忍殺世界にTS転生した話   作:下駄ロボ

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ドローカット・アンド・バイオディア

「この子、ニンジャだったわね……」

 

ホテルの一室、ダブルベッドの中で裸の背が高い豊満な美女、パープルタコが隣で眠る裸のミチルを抱き締め、頭を撫でながら呟いた。

 

ミチルの体格と体型はザイバツが指名手配するクチュリエールと一致するが、彼女達シテンノとシャドウウィーヴの五人をもてなしたスシのワザマエと調査した経歴が彼女の中でミチルがクチュリエールである事を否定した。

 

ミチルの経歴は店の休業と彼女の拘留を知ってからの三日間で調査済みだ。人となりも昨夜の〝付き合い〟で概ねわかった。ここまで〝尽くしてくれる〟娘にはそうそう出会えない。自分からキスまでしてくれて、とても満足できた。

 

ミチルはネオサイタマで父が経営する個人経営のスシ屋を手伝いながら暮らしていたが、ラオモト=カンが没した日にスシ屋が燃え、両親を失ってここガイオンに逃れて来たのだそうだ。ミチル曰く、瓦礫で強く頭を打ったのに気絶しただけで済んだとの事なので、彼女はこの時にニンジャになったのだろう。

 

記録に残っている犯罪歴は一件。護身術として修めていたイアイドーで自分を襲ったヨタモノを殺した正当防衛のみである。正当防衛が認められて不起訴になったので実質前科無しだ。

 

帰る家を失い、酸素コフィンやシャワー付のUNIX喫茶、カニ無しカラオケボックスといったマッポー施設をその日その日で使いながら火災保険が降りるまで暮らしていたミチルをヨタモノが襲い、監視カメラの前でミチルのイアイドーによって返り討ちにされたのだ。

 

ミチル曰く〝ネオサイタマではタフじゃないと生きられない〟との事らしい。

 

運悪くNS893便のマケグミ・クラスに乗っていたせいで貨物車両と一緒に切り離されても諦めず、列車強盗団からバイクか車を奪ってこのガイオンまで来るバイタリティはそういったところから来たのだろう。

 

どんなジツを持っているのかわからないが、独学でこのカラテを身に付けたのならば、そうそう死ぬ心配は無いはずだ。

 

ミチルをザイバツ所属のイタマエにしようにも若過ぎる事に困っていたが、ニンジャであるならば手元に置く事が十分可能だ。その事実にパープルタコは安堵した。

 

「うーん……イアイドーの使い手だから、ニンジャネームはドローカットにしようかしら……」

 

━━━

 

カナリハヤイ社のリキシャー・ガレージに戻った男がエントランスに置かれたターミナル装置に左手をかざし、社員全員の左手にインプラントされた発信装置付ICチップで認証を済ませた。

 

「オツカレサマドスエ」

 

電子マイコ音声が労をねぎらい、ターミナルのフタが開いて稼ぎを容赦なく回収する。 数百台のリキシャーが雑然と並ぶ薄暗いガレージのあちこちでタングステン・ボンボリが明滅し、配電盤や切れかけた高圧電線がバチバチと火花を散らした。

 

その下には、感電して死んだネズミたちの乾涸びた死骸が転がっている。錆びた大型ファンが軋んだ音を立てて回転し、「清潔」「速い」「やりがいがある」などと書かれた警句張り紙を揺らめかす。

 

「「タジモト=サン!オツカレサマです!」」

「オツカレサマ。サトウ、タナカ、俺のリキシャー整備しておいてネ」

「「ハイ、ヨロコンデー!」」

 

タジモトは所定の場所にリキシャーを止め、天井から給油レバーめいて垂れる薄汚いケーブル束を引っ張って支払装置に挿し、明日に備えて舎弟達に車体の整備点検を任せた。男の身体は八割以上サイバネに置き換えられていた。

 

「タジモト=サン!フロッピーディスクがありました!」

「ア? 何?見せてみなヨ」

 

タジモトは後部座席のザブトンを直していた舎弟からフロッピーディスクを受け取る。入念に書き込み禁止状態にしてあるところを見ると、かなりの機密情報だろう。 裏面を確認する。メモ欄にはヨロシサン製薬の社印と……「バイオ鹿兵器計画」の文字。ナムアミダブツ! 何たる邪悪な文言か!?

 

「ア? 何?ヨロシサン?イイネ、カネになりそうジャン……そうだお前ら、何時もの場所で集合ネ。今日もバリキナイトしようヨ」

 

フロッピーディスクを懐に収めたタジモトは舎弟達と一緒にカナリハヤイ社を後にした。

 

━━━

 

アンダーガイオンの一角、とあるL字路の先。

 

そこは隙間無く積み上げられた無数の赤いショーユドラム缶で行き止まりになっており、そこにタタミ百畳ほどの無法領域が広がっていた。

 

粉塵まみれのガレキ、棘だらけのレザーを着たモヒカンやチョンマゲたち、ブラックメタルを流し続ける重低音大型スピーカー、イカを焼くドラム缶、文字にするのも憚られる猥褻ネオンサインの数々、有刺鉄線で囲われた土俵……。

 

そして中央には、大型ハーレーによって牽引されるデコトラめいた改造リキシャーが一台! 座席部分はオーガニック・タタミと豪奢な紫色のフートンで作られている。

 

「ドーナノ?まだできない?」

「ヨロシサンの機密なのでかなり難しいッス。全部見るには数日かかりますよ」

 

タジモトはUNIXでフロッピーディスクを解析している舎弟の後ろからモニターを覗き込んでいる。モニタ上には『大変危険な』とメッセージが現れ、フロッピーの中から断片的にGREPされた大変危険な文字列行が表示されていた。

 

『ヨロシサン製薬、アンダーガイオン、違法に金を払う、ザイバツ・シャドーギルド』

 

「ア?ザイバツ?何それ?」

「聞いた事無い連中ッスね。ヤクザッスカ?」

 

タジモト達は内容に困惑しつつも無視する気にはならなかった。この日、タジモトが最後に運んだのはヨロシサンのカチグミ・サラリマンで、フロッピーディスク自体のセキュリティもかなり強固だったからだ。

 

「ア?変な音出てるけどダイジョブ?」

「うわッなんだコレ!変なプログラムが動いてる!」

 

ガガピーガガーピーガガー……突如UNIXモデムが異音を放つ。フロッピー内に隠されていた防衛プログラムが密かに動き出し、IRC接続を開始したのだ。

 

ナムアミダブツ! このままでは、このリキシャーギャングアジトのIPがいずこかのIRC部屋に転送されてしまう!しかし、ここにいるのは素人に毛が生えた程度のハッカースキルしかないただのチンピラである!止められる道理はない!

 

「タジモト=サン!全員分のバリキドリンク買って来ました!」

「オー、イイネ、イイネ。それじゃあバリキナイトイッチャウ?」

 

バリキドリンクを買ってきた舎弟を出迎える為にタジモト達が振り向くと、その間にIPを転送し終えたUNIXは痕跡を消去して元の画面に戻った。そこまで専門的な技術を持ち合わせていないタジモト達は先程のIRC接続はUNIXの不調だと思い、バリキドリンクを飲んだ。

 

━━━

 

重低音大型スピーカーからブラックメタルが流れ、バリキハイのリキシャーギャング達がヘッドバンギングを繰り返している。

 

その時、アジトの手前にあるシャッター街から何かが飛び、数名のリキシャーギャング達の頸動脈を斬り裂いた!

 

「エッ?スリケン?……アバーッ……」

 

そのままの勢いで壁に突き刺さった物体を見て頸動脈を斬り裂かれたリキシャーギャング達は困惑したまま出血多量で息絶えた。

 

リキシャーギャング達が倒れるやいなや、闇の中から三人のザイバツ・ニンジャが連続バック転で姿を現す!

 

「ニンジャだ!」

「やべえ!」

「撃ってみよう!」

 

銃器を持ったギャングたちが闇雲に発砲するが、ニンジャの体にはかすりもしない!

 

「ウオオーッ!」

 

サスマタやヤリを持ったモヒカンたちが、タジモトの命令を受けて突進する! 彼らは薬物で恐怖心を克服し、気が大きくなっているのだ!

 

「左右で分担しろ。俺がボスをやる。クズどもを皆殺しだ」

「「ヨロコンデー!」」

 

ブラックドラゴンが短い命令を下し、シャドウウィーヴが小柄で豊満な少女ニンジャと背中合わせでカラテを構える。

 

「イヤーッ!」

「アバーッ!」

 

シャドウウィーヴは前蹴りでモヒカンの生首を蹴り飛ばす! 飛んでいった生首は、壁に設置されたバスケットゴールに収まる! スリーポイント!

 

「イヤーッ!」

「「「アバーッ!」」」

 

小柄な少女ニンジャは腰に差したカタナを抜き、ヤリやサスマタ、銃弾を最小限の動きで躱しながらギャング達を斬り伏せつつ駆け抜ける!

 

一方、ブラックドラゴンの戦法は極めて残虐なものだった。

 

「イヤーッ!」

「アバーッ!」

 

まずはモヒカンの両腕をダブルチョップで切断!

 

「GRRRR!」

「アバーッ!」

 

さらにメンポを開いて恐竜めいた顎でモヒカンの喉に食らいつき、 そのまま勢いよく捻って獲物の首を切断し、それを後方に投げ捨てる! コワイ!

 

「「「アイエエエエエエエエエエエエエ!」」」

 

恐慌状態に陥った下っ端のギャングたちは、レミングスめいて逃げ惑う。だが、この袋小路に出口は無く、逃げ出すにはニンジャたちの横をすり抜けるしかない。そして無論、ザイバツニンジャ達は目撃者を逃がすつもりなどなかった。

 

リキシャーギャングアジトからしばらく悲鳴が響いた後、フロッピーディスクを回収した三人のニンジャが出て行き、後に残されたのは死体が転がるツキジめいた惨状だけだった。

 

━━━

 

アンダーガイオン八層、ガンドー探偵事務所。

 

探偵タカギ・ガンドーと三週間程前、ナンシー・リーの紹介でやって来たモリタ・イチローがテーブルに並べたポラロイド写真とヨロシサン製薬の工場見学で配られるパンフレットを囲んでいた。

 

鹿を捕まえて武装車両に放り込むスモトリ作業員の写真、武装車両がヨロシサン製薬の工場に入って行く様子の写真、工場の概略図のページが広げられたパンフレット。

 

二人は嫌な予感を感じ取っていた。




クチュリエールはアガメムノンに依頼されてから武装新幹線に乗るまでの二週間以上の期間でハッキング等を駆使してミズハシ・ミチルとしてのカバー・ストーリーを作成していました。

何故ミチルがニンジャだとバレたかって?体力があったからかな……(意味深)

Q.小柄で豊満な少女ニンジャは何者なんですか?

A.わかりませんね。一体誰クチュリエールなんでしょうか?ドローカットかもしれません。

Q.ミチル=サンはパープルタコ=サンの口を普通に受け入れたんですか!?

A.以前、興味本位で読んだコアな層向けのサイバネカタログに口触手のサイバネがあったので普通に受け入れてます。
元々触手性癖持ちだったっていうのもあります。

Q.浮気は正直どうかと思いますよ、そもそもなんでパープルタコ=サンとあっさり前後してるんですか?

A.ダイダロスなどのイライラをフートンでぶつけて何度もやつれる位に搾り取った事でソニックブーム=サンが命の危険を感じて考えが変わった為、今回のガイオン行きの際に浮気許可が降りました。

パープルタコ=サンとあっさり前後した件については互いにシンパシーを感じて惹かれ合った結果、パープルタコ=サンにあっさり口説かれました。
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