響華が呼ばれていないのは、同じ博麗の巫女で狙われる可能性があるからです。
それを踏まえてどうぞ。
~紅魔館庭園~
博麗神社の宴会騒ぎの翌日からは紅魔館も平常運転へと戻り、皆いつも通りの生活を送っていた。
紅魔館の庭に咲く花は一向に収まる兆しが無いが、無害と解ると何の警戒もしなくなった。
珍しく庭の植物達の水やりを任されたリュウトも、花の美しさと香を楽しみながら仕事をしていた。
如雨露を花壇に傾けると、降り注いだ雫が葉から滴り落ち、土を潤す。
太陽の光に水分が反射して虹がかかると、花たちが生命の源に喜んでいるように見えた。
リ「あまり関心を持っていなかったが、花を観察するのも一興だな」
まだ彼が小さな時、とある花妖怪が言っていた。
花にも意思があり、心がある。
長年にわたって忘れていた言葉だったが、その妖怪の顔だけは花を見るたびに脳裏に浮かんだ。
翡翠の髪を靡かせる日傘をした女性の微笑みかける顔が。
リ「優しかったな・・・。
この世界に、俺の子供の頃遊んでくれた皆は居ないけど」
過去は還らない。
今が大切なんだと人は言うが、誰だって忘れたくない記憶くらいはある。
彼は昔の思い出に更けて少し悲しくなった。
その時、後ろから自分を呼ぶ女性の声が聞こえてきた。
咲「リュウトさん。
貴方にお客様ですよ」
リ「ん?俺に?」
咲夜の声に反応して直ぐに水やりを中断し、後ろを振り向くとそこには咲夜の他に三人の人物が立っていた。
映姫「お久しぶりですねリュウト」
リ「映姫?それに・・・何故おじいちゃんが?」
客というのは何時か逢った四季映姫・ヤマザナドゥだった。
しかし、映姫は前のように一人出来たのではなく、部下の死神も引き連れていた。
さらに零夜まで連れており、只事で無い予感がした。
零「リュウト。
地獄へ行くぞ」
リ「・・・ナニィ!?」
意味が分からなかった。
今まで生きてきた中で地獄へ落とされるほどの事をした記憶なんて無いからだ。
何かしたか?
というより、まだ死んでもいないのに迎えが来るとはどういう事だろうか。
この前、不意に咲夜が階段を登っている所を下から覗いてしまった事が原因かも・・・。
咲「リュウトさん?
顔に書いてありますよ?
読み上げて差し上げましょうか?」
リ「な、何だって!?」
映姫「安心してください。
貴方が考えているような事ではありませんよ」
リ「そ、そうか。
良かった、命拾いした・・・」
一息ついて胸を撫でおろしたが、後で痛い目に遭うのは確定してしまった。
目の笑っていない笑顔を見せる咲夜。
妖艶な太腿から覗かせるナイフホルスターからは銀のナイフが刃をチラつかせていた。
お前の血を吸わせろと。
リュウトはそれを見て背筋がゾッとした。
と、そんな事は二の次だ。
今は映姫たちが来た訳を聞くのが先だ。
リ「ゴホン!
で?何故俺が地獄まで行かなければいけないんだ?」
映姫「今日は折り入って頼みがあって来ました。
貴方の力が必要なのです」
リ「おじいちゃんもか?」
映姫「はい。
お二人の力を貸してほしいのです。
実は今、地獄で異変が起きていまして・・・」
今回、リュウトと零夜が呼ばれたのは地獄で起きている異変・・・もとい事件を解決するためだ。
本来、異変ならば博麗の巫女が行かなければならない筈。
巫女は異変が起きれば立ち入り禁止の区域も免除されて入る事が出来る。
なのに何故二人が呼ばれたのか。
それは、地獄で暴れている妖怪が原因だった。
映姫はそれについての説明を始めた。
映姫「地獄で封印し続けていた妖怪は、博麗の巫女の抹殺を計画しているのです。
代々の博麗の巫女が退治、封印してきた妖怪が、地獄で永い年月を封印されている中で力を溜め込んでいたのです。
どの妖怪も強大な力を持っており、霊夢一人で太刀打ち出来るような規模ではありません。
しかも奴等の目的は霊夢の抹殺です。
本人が出向けばどうなるか解ったものではありません」
リ「成程。
だが何故俺達なんだ?」
映姫「幻想郷の中で、博麗の巫女以外で唯一異変を一人で解決した実績を持っているからです。
零夜さんも、貴方もかなりの強者でしょう?
私の力が役に立たない以上、貴方達に掛けるしかないのです」
歯を食いしばり、拳を握りながら彼女はそう言い放った。
こんな姿を見せられたら、協力しない訳にはいかないだろう。
リ「咲夜、すまないが後の事は任せたぞ」
咲「そういうと思ってました」
彼は持っていた如雨露を咲夜に渡し、一歩前に出た。
すると、映姫の隣に立っていた死神が手を差し伸べてきた。
小町「さ、手を掴みなお二人さん。
此処からは私が案内役だ」
赤い髪をツインテールで纏めた女性、小野塚小町は笑顔でリュウトと零夜の手を握る。
彼女の能力、{距離を操る程度の能力}で地獄まで連れて行くのだと言う。
そうすれば、本来三途の川を渡らなければいけない道程を飛ばしていけるのだとか。
急いでいる時に便利な能力だと感心してしまった。
小町「さぁ!行くよ!
映姫様、後は任せてください!」
映姫「はい、そちらの事は任せました」
余程その死神を信頼しているのだろう。
映姫は去る小町の笑顔に微笑みで返し、見送った。
その後、三人は瞬間移動でもしたかのように消えていった。
______________
~地獄~
あれから時間が経過し、最下層部に居た百鬼夜行は既に中心部まで押し寄せていた。
地獄というのは世に書籍として情報が載せられているが、実際は血の池地獄や油の大釜など存在しない。
罪人は、それが最も嫌うものを具現化されて苦しめられるのだ。
だから、地獄は殆ど何もない荒れ果てた灰色の大地が広がっているだけの場所なのだ。
しかし今は違う。
妖怪の群れが通った跡には残骸のように打ち捨てられた死神達が山になっていた。
だが、それを黙って見ているだけの死神達ではない。
百鬼夜行が移動中のなか。
地獄の入り口を塞ぎ、精鋭部隊を中心に残る戦力を集中させて絶対防衛線を構築中であった。
そして、彼らの決戦の時がやって来た。
死神「防御陣を先頭に!
妖怪共が確認出来次第、攻撃を開始する!
総員、霊力陣用意!」
一人の死神の号令で、列となった死神達が一斉に弾幕の射撃体勢に入る。
混線になった時の為の大鎌を肩に担ぎ、右手で霊力陣を展開。
地平線に翳した。
すると、妖怪達の群れが線に重なるように見えた。
死神「討てぇー!」
一斉に空に無数の鮮やかな弾幕が放たれ、地平線の彼方へと消えていく。
直撃したかに見えたが、爆発が起きようとも妖怪達は怯まず直進してきた。
さながら特攻隊のような勢いで防衛線に突撃していくので、死神の中には恐怖を覚えるものも現れ始めた。
当たり前だろう。
かつて、歴代の博麗の巫女と苦しい戦いを繰り広げた強者の群れなのだから。
そして、時間が経つにつれて死神側は劣勢を強いられ、8割が削られた時だった。
小町「着いたよ・・・ってあちゃあ。
少し遅かったみたいだねぇ」
混線していた妖怪達は突然現れた三人に一斉に目を向ける。
その様子に小町は冷や汗をかいた。
しかし、彼女は現状を逆転出来るほどの力を持った救世主を連れてきた。
零「ほう、これは凄いな。
本物の百鬼夜行じゃないか」
リ「地獄を管理している全ての死神が集結していたようだが・・・。
これでは本当の地獄絵図だな」
二人は妖怪の群れと対面すると、同時に力を開放した。
リ・零「貴様ら全員、俺が相手だ」
To be continue・・・
混線している戦闘シーンはハードル高すぎです、、、。
本作では地獄の管理は死神が全て行っている設定です。
確か原作と同じですよね?
ちなみに小町以外の死神に名前は付けません。
でも服に関しては同じものを着ています。