東方混迷郷   作:熊殺し

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今回は博麗神社での出来事を書きました。
霊夢のデレを書くのは難しいですね・・・。


67話

~博麗神社~

 

 

霊「零夜・・・。

貴方、髪が伸びたんじゃない?」

 

零「ん?そうか?」

 

 

居間で茶を飲む零夜の後ろを歩いていた時に気が付いた。

最近になって零夜の髪の毛のボリュームが多くなっている事に。

後ろからそっと頂点の髪を手に取り長さを見ると、出会った時よりもかなり伸びていた。

零夜も自分の手と目で確かめるが、前髪が目にかかって鬱陶しいと感じていたのもあって全体的に長かった。

 

 

零「確かの最近頭が重いと感じていたところだが・・・」

 

霊「長すぎよ。

男ならもっと短くしないと。

というか神様も髪の毛伸びるのね」

 

零「それはな。

幾ら神でも外見は人間なんだから」

 

霊「そんなもんなの?

う~ん・・・それにしても気になるわねぇ」

 

 

毛を触りながらまじまじと零夜の頭を見つめていると、段々と切りたい欲望が生まれてきた。

まるで零夜が切ってほしいと言うのを心待ちにしているかのように。

 

 

零「そうだなぁ。

折角だし切るか?」

 

霊「ホントに!?

やったぁ!!私が切ってあげるね!!」

 

零「え?あ、あぁ」

 

 

まさか霊夢が切るとは思っていなかったが、彼女の歓喜の顔とその場の勢いで渋々了承してしまった。

跳ねて喜ぶ霊夢の顔を見れただけでも良しとした方が良いか。

こうして、霊夢のイメチェン美容室が開店するのだった。

 

 

_______________

 

 

魔「霊夢・・・お前って髪を自分で切った事あったか??」

 

霊「無いわよ?

でも一度やってみたかったのよ」

 

零「おいおい・・・本当に大丈夫なのか?」

 

魔「零夜・・・いざとなったら私が止めに入ってやるから・・・」

 

 

境内に出てシートを敷き、ハサミを引っ張り出してきた霊夢は椅子に零夜を座らせて完全にその気になっていた。

暇潰しに神社へやって来た魔理沙もこの状況には目を丸くし、髪を切ったことがあるのか聞けば案の定。

ド素人が見よう見まねでやろうとしている所だった。

・・・ならば霊夢の髪は何時も誰が切っているのだろうか?

 

 

魔「なぁ、霊夢って一体誰に髪切って貰ってるんだ?」

 

霊「そんなに切るモンじゃないからたまにだけど、アリスが切ってくれるわよ?」

 

魔「ちょっと私用事思い出したから失礼するぜ」

 

 

そういうと持っていた箒に跨り、魔力で空へと帰っていった。

 

霊「え!ちょっと!

今から良いところなのに帰っちゃうわけ!?」

 

 

霊夢の言葉は魔理沙に届くことなく、白黒の魔法使いは空へと消えていった。

 

 

霊「一体何しにきたのかしら?

まぁいいわ。

やってれば如何にかなっていくものよ!」

 

零(魔理沙・・・早くアリスを連れてきてくれぇ!)

 

 

危険なにおいがしだした霊夢美容師の腕前に不安を感じ、おそらくアリスを呼びに行ったのであろう魔理沙の帰りを待つことにした。

ハサミをチョキチョキさせながらいつの間にか鏡まで持ってきている霊夢は、アリスが到着する前に自分の髪を瞬く間に再起不能にしそうだが。

 

 

霊「さッ!行くわよ!

じっとしててね~」

 

零「動くな・・・動くな・・・。

動いたら死ぬぞ・・・、」

 

 

主にハサミが動脈辺りを切り裂きそうで。

束の間、耳元で髪の毛がハサミで一刀両断される音が響いた。

自分の後頭部で何が起こっているのかさっぱり分からないが、音で判る。

切りすぎじゃないか?と。

 

 

零「れ・・・霊夢?

何やら不審な音が聞こえるのだが??」

 

霊「え?私は何も聞こえないわよ?

というか、集中できないから静かにしててよね」

 

零「い・・・嫌な予感がするぞ・・・」

 

 

言ったそばから予感は的中。

零夜は音を聞いただけで見えていないが、彼の後頭部は凄まじく短くなっていた。

しかもパッツンと真っ直ぐ切りそろえられていると思いきや、毛先もまばらでお世辞にも上手いと言えない。

正直に言って下手くそな切り方だった。

 

 

霊「あれ?どうも上手く行かないなぁ。

もう少しこっちを切って形を整えて~」

 

零「待つんだ」

 

霊「やだ」

 

零「・・・、、」

 

 

後ろで何が起こっているのか気になって仕方が無い。

だが止める気がない霊夢の手は面白おかしく滑るように散髪をしていく。

そして、かれこれ10分が経過した頃・・・。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 

零「霊夢!?

お願いだから手を止めてくれ!!」

 

霊「なんでよ?

短くなってきてるじゃないの?」

 

零「短くはなっているがこれ以上切ったら丸坊主になってしまう!」

 

 

抵抗出来ない零夜の必死の叫びも虚しく、座ったまま動けないのをいいことに凄まじい勢いで彼の髪を短くしていった。

まさか此処まで酷くなるは思ってもいなかった零夜は後悔するしかなかった。

何をやらせても大方は勘で如何にかできる霊夢の事だから、散髪だって何とかなると思い込んでいたのが運の尽きだ。

鏡に映る自分の姿が段々と酷くなっていくのを半ば公開処刑の如く見せられた彼のHPは消滅寸前だ。

 

 

零「お願いだからもうやめてくれ・・・」

 

霊「え~?そんなに嫌なの?」

 

零「はっきりというが・・・君には散髪の才能が無い・・・」

 

 

もうおしまいだ・・・。

そう決めつけようとした時。

救世主は現れた。

 

 

ア「零夜さーん!

大丈夫ー?」

 

魔「うっわ・・・。

原形残ってないじゃなねーか

育毛剤貰ってきて良かったぜ・・・」

 

 

箒の後ろにアリスを乗せた魔理沙が漸く到着した。

急ブレーキで止まった箒は風を起こし、魔理沙の足がブレーキ替わりとして境内の地面を削った。

箒からアリスを下ろした後、余りにも無残な姿となった零夜の頭を見た彼女は早速引いていた。

遅れた理由だが、アリスが人里まで出かけてしまっていたらしく、今まで情報を集めながら探していたらしい。

そして、もしも霊夢が失敗していた時の為に永遠亭から毛髪剤を貰ってきていたという。

気遣いが効いた魔理沙の行動には思わず零夜も涙が出てしまいそうになった。

 

 

魔「霊夢、選手交代だ。

後はアリスに任せるんだ」

 

霊「折角いい感じに進んでたのにぃ~」

 

魔「これの何処が良い感じだ!!

兎に角アリスに任せるんだ!!」

 

 

霊夢が持つハサミを強引に奪い、これ以上被害が悪化しないようにしたうえで薬を零夜の頭に振りかける。

暫く待っていると、彼の毛根からは真っ白な新しい髪の毛が生え始め、爆発的な勢いで伸びていった。

思っていた以上の効きっぷりに少し驚いた四人だが、流石は八意印の製薬といったところだろう。

少々伸びすぎだが。

 

 

零「・・・まさか地面まで伸びるとは・・・」

 

魔「切ればいいさ。

大丈夫だよ、アリスの腕は此処の脇出し巫女より上手いから」

 

霊「ちょっと、誰が脇出し巫女よ」

 

魔「私の右隣にふんぞり返ってる巫女の事だぜ」

 

 

親友の一言に睨み返すが、否定できない恰好ではある。

年がら年中脇を露出させている恰好なのだから無理も無いだろう。

持参の散髪道具をチェックしながらだが、アリスも霊夢に言いたい事があった。

 

 

ア「魔理沙は放っておいて、霊夢は反省しなさい。

幾ら零夜さんが優しいからって好き勝手し過ぎよ。

初めての事に挑戦するのは良い事だけど、少しは相手の事を考えないと」

 

霊「うっ・・・」

 

 

アリスに図星を突かれてしょぼくれてしまう。

だが彼には解っていた。

彼女が親切心で良かれと思ってやっていた事を。

 

 

零「アリス、俺は良いんだ。

霊夢だって俺の髪を親切心で切ってくれたんだから。

遊び半分でやるような奴じゃないって知っているからな」

 

霊「べ、別にそんな事思ってないわよ!!」

 

零「ほらな?」

 

 

照れ隠しに顔を見せないようにそっぽを向く霊夢。

素直じゃない反応を見せる彼女に、アリスも思わず笑ってしまった。

 

 

ア「プフッ、貴方達本当に仲が良いわね」

 

 

口元を軽く隠しながら笑うとアリスは{始めるわよ}と言い、持っていたハサミと櫛で零夜の髪を切り始めた。

前髪が目に入らないように目を閉じるよう言われ、全てをアリスに委ねた。

手慣れた手つきで滑らかに切っていく手は、特に長い部分からバランスを取りながら切っていく。

息遣いは静かで、冷静に、的確に短くしていく彼女のテクニックは店を経営出来るのではないかと思ってしまう程凄い。

地面に付くまで伸びていた髪は、あっという間に短くなっていた。

 

 

ア「これで・・・はい、おしまいよ」

 

零「おぉ!これは凄い!

見違えたな!!」

 

 

目を開けると、鏡には先程までとはまるで別人のような自分の姿が映っていた。

くせ毛は上手く自然に切られて形が整っており、毛先は全く枝毛になっていない。

男らしい、俗にいうイケてる髪型へと変貌していたのだ。

これには横で見ていた二人も驚きを隠せなかった。

 

 

魔「すげー似合ってるぜ!

これは人里歩いたら凄い事になりそうだな!」

 

霊「切る人間が違うと此処まで見違えるのね・・・」

 

 

思わず関心して零夜の周囲を廻りながら見つめる霊夢。

短くはなっているが、元の髪型の面影は少しだけ残っているせいか、霊夢にとってとても見ていて落ち着く髪型だった。

 

 

零「済まなかったなアリス。

タダ働きは悪いから夕飯を一緒にどうだ?」

 

霊「良いわね~、そうと決まれば豪勢に行くわよ!」

 

魔「それじゃ、私も一緒させてもらうぜ。

アリスを連れてきてやったのは私なんだからな」

 

ア「アンタはしょっちゅう用も無いのに神社に行き過ぎなのよ」

 

魔「良いじゃないか減るもんでもないし」

 

 

友達の家に行くのは当たり前だと言う魔理沙の意見も最もだが、そこは察して遠慮しろと言いたくなった。

霊夢と零夜の邪魔をするのは野暮だし、アリスはそれを見越して余り用の無い時にお邪魔するのは止している。

魔理沙のような余りにもフレンドリーすぎる性格も考え物だ。

 

 

霊「ま、今日位はいいわ。

宴会とは違ったにぎやかな夕食にしましょ。

零夜、準備手伝って~」

 

零「了解だ」

 

 

いつもは魔理沙を面倒事の種のように扱っている霊夢も、シートや鏡の後片づけをした後に夕食の準備に取り掛かり、零夜も台所に入ってそれを手伝う。

神社での夕食は二人だけが多かったが、今日だけは久方ぶりの賑わいを魅せるのだった。




一応、神様も髪は伸びるって事にしてあります。
スキンヘッドの零夜かぁ、少し見てみたいかもしれないw
独自設定ですが、霊夢の髪を切っているのはアリスということにしておきました。
女子力高そうだし、似合ってると思うんですよね~。
カリスマ美容師アリス・・・なかなか良いんじゃないでしょうか?
ちなみに零夜の髪は初登場時より少し短くなってるくらいです。
言っときますが、リュウトは咲夜に切ってもらってますからね?
メイド長嘗めないでください?
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