今回はちょっといい感じの雰囲気が出てる回です。
ではどうぞ。
夜、海で遊び疲れた一行に癒しを与えてくれたのは、ホテルで出された豪華な食事の数々だった。
10階層まである高層ホテルで、レストランはその5階層に入っている。
現地でもかなり豪華なホテルだ。
南国の島なだけあって海鮮料理が多く、見たことも無い魚を焼いた、日本で言う所の塩焼きに近いものや、顔よりも大きいエビを丸ごと蒸したボイル。
さらにデザートには南国原産のカットフルーツも出され、まさに南の島にの料理大集合といった状態だった。
初めて目にする料理の数々に魔理沙は興味津々にそれを見つめていた。
魔「でっかいエビだなぁ・・・まるで化け物みたいだぜ」
ア「何言ってんのよ、幻想郷に居る妖怪の方がよっぽど化け物みたいなのがいるじゃないの」
魔「それもそうだぜ」
ふと、魔理沙が窓から外を見ると、激しい雨が絶え間なく降り注いでいた。
この季節のグアムはスコールが多く、さっきまで晴れていたのにいきなり雨が降り出すなんてことが結構あるのだ。
昼間は快晴だったというのに、夕方になると途端に雨雲が空を覆い、それからずっと雨が降っている。
魔「海にいる間に降らなくてよかったな、私達は運が良いぜ」
重ねておかれたプレートを手に取り、気に入った料理を盛り付けていく。
隣で同じようにトングでパスタをとっていたアリスは、魔理沙の盛り合わせた皿を見て呆れた顔をして注意した。
ア「アンタ野菜が全然入ってないじゃない。
栄養が偏りすぎよ、もっとサラダを取りなさい」
魔「えぇ~?
別に今日ぐらいいいじゃんかよ?」
ア「ダメ!少しはフランを見習いなさい」
アリスの視線の先のフランは、サラダコーナーで栄養を考えながらバランスよく料理を選んでいた。
日頃から咲夜の料理を食べているからだろう。
魔「私は妹よりも姉の方を見習うぜ」
ア「姉?レミリアだってフランと同じように・・・、。
あっちゃあ・・・」
アリスは見てしまった。
ワインを取ろうとしたレミリアが女性のウエイトレスに、これはジュースではないよ?と注意されている所を。
何やら文句を言っているようだが、見た目がまだ幼いせいで何を言っても聞いてくれていない。
挙句の果てには代わりにジュースを渡されている。
吸血鬼の威厳などあったものではない。
妹の方がよほどしっかりしているのではないだろうか?
ア「あれは咲夜に任せておきましょう、私達は何も見てないわ」
魔「うん・・・何か私も悲しくなってきたぜ・・・」
魔理沙は黙ってトングを手に取り、サラダを皿に盛りつける。
アリスもその場から早々に立ち去り、食事を済ませてしまう事にした。
そして、食事が済んでから各自、割り振られた部屋へ向かった。
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~宿泊部屋~
カチャ。
咲「はあ・・・気持ちのいいお風呂でしたわ」
濡れた髪をタオルで拭きながら部屋のバスルームから出てくる。
バスタオルを体に巻いてスリッパを履いているだけの姿だ。
湯船から出てまだ時間が経っていない為か、体からは湯気が絶え間なく出され、火照った咲夜の体をゆっくりと冷ましていった。
二人一部屋で割り振られた個室だが、今は部屋に一人だけ、バスタオル一枚でも何の問題もない。
なかなか広い部屋で、ベッドが二つと冷蔵庫、そして木製の椅子が三つ置いてある。
誰も居ないのを良いことに、椅子に腰かけながらゆっくり髪を乾かそうと考えていた時だった。
リ「よう、風呂はもう出たのか・・・っておいおい。
せめて寝間着を着てから出て来いよ・・・」
咲「え?・・・え!?
リュウトさんいつの間に・・・」
座ろうとしていた椅子には既にリュウトが座っており、それに気づかなかった咲夜は驚き、急いで体をタオルで隠す。
しかし、実際リュウトは椅子の座って後ろを向いているので全く見られていない。
不意に振り向いたら咲夜がとんでもない姿だったというだけだ。
簡単に説明すると、咲夜が悪い。
リ「さっき帰って来たばかりだよ・・・。
それより早く服を着てくれ・・・」
咲「あ・・・すみません・・・///」
顔を真っ赤にしながら旅行鞄からパジャマを取り出す。
自分の真後ろで女の子が着替えているのを想像すると少し興奮してしまうが、自制心を保つためにそとの空気を吸うためにベランダに出た。
ガラス張りのスライドドアを開けると、スコールが止んでいて、町の明かりが陸を輝かしていた。
リ「綺麗なもんだな、人工の光だというのにここまで心を落ち着かせてくれるとは。
いや、人が作り出したからこその温かみなのか」
柵にもたれながら街と月光とのコントラストを堪能していると、後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた。
咲「リュウトさん、コーヒーいかがですか?」
スコールが止んだばかりでジメジメとして暑いと感じていたところに、丁度咲夜がアイスコーヒーを持ってきてくれた。
リ「あぁ、もらうよ。
すまないな気を使わせて」
咲「い、いえ、私こそ先程は・・・」
先程の事を思い出して二人とも黙り込んでしまう。
気まずい空気はしばらく続き、コーヒーを飲んでも脈拍は落ち着かない。
咲夜は目を逸らしてくる。
何か話題が必要だ。
リ「き・・・今日は星が綺麗だな!」
咲「え?あ、あぁ、そうですね!」
気まずい空気を脱しようと話しかけたリュウトの思惑を察した咲夜も上手い具合に乗っかってきてくれる。
とても有難い事なのだが、それなら話をつなげるようにしてほしい。
それから黙り込まれるとさらに気まずくなってしまう。
直ぐ隣に居るのにも関わらず、既に二人の間には1キロ位距離があるのではないかと錯覚してしまうほどだった。
リ「さ・・・咲夜!」
咲「は!はい!?」
突然名前を呼ばれて直立しながら声が裏返ってしまい、赤面しながらパジャマの裾をもじもじと弄る。
緊張のあまり声も出ない。
リュウトはそれを察して優しく話しかけた。
リ「少し空の散歩に行かないか?」
咲「え・・・?きゃあ!?」
動揺する咲夜を抱き上げて空へ飛翔する。
その唐突な行動に驚いて顔が熱くなり、声を上げてしまう。
だがそんなことはお構いなしにリュウトはベランダから飛び立った。
もう既に地上は遥か下だ。
咲「あ・・・あああああのぉ!?」
リ「・・・」
外の世界でこのようなことをすれば、誰かに見られた時に面倒な事になるが、今のリュウトはそんな事全く考えていない。
いや、そんな事はどうでもいいと考えていた。
咲夜はいきなり抱き上げられて頭の中が真っ白になり、何かを考えていられる状況ではなかった。
それなのに、リュウトの温かさは肌でしっかりと感じ取っていた。
リ「飛ばすぞ、掴まってろよ」
咲「キャっ!」
いわゆるお姫様抱っこという姿勢の状態のまま、リュウトは星の海の中を泳ぐように飛び、一気に加速して上空へと昇っていく。
雲を突き抜け、空に星空以外何も映らない高さまで飛ぶと、リュウトはその場に留まり話をしだした。
リ「咲夜、俺達が初めて出会った時を覚えてるか?」
咲「え?はい、覚えてますけど・・・?」
何やら真剣な表情をするリュウトを見て、話に耳を傾けた。
リ「俺がこの時代に飛ばされてから初めて逢った人間は咲夜、君だったな。
あの時は心の底から安心させられたよ、地獄から手を差し伸べられたようだった。
あの時の俺には、君が天使に見えたんだ」
咲「そ、そんな大袈裟な・・・」
リ「大袈裟ではないさ。
実際、俺はこの時代で咲夜達と過ごして本当に救われたのだから・・・」
咲「・・・、」
物思いにふけるリュウトの顔には何処か悲しい雰囲気も醸し出されていた。
同じ幻想郷、仲の良かった者達と再会出来てもあちら側は自分の存在を知らない。
妖怪は何年経っても姿が変わらない種が多く、150年程度では姿は変わらない。
まさに自分という存在だけが世界から除外されたような気分だったのだろう。
もし、自分が同じような境遇に遭ったら?
咲夜は考えただけでも恐ろしくなった。
知り合いに会ったとしても、その知り合いは自分の知る者ではないのだから。
咲「あ・・・あの!私はリュウトさんの事絶対に見捨てませんから!」
リ「えっ?」
咲「リュウトさんは私の事をいつも助けてくれました!
異変の時だって、私、あの時本当に命を落とすところだったんです!
あの時は・・・」
春雪異変の時、咲夜が幽々子に殺されそうになった時に真っ先に助けに来てくれたのは他でもないリュウトだった。
諸事情で正体は隠していたが、声と雰囲気でなんとなく誰か解っていたのだ。
でも、確信が無かったから言えなかった。
だから今、伝えよう。
咲「ありがとう・・・」
リ「!咲夜・・・」
咲夜の目頭は涙で溢れる。
しかしそれは嬉しさの涙だ。
真っ直ぐとリュウトの目を捉える咲夜の眼差し。
それは、リュウトにある決心をさせた。
今まで言えなかった心の中で引っかかる想い。
今なら伝えられる。
リ「咲夜・・・俺は君の事が好きだ」
咲「ふぇ!?」
リ「君が欲しい。
君といつまでも一緒に居たい・・・」
漸く伝える事が出来た。
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遠い昔、リュウトがまだ小さかった頃、レミリアが一度だけ咲夜の事を教えてくれた事があった。
桜が舞う季節、紅魔館の裏庭に置かれた墓標にレミリアが花を添えているのをリュウトが偶然見てしまった時だった。
~リュウト幼少期~
リ「レミィお姉ちゃん、何してるのー?」
レミ「あらリュウト、いらっしゃい。
今はね、私の友を弔っていたのよ」
リ「お友達ぃ?」
墓標に置かれたダフネの花を見て、なんとなくその友というのが女性ではないかと想像した。
石板に彫られた文字は英語で、まだ小さいリュウトには理解出来なかったが、レミリアに読んでもらってその人が自分と同じ日系の名前なのだと理解出来た。
十六夜 咲夜、既に死後100年ほど経ってしまっているらしいが、レミリアの脳裏にはその人との思い出が今でも焼き付いているらしい。
レミ「それは楽しい日々だったわ、ちょっとおっちょこちょいな所もあったけどね。
今ではこうして花を添えて、帰ってくるはずも無いのに墓に話しかける事しか出来ない。
貴方にも合わせてあげたかったわね・・・せめて、貴方からもお花を添えてあげて頂戴」
渡されたのはレミリアが添えたのと同じダフネ、もといジンチョウゲだった。
その時は訳も分からず会ったことも無いその人の為に花を添えた。
リ「これで天国のその人もよろこんでくれるかなー?」
レミ「えぇ、もしかしたら私達のすぐ近くで笑ってくれてるかもね♪」
リュウトが微笑むと、レミリアもそれに応えて微笑みかえした。
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あの時墓の中に眠っていた人が、まさか目の前に生きた姿で現れるなんて夢にも思っていなかった。
しかも、その人に恋心を抱くなど誰が考え付くだろうか。
紅魔館に居候し数々の出来事があるたびにリュウトは咲夜に惹かれていったのだ。
ただ、その気持ちを伝えていいかどうか今まで迷っていた。
生まれた時代も生きる時代も全く違うのだから、もしかしたら未来の世界に帰る時がひょっとしたらあるかもしれない。
そんな時、彼女はどんな顔をするだろうか、そう考えると言い出す気持ちが無くなってしまった。
だが、そんな心配はどうやら要らなかったらしい。
咲「嬉しいです・・・私も貴方の事が好きでしたから」
突然の告白に少し動揺するも、咲夜も同じように彼に惹かれていた。
だが、彼女には少し不満があり、頬を膨らませながら不満をぶつけた。
咲「でも、もう少し早く私の気持ちに気付いてくれても良かったんじゃないですか?」
そう、咲夜は待っていたのだ。
彼が想いをぶつけてくれるのを。
何故自分からアタックしなかったのかというと、図書館に置いてあったとある一冊の本が原因なのだ。
タイトルは、ドキドキ☆彼と結ばれる100の方法、だ。
その本にはこう書かれていた。
告白は相手からされるのを待て!
リュウトへの恋心を自制できなくなり始めた咲夜が読み始めた本だったが、本のチョイスが何というか・・・独特だ。
リ「・・・色々悩んでいた自分が凄くバカみたいだな」
咲「フフッ♪でも本当にうれしいんですよ?
リュウトさんがやっと告白してくれたんですから。
私の中ではもう答えは決まってます」
咲夜はギュッとリュウトを両手で抱きしめ返し。心の中で決めていた答えを言葉にした。
咲「私、十六夜 咲夜は、博麗リュウト様を愛しております。
私の想い、どうぞ受け取ってくださいまし・・・」
無数の恒星の瞬きが見守る中、二人は抱きしめあいながら口づけを交わした。
何処までも広がる宇宙のように、二人の愛は大きなものだった・・・。
翌日から二人の距離が一気に縮まり、全員が不審に思ったのは言うまでもない・・・。
この二人まだ正式に付き合ってなかったこと忘れてました。
既に付き合ってるっぽい感じ出てましたけどね。