ようこそデカグラマトンのいる教室へ   作:和崎

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今回は色々と視点が変わります。ご容赦ください。


突入

 

 

 伊吹 side

 

 

「それにしても意外だったな。無能な軍の連中が船を出発させてたなんてよ」

 

「あぁ、何が慎重に装備を整えてから向かうだ。無人島の爆弾処理に手間取っているだけじゃねぇか」

 

「ま、あいつらにはとっとと俺達の島を取り返してもらわねぇとな。あそこには大事な俺達の宝が置きっぱなしだからよ」

 

 

 酒を飲みながらそのように話す連中を視界に入れる。さっきのあいつが例外だったみたいで私はこいつらには見えていないらしい。

 

 こいつらが話に聞いた島民だろうが、随分と油断しているな。私が暴れる暇もなく、制圧できそうだ。さてと、さっさと機械を探してあいつに報告するか。

 

 

「しかし、だったらあの機械を使って警官を向かわせる必要もなかったな」

 

「あのゾンビ警官か。笑えたよな、あの警官達の悲鳴ときたら。最高だったぜ」

 

「確かにな。俺達に一丁前に何か言ってやがったが、俺達に協力した時点で使い潰されることは分かっていたはずだろうに。自分達だけは大丈夫だと思い上がるから、こういう目に遭うんだ」

 

 

 なるほど、こいつらはクズだな。それも典型的な小物っぽいタイプの。それに酒を飲みながら、大声で喋れているってことは周りの奴らも知った上で黙認しているんだろうな。

 

 

「そういえば、聞いたか? あいつらが乗っている船にも爆弾があるらしくてな。この港に寄ってから別の船で俺達の島まで行くみたいだぜ。そのついでに軍隊が俺達を捕まえるためにここに来るんだと」

 

「その情報、誰から聞いたんだよ?」

 

「警察だよ、警察。あいつらまだ俺達のことを信用してんのか? そこまでマヌケだとは思わなかったぜ」

 

「まぁ、俺達に逃げるという選択肢はないわな」

 

「あぁ、この戦闘型ゾンビを作り出す機械。通称、『トワイライト』があれば、軍隊など恐れる必要はねぇ」

 

 

 それがオカルトの機械か。私的にはこれは壊した方が良いんだろうけど、証拠になるっていうのならそのままにしておくしかない。

 

 情報は集まったし、そろそろ戻るとするか。こんなところにいるだけで何人か殺したくなってくる。まぁ、この衝動は前からあるんだけどな。

 

 

「どうだった?」

 

 

 預言者の一人、確かホドって言ったか。そいつが尋ねてきて、私はさっきの島民の居場所や機械の位置、機械の性能などを説明した。

 

 

「黒幕のような島民の居場所は分かったけど、それ以外の島民はどこにいるのか教えてもらっても良い?」

 

「あぁ、他の奴らは各々の部屋にいる。大広間で酒を飲んでいた奴らを除いてな。ただ、ここの従業員もゾンビ化してるから、ここはもう島民達のアジトみたいなもんだな」

 

「となると、ゾンビ化できる条件はもしかして……」

 

「多分、生きている人間であることだと思う。つまり、連れてきた兵達はゾンビ化する可能性があるから、周りを見張らせるだけにしておくべきだと思う」

 

 

 もっとも、話を聞く限りでは兵達はホドが島民を殺さないかどうかを見張るために来たようだから、その指示は聞けないと思うけど。

 

 

「私としては、機械を先に回収しておきたい。変なことをされる前にこちらの手元にあった方が良いと思うし」

 

「いや、あの機械がどういう物か分からない以上、島民が起きている状態で回収するのはマズい。私達はともかく、周りにいるのが生きた人間だってことがこんな足枷になるとはな」

 

「じゃあ、あの機械を島民の手が届かないところに持って行ってくれないかな? それなら、安全でしょ」

 

「分かった。突入した時にあれを使われると面倒だからな。じゃあ、私はそんな風に行動しているから、終わったら戻ってくる」

 

 

 暴れることはできそうにもないが、忍者としてやっていた仕事がこんなところで役に立つとはな。まったく、嫌になる。

 

 

 

◇

 

 

 

 櫛田 side

 

 

 今まで戦ってきた軍人と一緒に作戦行動をするのは変な感じがするけど、要求したのはこっちだし、受け入れるしかないよね。

 

 

「お前がホドだな。茶柱さんから話は聞いている。少しでも変な真似をすれば容赦なく敵対するということを忘れるなよ」

 

「分かってるよ。そっちこそ忘れないでね。何を使ってくるか分からない島民と私を両方相手にしている余裕なんてないってことにさ」

 

「心に留めておこう」

 

 

 私は一緒に作戦行動をするっていうだけで、軍の下についたわけじゃない。でも目的は同じだし、指示には従っておこう。

 

 

「お前には必要ないと思うが、念のためにこの銃を渡しておく。中に入っているのはゴム弾だから、島民に向けて発砲してほしい」

 

「ゾンビにはどうやって対抗するの?」

 

「そもそも、お前にゴム弾の入った銃を渡したのは島民をビームで殺さないようにするためだ。つまり、我々にゴム弾の武器はない。だから、ゾンビ相手なら普通に銃で撃つ。お前もゾンビ相手ならビームを撃っても構わん」

 

「なるほど、でもゴム弾は私に必要ないかもっていうのはどういうこと?」

 

「我々は島民相手に格闘術で取り押さえるように告げられている。オカルト以外に対しては銃が使えないからな。お前は近接戦に弱いとは思えんが、念のために持たせておけと茶柱さんからの命令だ。ありがたく受け取れ」

 

「分かったよ」

 

 

 やっぱり、本物より優しいな。本物は絶対にこんな気遣いはしてくれないから。ていうか、あっちが本物で良い気がしてくるんだけど。

 

 

「さて、そろそろ突入するが、準備は済ませたか?」

 

「私の方はいつでも行けるよ」

 

「では、先ほどから裏で手を回していることがあるようだが、あれについての準備はどうだ?」

 

「あれ、バレてたの?」

 

「お前が誰かと話していたことはバッチリ見ていたぞ。誰と話しているのかは分からなかったが、作戦に役立つのなら止めはしない。それで、そちらの準備はどうだ?」

 

「そっちに関しては準備っていうより、もう実行していると言った方が良いかな」

 

「なるほど、分かった。すぐに突入しよう」

 

 

 軍人達は相変わらず、判断が早いな。こういうところも厄介だったんだけど、今はそれが助かるかも。その後、軍人は警官隊に突入する旨を伝えに行ったけど、何か揉めているみたい。

 

 

「突入にはもう少し待っていただきたい。犯人がどこにいるのかも分からないし、無関係の島民を人質にしたらどうするつもりだ?」

 

「しかし、犯人達が我々に気づく前に制圧する必要があるのです! ゾンビ化させる装置をあちらは手にしているようですし、我々がゾンビ化させられたらこの周囲で暮らしている人達にも危害が及ぶのですよ!」

 

「そうは言ってもねぇ。犯人がどこにいるか分からない上に、探している間に気づかれる可能性が捨てきれないのだ。もう少し待ってくれないか」

 

「しかし!」

 

「話は終わりだ。それでも待てないと言うのなら、君達だけで突入しても構わんぞ。ただし、何かが起きた時の全責任は君達にあるからな」

 

 

 そう言って、警察は話を切り上げて作戦本部と思わしき、テントに戻って行った。警察としては場所を割り出すことを最優先にしているみたいだけど、もうどこにいるのかは分かっているんだよね。

 

 それに警察が言っていることも普通に正しいように聞こえる。島民達に私達の情報を流していなければの話だけど。おそらく、警察は島民達を逃がしたいのだと思う。けど、逃げないから時間を稼いでいるといったところかな。

 

 

「悪いな。あんなことを言ったが、もう少しだけ時間がかかりそうだ」

 

「いや、待つ必要はないよ。犯人達は大広間で酒を飲んでいるみたいだし、機械も犯人から離れた場所に置けるように仕向けてある。そもそも私だけが出発すれば、ゾンビ化する心配なく行けると思う。協力を提案した私が言うのも変だけど」

 

「そういうわけにはいかない。お前一人で行動させることの危険性は理解しているつもりだからな」

 

「じゃあさ、全部私のせいにしてみない?」

 

「……言いたいことは分かるが、良いのか?」

 

 

 私が頷くと、軍人はため息を吐いた。この案を実行すれば、私はずっと追われ続ける生活をする羽目になる。でもそれで障害を排除できるのなら、あの方の役に立てるのならそれで構わない。

 

 

「なら、行ってこい。少しの間なら目をつぶっておいてやる」

 

「ありがとう。それじゃあ、さよなら」

 

 

 私はヘイローを展開し、そのままホテルの中へと突入していった。目指すは大広間だけど、その間にいるゾンビの集団が邪魔すぎる。

 

 

「アァァァ……」

 

「どいて!」

 

 

 私はゾンビの眉間にビームを当てると、そのゾンビは消滅していった。不意打ちだったから簡単にやれたけど、今のビームで気づいたのかゾンビは私の方に向かって突進。

 

 ゾンビだから遅いということもなく、オカルトの名に恥じないほどの身体能力はあるみたい。でも、私だってオカルト。こいつらを殲滅することくらいわけない。

 

 

「次」

 

 

 突進してきたゾンビをビームで焼き払った後に自然と口からその言葉が漏れていた。ゾンビの相手は散々させられたからね。銃を持ってないだけ、前よりはマシかな。

 

 

 

◇

 

 

 

 軍人 side

 

 

 ホドが突入してから少しして、爆発音がホテル内から聞こえる。ホドがビームでも出して、ゾンビと戦っているのだろう。それに気づいていない警察はパニックになっているようだ。

 

 

「念のために聞くが、ここにホドはいるか?」

 

「いや、いませんね。どこ行ったんでしょうか?」

 

「まさか、ホテル内に行っちまったってことはないだろうな?」

 

「その可能性は高そうですね」

 

 

 警察にも聞こえるようにわざとらしく会話を続ける。すると、会話を聞いていた警察官が俺達のところに怒鳴り込んできた。

 

 

「オカルトから目を離すとは何事だ! これでは犯人確保どころか犯人が死んでしまうではないか!」

 

「そう言われてもですねぇ。あのオカルトは我々の指揮下にはいないし、何よりそちらの準備が終わらないことには突入ができませんからな」

 

「えぇい、黙れ! オカルトをなんとかするのが、軍の役目であろうが! 我々の準備完了を待たずに突入せんか!」

 

「いえいえ、貴方達も一緒に突入するのです。何せ、今回の任務は合同任務。我々、単独での突入はできません。我々も今回の件で全責任は背負いきれませんから」

 

「減らず口を叩きおって! 準備は完了していないが、我々も突入する! それで良いな!」

 

「ありがとうございます」

 

 

 ようやく、突入することができそうだ。ホドの話を盗み聞きしてなければ、こんな無理を通すような真似をせずに済んだのだがな。まさか、警察が島民と今も繋がっているとは。

 

 

「警察が突入したら、俺達も突入するぞ。ホドが行く場所は大広間だ。場所は分かるな?」

 

「勿論です」

 

「さっき、ホテルの構造が書かれている地図を見たばかりですからね」

 

 

 そうやって話している間に警察は突入するようだ。我々も突入しなければ、あいつらが何をするのかが分からん。

 

 もっとも、警察とは表向きには協力しないといけないんだが。警察が島民を逃す気なら無関係の島民だけは逃がしてやるとするかね。

 

 

「よし、それじゃあ行くぞ。目標は島民とホドの捕縛。島民が最優先だが、ホドの捕縛にも力を入れてもらうからな」

 

「まぁ、もう捕まっているかもしれないですけど」

 

「あぁ、そしたらホドの捕縛だけで話は終わる。もっとも、あいつが素直に捕縛されてくれるかは別の話だがな」

 

 

 俺達は警察の後を追う形で突入を開始。この時の俺達はホドが先に言ってくれたのなら、楽に任務が終わると思っていた。相手にするのもゾンビかホドだけだと思っていたからだ。

 

 それがまさか、あんなことになるなんて思ってもいなかった……と頭を抱える羽目になるのだが、俺達はまだそのことを知らない。

 




トワイライト

戦闘型ゾンビを作り出すことができる機械であり、島民達が利用していたものである。どちらの原作にも出てこない。
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