稲荷様はマブラヴ世界でも平穏に暮らしたい 作:名無しのペロリスト
二千人の兵士級で、佐渡島ハイヴに殴り込んだ。
島のBETAの確認や、間引きが目的であった。
しかし思った以上にあっさり殲滅できたので、そのまま敵の巣の中に突入する。
入り口付近で暴れ回ったあとに、任務内容と異なることに気づいて撤退を開始した。
なお私は、横浜基地の見学ツアーが終わったあと、帝都に戻る。
念話で通信は可能だが、基本的に確認メールや通話で対応していた。
そもそも超多忙なので、お世話係の
再提出をお願いしたりと、相変わらず休む暇がない。
ただ佐渡島の間引きは、全国ニュースにもなっているようだ。
神社の執務室で真面目に仕事をしていると、近くに置かれているラジオから定期的に流れてくる。
詳細までは語られないが、問題はないことはわかる。
横浜基地の関係者や、頭脳級からの追加の連絡はない。
つまり作戦は順調で、上手くいったのだ。
しかし重金属雲を使わずに、普通に泳いで上陸した。
BETAも予想外だったはずだ。
けれど敵も海中を移動するし、相手にできることはこっちもできて当然だ。
私もマグマの海で泳いだり、惑星間航行できるので、別におかしなことではない。
眷族たちを心の中で応援しながら、私も傾いた日本帝国を立て直すために、政務を頑張る。
江戸時代の征夷大将軍に戻ったような心境だ。
やがて本日の仕事を終えて、夕食の時間になる。
頭脳級から間引きが無事に終了して、横浜基地に帰還したと報告が入った。
それと同時に、勢いでハイヴに突入した記録映像と、その他要望なども届けられた。
私は駒木さんを呼んで、急いで書類を作成していく。
佐渡島ハイヴ攻略は、間近に迫っているのだ。
専用の戦術機は無理だとしても、せめてカロリーバーの味だけでも増やしてあげたい。
私だったらマジで苦行すぎて、その日の食事が喉を通らなくなりそうだ。
かなり切実だし、作戦行動から外れたことも、お説教をしておくべきだと思ったのだった。
それから時は流れて、いよいよ佐渡島ハイヴの攻略作戦の日になる。
なお、甲21号目標と言うらしい。
半島のハイヴと並んで、日本侵攻におけるBETAの前線基地だ。何としても叩いておきたい。
ちなみに今回は、私も戦闘に参加する。
立場的に旗艦で待機だが、私は光線級に撃たれようが突撃級に轢かれようが、死ぬことはない。
それに第二次世界大戦では、最前線で戦った経験もある。
色んな意味で、場馴れしていた。
しかし神皇である私が最前線で戦うならと、征夷大将軍の
さらには五摂家当主、全員がノリノリで参戦してきたのだ。
日本帝国の統治者と、その候補者が揃いも揃って前線に出て来た。
やっぱりこの世界の日本は、色々とおかしいと再確認する。
だが武家が、現代まで残っているのだ。
きっと、いつまでも鎌倉気分が抜けないのだろう。
いつまでも時代に囚われすぎである。
まあ、あっちの世界の私は、皆の先頭に立って戦っていた。
そんな日本の最高統治者の言えたことではないが、自分は死なないからいいのだ。
しかし彼らは人間で、ちょっとした怪我であっさり亡くなることもある。
特に由緒正しき家々なので、もしこの戦いで当主が死亡した場合の後処理が、凄く大変そうだ。
帝国斯衛軍も連鎖的に巻き込まれる。
帝都の守りは大丈夫なのかと、不安になる。
一応、必要最低限の兵力は残しているらしい。
それなら、まあ良いかと納得するしかない。
取りあえず出撃するのは良いが、無理はせずに危なくなったらすぐに下がるように命じ、護衛の兵士級を多めに割り振っておく。
ちなみに、私の近衛隊も全員出撃だ。
今回はお世話係の駒木さんたちの分まで、戦術機が用意されている。
なお、私は生身が一番強い。なので、機械には頼らない。
ロマン大好きで巨大ロボットを操縦したい欲はあっても、拘束具にしかならないため、やっぱりなしであった。
ただ兵士級たちは違うので、専用機があったほうが良い。
一応ガワだけはそれっぽいのができたが、調整が間に合っていない。
なので、今回も歩兵としての参戦だ。
地球を守るゲームでは良くあることだし、気にしてはいけない。
重戦車よりも頑丈で、殲滅力の高い歩兵って何だよとツッコミを入れたいが、気にしては駄目だ。
しかしあの世界の一般市民は、爆破されようと巨大アリに食われようが、平気で起き上がってくるし、細かいことはいいのだ。
やがて作戦が始まり、まずは国連の軌道爆撃隊が、突入弾を分離して大気圏外から投下する。
佐渡島ハイヴを狙って落としていく。
すぐに光線級が反応し、次々と迎撃されていった。
だがこれは作戦のうちであり、ハイヴの周辺に重金属雲が立ち込める。
環境汚染が気にはなるが、レーザーの威力を大幅に軽減できるので、生存率がかなり上がるのだ。
しかし私は、ここでふと疑問に思った。
「ハイヴの外の戦力は全滅させたはずなのに、もうこれ程の光線級を?」
艦橋に設置された画面を見ながら、率直な感想を口にする。
これに関して、香月副司令が反応した。
「これまでのデータにはない行動ね。
可能性としては、ハイヴ内が手薄になるのも構わず、戦力を割り振ったか。
それとも他のハイヴに、増援を要請したのか」
佐渡島の反応炉のG元素も、限界はあるはずなのだ。
早急なBETAの増員はできないのに、間引きをしたとき以上の戦力が、短時間で補充されている。
何とも困ったことになったけど、強化されたのはこっちも同じだ。
「問題ありません。
戦力を増強しているのは、BETAだけではないのですから」
「そうね。こっちには貴女の眷族だけでないわ。
兵士級は、一日で千人以上も増やせる。
BETAも、増殖速度がとんでもなく早い。
決して楽な戦いにはならないが、それでも勝てる見込みは十分にある。
(本当は、私が直接殴り込むのが一番早いんだけど)
こっちの武士は、私に意見して聞く耳を持たないと、簡単に命を捨てようとするから困る。
なので私は作戦に参加することはできたが、旗艦で留守番だ。
神気を無駄使いできないので悪くない判断だけど、せめてもう少し近くで支援したり、様子を見たかった。
「何にせよ、短時間で戦力を増員したということは、それだけ人類を脅威と感じているのでしょう」
司令官も納得しているようだ。
難しい顔をして口を開く。
「BETAによる人類の分析が、進んだのかも知れんな。
我々を警戒していなければ、守りを固めたりはしまい」
それはそれとして、日本帝国の最高統治者である狐っ娘は、まだ出番ではない。
五摂家も参戦はしているが、兵士の士気をあげるのが目的だ。
私と同じで、最前線で戦うのは最後の手段である。
ただし、いざとなったら自ら武器を取って敵を打ち倒す覚悟はあった。
日夜、厳しい戦闘訓練も受けているらしい。
(五摂家が私を守ったり、露払いをしてるとか、そんな感じなのかな?)
あっちの地球でも、自衛隊はペロリストが多かった。
こっちでも、神様は大切にする風潮がある。
あとは単純に今ここで神皇を失ったら、日本帝国がヤバいことになる。
なので、絶対に守護ると考えているのかも知れない。
そういう意味でも、彼らの思考は鎌倉武士に近い。
そんな私は、艦橋で作戦の推移を見守る。
「貴方の眷族が、光線級を排除してくれてるわね」
香月副司令が戦況を分析しているので、私は冷静に思ったことを口にする。
「他のBETAの影に隠れて接近するのが、容易ですからね。
それに敵の正確な位置さえ判明すれば、遠距離からの狙撃も可能です」
高機動戦闘が得意で、蝶のように舞い、蜂のように刺す。
近寄ったあとは、ワンパンでBETAを吹き飛ばす。
何より光線級が攻撃すれば、敵の位置がモロバレになる。
今度はこちらから狙って、死骸ごと撃ち抜けるのだ。
他のBETAに守られていようと、関係ない。
スパロボのマップ兵器のように、直線上の敵全てが攻撃範囲だ。
ただし味方も容赦なく巻き込むため、事前の注意喚起は必須であった。
高火力の遠距離攻撃ができるのは、BETAだけではないのだ。
そして今回の作戦では、眷族に戦術機の護衛を任せている。
コンバットフレームや戦車に追従する歩兵という、地球を守るゲームに良くある配置になっていた。
実際には、歩兵が本体なのは言うまでもない。
ちょうど、重光線級が出てきたようだ。
甲板に出ている眷族たちが、色んな味のカロリーバーをモグモグしている。
そして片手間でバリアを展開して、休みなしに浴びせられ続ける光線を防いでいた。
命がけの戦いで、ハイヴ攻略は人類の悲願はずだ。
しかし兵士級たちがマイペースで、何処か呑気な雰囲気だった。
きっと親である私に似たのだろう。
でも、常に緊張状態では身が保たない。
肩の力を抜いても、自分の仕事はしっかりしているからヨシだ。
だが敵は、戦力を増強している。
こっちも間引きの時より、ずっと大勢で攻め込んでいる。
現有戦力で、佐渡島ハイヴの攻略は可能なはずだ。
問題は、BETAの対応能力である。
かつては光線級一つで、人類軍はたちまち劣勢になった。
以降は大きな変化はなかったが、先日は巣の外の敵を全滅させたのだ。
危機感を持って、急ぎ戦力をかき集めたのは明らかだった。
けれど
流石に数日では無理だとしても、あまり時間を与えるべきではない。
取り合えず00ユニットでBETAの情報を手に入れば、敵に関して何かがわかるかも知れない。
私は相変わらず行き当たりばったりで深くは考えていないが、それでも作戦が上手くいきますようにと、お母さんに祈る。
そして何かあった時のために、旗艦で待機するのだった。
<眷族専用総合掲示板>
名無しの頭脳級
圧倒的じゃないか! 我が軍は!
名無しの兵士級
見ろ! BETAがゴミのようだ!
名無しの兵士級
これで条件は全てクリアされた! チェックメイトだ!
名無しの兵士級
負ける気せーへん!
名無しの兵士級
EDFの優勢BGMを流せ!
名無しの兵士級
……おい見ろ!(BGM終了)
名無しの兵士級
負けフラグすぎて草ぁ!
名無しの兵士級
まあ、それだけBETAが油断ならん相手ってことや
名無しの頭脳級
そうだぞ。今は作戦を有利に進めてるかもしれんが、戦場では何が起きるかわからん
名無しの兵士級
せやなー。実際ハイヴ内に突入した部隊と、連絡が取れなくなったしな
名無しの兵士級
おかげでワイらを通して連絡取り合うことになったから、大忙しよ
名無しの兵士級
やることが! やることが……多すぎる!
名無しの兵士級
まあワイらの通信は身内だけのクローズドだけど、距離や電波は関係ないからね
名無しの頭脳級
しかしBETAが有線ケーブルを狙って破壊するとは、知恵をつけてきたな
名無しの兵士級
アレって故意なの? 偶然じゃなくて?
名無しの頭脳級
ケーブル断線だけじゃなくて、ハイヴ内を掘り進んで不意打ちしてきたんや
人類軍や人間についての理解を深めて、対策を講じた可能性が極めて高いぞ
名無しの兵士級
そっか、そりゃ人類と何十年も戦争してるし、こっちの手はお見通しか
名無しの兵士級
重金属雲の砲弾も、そのうち迎撃されなくなりそうね
名無しの兵士級
爆撃機を無効化するために光線級を投入したし、今は有効でもいつかは効かなくなるんや
名無しの兵士級
ほーん、そんな敵を相手に、人類君は良くもまあ余裕ぶっこいていられるわね
名無しの頭脳級
いや、どの国も割と青息吐息だぞ。アメリカが例外なだけで
名無しの兵士級
あとはBETAの被害を受けていない国も、割と他人事だったらしいわね
大量の難民が雪崩込んできたから、笑ってられなくなったが
名無しの兵士級
うーん、この戦争末期感よ!
名無しの兵士級
でえじょうぶだ! BETAが知恵をつけても、それを上回るパワーで粉砕すればいいねん!
名無しの兵士級
力こそパワーすぎない!?
名無しの兵士級
やはり暴力! ……暴力は全てを解決する!
名無しの兵士級
でもG弾は駄目! 絶対!
名無しの兵士級
名無しの頭脳級
んんー! 許可するー!
名無しの兵士級
許しが出たか!
名無しの兵士級
わあい!
名無しの兵士級
でも
名無しの兵士級
ワイら無視されて悲しい。いや、別に悲しくないわね
名無しの兵士級
せやせや。BETAに群がられる握手会なんて御免被るわよ
名無しの兵士級
しかしワイらを足止めする部隊だけは、ちゃっかり残してるんやなあ
名無しの兵士級
やっぱり知恵つけてない?
けどまあ
名無しの頭脳級
ハイヴにのりこめー!
名無しの兵士級
わあい!
名無しの兵士級
わあい!
名無しの兵士級
突撃ー!
名無しの兵士級
稲荷魂を見せてやる!
名無しの兵士級
敵の潜水艦を発見!
名無しの兵士級
駄目だ!
名無しの兵士級
駄目だ!
名無しの頭脳級
お前らがハイヴの攻略を進めてる間に、純夏ちゃん握手会が始まったわけだが
名無しの兵士級
純夏ちゃんはアイドル
名無しの兵士級
間違いない
名無しの兵士級
BETAにも大人気ね
名無しの兵士級
でも羨ましいとは思えない! 不思議!
名無しの兵士級
征夷大将軍もアイドル
名無しの兵士級
美人でカリスマもあるしね
名無しの兵士級
おかげで人類軍の士気がアゲアゲよ
名無しの兵士級
でも何で征夷大将軍だけでなく、五摂家まで最前線で戦ってるの?
名無しの頭脳級
コレガワカラナイ
名無しの兵士級
理解不能! 理解不能!
名無しの兵士級
お前ら鎌倉武士かよぉ!
名無しの兵士級
その通り!
名無しの兵士級
あながち間違いでもない
名無しの兵士級
ほんまこの世界は、色んな意味で魔境すぎる
名無しの兵士級
護衛の兵士級もいい仕事してますねぇ!
名無しの兵士級
偉い人なのに、すぐ危険に飛び込むし!
護衛する身にもなってください! お願いします!
名無しの兵士級
苦労してんな
名無しの兵士級
強く生きてクレメンス
名無しの兵士級
お母様なら、喜んでお供するんだけどね
名無しの兵士級
そりゃお母様に護衛は必要ないからね。一緒に突っ込んで暴れられるなら、大歓迎よ
名無しの兵士級
おや?
名無しの兵士級
BBBBB!
名無しの兵士級
進化キャンセルやめーや!
名無しの兵士級
レーザーが曲がってる! バリア強え!
名無しの兵士級
スパロボだと、サイズが戦艦ぐらいありそう
名無しの頭脳級
地球で活動可能なGP03か何かかな?
名無しの兵士級
その割には何かこう、動きが全体的にもっさりしてる
名無しの兵士級
地上や空の適性なさすぎて草ぁ!
名無しの兵士級
宇宙専用モビルアーマーかよぉ!
名無しの兵士級
エネルギー充填百二十パーセント!
名無しの兵士級
ゲロビ出たー!
名無しの兵士級
あっ、ハイヴが
名無しの兵士級
突入部隊がまだ中に居るのに
名無しの頭脳級
御冥福をお祈りします
名無しの兵士級
生きてるが!? 吹き飛んだのは地上部分だけなんだが!?
名無しの兵士級
せやぞ。事前に退避勧告は出てたしな
名無しの兵士級
そうこう言ってるうちに、ゲロビ二発目や
名無しの兵士級
念には念を入れてるんやろ
名無しの兵士級
一発ぶちかましただけで、全部倒せるわけやないしな
名無しの兵士級
んっ? ……あれ?
名無しの兵士級
名無しの兵士級
何で! どうして!?
名無しの兵士級
墜ちたあああ!?
名無しの頭脳級
機体に異常はないし、純夏ちゃんの身に何かがあったのかも知れん!
名無しの兵士級
だっ、大丈夫なの!?
名無しの兵士級
(大丈夫じゃ)ないです!
名無しの兵士級
やべえよ! やべえよ!