瞬間、霊夢は両断される・・・事はなく、代わりにいつの間にか階段の前から少し離れた所に移動していた。
咲「ふぅ、間一髪ってとこかしら?」
どうやら斬られそうになった瞬間、咲夜が時間を止めて助けてくれたようだ。
霊夢を襲ったのは弾幕とは違い、石階段がぱっくりと真っ二つに割れていた。
かまいたちにでも斬られたかのように。
魔「・・・随分手荒な歓迎だな」
魔理沙が石階段の上に向かって喋りかける、すると緑色の上着とスカートを履いた、刀を二本携えた少女が階段を歩きながら下りてきた。
?「何物だ?結界を破壊して冥界に入ってくるとは・・・余程命が要らないらしいな」
魔「お前こそ一体何物なんだ?異変解決の邪魔しやがって」
妖「私の名前は魂魄妖夢、この冥界にある白玉楼の主、西行寺幽々子様に仕える者だ」
このサムライのような少女、魂魄妖夢は階段を登った先に建っている白玉楼という屋敷に仕える門番兼庭師だ。
話を聞く限り犯人は西行寺幽々子という女性らしいが、それについて追及する前に霊夢が睨みつけながらきつい声で当たった。
霊「アンタね?私をいきなり襲ったのは、弾幕じゃなかったみたいだけどその刀が関係あるのかしら?」
妖「あれは斬撃を飛ばしたもの、俗にいうカマイタチだ。
当たれば貴様らなんて一発であの世行きだ」
初対面でいきなり嘗めた口を利かれ、ピクリと額がうずく。
博麗の巫女は幻想郷最強の証、それを解らない輩は多くいるが、妖夢もその一人だったらしい。
霊「剣術使いって訳ね、アンタも私たちの敵なんでしょ?
だったらここで倒してやるわ!」
ビュビュン!
妖「!?」
霊夢がお祓い棒を構え戦闘体勢に入り、それを目視した妖夢も居合の構えをとる。
しかし一歩ふみだそうとした瞬間、妖夢眼前を黄色い弾幕が通過していった。
撃ったのは魔理沙だった。
魔「おいおい霊夢、こいつは元凶じゃないんだぜ?
だったらこんなとこで道草食わずにさっさと先に進めよ」
妖「そこの金髪・・・お前が私を止めると言うのか?」
妖夢が魔理沙を睨み付ける。
だが、八卦炉を妖夢に向ける魔理沙の隣にもう一人現れた。
「あら?魔理沙だけじゃなくてよ?」
咲夜も話に割り込み、ナイフを逆手持ちして臨戦態勢に入った。
咲「ここに来るまで何もしていないんですし、ここいらで何か役に立たないとお嬢様に叱られてしまいますわ」
妖「・・・ふん、人間風情が良くほざく・・・」
魔「余裕こいてるのも今のうちだぜ、只でさえ二対一で部が悪いのに相手が私たちなんだからな」
咲「そういうことです。
さぁ霊夢、貴女は先に進みなさいな。
ここは(私たち)でどうにかするから」
霊夢はその言葉に後押しされて先に行く決意を決めた。
霊「アンタたち後で助けてなんて言っても知らないわよ?」
妖「そうはさせるか!」
霊夢が先に行くのを妖夢が阻止しようと斬撃を放とうとするが、またもや魔理沙が弾幕で邪魔をしてきた。
魔「おっとそうはさせないぜ、お前の相手はここにいるからな!」
咲「刃物を使う者同士、仲良くしましょう?」
妖夢が二人を警戒しているうちに霊夢は階段に沿って上昇する。
気が付いた頃には既に霊夢の姿は見えず、完全に妖夢は足止めされてしまった。
妖夢はこの怒りの矛先を二人へ向けた。
妖「小賢しい・・・いいだろう。
二人まとめて蹴散らしてやる!」
妖夢は刀を抜き思いきり踏み込む、そしてトップスピードで二人同時に斬り込みにかかる。
咲夜と魔理沙は左右に別れて後ろへ引くと同時にビームとナイフで挟み撃ち攻撃をする。
しかし妖夢は飛行してそれを避け、妖夢の
真下で爆発が起きる、戦いは空中戦になり咲夜が逆手持ちしたナイフで妖夢を引き裂こうとするが。
咲「はぁぁぁぁぁ!!!」
妖「甘い!」
ガキィン!
一瞬鍔迫り合いが起こるが妖夢は剣術のスペシャリスト、当然ナイフの咲夜が勝てるわけがなく
ガチガチガチガチ・・・
妖「ッフン!」
ガギャアン!
咲夜は容易く押し飛ばされてしまった。
咲「クッ!」
魔「一人忘れてるんだぜ!」
しかし息ピッタリのコンビネーションで咲夜は素早くその場から退き、魔理沙がレーザーを妖夢に向けて3発放った。
デューンデューンデューン!
妖「そんなものでっ!」
妖夢も素早く後ろへ下がりレーザーを回避するが、追撃は終わらない
咲「只のメイドではなくてよ!」
シャシャシャシャッ!
咲夜は能力を使い、投げたナイフの速さを4倍にした。
妖夢にナイフが襲いかかり、すかさず刀で打ち払おうとするが、かなりの速度を持っていたナイフに反応が追い付かず1本が妖夢の腕をかすった。
キィン!スパン
妖「くっ」
カッターシャツが裂け、二の腕から血が出血して怯んだ隙をついて魔理沙が追い討ちをかける。
ビュビュビュビュビュビュビュン
魔「追い込まれてるぜ?」
妖「どうかな?はぁ!」
魔理沙の挑発に乗らず妖夢は刀を素早く回転させ盾代わりにし、弾幕を全て防ぐ。
そしてもう1本の刀を抜刀して鎌鼬を後ろへ向けて放つ。
妖夢の後ろにはナイフを突き刺そうと接近してきた咲夜がおり、胴体を真っ二つにしようと容赦なく襲いかかったところを逆に真っ二つにされそうになるが。
咲「フフッ」
カチッビシュン
妖「何!?」
当たると思われた鎌鼬は標的に当たらず段々消滅していった。
どんな能力かは解らなかったが瞬間移動のような事が出来る咲夜は厄介なので先に仕留めることにする。
妖「よし、メイド。
まず貴様から切り捨ててやる!」
妖夢は咲夜に向かって突進していく、二本の刀を交差させ空間を斬るように振る、するとクロス状の鎌鼬が形成されそのまま真っ直ぐ飛んでいく。
咲「また鎌鼬?芸がないですわね」
咲夜は空中で体を捻りながらジャンプするように鎌鼬を避ける、しかしある事に気付く。
咲「!?何処へ消えたの!?」
さっきまで目の前にいた妖夢がいつの間にか居なくなっていた。
そして魔理沙の声が聞こえる。
魔「咲夜!上だ!」
咲「!?」
上を見ると妖夢が兜割りの体勢で自分の体を一刀両断する直前だった。
魔理沙も急いでマジックミサイルで援護しようとするがもう間に合わない、しかし咲夜は冷静に時を止めて回避した。
カチッッ、ビュン
スカッ
妖「ちぃっ!あと少しの所で!」
間一髪避ける事に成功した咲夜は魔理沙の隣に移動していた。
いきなり現れたことに少しビックリした魔理沙だったが咲夜が無事だった事にほっと一息つく。
魔「咲夜!良かったぜ!もうダメかと思ったからな!」
咲「そんなわけ無いでしょ?それより・・・なかなか彼女強いわよ?
どうする?」
魔「スペカで一気に蹴りをつける!
っつってもどうせ避けられるだろうな・・・、」
そんなことを話していると妖夢がこちらにゆっくり浮遊しながらやって来る。
二人は警戒体勢をとるが、何もしてこない。
そんな状況に困惑していると妖夢が口を開いて自分の種族について説明しだした。
妖「正直貴女達の事を嘗めていました。
まさかこんなに強い人間が居るなんて・・・。
一つ私の生まれについて説明させてくれますか?」
魔「あ、あぁ、構わないが・・・?」
咲「その前に質問いいかしら?貴女さっきから人間と言っているけど貴女も人間でしょ?力も霊力しか感じないし」
その質問に先程の態度とは裏腹に妖夢は答えてくれた。
妖「そこのメイドさん、名前は?」
咲「申し遅れました、紅魔館でメイド長をしております、十六夜咲夜と申します」
魔「私は霧雨魔理沙!魔法使いだ!」
妖「お二人とも私が人間だと思われているようですね。
しかし私は人間ではありません、正確には(半分だけ人間)ですが・・・。
半霊、おいで」
妖夢が何かを呼ぶ、すると何処からか白玉のようなものが飛んできて妖夢の手元に留まった。
妖「私の種族は(半分人間と半分幽霊の半人半霊)
、つまりコレは私の幽霊としての部分なのです」
魔「お前幽霊だったのか!?全然解らなかったぜ・・・」
咲「それで?これを説明したのには意味があるんでしょ?」
妖「ええ、忠告しようと思って」
咲「忠告?」
咲夜は意味がわからなかった。
何か策があるのだろうが二対一に変わりはなく依然戦力差は埋まっていない。
パワーアップでもするのだろうか?そう考えていると妖夢は一枚のスペルカードを取り出した。
妖「もうさっきまでのようにはいかないぞ・・・」
スペル:幽明求聞持聡明の法
妖夢はスペルを唱えると半霊を離す。
すると半霊が膨らみだし、段々人の形になっていった。
なんと半霊がもう一人の妖夢となったのだ。
魔理沙と咲夜はその光景に呆気をとられていた。
魔「分身・・・?フランのフォーオブアカインドとは違うのか?」
咲「みた感じどっちも本物ね・・・」
驚きで停止してしまっている二人はアレが分身だと思っているらしい。
妖夢は説明に入る。
妖「これは分身ではありません、どちらも本物なので(分裂)と言った方が正しいです」
妖夢はもう一人の自分に刀を鞘ごと1本投げる。
そして二人で抜刀し同時に構えた。
妖「「さぁ!これで二対二!お前たちに勝ち目など無い!」」
妖夢は二人に襲いかかった。
~???~
霊夢は大きな桜の木の見える所に向かっていた、あそこから異様な気を感じるのだ。
そして桜の木の下に女性が一人・・・。
?「あぁ、楽しみねぇ…早く咲かないかしら?」
To be continue
幽々子のキャラ立ちがイマイチわからないのでなんだか微妙な句切りになっちゃいましたね。
妖夢のしゃべり方は大物感を出すために男まさりな口調にしてあります。
妖夢が使ったスペルは緋想天に出てくる半霊がトランスフォーマーするやつです、何て読むかはわかりません!調べてください。
次回は妖夢と幽々子の二人同時進行でいきたいと思います!