妖精犯科帳   作:数多 命

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誠にありがとうございます。

誤字報告も大変助かっておりますが、『あえてこの表現にしてるんすよ・・・・』という箇所は修正しておりません。
ご容赦ください・・・・(頭を垂れて平伏)


拾玖

「――――と!言う訳で!」

「気を取り直して、るるかさんの調査!!行くわよ!!」

 

大也がるるかに宣戦布告した数日後。

警察による捜査も終わり、やっと規制が解かれたことで。

改めて、マコトジュエルが砕かれたという現場にやってきた一行。

 

「みくる殿、傷の具合は如何か?」

「無理はすんなよ」

「ありがとうございます!オミネさんのお陰で、ばっちりです!」

「それに、わたしとポチタンもいるので!」

「ポチ!」

「大也さんこそ、腕の火傷は大丈夫なんですか?」

「ああ、ばっちりだ」

 

病み上がりを気遣い合いながらやってきたのは、取水棟のある湖だった。

 

「あっ、ここ来たことがある!」

 

真っ先に反応したのは、あんなだ。

 

「そうなの?」

「うん!小学校の頃の遠足で!あそこでお弁当のハンバーグを落としちゃったんだよね・・・・楽しみに取っておいたのに~!」

「それって最悪だねぇ」

 

思い出話に、『確かに悲しいのう・・・・』とモンドも一緒にしょんぼりしている中。

取水棟の色が違うことにもあんなが言及し始めると、

 

「って、いやいや・・・・森亜るるかの調査に来たんだろ」

「「はい・・・・」」

「ポチ・・・・」

 

我に返ったジェットが、彼女達を窘めた。

 

「モンドも頼むぜ、大人だろ?」

「むぅ、すまぬ・・・・食べ物の話となるとどうにも・・・・」

 

幾多もの犯罪者を捕らえて来た猛者と言えども、好きなものの話題となると夢中になってしまうらしい。

 

「――――やっぱり、未来のことは知らない方がいい」

 

モンドもあんな達と一緒に反省していると、湖を見つめたジェットがぽつりと零す。

 

「ジェット先輩?」

「お前達にも話しただろう、『未来は絶えず変わる』って」

 

首を傾げるあんな達へ、真面目な顔を向けたものだから。

その話を今初めて聞いた大也達も、自然と背筋を伸ばす。

 

「ウソノワールが、未來自由の書を使っているのを見て、思ったんだ・・・・答えありきで動くなんて、まっぴらだって」

「左様、それ即ち、己の意志を、心を・・・・放り捨てているのと等しいからのう・・・・」

 

モンドもまた、深く頷いて同意すると。

 

「何より、恐ろしいものじゃぞ・・・・他者に答えを委ね切り、思考を放棄した集団というものは」

 

ハンバーグで一喜一憂していた先ほどとは、打って変わって。

真剣な顔であんなとみくる、それから大也を見る。

 

「お主達は、そうなってくれるな・・・・真実を追い求め、己で選ぶことを、捨ててくれるな」

 

それは、幾千、幾万の、様々な犯罪者と対峙してきたからこその言葉。

その重みが伝わったからこそ、若者達は己の一部とすべく、息と共に飲み込んで。

 

「「はい!」」

「分かった」

 

各々、こっくり頷いたのだった。

 

「――――手紙によると、半年ほど前にここでマコトジュエルが砕けたそう」

「ウソノワールが言ってたやつだね」

 

気を取り直して。

改めて手紙と照らし合わせながら、情報を確認する面々。

――――以前ウソノワールは。

一つの巨大な塊であったマコトジュエルを、あと少しのところで手に入れようとしていたらしい。

寸でのところで、『キュアット探偵事務所の手の者』によって阻まれたが。

結果としてマコトジュエルは砕け散った。

そしてまことみらい市を中心に、あちこちに散らばっていったと言う。

今、あんな達が怪盗団と取り合っているのは、その欠片なのだ。

 

「で、森亜は?」

「その直後に行方を眩ませちゃったって・・・・」

「手紙で分かったことはそれだけか・・・・」

 

・・・・正直。

るるかの目的を知るには、情報が心もとなさすぎる。

他に手掛かりはあるのだろうか。

あるとしたら、どこに。

 

「――――なるほどね」

 

考え始めた、その時だった。

 

「大した事、書いてないんだ」

 

行き止まりであるはずの、取水棟から歩いてくる人物。

るるかだ。

 

「ッ森亜・・・・!」

 

大也は即座に十手に手をかけ、るるかを睨みつける。

 

「アルカナ・シャドウ・・・・ううん、森亜るるかさん!」

 

遅れて身構えたあんなごと、無視しながら。

大胆にも脇を通り過ぎていくるるか。

 

「どうしてファントムにいるの!?」

 

そんな彼女へ、あんなは果敢にも問いを投げる。

 

「・・・・知ってどうするの?」

 

歩みを止めないまま、吐き捨てて立ち去ろうとするるるか。

 

「ちょっと・・・・!」

「ッ待てや!オイッ!」

 

『お前には何もできない』とばかりの態度。

あんなは手を伸ばし、大也に至っては飛び掛かろうとして。

 

「わ・・・・!」

「ッ・・・・!」

 

しかして、突如として吹き荒れた突風に視界を奪われてしまう。

風が止む成り、慌てて前を見るが。

一瞬の間に、るるかは忽然と姿を消してしまっていた。

 

「・・・・クソッ」

 

大也は十手を修めながら、るるかが去った後を睨みつける。

 

「あの、大也さん」

「何かあったんですか?」

「ぁ・・・・ああ、すまん・・・・」

 

その、ただならぬ雰囲気に、あんなとみくるが思わず問いかけると。

自分が酷い顔をしていると気付いた大也は、ばつの悪そうに頭をかく。

 

「・・・・ちょっと、色々あったんだ」

 

そして、落ち着きを取り戻しながらも、るるかが去った後をしばらく見つめていた大也は。

それきりを呟いて、黙りこくってしまって。

 

「「・・・・」」

 

そんな彼を目の当たりしたあんな達は、それ以上の追及が出来なかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――見えたわ!やっぱり重要な手紙だって!」

 

「手紙を切欠に、名探偵が新たな秘密を見つけるって占いに出てるわ」

 

 

「――――秘密?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――あんな?」

「急にどうした?」

 

さて、三度気を取り直して。

取水棟のすぐ近くまでやって来た一行。

するとあんなが、砂がつくのも構わず膝立ちになる。

 

「るるかさんの手掛かりがないかなーって」

「この辺りは、ロンドン本部のみんなが徹底的に調べたそうだ」

「となると、そう簡単に見つかるとは・・・・」

 

しゃがんでまで探す彼女へ、ジェットは知っていることを。

モンドは発見までの道のりが、遠いことを口にした。

確かに調査済みと来れば、一見手掛かりはなさそうに見えるが。

 

「自分の目で確かめたいの」

 

あんなはとうとう這いつくばってしまいながら、真剣に観察を始める。

 

「るるかさん、悪い人じゃないから」

「・・・・何故、そう思う?」

「あの時、助けてくれた」

 

モンドが問いかけると、姿勢を変えないままあんなは答える。

 

「これって証拠もないし、本人も予言が出たからって言ってたけど・・・・助けられたのは、ホントだから」

「確かに・・・・あの時、わたし達を見捨ててもよかったのに、それをしなかった」

 

みくるも、同じ光景を思い出しているのだろう。

顎に指を当てて、ポチタンと一緒に大きく頷いている。

 

「ファントムにいる理由が、何かあるんだよ・・・・わたし、その理由を知りたい」

「うん、天才探偵が、ウソに覆われた世界を望むはずないもんね!」

 

・・・・ジェットとモンドが。

『自分で考えることの大切さ』について、話した直後だったからだろう。

安易な答えに満足せず、自らの目で真実を見極めようとする姿勢に。

年長者二人は、どこかくすぐったそうに笑い合った。

 

「ん"っん"・・・・これこれ、年頃の娘がそのような姿勢をするものではない」

「その通り!ボクの作ったミラールーペを使えよ、新しい手掛かりが見つかるかも」

「そっか!」

 

照れくさい気持ちのままに、揃ってあんなにアドバイス。

みくるも一緒になってミラーループを起動させ、改めて周囲を探っていく。

すると、

 

「――――はなまる発見!」

 

ほどなくして、何かを見つけた様だ。

走り出したあんなを追って、彼女が拾い上げたものをみんなで覗き込む。

 

「・・・・紙?」

 

メモ用紙サイズの、随分と古びた紙きれ。

中央に何か描かれていた痕跡があるが、今この場では確かめる術がない。

 

「これが手掛かりなの?」

「何も見えないな・・・・?」

 

一体何なんだろうか。

これは有用なものか、それとも違うのか。

考えかけた、その時。

 

「ポチー!!マコトジュエル!!」

「わ、ポチタン!?」

 

ポチタンが熱くシャウトしたと思ったら、肩ひもをあんなに引っかけて連れ出してしまう。

 

「ッ調査の途中だけど、行こう!」

「ええ!」

 

中断させられる形となってしまったが、ファントムにマコトジュエルを渡すわけにもいかない。

 

「もー!忙しいな!」

「致し方あるまい!!」

 

思わず悪態をつくジェットを、モンドが宥めながら。

一行は、ポチタンの引率で走り出していく。

取水棟と離れ、湖畔を通り、雑木林を抜けて。

 

「ッあれ?ここ?」

「ポチ!」

 

湖の周回道で、ポチタンは止まった。

 

「結構近かったね」

「さっきのとこからほとんど離れてないな」

 

現場が目の前であったことに拍子抜けしたものの。

『マコトジュエル、ないない!』というポチタンの主張を信じて、周囲を見渡してみると。

 

「あれ・・・・」

「あの人は・・・・」

 

一行が立っている、取水棟への道から繋がった本道。

鞄のそばに、男性が一人。

 

「宇都見さーん!」

 

『誰だろうか』と首を傾げる大也とは対照的に、あんなとみくるは彼の名を呼びながら歩み寄っていく。

 

「知り合いか?」

「はい、わたしとあんなが、初めて解決した事件で会ったんです!」

 

みくる曰く、結婚式場でのティアラ盗難事件に置いて。

式場に雇われたカメラマンとしていたということだった。

 

「何か、探し物ですか?」

「あ、ああ・・・・カメラが無いんだ」

 

どこか強張った顔をしている『宇都見将太』は、あんなの問いかけにこっくり頷く。

曰く、『バッグの上に置いておいたカメラがなくなった』とのこと。

父親から譲り受けた、大切なものだとも教えてくれた。。

 

「きっと、ファントムの仕業だね」

「わたし達に任せて下さい!」

「何か、気付いた事はありませんか?」

 

早速手帳を開き、聞き込みをするあんなとみくる。

問いかけに対し、宇都見はしばし悩んだ後。

 

「あ、そういえば・・・・あっちに、走っていく人影が!」

 

と、一点を指さしたが。

 

「あっちって・・・・」

「わたし達が走って来た道?」

 

そう。

彼の言う『人影』が去っていった先は、つい今しがた探偵達が通って来た道。

 

「・・・・誰かいたか?」

 

念のため大也が確認すると、モンドは宇都見にバレない様に黙して首を振った。

 

「とにかく、直接警察に行ってくるよ。ここ、携帯の電波が届かなくて・・・・!」

「・・・・蓋が」

 

大切なカメラが無くなって、相当慌てているのだろう。

慌てて荷造りをする宇都見だったが。

その様子を見ていたみくるは、ひっかかりを覚える。

 

「逃げ足の速い連中だ!無茶苦茶早く現場に着いたのに!」

「・・・・速く、ついた」

 

一方のあんなもまた、ジェットのぼやきにひっかかりを覚えて。

・・・・現着までの時間、いるはずの第三者。

そして、荷造りに手間取る宇都見。

 

「「見えた!これが答えだ!」」

 

『ひらめきの羽根』を散らしたあんなとみくるは。

 

「「犯人が分かりました!」」

 

自信満々に、宇都見へ宣言した。




オリジナルを続け過ぎると、原作を凌辱していないか気になってしまう・・・・原作沿いにすると、大也達が薄くなってしまう・・・・。
ううーん!!難しい!!!()
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