クチュリエールとブロッサムがタマチャン・ジャングルに入る三ヶ月前。熱狂的なファンからスナイパースリケン投擲用ガントレットを贈られたクチュリエールは練習を兼ねて仕事が無いかIRC端末で窓口役のニンジャに確認を取ったが、今のクチュリエールとブロッサムに任せられる任務は無いと回答が来たのだ。
窓口役からソウカイヤに戻って潜入やセキュリティ業務をして欲しいとゴネられたが、ソウカイヤ入りを断ったクチュリエールにはやる事が無い。仕方ないのでブロッサムと一緒にスナイパースリケン投擲用ガントレットの練習をする事にした。
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マッポーレベルの治安で有名な一帯、コメダ・ストリート。クチュリエールとブロッサムはその地域一帯を見下ろせるとあるビルの屋上にいた。この地域の性犯罪サイコ等の犯罪者を的にした狙撃練習……サイバーツジギリ行為の為に来たのだ。
犯罪者に人権は無い。そもそもネオサイタマの人権はカチグミ限定のような物だが。クチュリエールとブロッサムの心情的にヨタモノの類への人権意識は皆無だ。実際ヨタモノの残虐性は比較的残虐じゃないニンジャとそう変わらない。
クチュリエールが両手に装着したスナイパースリケン投擲用ガントレットを構え、手回しピッチングマシン機構をカラテを込めて回しつつ待機している。ブロッサムは双眼鏡片手に見物中だ。
廃屋から性犯罪サイコがもう誰でも良いとばかりに道を歩く顔を隠した老婆に向かって飛び出した。クチュリエールは待ってましたとばかりにスリケンを発射!
適当な狙いのスリケンはホーミングして性犯罪サイコの股間に命中!腰を丸ごと吹き飛ばした!性犯罪サイコは飛び出した勢いのまま強かに身体を道路に打ち付け、千切れた両足はその場に転がる!老婆は腰から下が吹き飛ぶ性犯罪サイコを見て見た目に見合わぬ速度で逃げ出した!
クチュリエールは微妙なニンジャギアだと思っていたが、ニンジャが愛用するだけある威力をしっかり持っていた事を知って評価を改めた。
「スッゴイ威力でヤンス……ブロッサムもやってみるでヤンスか?」
「うん。アタイもちょっと気になる」
ブロッサムがクチュリエールから渡されたガントレットを身に着ける。撃った以上、周囲のヨタモノが警戒を始めるので狙撃位置を変更する。屋上から屋上に飛び移り、高層アパートの屋上に陣取った。
先程の老婆が通りを歩いてこちらに向かって来る。どうやらこの老婆はこの高層アパートに住んでいるらしい。ブロッサムが狙撃準備に入る。手動ピッチングマシン機構が桜色の光を帯び、ホイールにカラテを込めつつ手動で回転させる。桜色の光はブロッサムのジツであるサクラ・エンハンスメント・ジツだ!
先程走って疲弊した様子の老婆を見てチャンスと思ったのか、老婆に武装した六人のヨタモノが群がる。ブロッサムはクチュリエールから渡されたチャクラムスリケンを発射!
桜色に光るチャクラムスリケンが目にも止まらぬ速さでヨタモノ五人の首を刎ね、最後の一人の頭を割りながら爆発!老婆は再び慌てて走り出した!
「……スゴイね、このガントレット。……それにしても、治安ってここまで悪くなる物なんだ……」
「……マッポーな治安の地域とは聞いていたけど、ここまでとは思わなかったでヤンス……」
ヨタモノ達の死体にコメダ・ストリートの住人達が群がる。死体漁りだ。その様子を見た二人はその場から去って行った。
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重金属酸性雨が降りしきる真夜中のタマチャン・ジャングルの中を粗野なエンジン音と共に三台の武装ビークルが走る。目指すはヨロシサン製薬のバリキドリンク工場跡地だ。
武装ビークルは四基の漢字サーチライト、最新型マシンガン、タケヤリで武装している。一台でヤクザ一個中隊を相手に出来る程の戦闘能力を持った車両だ。
車内には武装したクローンヤクザ達が乗り込み、武装ビークルの一台にはヨロシサン製薬バイオテック部部長のオダワラが乗り込んでいた。オーダーメイドのスリーピーススーツにナチスめいた赤いレンズの丸いアイグラス付きのガスマスク、ヨロシサン製薬の社章入り規格帽、そして強化PVC製の黒いロングブーツに身を包む重役の風格を持つ男だ。
彼は一時間程前の報連相もろくに出来ない能無し研究員との会話の苛立ちで青筋を立てていた。
クローンニンジャ計画の証拠隠滅を果たさねばならないが、何日も電話に出ないような連中では証拠隠滅は望めないだろう。既にマッポも動き出している。クローンヤクザを使って研究員ごと全て消さねばならない。
バリキドリンク工場跡地が見えてきた。何故か正門近くに小さなジャングル仕様のキャンピングカーがこちらを向いて停車している。少女が乗っているが、車に貼られた「紛うことなきハンター」、「実際スゴウデ」のステッカーがオダワラとクローンヤクザ達に少女を油断ならないハンターと認識させた。
オダワラは有線LAN直結したIRC越しに指示を出し、武装ビークルでキャンピングカーを包囲する。更にクローンヤクザ達を展開して銃を突きつけさせた。
「出て来なさい、そこのお嬢さん。ここがヨロシサン製薬の土地だと知って不法侵入していたのかね?」
備え付けの拡声機でオダワラがキャンピングカーに呼びかける。キャンピングカーからサバンナルックを着てハンティングショットガンを肩にかけ、腰にカタナを差した少女が降りて来た。
「アタイは水牛殺しの猛獣狩りにやって来たハンターだ!この辺に出没すると睨んで張り込みをしている!お前達こそこんな廃工場に何の用だ!」
少女ハンターは武装ビークルやクローンヤクザに臆さず答えた。少女ハンターの胸は平坦だが、中々の美少女だ。オダワラは少女ハンターを捕まえて、証拠隠滅が終わったらファック&サヨナラしてジャングルに捨てる事でこの怒りを発散しようと考えた。
オダワラが車を降り、クローンヤクザ達に道を空けさせると、少女ハンターに歩み寄る。
瞬間、周囲のクローンヤクザ達の首が飛び、少し遅れて武装ビークルの窓が割れて運転ヤクザの首が飛ぶ!竹藪の中からスナイパーチャクラムスリケンによるアンブッシュだ!各武装ビークルに追加で一射ずつ撃ち込むとチャクラムスリケンが内部で反射し、武装ビークルの中は待機中のクローンヤクザのバイオエキスで緑に染まった!あまりの惨状にオダワラのニューロンがフリーズする!
更に目の前の少女ハンターから凄まじいニンジャ重圧が放たれてオダワラは腰を抜かして失禁!ニンジャ・リアリティ・ショックだ!
更にギリースーツの小柄なニンジャがジツ生成ギリースーツを分解しながら竹藪から飛び出して少女ニンジャと合流!オダワラのNRSが更に重篤な症状に悪化する!オダワラは口から泡を吹いて気絶!気絶させては情報を奪えない!やり過ぎたと思った二人のニンジャはニンジャ重圧を緩めた!
更に工場跡地の正門からバリキボーイの着ぐるみを着たナンシーと研究員の一人が駆けてくる!
「「ナンシー=サン!?」」
二人のニンジャ……クチュリエールとブロッサムはナンシーの格好に驚いた。
ジャングルの中でヘッドライトの光が輝く。レンジャーマッポ部隊の武装サファリジープが五人の元に近付いていた。
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「モウン……」
温泉旅館ニルヴァーナの薄暗い廊下を、ミニバイオ水牛のモウタロウがトボトボと歩く。
温泉旅行に来たノボセ一家のペット、モウタロウはノボセ・ムギコがムラハチ回避のために深夜番組の「ネコネコカワイイ」の最新有害プロモビデオ鑑賞を始めた為に放置されてしまったのだ。
モウタロウの不満は温泉旅館の廊下を探検することで解消されたが、人気のない旧館に迷い込んだ事で不安に苛まれた。
年代物の柱時計が鳴り、タングステン・ボンボリが明滅して鴨居に掛けられたハンニャ、テング、ヒョットコ等の儀式的オメーンを妖しく照らす。
不気味なアトモスフィアに恐怖したモウタロウは家族に抱っこして貰う為に来た道を後戻りし始めた。
モウタロウが暫く歩くと廊下の照明が消え、突き当たりの先から床板の軋む音が響く。
「……モウン?」
ムギコではないかと考えたモウタロウは一鳴きした。
「……MOURN(嘆く)……」
人間ではない人外の声が返って来る。照明が再点灯して長い怪物のシルエットが映り、影の正体が姿を現した!
モウタロウは恐怖に飲まれ、後ずさりする。前屈みの二足歩行、丸まった背中、両手に備わった刃物のような長い爪、口から生えた吸血器官、額の角、背中から垂れ下がる触手めいた物を持つ謎の影!チュパカブラだ!
腰を抜かし、一歩も動けなくなったミニバイオ水牛に一歩、また一歩とチュパカブラが歩み寄る。チュパカブラの身体にはスリケンが貫通した傷と直撃したオリガミスリケンの爆発による損傷、バリキドリンク工場でニンジャスレイヤーに痛めつけられた打撲痕が残っていた。
……その時、不意にチュパカブラの後ろに誰かが立った。
「ドーモ、チュパカブラ=サン。いや、チャベタ所長=サン。ニンジャスレイヤーです。やはりまだ人語を解するだけの知性は残っているようだな」
雷鳴が轟き、雷光が「忍」「殺」と刻まれたメンポを照らした。
チュパカブラがゆっくりと振り向き、ニンジャスレイヤーはハンドポケット姿勢を取った。
「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。チュパカブラです」
直後、チュパカブラに変形チョップ突きが突き刺さる!
「イヤーッ!」
「イ、グワーッ!」
ポケットを鞘に見立て、イアイめいて放つ少し内側に折りたたんだ右変形チョップ突きだ!チュパカブラの顎を貫き、吸血器官を切断!吸血器官を伸ばそうとした瞬間にカウンターめいて突き刺さったのだ!
チュパカブラの口から切断された吸血器官がボトリと落ち、たまらず口を押さえてのけぞった!
「イヤーッ!」
「アバーッ!」
好機を見逃すニンジャスレイヤーではない!続けて左手でイアイめいた変形チョップ突きを放つ!股間を撃ち抜き、掴んで引き千切った!
チュパカブラは悶絶しながらもなんとか堪え、ショージ戸を倒れ込むような体当たりで突破して逃走する!
「アバッ……私は、死ぬわけにはいかん! バイオテックの怪物チュパカブラとして、人間どもを恐怖に陥れ続けるのだ! イヤーッ!」
チュパカブラは竹林のバイオバンブーに飛びかかり、その弾性を利用した三角飛びでダイビング攻撃を敢行!アブナイ!
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
ニンジャスレイヤーは狙い澄ました対空ポムポム・パンチでチュパカブラを撃墜!のけぞって仰向け姿勢で墜落!
「イヤーッ!」「グワーッ!」
チュパカブラが墜落した瞬間にニンジャスレイヤーが両膝を踏みつけて破壊する!
「イヤーッ!」
そのままの姿勢で振るったチュパカブラの爪攻撃をニンジャスレイヤーは捻りをかけた宙返りで回避!
「イヤーッ!」「グワーッ!」
そのままチュパカブラの頭側に着地しながら両手に生成したスリケンを深々とチュパカブラの肩関節に突き刺して肩関節破壊!チュパカブラはもう芋虫めいた動きしか出来ない!
「オヌシ、怪物らしく恐怖に陥れるとか言っておったな。ならば珍獣らしく生きながら皮を剥ぎ、剥製にしてやろう!」
「アッ、アイエッ!」
ニンジャスレイヤーが耳元で行った皮剥ぎ宣言にチュパカブラは震え上がった!
「イヤーッ!」「グワーッ!」
「イヤーッ!」「グワーッ!」
「イヤーッ!」「グワーッ!」
「イヤーッ!」「グワーッ!」
「イヤーッ!」「グワーッ!」
「イヤーッ!」「グワーッ!」
「イヤーッ!」「グワーッ!」
「イヤーッ!」
ニンジャスレイヤーは宣言通りにチュパカブラの生皮を剥ぎ、首をチョップで刎ねてカイシャク!首から下が爆発四散した!
「サヨナラ!」
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ヨロシサン製薬バリキドリンク工場前。到着したレンジャーマッポ部隊の武装サファリジープから数名のレンジャーマッポと和服を血で染めたネオサイタマ市警の重鎮ノボセ・ゲンソンが降り、五人の元に近付いていた。
武装サファリジープのルーフ上にはバイオパンダの首が四方に据えられている。
オダワラはNRSで泡を吹いて気絶。研究員はぐったりとその場に座り込み、ナンシーはキャンピングカーの中で着ぐるみを脱いでいる。レンジャーマッポ達はマッポ視点でまともに話を聞けそうなサバンナルックの二人に歩み寄った。
温泉回なのに入浴シーンがまるで無いや。
Q.なんでニンジャスレイヤーは皮剥ぎなんてやらかしたんですか?
A.チュパカブラ狩りに来たクチュリエールとブロッサムから着想を得たチュパカブラの台詞に対する意趣返しです。
クチュリエールとブロッサムにプレゼントして本当に剥製にして貰うつもりです。
クチュリエールとブロッサムはUMAか新種のバイオ生物を仕留められたら剥製にしてソウカイヤのツテで売り飛ばすつもりでした。
斬首したのは頭部分の詰め物用ですね。
Q.ナンシーはなんで着ぐるみを着たんですか?
A.チュパカブラと遭遇してNRSを発症した影響でクチュリエールとブロッサムが待機している事を忘れて原作通りに着ぐるみでやり過ごすつもりでしたが、着ぐるみを着たあたりで二人の事を思い出し、慌てて外に出てきました。