東方混迷郷   作:熊殺し

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書いてみたかった回に手を出しました。
突っ込みたい所が多くあると思います。


77話前編

咲「ふんふふんふ~ん♪」

 

 

ご機嫌な様子で部屋の天井にハタキを掛ける咲夜。

鼻唄交じりにリズムに乗せて掃除をテキパキと進めていく。

特に何か良いことがあった訳でもなかったが、出来るだけ楽しく掃除をテキパキトしたいという彼女の心情が表れていた。

一部屋の掃除が終わり、次の部屋へ向かおうとドアを引くと、彼女の目の前に大きな影が現れた。

リュウトは咲夜の手を取ると、決意をした目で彼女を捉えた。

 

 

咲「え?あ、あの、リュウトさん?」

 

リ「さ、咲夜。

明日、外の世界へ遊びに行かないか?」

 

咲「・・・ふぇ?」

 

 

突然の事に咲夜は固まってしまった。

 

 

________

 

 

翌日、咲夜は初めてのデートに着ていく服の候補をクローゼットから引っ張り出し、ベッドの上に並べていた。

初夏が近いので薄手の洋服を選んだのだが、スカートにするかショートパンツにするか、上着の色は白か、水色か、悩み処は多々あった。

 

 

咲「う~ん、悩みますわ。

リュウトさんはどんなファッションが好みなのでしょうか?」

 

 

鏡で衣装合わせをしながらぼやく。

かれこれ数時間はこうしている。

すると、部屋の扉がゆっくりと開き、フランドールが顔を出してきた。

 

フ「咲夜~、一体何時まで悩んでるつもり?

そろそろリュウトが 行こうって言ってるよ?」

 

咲「も、申し訳ありません。

ですが、どれを着ていこうか決められないのです・・・」

 

フ「そんなに悩まなくてもリュウトは咲夜が選んだファッションなら何でも褒めてくれそうだけど?」

 

咲「それは・・・」

 

フ「もうっ自分で決められないなら私が選んであげる!」

 

咲「え?」

 

 

__________

 

 

美「それにしても咲夜さんと逢い引きですか。

咲夜さん、どんな格好で来るか楽しみですね~」

 

リ「今頃、着る服に悩んでいたりしてな」

 

 

紅魔館の門前で美鈴と他愛ない話にふける。

幻想郷の結界を越えるために紫に前日から頼んでいたリュウトは、準備を早めに済ませて咲夜が来るのを待っていた。

数分待っていると、目の前の空間が開いて紫が現れた。

 

 

紫「おまたせリュウト。

お相手さんはもうすぐ到着よ」

 

リ「そうか。

ん?来たようだ」

 

 

後ろの門が開けた咲夜が小恥ずかしそう歩いてくる。

フランドールのコーディネートは完璧で、咲夜の身体のバランスを程よく強調した清潔感のある白ベースのファッションだった。

健康的な美脚が覗けるミニスカートに、一瞬リュウトはドキッとした。

 

 

咲「えと・・・どうですか?」

 

リ「あ、あぁ。

凄く似合っているぞ」

 

咲「!そうですか!!」

 

 

リュウトが照れ隠しに背を向けながら誉めると、満面の笑みで咲夜は喜んだ。

それを見ていたフランも、我ながら良い仕事をしたと感心していた。

 

 

フ「流石私が選んだだけあるね!」

 

美「あのファッション、フラン様が選んだのですか?」

 

フ「あんまり長く選んでるから私が代わりにやってあげたの。

リュウトもまんざらじゃなさそうだし、一件落着って所ね」

 

美「ま、後はお二人で楽しんできてくれれば何よりですね」

 

 

仲良さげに会話をするリュウトと咲夜を二人で後ろから見守っていると、紫が指でそっと空間を下へなぞり、虚無のスキマを開けた。

 

 

紫「さ、彼女も来た事だし、約束通りどうぞ」

 

 

外の世界との道を開ける。

無数の目が見つめてくる先には明るい世界が広がっている。

博麗大結界の境界線がこの虚無空間なのだ。

 

 

リ「よし、では行くぞ」

 

咲「はい!行きましょう♪」

 

 

二人は手を繋いで同時に歩き出す。

暫くすると光の中に二人は消えていき、それと同タイミングでスキマが閉じた。

 

 

__________

 

 

咲「うわぁ!凄いですね!」

 

リ「あぁ。150年前だと言うのに既に此処まで発展していたのか、人類は」

 

 

二人の目の前に現れた景色。

それは、空港に入った時以上の人が行き交う、高層ビルが立ち並ぶ街並みだった。

見上げれば首が痛くなる高層ビル群が果てしなく続いている。

二人は、東の京の都の地を踏んでいた。

 

 

リ「フム、どうやら此処は東京だな。

街並みは全く違うが、発展の様子を見るに間違いないだろう」

 

 

実際、案内表示の看板にも東京都の区名が書かれていた。

ちなみに今、二人が立っている場所は中央区。

新橋であった。

此処まで大きな街を見たのが初めての咲夜は興奮を抑えきれなかった。

 

 

咲「凄い、旅行で行った島の街とは比べ物になりませんね!

あの自動車?というのもいっぱい走ってますわ!

あら?あの細長い四角い自動車は何でしょう?」

 

 

バスを見て子供のようにはしゃぐ咲夜の目は未知への興味を捉えていた。

しかし、外の世界の移動手段としてリュウトが選んでいたのはバスではなかった。

 

 

リ「咲夜、興奮しているところすまないが、今日はバスには乗らないんだ」

 

咲「え?そ、そうなのですか・・・」

 

リ「その代わり、アレに乗るぞ」

 

 

そう言ってリュウトは上を指す。

指の先には高架線があり、その上を走るモノレールが見えた。

自動車でもない、飛行機でもない奇妙な乗り物を初めて見た彼女は興味津々でリュウトに質問した。

 

 

咲「なんですかアレ!?

アレが電車というやつですか?」

 

リ「いや、あれはユリカモメというモノレールだ。

あれで東京湾の方へ行こう」

 

咲「乗れるのですか!?」

 

リ「あ、あぁ乗るぞ。

君は何にでも興味を持つな」

 

咲「初めて見るものばかりなので・・・」

 

リ「いいさ。

此方としても、此処に連れてきて良かったと思えるからな」

 

 

丁度近くにモノレールの駅があり、そこで切符を購入する。

彼女は切符の券売機にも興味を持つが、キリがないのでリュウトは咲夜の手を取ってホームまで連れ出す。

暫くすると、無人で運転しているユリカモメがホームにやって来て、安全対策の為に設置されたホームのガラス扉が開き、ユリカモメの自動ドアが開いた。

 

 

咲「わぁ、全て自動なのですね。

凄く賢い機械なのですね」

 

リ「コンピューターの自動操縦だからな。

時間通りに駅に着く。

先頭車両に乗って見るか?」

 

咲「はい!是非!」

 

 

車両に乗り込み、先頭車へ向かう。

一番前の窓からは、ユリカモメの走っているレールが見えた。

そして車窓からは東京のビルの街並みが流れるように見えた。

速度を上げて走っているモノレールの中は静かで、揺れさえも感じない程だ。

 

 

咲「静かですね。

こんなに速いのに揺れもそこまで感じませんわ」

 

リ「確かに殆ど感じないな。

これは凄い・・・。

お、そろそろ目的地に着くぞ」

 

 

駅に止まるためにブレーキをゆっくりとかけるモノレールは、一分ほどすると完全に停止し、停車駅のアナウンスが流れた。

 

 

アナウンス「お台場海浜公園です。

お忘れものの無いようご注意下さい」

 

リ「アナウンスだ。

こうして忘れ物をしないように呼び掛けているんだ」

 

咲「この女性はこれに乗っているのですか?」

 

リ「録音しているんだよ。

詳しくは降りてからだな」

 

 

扉が開き、二人はホームに降り立つ。

目の前には、窓越しに覗ける大きな銀色の建物が見えていた。




ユリカモメ本当に静かですよね。
ちなみにユリカモメとは東京の中央区辺りを走っているモノレールのことです。
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