妖精犯科帳   作:数多 命

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映画、めちゃくちゃよかったです・・・・!
かりんちゃんの境遇がぶっ刺さって、ちょっとダメージ負いましたけど・・・・!()


拾参

「――――あれか!」

「ああ!」

 

あんな達からの通信を受け、現場に向かっていた大也。

途中でモンドとも合流し、走ることしばし。

市立図書館に辿り着いた彼らが敷地内に飛び込むと、なにか薄い膜を抜ける感覚。

 

「ハンニンダーッ!!」

 

目の前には、雄叫びを上げるハンニンダーと。

ミスティックにクリーンヒットを叩き込もうとする、アルカナ・シャドウ。

 

「ッ、御用改めであるッ!!」

 

即座に割り込み、刀を振り払って引き離した。

 

「大也さん!モンドさん!」

「遅くなってすまん!」

「二人とも、無事じゃな!?」

 

着地したアルカナ・シャドウと睨み合いながら、大也は切っ先を突き付ける。

 

「こいつは引き受ける!お前らはハンニンダーを!」

「はい!」

 

アルカナ・シャドウは、明らかに視線を鋭くさせたので。

大也もまた、負けじと睨み返す。

 

「・・・・中村、大也」

「・・・・ッ」

 

・・・・くれあの記憶に関わっているのだ。

聞きたいことは、たくさんあった。

 

「――――ッ!」

「フッ!」

 

合図はなく。

どちらともなく飛び出す。

アルカナ・シャドウの蹴りを、大也の十手が受け止めた。

束の間睨みを交差させ、互いを弾き合う。

流れる様に何度か撃ち合うと、今度は刀とロッドが鍔迫り合い。

飛び散る火花が、互いの顔を照らし出した。

 

「っだあ!」

「ハァッ!」

 

再び得物をぶつけ合い、激しい金属音を轟かせる。

 

「アルカナスターレインッ!!」

燦散陽華(さんさんようか)ッ!!」

 

本来なら距離を取る技を、三歩の距離で放つアルカナ・シャドウ。

対する大也は、連続の突き技で対抗する。

炎と光が方々で爆ぜ、辺りを黒煙で包み込んだ。

 

「わっぶ・・・・!?」

「すごい煙・・・・!」

「アルカナ・シャドウ!!こっちを巻き込むなァッ!!」

 

黒煙がアンサー達の方にも流れていき、今回マコトジュエルを奪いに来たニジーが抗議するが。

アルカナ・シャドウは視線を寄こすだけだった。

 

「でぇやッ!」

「ふっ・・・・!」

 

その隙を突いて、大也は肉薄。

斬り上げを繰り出す。

当然の様に受け止めたアルカナ・シャドウは、何を思ったのか。

斬撃に合わせる様にロッドを掲げると、なんとそのまま放り投げてしまった。

 

「なっ・・・・!?」

 

何事かと、ロッドを視線で追いかけてしまう大也。

・・・・狙い通りに、注意を逸らした間抜け面へ。

 

「ハッ!」

「しま、ぶっ!?」

 

アルカナ・シャドウは拳を叩き込む。

クリーンヒットを受け、大きくよろける大也だったが。

続く二撃目はなんとか回避。

 

「ッ、煌鴉一閃!!」

 

さらに技を放ち、相手を引きはがす。

 

「やったわね!アルカナ・シャドウ!」

「臆するなヒロヤ!お主はまだやれる!」

 

妖精達のやんやをBGMに、再び両者は睨み合う。

互いに防御も攻撃も可能な距離を保ち、すり足で動きながら出方を伺う。

 

「――――ッ」

 

その最中、アルカナ・シャドウはふと。

ニジー達と距離が離れていることに気が付いて。

 

「・・・・あの子の」

「・・・・?」

 

警戒を保ったまま、おもむろに口を開く。

 

「あの子の記憶を取り戻して、どうするの?」

「――――ッ」

 

初対面の時と、二度目の激突の際の反応。

そこから導き出した問いを投げると、虚を突かれた大也は固まった。

――――『あの子』が。

くれあが、記憶を取り戻したら。

 

 

 

――――だいちゃん

 

 

 

思い出してしまう。

重たい空気と、見ることの出来なかった顔。

そして、息苦しいほどに充満した、線香の匂い。

 

「――――なんだ」

 

我に返った時には、もう。

アルカナ・シャドウが、目の前に。

 

「口先だけなのね」

 

防御も、回避も。

ままならないまま。

 

「――――アルカナスターレイン」

「ぐああッ!?」

 

直撃を受けて、吹っ飛ばされてしまう。

 

「ヒロヤッ!」

「――――ひ、大也さん!?」

「ックソ!」

 

転がって来たのを驚かれる中、大也はなんとか立ち上がる。

 

「ちょうどいい、まとめて片付けけてやる!ハンニンダーッ!!」

「ハンニンダーッ!!」

 

それを目の当たりにしたニジーは、これ幸いとばかりに号令。

ハンニンダーは、四葉模様の部分を扇風機の様に回転させて。

暴風を放ってきた。

 

「うおっ!?」

「きゃあっ!!」

「っく、またこれ・・・・!」

 

びょうびょうと、風が咆える中。

吹き飛ばされないようにするので手いっぱいになってしまう面々。

始めこそ、なんとか踏ん張っていたものの。

 

「「きゃああああああッ!!」」

「うぉああ!?」

 

とうとう、煽られるがままに宙を舞ってしまった。

 

「――――さあ」

 

地面に撃ちつけられたプリキュアと大也を見下ろして、アルカナ・シャドウがロッドを突き付ける。

 

「手紙を渡しなさい」

 

口にしたのは、命令に近い言葉だ。

圧倒的な実力差を示されたことも有り、ポチタンは不安げな顔を見せたが。

 

「――――渡さないよ!」

「手紙も!ポチタンも!」

 

アンサーとミスティックは、果敢に宣言した。

諦めずに立ち上がった姿に鼓舞され、大也もまた立ち上がる。

 

「はは、その威勢、嫌いじゃないが・・・・いつまで耐えられるかな?」

「ハンニンダッ!!」

 

ニジーが不敵に笑うと、再び暴風を放つハンニンダー。

焼き増しの様な光景の中で、違ったのは。

アンサーとミスティックが、一歩一歩踏みしめながら進みだしたこと。

 

「そのバッジには、思いが詰まってる・・・・困っている人の力になりたいって言う、強い思い・・・・!」

「わたし達も、決めたの!」

「「バッジ、絶対に取り戻すッ!!」」

 

力強く断言すると同時に、二人は高く跳躍。

 

「「ハアアアアアアッ!!」」

「ハァーンッ!?」

 

暴風すらも利用して頭上を取ると、ハンニンダーへ強烈な一撃を叩き込む。

 

「オープン!」

 

完全にダウンしたハンニンダーを、見逃す道理はない。

 

「プリキットミラールーペ!!」

 

ミスティックに狙われているポチタンを託し、アンサーは一人でミラールーペを発動。

 

「ポチタン!」

「ポチー!」

 

ポチタンから受け取ったマコトジュエルを、はめ込んで。

 

「キュアアンサーが解決!」

 

身の丈に届くような、大剣を顕現させる。

 

「プリキュアッ!!」

 

明らかに重々しいそれを、いとも軽々しく取り廻したアンサーは。

 

「アンサーはなまるソォードッ!!」

 

全力で振りかぶって、叩きつけたのだった。

 

「クッ・・・・ハンニンダーが・・・・!」

「――――ふっ」

 

ハンニンダーを浄化され、ニジーが動揺している隙を突き。

大也は彼らへ肉薄。

傍らには、精霊転化したモンドがいて。

 

「――――大火流滅(オオヒルメ)!!」

「な、ぐああ!?」

「っ・・・・!」

 

業火を叩きつけられ、大きく後退するニジーとアルカナ・シャドウ。

二人そろって、大きなダメージを受けているのは明らかだった。

 

「クソッ・・・・ここは引くとしよう・・・・!」

 

ニジーは、煙玉を叩きつけて撤退していったが。

 

「――――ごめんね」

「ポチ!?」

 

アルカナ・シャドウは肩で息をしながらも、マシュタンがちゃっかり奪ったポチタンの手紙を受け取る。

 

「ああっ!手紙が・・・・!」

「手紙?」

「アルカナ・シャドウについて、ロンドンの本部が贈ってくれた調査結果なんです!」

「なんと!?」

 

落ち込むポチタンを慰めつつ、首を傾げた大也とモンドに説明したミスティック。

それを受けるや否や、大也は再び飛び出そうとするが。

 

「アルカナスターレインッ・・・・!」

「っぢ・・・・!」

 

大也狙いではなく、アンサー達狙いの攻撃に対処したことで。

まんまと逃げられてしまったのだった。

 

「ふぅーっ・・・・」

 

戦いで高ぶった心を静める様に、鈍く息を吐きながら。

納刀と同時に、変身を解く。

 

「あの、大也さん」

「ごめんなさい・・・・来てくれたのに」

「ああ、よか・・・・じゃなくて、いいんだよ。こちらこそ、及ばなくてすまない・・・・」

「大口叩いておいてこのザマ・・・・なんと詫びればよいものか・・・・!」

 

同時に、おずおずと歩み寄って来たあんなとみくるに、頭を下げられてしまった。

慌てて大也とモンドも下げ返す。

 

「それこそいいんですよ!」

「そうですそうです!わたし達だけじゃ、どうなっていたか・・・・!」

「ひょーや、もーど。いーこ、いーこ!」

 

それを目の当たりにして、さらに恐縮しだしてしまうあんな達。

ポチタンに至っては、大也達の頭を撫でていた。

 

「――――あの!」

 

癒されかけたところへ、第三者の声。

あんなとみくるは『あっ!』と、大也とモンドは首を傾げながら振り向くと。

 

「みんな、大丈夫?心配しました・・・・急にいなくなったから・・・・!」

「し、心配かけてすみません」

「会長さん、これ」

 

眼鏡をかけた少女が、言葉通りの表情で安堵していた。

ハンニンダーにされていたバッジは、彼女のものだったらしい。

無事に返却はされたものの、別の問題が。

 

「ありがとう・・・・けど・・・・」

 

困惑した顔で、モンドを見る少女。

どうやらモンドだけでなく、ポチタンまでもしゃべっているところも、バッッッチリ見られていたらしい。

 

「えっと・・・・」

「何を、どう説明したらいいか・・・・」

「け、決して怪しいものでは・・・・!」

 

あんなとみくるはおろおろ。

モンドに至っては、年長者としてなんとか切り抜けようとするあまり、怪しい人の言動をしてしまう。

――――すると。

 

「・・・・説明はいいよ」

 

彼らの悩みを察したのだろう。

 

「探偵には、秘密にしなきゃいけない決まりがあるんでしょ?」

 

少女は微笑みとともに、寛大な言葉をくれた。

 

「「えっ?」」

「言ったでしょ?」

 

ぽかんとするあんなとみくるに、少女は得意げに胸を張って。

 

「生徒会長として、あなた達の力になるって決めたから」

 

頼もしい宣言をしてくれたのだった。

 

「れいー!」

 

真っ先に反応したのは、ポチタン。

嬉しそうに破顔して、『れい』と言うらしい少女の胸に飛び込んでいく。

 

「れいさんだよ、ポチタン」

「いいよ、れいで」

 

慌てたみくるが窘めるも、れいはあんな達にも目を向けて。

 

「あなた達にも、そう呼んでほしい・・・・敬語も、いらない」

 

どこか、照れくさそうに笑ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「るるか、大丈夫?」

「ありがとう、マシュタン・・・・ぃ・・・・!」

 

怪盗団ファントムのアジト。

キュアアルカナ・シャドウに。

――――『森亜るるか』に、あてがわれた部屋。

 

「もう!女の子のお肌に、こんなこと・・・・次会ったらけちょんけちょんにしてやるんだから!!」

「ふふ・・・・」

 

大也達から受けたダメージは、変身していてもなお大きなものだった。

熱気にさらされ、赤くなってしまった場所に軟膏を塗りながら。

マシュタンはプリプリと怒りを露に。

一方のるるかは、そんなパートナーに微笑みを浮かべていた。

 

「でも、アタシ達の敵じゃないことが分かっただけでも収穫ね・・・・あんな初歩的な質問で言葉に詰まる様じゃ、まだまだだわ!」

「・・・・だけど、短期間で強くなったのも事実。優れた指導者が付いたにしても、驚異的な成長速度だよ」

 

『一昨日来やがれってんのよ!』と、シャドーボクシングするマシュタンだったが。

対するるるかは、落ち着かせるように諌言を口にする。

 

「・・・・私も、もっと強くならないと」

「るるか・・・・」

 

――――自らを膝に乗せ、ふわふわと毛並みを堪能しながら。

重い表情をするるるかを。

マシュタンは、気づかわし気に見上げていた。

 

(――――予言が、近づいている)

 

考えるのは、背負ったもののこと。

これからのこと。

そして、最愛のパートナーのこと。

 

(くれあの周りにも、妙なのがうろつき出したし・・・・油断ならないのも事実だわ)

 

く、と。

唇を噛む。

 

(『るるかの力になる』・・・・アタシも、口だけにならないようにする為には・・・・)

「――――マシュタン?」

「ッ、なあに?」

 

いつの間にか、考え込んでしまっていた様だ。

我に返ると、るるかが心配そうな目を向けている。

 

「どうしたの?」

「・・・・ちょっと、ね」

 

膝を上で、身を反転させて。

ちいさな手で、るるかを抱きしめる。

 

「あいつらを、どう『ぎゃふん』と言わせてやろうか考えてたの」

「・・・・そっか」

 

ウソではない意気ごみを伝えると、るるかは静かに微笑んでくれて。

 

(大丈夫よ、るるか)

 

マシュタンは改めて、その笑顔に寄り添うと決意する。




大也の技は、炎や太陽に関する、あるいは連想させる言葉を使う様にしています。
グレードアップすると、同じく炎や太陽に縁深い神様の名前を使う様にしたり・・・・。
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