えっ?!TSした僕が世界を救う?!できらぁっ!! 作:希捨酸
前回のあらすじ!
道に迷った主人公春風レイ!
なんやかんやで防衛軍とテロリストの戦いに巻き込まれる!
テロリストの目的はこの世界におけるSCP的なアレである反現実体『白の胎児』!
なんとか奪還はするものの部隊は壊滅。女軍人一人残して全滅。周囲は包囲されてしまう。
しかしそこで我らが主人公!レイ君が飛び出し白の胎児に触れる!
白の胎児は何の異常性もなかった…ハズだった。
しかしレイが触ったことで白い光の奔流が!
敵兵を全員気絶させ死んだ兵士を蘇らせると光は天に昇っていった……
…夢?
なんだかやけにリアルで……突拍子のない。そんな夢を見た。
目を開けるといつもの天井。
まあそうだよな。起こるはずない、あんな訳の分からいこと。
「んんぅ……」
ん?
身体を伸ばすと、何か女の子の声がした。
ゲームを開いたまま寝たんだっけかな?
でもこんな声のキャラ居たっけ…?
身体を起こすと服がずれ落ち、止まる。
あれ?この服こんなに大きかったっけ?
ん?……止まる?
そう、服は途中で引っかかっていた。胸に。
「…………???????」
頭痛がしてきたな…
思わず頭に手をやると長くてサラサラな髪が手に触れる。
「え?え?」
女の子の声…違う、俺の声だ。
俺…俺……
「女の子になってるッッ?!?!!?」
─────────────────────
落ち着け……俺はいつでもクールで冷静な男…男?
いやッそんなのはどうでも……良くないけどッ!!
とりあえず現状把握だ。今分かってることは……
・朝起きたら女の子になっていた。
…だけ?
よく考えてみたらなんにもわかんねえッ!なんで女の子に?てか学校どうしよう!今日は休みに……声変わったから電話できねぇ!!
いや、落ち着け…落ち着くんだ俺。俺は冷静沈着でクレバーな男……とりあえず心は男だ。
そう、学校は連絡なんてしないで休めばいい、学校は今はどうだっていい!!さっさと元の身体に戻らないと!
…手がかりは一つ……夢だ。というかそれくらいしかない。あのトンチキな夢は夢じゃないかもしれない。
なら夢で見たあの場所に行ったら何かが分かるかもしれない。
サイズが合わないのに捨ててなかった古い服を引っ張り出して…これでも少し大きいけど。
ベルトをめいいっぱい締めて立ち上がる。
善は急げだ!とりあえずあの場所に行ってから考えよう!!
靴をどうにか履いて…ドアを……
ドンッ!
ドアが向こう側の誰かにぶつかる。
「す、すみません!!」
急いでドアの反対側を見ようとすると。
「動くな」
ドアの前には4、5人の大人。
全員が同じ制服を着て…同じ銃を持っている。
そして不幸なことに…その銃口は全て俺に向けられていた。
真ん中に立つ男が口を開く。
「両手を上げろ。」
威厳を持った。一切の反論を許さない声でそう一言。
「はひゃぃ………」
俺は情けない声を出しながらゆっくりと、その指示に従った。
左右から両肩を掴まれる。車に押し込まれ、しばらく揺られる。
窓は真っ暗で外の様子は分からないが、かなりのスピードを出しているのを感じる。
十数分経つと車は静かに止まり、降ろされた。周りを見ても建物の中で駐車したようでここがどこか見当もつかない
そのままエレベーターで地下──いったい何階まであるんだ?際限なく下がっていく。エレベーターの中は頑丈そうな無骨な造りでボタンも何も無かった。
しばらくするとエレベーターは動きを止め、小部屋に連れていかれる。
たぶんこの後の発言が、選択が、決断が俺の人生を大きく左右する。そんな気がする。
意を決して、俺はドアを開いた。
─────────────────────
「さて──」
真っ白で汚れを知らない大地が切り裂かれる。
「まず始めにお前の現状を教えてやろう。」
切り裂かれた片割れが無惨にも串刺しにされる。
「お前は
そしてそのまま持ち上げて……
「あの……」
「なんだ?」
意を決して俺は口を開く
「なんで…ケーキを??しかもホールで???」
びっくりしたよッ!部屋に入ったらなんかケーキあるし!食べてるしッ!
なんなんだよ……実は全部ドッキリでお茶の間で笑いものにされているのか…………?
「いくつか理由はある。」
あっ答えてくれるんですね。
「一つは私の趣味だ。納税者の血税でタダで食えるからな。」
それでいいのかNTPD。税金に悩まされてる近所のトメさんに謝ってほしい。
「もう一つは──」
「へぇぁ!?」
一瞬のうちにリネアの顔が目前に迫る。
俺がまばたきする間に頭を掴まれ引き寄せられてたみたいだ。
「これが最後のマトモな飯になる奴が多いんだ。なら、美味いモン食えた方がいいだろ?」
脳裏に自分が牢獄に入れられ、泥みたいな食べ物を与えられる未来を幻視する。
「ただ、私もお前みたいな可愛らしい娘が二度と日の目を拝めなくなるのはすこ〜〜しばかり心が痛むからな。」
だから───
「正直に、話せるな?」
〜全力で説明中〜
「──で、朝起きたら女になっていたと。」
「だから、えっと、昨日のあの事件については何も知らないと言うか……」
尋問官だから流石というかなんというかとても聞き上手で自分でも訳の分からないことなのにすんなりと説明ができた。
聞き方は所々怖かったけど。
「……そうだな、少し話してもいいだろう。」
お前のそのなりでスパイなんてのは心配しなくてよさそうだしな、と続けた。
何も言い返せない……。
「お前が昨日道で拾った棒きれのごとく雑に扱ったアレはな、A級反現実体『白の胎児』だ」
A級……A級!?!?あれ……もしかして俺…国家レベルのとんでもないことをやらかしたんじゃ……
「おお〜、やっと事の重大さがわかったような顔をしているな。安心しろ、お前の想像する1000倍お前はとんでもないことをやらかしている。」
ああ…本当にもう二度と日の目を拝めないかもしれない…今からでもケーキを食べといた方がいいかな……
「まず始めに我が国の誇るG級反現実体、『オーディン』について解説しておこう。公式発表では新東京市内の人の位置を全て把握できるとされてるが、実はそれだけじゃない。」
そういえばそんなことをテレビで聞いた事がある気がする。
「コイツの本来の機能は範囲内の全ての物体の『抗現実力』まあ簡単に言うと反現実体の強さを測ることができる。」
「人間にも多少は抗現実力があるからそれを使って位置を察知。抗現実力には差があるからそれで個人を判別してるってことだ。」
「これを使ってお前を追跡できたし、お前が『春風怜』本人であり、それが女になったなんて言うバカバカしい話を信じたのもあの場所からお前の自宅に移動した痕跡が残っていたからだ。」
「─────そして『白の胎児』は実は何の特殊能力も確認されていないにも関わらずA級の反現実体だ。何故かわかるか?」
『オーディン』の話を踏まえるに…
「『抗現実力』がとんでもなく高かったから?」
パチン。とリネアが指を鳴らす。
「正解だ。数値にして他のA級反現実体の数十倍。そしてお前がアレを活性化させた後、一瞬にして消えた。」
「消えた……?回数制限があって使い切っちゃったとか?」
リネアは首を横に振る。
「回数制限や休眠期間を持つ反現実体は存在するがあくまで特異性を失うだけで抗現実力そのものが無くなる訳じゃない。────それがお前の性別を変える程度で消えてなくなった。」
俺にとっては『程度』じゃない!!
「そしてお前にとっていちばん残念なお知らせはここからだ。」
「朝起きてたら女の子になっててその上警察に連れてかれて…これ以上があるのかよ?」
「まあ聞け、反現実体が国家にとってどれだけ重要な存在かは理解してるな?」
「もちろん!大厄災後すぐに建物を建て直せたのも、電力とか食料問題が解決したのもあとは…地球温室化?が解決できたのも全部反現実体のおかげなんだろ?」
「というか…それと比べると『白の胎児』ってたいしたものじゃないんじゃないか?何の特殊能力もないんだろ?」
よく考えたら俺はたいしたことしてないんじゃないか?というか巻き込まれただけだし。
なんてことを考えているのが顔に出ていたのかリネアは額を抑える。
俺が数学の補習で赤点を取った時先生もこんな感じの顔をしてた気がする。
「もちろんそういった使い方もメインだが…。一番反現実体が役に立つ時は──戦争だ。」
「強力な反現実体は文字通り戦況をひっくり返す。各国は強力な反現実体を隠し持ちつつその存在をほのめかす事で国家間の平和を取り持ってきた。反現実体の数が多ければ多いほど戦争から国を遠ざけるんだ。」
「つまりはだな。今回A級反現実体を一つ無くしてしまった我が国は国防により力を入れねばならん。兵士の増員、兵器の開発、監視カメラの増設、その他もろもろ」
リネアは電卓を取り出す。
「そしてその予算が……だいたいこのくらいだ。」
いち…じゅう……と数えるまでもなく俺がいままで見てきたどんな数字より大きな数字。
「ああ、単位はドルだ。そしてお前が賠償しなくてはならない金額でもある。」
「えっ!?」
「そりゃあそうだろう?国によっては…いやこんなことやらかしたら我が国でも余裕で死刑だ。むしろ私が特別な権限で金で解決できるようにしてやったんだ。感謝してくれ。」
「ま、待ってよ!こんな金額…払えっこないよ!」
「安心しろ〜働き口はこっちで用意してやる。そうだな〜〜いまなら『クラブ76』、『夜の花園』ああ、あとは『女王と豚』が人材不足だったんだっけか?」
「い、いやだっ!!そもそも俺は男なんだぞッ!!そんな店で働くかッッ!!」
女の子ともそんなことしたことないのに!!
リネアは「はぁ……」とわざとらしくため息をついて紙束をめくる。
「あれも嫌、これも嫌か…。夜の店以外だと働けるのは…ああ、これがあったか。少しハードだが……やれるか?」
「やる!やります!!」
目の前に垂れた蜘蛛の糸を必死で掴む。
「そうか、ならここにサインしてくれ。」
目の前の紙にはこう書かれていた。
『NTPD雇用契約書』
ちなみにレイの反現実力は1776である。
「おっ結構高いんじゃないか?もしかして白の胎児の力が少し俺に…」
ホモ・サピエンスの平均的な値は2000である。
「平均以下ッ!!」
◇Tips
NTPDについて
日本語で書くと新東京市警察。
警察とは名ばかりで実情は国防軍兼情報局兼治安維持組織である。すごいね。
本文では語られないが上層部は腐っておりそれが『白の胎児』騒動に繋がる。
貧乏くじを引きたくない人達のせいで放置されていたがA級反現実体の喪失で危機感を持った内閣によって組織は一新、リネアがトップとなる新体制を始めた。
〜用語解説。重要度を添えて〜
重要度:高、覚えてね〜
・オーディン
なんか人とかの位置がわかるやつ。反現実体の強さがわかる。新東京市内での話では大抵出てくる。
・白の胎児
よくわからんやべーやつ。消えた?頻出ではないけど覚えておいてね。
・反現実体
やべえオブジェクト。能力、危険度は多岐にわたる。
・NTPD
つよつよ権力組織。主人公とリネアが所属。
重要度:中、うろ覚えで大丈夫
・大厄災
数年前のやべー事故。
・反現実体のクラス区分
多分AとGしか出てこない。Gの方がやばい
重要度:低、多分もう出てこない。
・抗現実力
オーディンと白の胎児の設定の為だけに出てきた。多分もう出てこない。
・厄災孤児保護法
なんでレイちゃん生きてるのってならないための設定。
・地球温室化
もちろんレイちゃんが間違えて覚えてるだけで地球温暖化のこと。昔のことなので覚えてなくても…仕方ない?レイちゃん、二週間前のテストで出てたぞ。
◇名前について
基本的に名前はフルネームまたは名前呼びです。
レイちゃんが春風と呼ばれることやリネアさんがジェーベリと呼ばれることは基本的にないです。
つまりは名前さえ覚えとけばいいってこと。楽でいいね!
名前が増えてもいいことは無いのでね。