなら温泉に居るぜ」

 

リ「温泉?そんなもの幻想郷にあったか?」

 

魔「地底の異変があった時に間欠泉が噴き出してな?私らはそれを見て地底に向かったんだぜ」

 

 

まさか地上でそんな事が起こっていたとは知らなかったリュウトは、少しその温泉に興味が湧いた。

 

 

魔「行ってみるか?今なら私の箒でニケツしてやるぜ?」

 

リ「そうだな・・・丁度風呂に入りたい気分だし、頼んでもいいか?」

 

魔「よし来た!なら出発だ!」

 

 

縁側から降りて自前の箒に跨る魔理沙の後ろに彼も跨り、振り落とされないように肩にしっかりと掴まる。

それを確認した魔理沙は出発の合図と共に徐々に上昇し、間欠泉の或る山の麓へと急加速した。

 

 

リ「お、おい速すぎないか?そんなに急いで無いんだが」

 

魔「何言ってんだ!咲夜も居るんだぜ?温泉と言ったら覗きが醍醐味だろうが!

早くしねえと湯から上がっちまうぜ!もっと飛ばすからしっかり掴まってろよな!」

 

リ「まだ速くなるのか!?うぉあ!!」

 

 

突然スピードを上げられたせいで手を離しそうになってしまい、思わず魔理沙の胴体にしがみ付いてしまう。

別にそんな気はなかったのだが、急な事だったので不可抗力というやつだ。

そんな魔理沙の服からは女の子らしいいい香りがした。咲夜とはまた違った香りだ。

 

 

魔「うわっ!変なとこ触るなよ!くすぐったい!」

 

リ「そんなこと言うんだったら急にスピード上げるな!今の俺は力を使い切って碌に飛ぶことも出来ないんだぞ!?」

 

魔「お前いつもこれより速いスピードで飛んでるくせに何言ってるんだ!」

 

リ「それとこれとは別だぁー!」

 

 

車なら友達の運転は怖いとよく言うが、まさか箒でも同じとは思わなかったリュウトは、二度と魔理沙の箒に乗らないと心に誓った。

 

 

_____________________

 

 

リ「なぁ・・・本当に覗く気か?」

 

魔「お前此処で覗かなかったら男が廃るってもんだぞ?

ほら、あと少しだから頑張れって!」

 

 

温泉に着く手前の森に降りた二人は、木々の中をくぐって女湯に向かう最中だった。

何故か魔理沙が乗り気なのが意味不明だが、彼も外見は嫌がっていそうでも内心満更でもなかったりする。

まぁ不安要素だらけな事に変わりないのだが。

 

 

リ「因みに咲夜の他に誰が居るんだ?」

 

魔「霊夢と零夜だけだな、あとは知らねーや」

 

リ「・・・もし仮に見つかった場合はどうするんだ?」

 

魔「全力で逃げる!!!」

 

リ「・・・・・」

 

 

下手をすれば殺されるんじゃないかと最悪の事態を考えて恐怖がこみ上げてきたリュウトは、捕まった場合の弁明の言葉を今のうちに幾つか用意しておくことにした。

・・・問答無用で処刑されそうな気もするが。

暫く歩いていると、突如目の前に竹で出来た高い塀が立ちふさがってきた。恐らくこの壁の向こうが女湯なのだろう。

 

 

リ「結構高いな、どうする気だ?」

 

魔「そりゃあ、肩車に決まってるだろ」

 

リ「俺が下か?」

 

魔「当たり前だろ」

 

 

どうも納得がいかなかったが、渋々腰を下ろし、魔理沙を股から担いでやる。

思いの外体重の軽かったので、ヒョイと持ち上げてやると、彼女は塀の向こうの世界を小声で実況し始めた。

 

 

魔「う~ん、湯煙で視界が悪くて良く見えないぜ」

 

リ「何処まで見えてるんだ?」

 

魔「手前までしか見えないぜ、人影らしきものは見えるんだが・・・・」

 

 

なんてじれったい説明だ。彼は魔理沙の曖昧な返答に歯ぎしりする。

いざ目の前に女湯が来るとやはり非合法に覗くという背徳感に興奮してくるものだ。

ベッドの上で見る裸体とそれでは見たときの興奮度合いが違う・・・と何を言わせているのか。

しかし、健全な男である前に紳士でありたい。彼はいったん魔理沙を下ろして自分の行為に対してもう一度胸に問いかけた。

 

 

魔「どうしたんだ?まだ目当てのものは拝めてないぜ?」

 

リ「魔理沙、もうここらで止めにしておかないか?見れないならそれで構わないさ」

 

魔「おいおい、今更弱気になってどうすんだよ?もうすぐで桃源郷が見られるんだぜ?」

 

リ「しかし・・・無断で裸を見られる相手側の身にもなってみろ、いい気分ではないだろう?」

 

魔「いいか、世の中には{バレなきゃ犯罪じゃあない}って言葉があるんだぜ。

私達が見ていることを悟られなきゃ誰も傷付かないだろ?そういう事だ」

 

?「へぇ、じゃあバレたときのリスクだって当然考えてるわけだ」

 

魔「バレたときは全力で逃げまくるに決まってんだろ?って、は?」

 

 

背後から何者かに肩をがっしり掴まれる。

しかし、魔理沙には背後で自分の肩を掴んで鬼の形相でこちらを睨みつけているであろう正体は解っていた。

 

 

霊「じゃあ、逃げられなかった時はどうするつもり?」

 

魔「こ・・・これはこれは霊夢さん。私は知ってるんだぜ、霊夢は慈悲深き心の持ち主だから、覗きだったとしてもどうにか許してくれるって・・・」

 

霊「そうね、私は優しいから」

 

 

彼女の登場に一気に肝を冷やした魔理沙だったが、その言葉に安堵の息を漏らす

が、世の中はそんなに甘くは無い。

 

 

霊「甚振りはしないわ・・・でもお仕置きは必要だと思うの」

 

魔「・・・へ?」

 

霊「スゥー・・・・封印っ!!!」

 

 

油断していた魔理沙はそのまま封印陣の中へ入れられてしまい、身動きが取れなくなってしまう。

霊夢がパンと手を合わせると、陣に閉じ込められた彼女はまるで上から巨大掃除機で吸われるかのように身体が上に引っ張られ、光の彼方へと消えていく。

封印陣が消えると、空から栓の付いた小さな御猪口が落ちてきた。

 

 

霊「ふぅ、アンタはこの中でしっかり反省しなさい」

 

 

間近でその光景を見ていたリュウトの顔は青ざめ、ガタガタと体が震えていた。

あの魔理沙をいとも簡単に封印してしまった。呆気なく。

 

 

霊「さぁて、アンタはどんなお仕置きが良いかしら?」

 

リ「は・・・はは・・」

 

 

この後、リュウトは今世紀最大の土下座と謝罪でどうにか許してもらえたのだが、封印された魔理沙はその後アリスに譲渡され、三日ほどして漸く出してもらえたらしい。

出た直後、魔理沙は語った。巫女を怒らせてはならないと。

 

 

to be continue...




どの辺で区切ろうか迷ってたら少し長くなってしまいました。
次回で地霊殿編は終了です。感想、評価待ってます!!
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