今度はおジャ魔女とコラボって、マジですか!?(平成女児並感)
「ねえ、ウソノワール様」
「一つ、お願いしたいことがあるの」
「あっ!若旦那さん、こんにちは!」
「ああ、こんにちは・・・・じゃなくて!?」
るるかの情報を求めて、恒例となり始めた探偵事務所への通い。
今日も今日とて顔を出すと。
チュチュでも見かける顔の一人、女子高生小説家の『来栖エリザ』が出迎えた。
ちなみに、大也に『若旦那』の愛称を付けたのも彼女である。
「なんでここにいるんですか!?」
「ふっふーん・・・・それはねぇ?」
ぎょっと問い詰める大也に、エリザは自信満々に胸を張って。
「わたしも探偵になったからです!」
「・・・・はあ?」
「大也さん、大也さん」
「あのですね・・・・」
事情を呑み込めず怪訝な顔になる大也に、あんなとみくるが事情を話してくれた。
――――最近小説家の賞を取り、益々精力的に執筆しているエリザ。
代表作である『探偵エリー』の続編を書くに辺り、取材として探偵事務所に乗り込んで来たということだった。
「というわけで!今日一日よろしくね!若旦那さん!」
「ええ・・・・」
ぺっかぺかの笑顔で宣言しながら、肩のモンドにも『よろしくね~!』と握手を求めるエリザに。
大也はたじたじになる他なかった。
モンドも、カラスの振りをしていても分かるくらいに困惑気味である。
「お~い、依頼人だぞ」
そんなところへやってきたのは、お菓子を買いに行っていたジェットだ。
「ようこそ!若旦那さん!お茶の用意を!」
「俺!?いや、やりますけど!?」
早速漂ってきた事件の香りに、エリザは大興奮。
勢いのままにお茶を指示された大也は、戸惑いのままに従い始めた。
「いきなり仕切ってる・・・・」
「どうなってるんだ?」
「小説のアイデアが浮かぶまで、一緒に探偵をすることになったの」
「そうか・・・・」
首を傾げるジェットの横で、彼が連れて来た男の子はずっとしゃくりあげていいる。
「うう・・・・ミーコ・・・・」
口にした名前から、どうやらペットが逃げ出してしまったらしい。
ルンルンだったさすがのエリザも、真剣な面持ちになりながら。
今回の依頼人、『虎太朗』を応接ソファに座らせたのだった。
依頼内容はやはり、『行方不明になったペットの捜索』だった。
探すのはメスの三毛猫『ミーコ』。
大人しい性格の3歳で、彼の母が美容室にいった後にいなくなったとのこと。
捜索自体はあんな達に任せて、大也とジェットは、虎太朗と共に情報提供のビラ配りをすることに。
「早う見つかると良いがのう・・・・」
「ああ・・・・っと、すみません、猫を探しています」
モンドとこそこそ会話しながら、道行く人々に情報提供を呼び掛けていると。
「あら、中村さん」
「帆羽さん」
買い出し帰りらしいくれあと遭遇した。
「探偵のお手伝いですか?」
「ええ、迷子の猫探しです」
「まあ、それは心配ですね・・・・」
『見せてもらえますか?』というくれあにチラシを渡せば、彼女はしばし考えこんで。
「・・・・これ、チュチュにもいくつか置いてもいいでしょうか?お客さんからも、何か情報がもらえるかも」
「なるほど!・・・・でも、いいんですか?」
「はい!」
申し出はありがたいが、人の厚意に乗っかるのに罪悪感を覚える大也。
しかし、
「お姉さん、手伝ってくれるの!?」
「もちろん!さすがに店長に聞いてからになりますけど・・・・」
話しが聞こえたらしい虎太朗の、キラキラとした目を前にしては。
遠慮の気持ちも鳴りを潜めるのだった。
「それじゃあ、お願いします」
「お願いします!」
「ふふ、はい!」
虎太朗と一緒に頭を下げれば、くれあは寛大な笑みを浮かべながら。
大也の持っていたチラシの一部を持っていったのだった。
「・・・・猫、見つかるといいな」
「うん!」
ほっとした顔でくれあを見送る虎太朗へ、大也が笑いかけると。
はにかんだ笑顔が返って来たのだった。
「・・・・それは、なぁに?」
「あっ、うちの猫を探しています!」
「・・・・一枚もらう・・・・見つかると良いわね」
「はい!ありがとうございます!」
「未來自由の書の予言・・・・迷子の猫・・・・」
「――――なるほどね」
一方のあんな達はというと、結果は芳しくなかった。
エリザの猫になり切ったひらめきや、プリキット・グミを使った猫達への聞き込みも行ったが。
今のところ、有力な手掛かりは掴めていない。
「ごめんね・・・・私が、二人の足を引っ張っちゃって・・・・」
「そんなことは・・・・!」
このくらいの空振りは、あんなとみくるにとっては慣れっこだったが。
今日が初めての、本格的な探偵業だったエリザにとっては。
落ち込むのに十分すぎたらしい。
「やっぱり小説とは違うよね・・・・こうして推理も失敗ばかりだし・・・・」
「大丈夫です!エリザさんならきっと事件を解決できます!」
あんなの言葉は、本心だ。
『成り切り』。
つまり、対象の思考をトレースして、行動をを予測するという観点は目からウロコだったし。
他にも、小説家ならではの意見が次々出てきて、本当に興味深くて勉強になった。
「ううん・・・・無理だよ・・・・」
だが、気が沈んだ今のエリザには届かない。
「小説みたいに、上手くいかない・・・・」
すっかり元気をなくしたエリザに、あんなは何と言ったものかと言葉を失ってしまったが。
「確かに、小説とは違います!」
みくるは違った様だ。
「みくる?」
エリザと一緒に、あんなも動揺する。
普段の彼女からは考えにくい、だいぶ厳しい言い方。
しかし、ただ現実を突き付けているわけではないと、信頼しているからこそ。
あんなは見守りに徹した。
「エリザさんは、諦めかけてる・・・・でも、エリーは言っていました。『諦めない心が、真実のページを刻む』って!」
「ぁ・・・・!」
まさしく自分の書いた一文に、目を見開くエリザ。
変化した表情を目の当たりにしたあんなは、まるで光を見つけた様だと思った。
「エリーなら絶対!最後の最後まで真実を解き明かそうと頑張るはずです!」
そして、みくるもまた。
あんなが信じた通り、エリザを励ます言葉を送ったのだった。
『名探偵は、諦めない』。
自分達も大切にしていることに、エリザもまたとっくに気付いていたのである。
「・・・・そうだね」
みくるの言葉を受け、打って変わって明るくなったエリザは。
「私も・・・・諦めない!」
力強く、宣言したのだった。
すっかり元気を取り戻した様子のエリザに、ほっとするあんな達。
「きあめない!」
「「ああッ!?」」
「えっ?」
――――途中、ポチタンがうっかり声を上げてしまうというハプニングを挟みつつ。
もう少しだけ考えた三人は、『行き詰ったら最初から』の鉄則の下。
改めて虎太朗に話を聞くことにしたのだった。
「そうと決まれば、虎太朗くんのところに行きましょう!」
「『行き詰ったら最初から』!探偵の鉄則です!」
「なるほどー!それじゃあ、行っくよー!」
「「「おー!!」」」
「――――ミーコについて、教えてほしい?」
「改めて教えてくれる?何かいつもと違ったなぁってところとか」
無事に大也達ビラ配りチームと合流したあんな達探偵チーム。
質問を受けて、虎太朗は『ううん』と考え出して。
よくよく考えれば、彼はミーコがいなくなったのを母からの伝聞で知ったのだ。
行方不明になった、詳しい経緯を知っているわけでは無い。
「そういえば、お母さん・・・・美容院に行ったんだよね?いつもと違う髪型に、ミーコちゃん驚いちゃったとか?」
そのことを思い出したあんなが問いかける。
たかがヘアスタイル、されどヘアスタイル。
短くなるだけでも、人間でも驚くくらいに印象が変わるのだ。
猫のミーコにとっては、それこそ家族ではない赤の他人に見えるのも仕方ないという考えからだったが・・・・。
「お母さん、全然髪切ってなかったよ」
虎太朗は首を横に振った。
『あらっ?』と、今度はあんな達が首を傾げる。
「じゃあ、髪の色を変えた?」
「変わってなかった」
「どういうことだ・・・・?」
みくるの問いかけにも、首を横に振る。
髪を切った訳でも、染めたわけでもない・・・・?
では、虎太朗の母は何をしに美容院へ行ったのだろうか?
「・・・・むっ」
「モンド?」
揃って悩み始める中。
ふと、モンドが何かに気が付く。
軽くつついて、大也に指し示した先は。
「ペットサロン・・・・?」
「えっ?」
大也の呟きが聞こえたらしいあんなとみくるも、揃ってそちらを視界に入れて。
「「・・・・あっ!」」
『ひらめきの羽根』を散らす。
「「見えた!これが答えだ!」」
『おおっ、来たな!』とジェットが期待を込めた目を向ける中。
二人は自信満々に、虎太朗とエリザに笑いかけて、
「ミーコちゃんは・・・・」
「きっとあそこだ!」
「今のいいね!エリーの決め台詞にしていい!?」
「エリーはとっくに決め台詞あるでしょう・・・・」
「何パターンかあってもいいじゃない!」
「ええ~・・・・」
「――――虎太朗くんのお母さんは、美容室には行ったけど、髪の毛の長さも色も変わってなかった」
「うん」
やってきたのは、一度足を運んだ河川敷。
堤防の上から一帯を見下ろしながら、虎太朗に確認を取るみくる。
「ということは、美容室にいったのはミーコちゃん!」
そう。
見せてもらった写真のミーコは、だいぶ毛足の長い猫だった。
種類によってはそれでもいいだろうが、ミーコの場合はそれでは困ることがあったのだろう。
「つまりそれって、トリミングサロンで長い毛を切ってもらっていたんだ!」
それが示すところは、つまり。
「実はもう、わたし達はミーコちゃんに会っていた!」
「なるほど、写真が美容室に行く前のものだったから、見逃していたのか」
そして、ミーコに成りきって推理したエリザが正しかった証明にもなる。
そのことに気付いたエリザは、安堵した顔で頷いていた。
「ここで最初に見つけたあの子が、ミーコちゃんだ!」
最初の捜索で、逃がしてしまった三毛猫。
あれこそが、探していたミーコだったわけである。
「ミーコ!どこにいるのー!?」
早速あちこちに呼びかけ、ミーコを探しだす虎太朗。
「ミーコちゃーん!」
「どこだー!?」
大也とジェットもまた、ミーコを刺激しないように意識した声音で呼びかけ始める。
「――――なりきりひらめき!」
と、ここで。
エリザは猫耳のカチューシャを取り出すと。
再び猫になりきって茂みをかき分け。
「私の推理に寄れば・・・・ここのいるニャン!」
『なりきりってそういうことか』と、目を見開く大也の前で。
茂みの向こう側に出てみれば。
「――――遅い」
――――たくさんの猫達に囲まれる中。
よりにもよってミーコを抱きかかえたるるかが、待ち構えていたのだった。