計画自体は半年以上前から考案されていたものなので漸く投降出来る時期になった話です!
12月24日、一年に一度のこの日になるととあるお屋敷のお嬢様はある悩みに頭を抱えていた。
~紅魔館、レミリアの部屋~
レミ「とうとう今年もこの日が来てしまった・・・どうしよう~(泣)」
レミリアは自分の部屋で椅子に体操座りしながら頭を抱えて泣き言を吐く。
何故そんなことになっているのかというと、事の始まりは三年前の12月24日に遡る。
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~3年前、12月24日~
クリスマスイブの夜。
レミリアは暖炉の近くで椅子に腰掛け、パジャマ姿でカーディガンを羽織りながら本を読んでいた。
他に誰も居ない部屋の中には薪がパチパチと燃える音だけが耳に入ってくる。
パチュリーの図書館から借りてきた本は外の世界の有名なSF映画らしいが、レミリアはそんなこと知らずただ気になったから借りてきただけだった。
しかしこれが意外と面白く、既に三冊あるうちの二冊目まで読んでいた。
彼女が次のページをめくろうとした時、部屋の扉が勢いよく開かれる。
と同時にパジャマ姿の小さな女の子が大きな赤い靴下を抱えて走り寄って来た。
フ「お姉ちゃん!あのねあのね!
私サンタさんにお手紙出したよ!
これで明日はサンタさん来てくれるかなぁ!」
レミ「大丈夫よフラン♪
フランは良い子だからきっとサンタさんもプレゼントくれるわ。
だから心配しなくても大丈夫よ」
フ「ほんと!?早く明日の夜にならないかなぁ!」
レミ「フフフ♪」
跳ね跳びながら明日が待ち遠しいと言うフランの顔は笑顔で満ち溢れていた。
毎年クリスマスになると夢を壊さないようにレミリアがサンタクロースの代わりにフランの枕元にある靴下にプレゼントを入れてきた。
フランが未だにサンタクロースを信じているのはこの為だ。
だが容姿の問題で昔は背が高く変装してもあまり違和感が無い美鈴がこれをやるようにしていた。
今まで一度も失敗をした事が無いので変装する意味も無いのだが、もしもの言い訳の為に一応衣装を一式そろえている。
メイドとして咲夜がやって来てからはこの役割は咲夜に受け継がれていた。
しかし、今年到頭悲劇が起きてしまった。
~フランの部屋~
フ「くー・・・くー・・・」
照明を消した真っ暗な部屋の奥。
寝息の聞こえるベッドの横に大きな靴下をぶら下がっている。
起こさないように忍び足でベッドに近付き寝ている間にこっそりその中にプレゼントを入れるのだが、今年のプレゼントは箱が大きく靴下に入らなかったため諦めて枕元にプレゼントを置くことにした。
咲夜はそっとベッドに近づいてプレゼントを枕元にそっと置く。
その時シーツが箱を置いた時にガサッという音を立ててしまい、眠りが浅かったのかフランが目覚めて咲夜と目が数秒合ってしまった。
フ「・・・あれ?咲夜?」
ヴォン
不味いと感じた咲夜は時間を止めて急いで逃げた、まさか起きるとは思っていなかった為、髭をつけていなかったのだ。
顔を出していたせいで一瞬でバレてしまい、サンタクロースの正体は咲夜だったとバレてしまった。
重い足取りでレミリアの部屋へ戻ってきた咲夜の表情は暗い。
ガチャッ
咲「お、お嬢様・・・」
レミ「あ!咲夜!
おかえりなさい。
・・・どうしたの?」
咲「そ、それが・・・」
咲夜が経緯を話すと、喜びの表情から一気に重苦しいものへと一変した。
レミ「そ、そんな・・・」
咲「申し訳ありません!私が不出来なばかりにこのような事に!」
咲夜は泣きながら謝った、自分はとんでもない事をしてしまったと。
しかしレミリアは寛容な心でそれを許した。
レミ「まぁ・・・これで良かったのかも知れないわね。
フランももう子どもじゃないんだし・・・。
ここいらで現実を知るってのも大事なのかもね・・・」
咲「お嬢様・・・」
無理矢理作った笑みは悲しみで溢れていた。
もうあのフランの顔が見れないのか・・・と。
しかしそれ以外にまた別の問題も浮上してきた。
それは明日フランにどう説明するかだ。
流石にいきなりサンタさんは居ませんでしたと現実を突きつけるのは余りにも無慈悲。
だからと言って嘘をつくわけにもいかない。
次の日の朝、フランは気まずそうな顔をしながらレミリアの前に現れた。
フ「お姉ちゃん・・・ごめんね」
レミ「え?何が?」
フ「昨日ね・・・見ちゃったの・・・。
咲夜がサンタさんの格好してプレゼントを置いてくのを」
レミ「そ・・・それは・・・」
気付いていた。
やはり昨日の時点で全て解ってしまったのだろう。
言い訳をしようとする口をふさぐようにフランは話を続けた。
フ「いいの。
私がサンタさんはいるって思い込んでたからお姉ちゃんが私のために今まで頑張ってきてくれたんだね・・・」
レミ「ち、違うのフラン!それは!」
フ「私これからプレゼントは要らないよ・・・。
もうお姉ちゃんに迷惑かけないから」
レミ「フ・・・フラン!」
ギィ・・・バタン。
聖なる夜が訪れる日、フランは二度とサンタクロースを信じなくなった。
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レミ「一体どうすればいいの・・・」
レミリアはあの日からずっと悩んでいた、あの悲しそうなフランの表情をまた明るく出来ないかどうか・・・。
だが、それに救いの手を差し伸べるように彼女の目の前に救世主が現れた。
リ「レミリア、館の掃除全て終わらせたぞ」
紅魔館で唯一の男、リュウトだ。
リュウトなら男だし身長も高くサンタクロースに変装させるにはもってこい。
もしかしたらどうにかなるかもしれない。
レミ「リュウト!あなたにしか頼めない事があるの!協力して!」
リ「ん?なんだかよくわからんからとりあえず説明してくれ」
少女説明中
リ「なるほどサンタクロースかぁ・・・」
レミ「そうなの、何とかお願い出来ないかしら」
取り敢えず椅子に座って話を聞き、内容は理解した。
必死に頼み込むレミリアに承諾してしまいそうになったが、問題はそこではない。
リ「それは良いんだがまたバレないか?同じ事の繰り返しだと思うんだが」
レミ「それは心配しなくていいわ、用はわからなくすりゃいいんだもの、変装を完璧にすればそうそうバレるものじゃないわ」
要は完璧な変装をしていけば解る事は無いだろうと言う事らしい。
男の体格なら違和感は無いだろうし、部屋が暗ければ顔は見えない。
リ「ならいいんだけどよ、プレゼントはどうすんだ?」
レミ「・・・まだ用意してない」
リ「・・・衣装は」
レミ「ま、まだ・・・」
リ「ハァ・・・仕方ない。
今から用意するか」
期限は今日の夜。
急いで準備に取りかかった。
衣装は採寸を合わせて特注で咲夜が作ったのだが・・・。
レミ「ほぼ完璧ね・・・誰だかわからないわ」
咲「似合ってはいますが・・・ここまで解らないと少し怖いですわ」
リ「自分で作っておいてその反応は何だ!?」
試着をさせたところ、本人だと解らない程の出来のものが完成した。
作った本人も少し引いてしまう高クオリティだ。
後はプレゼントなのだが・・・。
レミ「プレゼントは私が用意するわ。
二人はフランに気付かれないように準備を続けて頂戴」
リ・咲「?」
二人は目を合わせて首をかしげるが、レミリアを信じてそれ以上は何も口を出さなかった。
そしてその日の夜、本番がやって来た。
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キィィ・・・。
リ「・・・よし。
寝てるな」
真っ暗な部屋に入ると囁くような寝息が聞こえてくる。
完全に寝ていることを確認すると、サンタ衣装に身を包んだリュウトは抜き足でカーペットの上を歩きながらベッドへ近付く。
抱えて運ばなければいけないほど大きな水色の袋に入ったプレゼント、中に何が入っているのか運んでいる本人でさえ全く想像がつかない。
解っているのはただ一つ。
間違いなく枕元に置けない程大きく、そして重い物だという事。
リ「ベッドの下にプレゼントを置いて、後は起こさないように出て行くだけか・・・」
割と重い袋をそっと下ろし、ふと、フランの寝顔を覗く。
ぐっすりと寝ているのか、口が半開きになって八重歯が少し上唇から見えている。
こうしてみると歳相応の可愛らしい普通の女の子だ。
400年生きているとは思えない。
こうしている間にも起きてしまったら元も子も無いのでさっさと退場する事にする。
フ「う・・・うぅ~ん・・・」
リ「!?」
突然呻り寝返り打つフラン。
・・・どうやら寝返りを打っただけだったらしい。
無意識とはいえ心臓に悪いからそういうドッキリはよしてほしいものだ。
胸を撫で下ろし、今度こそ出て行こうとしたその時だった。
フ「・・・だぁれ?」
リ「!!!???」
毛布がムクリと起き上がり、寝ぼけたフランが目をこすりながら此方に問いかけてきた。
最も恐れていた事が今、現実に起きてしまった。
ここで一歩間違えば今度こそ本当にフランはサンタクロースの存在を信じなくなるだろう。
一秒が1分に感じられる程時間がスローモーションで進んでいるように感じる。
必死に考えた結果、リュウトが思いついた最善策は・・・。
リ「メリークリスマス、フランドール」
自分の持つ最大の演技力を使ってサンタクロースを演じる事だった。
声もそれらしくしたつもりだったが、実在しないものをどうやって演じればいいのか解らず、ほぼ地声となってしまっていた。
これは気付かれたのではないか?
息を飲むリュウトだったが、彼女は予想外にもそれを信じた。
フ「ほ・・・ホントにサンタさん?」
リュウトの渾身の演技とこうクオリティな変装によって完全にサンタだと信じ切ったフランは驚きに目が冴えてもう一度サンタクロースに問ただした。
もうこれはやりきるしかない。
サンタクロースを演じ切るしかない!
リ「フォッフォッフォ。
皆には内緒だよ?さぁ、良い子は眠る時間だ」
フ「うんっ!」
こうしてリュウトクロースはフランを寝かしつける事に成功し、一時の夢の時間を与えたのであった。
そして次の日の朝、フランがカーテンから差し込む日の光で目覚めると、ベッドの下に大きな水色の包を見つけた。
フ「これ・・・昨日の夜のサンタはホントだったんだ!」
カーテンを開け、包を開けると中には大きな真っ白のミシンが入っていた。
フ「凄い!おっきなミシンだ!!」
それはレミリアが裁縫をしているフランの姿を見て、三年前にクリスマスプレゼントとして購入していたものだった。
サンタクロースを信じなくなってから渡す事は無いだろうと思っていた代物だったが、漸く日の光を浴びる時が来たのだ。
チルノ達と遊ぶようになってからちょくちょく人里へ足を運ぶようになったフランは裁縫屋に置かれたミシンに憧れを抱いていた。
それも相まってか本格的なミシンが手に入ったフランは大喜びだ。
咲「フラン様、起きていらしたのですか?」
フ「あ、咲夜」
いつもは自分が起きる前に起こしに来るはずの咲夜が遅れて起こしに来た。
自分が起きるのが早かったのかと考えたが時計の無いフランの部屋では時間を確認出来ない。
ちなみにフランが起きた時間はいつも通りの時間、咲夜はわざと時間を遅らせてきたのだ。
プレゼントを開けるのを待つために。
咲「お着替えをお手伝いさせて頂きますゆえお部屋にお邪魔しても宜しいでしょうか?」
フ「ち!ちょっと待って!
・・・、、良いよ!」
咲「失礼いたします」
いつも通りフランは鏡の前の椅子に座り、咲夜にブラッシングをしてもらってから着付けを行う。
少し顔がにやけてしまって咲夜に何かあったのかと聞かれたが、フランはそれを誤魔化して答える。
サンタクロースとの約束を守っているのだ。
真実を全て知っている咲夜はフランの様子を見て作戦が成功したのだと確信した。
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~食堂~
レミ「フラン、何か良いことでもあったの?
そんなに笑顔作っちゃって」
フ「えへへ~、何でも無いよ~♪」
食事中もニヤニヤが止まらないフランは心の底から喜んでいるのだろう。
リュウトの姿を見た事が嬉しい誤算となったらしい。
あそこまで頑張った甲斐があったというものだ。
咲「リュウトさん、上手く行ったみたいで良かったですわね」
リ「あぁ、人生初めての物まねをさせられたがな」
パ「リュウトが物まねねぇ。
少しどんなものか気になるわね」
リ「よしてくれ・・・もうたくさんだ」
耳打ちで話す三人は、二人の姉妹が楽しそうに笑いながら話しているのを眺めていた。
親友のパチュリーからしてもそれは喜ぶべきものらしい。
レミ「よし、今日はクリスマスだし!
パァーっと豪勢にいきましょっ!」
その日の夜、紅魔館では今までに無いほどの盛大なクリスマスパーティが開かれた。
ツリーやろうそくで飾り付けられた部屋の窓の外から誰も気づかなかったが、トナカイに引っ張られたソリが飛んでいたのは此処だけの秘密の話・・・。
またレミリア?と言いたい人もいるとは思いますが、大分前から考えていたものなので仕方ないのです。
最後に出てきたトナカイとソリ?そんなもの決まってるじゃないですか。
まだ純粋な心を持ったフランとお姉ちゃんしてるレミリアを書きたかったんです!
結局リュウトが全てかっさらってったし美鈴とか出てないし紅魔館の話としてはあまり良い出来ではないですけどね。
美鈴の話は近いうちに書こうと考えています。
では、メリークリスマス!!
次回もお楽しみに!