「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」
カブキチョの雑居ビル群の上でスリケンと自撮りブロマイドの応酬が繰り広げられる。ニンジャスレイヤーのホーミングスリケンを女ニンジャの一人が連射する自撮りブロマイドで撃ち落としているのだ。しかし、技量はニンジャスレイヤーが上回る。じりじりと距離を詰め、カブキチョ雑居ビル群の端でニンジャスレイヤーはようやく追い付いた。
「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」
「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、フラッシャーです」
「ドーモ、アブダクターです」
「ドーモ、スリッカーです」
ニンジャスレイヤーと三人の女ニンジャがアイサツを交わす。アイサツは神聖にして不可侵。ターゲットを拐っている途中であっても、されたのならば返さなければならない。
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」
シルバーキーを米俵めいて抱えたアブダクターが逃走を再開し、残るフラッシャーとスリッカーが殿を務める。自撮りブロマイドが連射され、ローションが的確に妨害する!無理に進めばビルの下に滑って落下、もしくは自撮りブロマイドで窒息死させられるだろう!
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
「グワーッ!」
焦るニンジャスレイヤーを足止めする二人の元に逃げ出したアブダクターが吹き飛ばされてきた。一緒に雑居ビルの屋上に叩きつけられたシルバーキーが悲鳴を上げる!
「ドーモ、ソニックブームです。ブロッサム=サンが言ってた誘拐犯ってのはお前らだな?」
「なっ……なんでここに元シックスゲイツが来るのよ!」
理不尽なエンカウントにアブダクターが悪態をついた。これで状況は2対3。しかも誘拐犯達はニンジャスレイヤーとソニックブームにはさみ撃ちされる形になっている。
「アババババーッ!?」
「グワーッ!」
「「イヤーッ!」」
追い打ちをかけるようにアブダクターが悲鳴を上げて倒れた。シルバーキーが再度床に叩きつけられ、瞬時にその様子からアブダクターが気絶した事を理解したフラッシャーとスリッカーは素早くスリケン投擲でワイヤーを切断した。
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」
「アッコラー!ツカマ……!?」
フラッシャーは素早くソニックブームに自撮りブロマイドを複数投擲し、ニンジャスレイヤーに再び自撮りブロマイドを連射!スリッカーはローションで滑りながらアブダクターとフラッシャーを回収しつつ、ビルから飛び降り逃走を開始!ソニックブームは全て迎撃したが、ニンジャ視力で投げられた物が自撮りブロマイドである事に気付いて困惑した!
ソニックブームが困惑している隙に、ニンジャスレイヤーのスリケンを迎撃しつつくぐり抜け、三人はあっという間にカブキチョの喧騒に消えて行った。
「痛え……」
三人を追跡するニンジャスレイヤーの意思を、揺れで目覚めたシルバーキーは己のテレパシー能力で読み取っていた。ニンジャスレイヤーの指示は単純だった。『アブダクターをやれ』。ただそれだけだ。
逃げる事に集中している所にソニックブームに吹き飛ばされ、驚きで隙を見せたアブダクターのニューロンを掻き乱したのだ。三人には逃げられたが、構っている暇は無い。ニンジャスレイヤー達は急いでバシダの元に戻った。
━━━
「ま、そんなわけで……俺たちはこのバシダ=サンに用があるんでな。オイトマするぜ」
シルバーキーが切り出した。バシダは蒼ざめたまま、呆けたように頷く。無理もない。非ニンジャ、非戦闘者のサイバネ医師がくぐり抜けるにはタフ過ぎる状況であった。
「ええ……ええ」
ネザークイーンは同意してヤモトとソニックブームを見た。
「それにしてもアータ達、薄々そうなんじゃないかと思っていたけど、ニンジャだったのね」
「ああ、そうだぜ。わざわざ言う事でもなかったから黙っていただけなんだがな」
「騙したみたいになってごめんなさい……」
「いいのよ。気にしてないわ。それよりも、ヤモト=サンに怪我が無い事が一番大事だわ」
ネザークイーンはヤモトを抱き締めて頭を撫でた。
「ネザークイーン=サン。ヤモト=サン。ソニックブーム=サン。今回は我々のイクサに巻き込んでしまった事、重ねてお詫びする」
ニンジャスレイヤーは三人に奥ゆかしくオジギした。ヤモトはネザークイーンとソニックブームを見た。二人は肩をすくめ笑う。
「いいの! いいのよ別に、ホントよ! アータのこと少し気に入ったわ、だからね!」
「……」
「アタシは、ニチョームの『絵馴染』にいるわ。何か困った事があったら訪ねてらっしゃい。話ぐらいは聞いたげるから」
ザクロは通り魔を担いで足早に去って行く。ヤモトとソニックブームはニンジャスレイヤーを見た。
「オタッシャデ」
「オタッシャデ」
「うむ」
「行こうぜ、早いとこ」
去ってゆく三人の後ろ姿を見ながら、シルバーキーが言った。
「またこんな大勢でザイバツの連中が来でもしてみろよ」
「そうだな」
ニンジャスレイヤーはバシダを見た。
「申し訳ないが、一刻を争うのだ。出せるのはカネだけだが」
「ええ……ハイ……」
━━━
「そういえば、シャドウウィーヴのニンジャソウルってハデス・ニンジャだったよね」
「そうだが、それがどうかしたのか?」
「ハデスってギリシャ神話における冥界の神でしょ?私やブラックドラゴンみたいな生きてるニンジャだとコピー止まりだけど、死んでるニンジャなら本物にかなり近い形で呼び出せるんじゃない?」
「そうだな……言われてみれば出来そうだな。だが、シャドウドラゴンみたいな形で出そうだから、呼ぶニンジャは選ばないと……って俺の知り合いで死んだニンジャは皆、別の派閥かそこまで仲が良くないから、呼び出して大丈夫そうな当てが無いな……」
「それなら、モータルの中から呼ぶしかないわね」
パープルタコの発言を聞いたシャドウウィーヴのニューロンを、モータルだった頃に自分のハイクを唯一理解してくれた少女の姿と記憶が駆け抜けた。
青と白のLANケーブルウィッグ、サイバーサングラス、サイバーガスマスク、シリコン製の蛍光リストバンド、豊満な胸、ゴスファンデーションで覆われた病的な程に白い肌、黒いゴスシャドウ、黒い口紅、頬に刻まれたペケロッパ・カルトのタトゥー。
学校でLAN直結を求めて来た彼女の姿、破けた黒のPVCスーツから覗く蛍光色のブラジャーに包まれた豊満な胸、チェーンソーを振り回すスカム野郎に追われながらも一緒にネオサイタマに逃げようとした記憶、背負った背中に当たる豊満の感触。
ディセンションの直前、ローカルコトダマ空間で向かい合い、自分のハイクを好きだと言って恍惚とした表情でニューロンを焼いて0と1にほどけて消えた彼女の姿、不自然に手足が折れ曲がっているのに穏やかな死に顔。
「そっかぁ……だからあの時、〝サイバーゴスシ〟に来たんだ……」
「アー……成程ねェ……」
回想しているシャドウウィーヴの身体を影が包み、その姿を黒いサイバーサングラスとサイバーガスマスクを付け、タイトな黒いPVCスーツめいた服を着た豊満な少女の姿に変化させた。シテンノ達とドローカットは納得した様子で頷いた。
少女の背中が着ぐるみのチャックめいて開き、慌てた様子のシャドウウィーヴが飛び出す。少女は感極まった様子で着地したシャドウウィーヴに抱き着いた。
「レイジ=サン!」
「ヨモギ=サン!?」
二人の様子を見た一同は頷き合うと、トレーニングルームのドアに向かった。
「シャドウウィーヴ=サン。三日やるから彼女とジツの性能を確認してこい。方法はお前に一任する。これは任務だが、ジツの性能については任務に使えそうな部分だけの報告で良いぞ。ブラックドラゴン=サンには俺から伝えておこう」
「ダ、ダークニンジャ=サン!?」
「ファハハハ!愉しんで来てね!報告はしなくても良いわ!」
「頑張れよ、小僧」
「……俺達が邪魔になってはいけないからな、先に失礼する」
「カラダニキヲツケテネ!」
「ちょ、ちょっと、ちょっと待ってください!」
ダークニンジャが指令を言い渡し、シャドウウィーヴの制止を無視してシャドウウィーヴ以外の全員はトレーニングルームを後にした。
**シャドウヨモギ・ジツ**
未熟さ故にドローカットとパープルタコの発言を聞いて回想する事でヨモギ本人をシャドウドラゴンのように呼び出してしまった事で産まれたジツ。
カラテは非戦闘員ニンジャ程度のワザマエしかないが、スゴイ級のハッキング能力を持っている。
原作でヨモギのハッキング能力はどれくらいあるのか語られていないが、モータル時代のシャドウウィーヴの個人情報を大体ハッキングで入手していた為、最低でもこれくらいはあるかもしれない。
ヨモギの魂の出所はシャドウウィーヴがディセンションした際にLAN直結していた為、ケーブルを通して死んだヨモギの魂がシャドウウィーヴの中に吸収された物としてます。
本編でもシャドウドラゴンになってしまった際にヨモギが止めようとしてたので本当にシャドウウィーヴの中にヨモギの魂が入っているかもしれませんね。
**アブダクター**
ザイバツ内ではフラッシャー、スリッカーと組んで誘拐任務をメインにチームを組んで活動している。拘束具を生成するオナワ・ジツの使い手。主にワイヤー付き手錠を使う。三人の中でニンジャ筋力が一番強い。
年端もいかない少年を拐っては前後し、NRSとロードのキョジツテンカンホーを利用して記憶を消し、証拠隠滅を計る性犯罪者。サヨナラしないだけ、これでもニンジャとしてはマシな方。ちなみに未婚で独身。
**フラッシャー**
ザイバツ内ではアブダクター、スリッカーと組んで誘拐任務をメインにチームを組んで活動している。ジツで不可視のカメラを作り出し、裏面に糊がついたシールめいた写真をスリケンのように生成するシャシン・ジツの使い手。露出の為の身体磨きの為にチームで一番鍛えている為、三人の中で純粋なカラテでは一番強い。
ヒカリ・ニンジャから派生したジツの一つである為、光を操って写真の光の加減を自由自在に操作できる。糊の粘着力も操作でき、最大まで高めるとニンジャでも剥がすのに苦労する。ちなみにスリケンと同じくカラテで生成した写真なので、時間経過でも分解する。
年端もいかない少年の前で露出し、NRSとロードのキョジツテンカンホーを利用して記憶を消し、証拠隠滅を計る性犯罪者。物理的な被害が無いだけ、これでもニンジャとしてはマシな方。ちなみに未婚で独身。
**スリッカー**
ザイバツ内ではアブダクター、フラッシャー、と組んで誘拐任務をメインにチームを組んで活動している。スリッカー自身の意思で自由に動かせて粘度も操作できるローションを生成するローション・ジツの使い手。戦闘センスが三人の中で一番高い為、ジツの性能も相まって三人の中で一番強い。
ローションプレイが趣味でオイラン店にはよくお世話になっている。ニチョームのオイラン店でも遊ぶつもり。自宅でローションプレイを愉しみ過ぎて下水管を何度か詰まらせた為、ザイバツニンジャ向けマンションの一つから追い出された事がある。ちなみに未婚で独身。