幻想郷には、冥界があるように、あの世というものも存在する。
俗に言う天国と地獄というやつだ。
となると勿論死者を裁く閻魔様も存在する。
~無縁塚、裁判所~
幻想郷の外れにある、外界の忘れ去られたものが行き着く無縁塚。
ここには三途の川への入り口があり、死して魂のみになった者達が集まる危険区域だ。
そのさらに奥へと進むと一つの大きな裁判所があるのだが、そこでは罪人を裁くのではなく、魂を裁いている。
その責務を果たしているのが閻魔の玉座に座る女性、四季映姫・ヤマザナドゥだ。
映姫「、、、今日は仕事が少ないですね」
秘書「そうですね、今日来た魂の数はおとといのおよそ半分以下です」
だが今日は三途の川を渡ってくる魂が少ないらしく、珍しく暇を持て余していた。
いつもはこんなこと滅多に無い為どうすればいいかわからない。
そこで秘書の女性がある提案を出した。
秘書「四季様、お暇ならば今日は休暇をとって、例の彼に会ってみてはどうでしょう?」
映姫「彼、、、、ですかぁ、、、確かに会う機会がなかったのでいいかも知れませんね。
では仕事の方を頼めますか?」
秘書「はい、映姫様」
映姫「、、、ついでにあの方にも会いに行きましょうかね」
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~紅魔館大図書館~
リ「アリス、星占いをするのはいいのだが、何故俺が対象なんだ?」
ア「誰かを占うのが楽しいんじゃない、リュウトってそういうの信じなさそうだし」
リ「否定はしない、未来はつかみ取るものだ」
パ「良い事いうじゃない?見直したわよ」
リ「、、、何だか言って後悔した」
今日は珍しい面子で何故か星占いをしている。
何故このようなことになっているのかというと、アリスが偶然図書館の中で見つけた星座占いの本に興味を持ち、その場にいた全員を巻き添えにして占っているのだ。
魔「アリス~、言われた通り呼んできたぞ~」
フ「なーに?いきなり呼び出したりして」
魔理沙が地下からフランを呼んできてさらに人数が増える。
お姉ちゃんも呼ばないと怒るんじゃないの?とフランが言うが、レミリアの場合は能力がそういったものを全否定してしまうのではないか?
ア「見てなさい!今からリュウトを星占いで占ってあげるわ!」
リ「あまり気乗りしないなぁ、、、」
魔「諦めな、こうなったアリスは中々めんどくさいんだ」
魔理沙の言葉なんて右から左へ聞き流し、アリスは本を見ながらリュウトの運勢を占う。
真剣な顔つきで占う彼女のその行為自体は魔女のイメージにとても合っているのだが、いかんせん見た目が可愛らしすぎる。
魔女は金髪でヘアバンドをつけているのだ等と世間一般の人々に言えば忽ち笑われてしまうだろう。
魔女はそんな姿をしていない、と。
だが現実、そんな普通一般の恰好をしている魔女の方がいない、魔法使いなら一名ここにいるが。
ア「、、、なるほど、新しい出会い、、、かぁ」
リ「新しい出会い?」
魔「何とも胡散臭い占いだな」
占いの結果が出たはいいが、正直なところどうも当たる気がしない。
幻想郷に来てからリュウトにはいろいろな知人が出来たのに、今更出会いなんてあるのだろうか?
リ「ま、所詮占いさ、そうそう当たるものでもないだろう」
ア「そうかしら?」
コンッコンッコンッ
咲「失礼します。
リュウトさんにお客様です」
リ「俺に?」
会話の途中、扉がノックされる音が聞こえると同時に咲夜が姿を現し、リュウトに客を連れてきた。
爽やかな若草色の髪の色をした中肉中背の中々美人の女性だ。
ということは、、、?
魔「おー、アリスの占いが当たったぞ」
パ「あれって当たるのね」
フ「アリス凄い!本物の魔女みたい!」
ア「あら、当てちゃった」
まさか本当に当たるとは思っていなかったアリスは本を眺めてきょとんとしている。
すると、早く仕事に戻りたいとしびれを切らした咲夜が話に横入りし、客人の紹介を始めようとした。
咲「お楽しみなのはよろしいですが、お客様の事をお忘れになっていませんか?」
一同は口をそろえて、あっ、と呟き、それは紛れもなく忘れていたという証拠だった。
どうやら占いに目が行き過ぎて来客が来ていることを全員忘れていたようだ。
?「全く、此処の住人は皆こうなのですか?」
咲「も、申し訳ございません、、、」
?「あなたが謝る事ではないです。
仕事の最中に案内ありがとうございました、もう結構ですので通常の業務に」
咲「畏まりました、私はこれで失礼いたします」
案内を終えた咲夜は時間を止め、物音一つ立てず姿を消す。
が、やって来た来客とやらは此処にいる全員面識が無い人物で、勿論リュウトも面識が無く、全くの初対面だ。
全員が警戒態勢をとる。
?「まぁ警戒するのは致し方ありません。
私はあなた方と一切の面識がないですから、私が一方的に知っているだけです」
一方的に知っているという言葉が引っかかるが、女性の正体はそれをも納得させられるようなリ人物だった。
四季「自己紹介をしておきましょう、私は四季映姫・ヤマザナドゥ。
死んだ魂を裁くものです」
リ「四季映姫・ヤマザナドゥだと!?」
名前を聞いた途端、リュウトが驚きの声をあげる。
この女性を知っているのだろうか?だが、リュウトの声色を聞く限り良い人物ではないようだ。
パ「リュウト、しっているの?」
パチュリーの問にリュウトは答えた。
リ「あぁ、、、、四季映姫・ヤマザナドゥ、幻想郷の閻魔大王だ」
その事実に一同は驚愕した、あの閻魔大王が自分たちの目の前に現れたのだ。
だがその閻魔大王がリュウトに何の用で会いに来たのだろうか?
映姫「実は前々からあなたの事が気になっていたんですよ、リュウトさん。
なので今日はお話しに来たんです」
リ「仕事をほったらかしてか?」
今日は暇だったので、と映姫は頷いた。
意外に厳格な人物のようで、実はそうでもないのかもしれない。
リ「、、、場所を移そう、二人きりの方が都合がいい」
映姫「どうぞお好きなように」
二人は図書館から出ようと扉へ足を向ける。
が、魔理沙はこれに待ったをかけ、リュウトの前までズカズカと歩いていき、何故隠すと抗議した。
魔「何で私達は話に加われないんだよ!ここにいる全員にその権利があるだろ!?」
リ「聞く覚悟があるのか?」
魔「何?」
今までリュウトは自身の素性を一切公表しなかった、それにはしっかりとした理由があり、魔理沙もその事は霊夢から聞いていた。
幻想卿や自分達にも危険が及ぶかもしれない、と。
魔「だ、だけどよぉ、、、」
何も言い返せない。
見かねたアリスがもう良いと止めに入ってきた。
ア「もう良いわよ魔理沙、リュウトだって秘密はそのうち教える事になると言ってるんだから、その時を待ちましょう。
これ以上迷惑をかけてはいけないわ」
その言葉に魔理沙は黙りこむ。
勿論納得のいく理由ではないが、アリスの言う通り、リュウトを困らせてはいけない。
魔「、、、わかった。
でもあんまり一人で抱え込むなよ、言いたいときに言ってくれ、友達なんだからさ」
リ「そうだな、約束しよう」
魔理沙の言葉に少し微笑んでしまう。
友達、、、か。
二人は空き部屋へと足を運ぶべく、図書館を後にした。
カツッ、、、カツッ、、、カツッ、、、
リ「ここなら空いている、入ってくれ」
映姫「では、失礼します」
空き部屋に入ると、中心に向き合うように置かれた椅子と、それに挟まれるようにテーブルが置かれており、映姫は部屋に入ると片方の椅子に腰かけた。
リュウトはティーポットに紅茶を淹れてから部屋に入り、カップに二人分の紅茶を注いで一つを映姫の前に置く。
映姫は角砂糖を二個ほど投入してから紅茶に口をつけた。
映姫「良い紅茶ですね、どこの銘柄ですか?」
リ「アッサムのはずだ。
詳しい事は咲夜に聞かんと解らん」
そうですか、と言いながら二度目の紅茶を楽しむ映姫を見て、リュウトも一息ついて紅茶を口に運んだ。
では、そろそろ本題に入ろうか?リュウトは単刀直入に映姫に切り出した。
リ「、、、さて、そろそろ本題に入ろうか、一体俺に何の用だ?用が無ければアンタみたいなのがここに来ることなんて滅多に無いだろうに」
映姫「ではその滅多な機会が来たという事でしょう、私は純粋にあなたと話がしたかったのです。
過去が見えない異端者な貴方に、、、ね」
そういうと映姫は懐のポケットから手鏡のようなものを取り出してみせた。
映姫「これは浄瑠璃の鏡と言って過去が見える鏡です。
私はこれで死者の生前に犯してきた罪や善行などを見て裁判を行っています」
浄瑠璃の鏡とは、閻魔大王が持つとされる真実を映す鏡だ。
普段は絶対に見ることが出来ない大変貴重なものだが、何故今それを取り出したのか?
映姫「貴方の過去が見えないんです、どうしても」
リ「、、、」
映姫「何か心当たりがあるみたいですね」
リ「、、、」
映姫「、、、だんまりですか」
目を閉じたまま微動だにしないリュウトに映姫はこれ以上詮索しないことにする。
これ以上聞いても無駄だと考えたのだろう。
リュウトは秘密にしていることが多く、自身の素性が解るようなことはたとえ聞かれても答えない。
映姫もそのことは既に知っており、知っているからこそそれが気になって仕方がなかった。
堅苦しい空気のまま小一時間ほど二人で話し、そろそろ帰るという映姫をリュウトは玄関まで送った。
映姫「送っていただいてありがとうございます。
複雑な構造で迷いそうだったので助かりました」
リ「最後くらいは気の利いた事をしなければな、俺の顔が立たんだろう」
映姫「そこまで気にしなくてもいいですよ、あぁ、一つ言い残していたことがありました」
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リ「、、、何だと、、?」
映姫「一応教えておこうかと思っていたのですがすっかり忘れていましたよ。
まさかそんなに驚くとは思っていませんでしたが、今は所在が分からないので会いに行くことは出来ませんよ」
では、映姫はそう言い残してその場を去っていった。
リュウトの頭の中には、映姫の最後に話した内容だけが残っていた。
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~紅魔館個室ベランダ~
その日の夜、リュウトは自身の部屋のベランダで星を眺めながら考え事をしていた。
まだ寝るには早い時間帯、たまたま廊下を通りかかったレミリアは、何故か半開きになっていたリュウトの部屋の扉の中から聞こえてくる独り言が耳に入ってきた。
リ「、、、響華、、、何処に居るんだ、、、」
レミ「響華?、、、一体誰の事?」
少々気にはなったが、あまり気にせずレミリアはその場を立ち去った。
この女性が、リュウトの過去を紐解く鍵だとも知らずに、、、、
小町はどこいった?って思った人もいるでしょう。
安心してください、出てきてませんよ!
そりゃ仕事あるしサボってるし出掛ける訳にはいきませんよ。
てか最後に新キャラフラグ立ててるし。
久しぶりにお気に入り件数を確認してみたら、46人に増えていました!たくさんの方に読んでいただいてとても嬉しいです!本当にありがとうございます!
小説内で何処か可笑しな点を見つけたり、話の感想等を書いてもらえると自分としては助かるので、そちらの方も余裕があればお願いします。