トコロザワピラーにあるソウカイ・シックスゲイツが集まる会議室にてクチュリエールが撮影した戦闘映像が映し出されている。
映像では十枚のフラフープ大チャクラムスリケンの直撃を耐え切った上でチャクラムスリケンを全て破壊したニンジャスレイヤーがソニックタタミ・ケンで打ち上げられ、その勢いを利用して撤退する様が流れていた。
アースクエイクは深く考え込み、ソニックブームは真顔で映像を見つめ、ビホルダーは鼻で笑った。バンディット、ヒュージシュリケンは己の目を疑っている。
議長を務めるゲイトキーパーが音頭を取り、ニンジャスレイヤー対策兼、新しいシックスゲイツの任命会議が始まった。
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ジュー・ウェアを着た少女が息を切らせながらルームランナーを走っている。彼女の四肢には30kgと書かれたパワーリストが巻かれており、その胸は平坦であった。
彼女の名はヤモト=コキ。ソウカイ・シンジケートのニンジャ訓練生だ。
BEEP!BEEP!BEEP!
タイマーが起動してルームランナーがゆっくりと停止する。スタミナの限界が来たヤモトはルームランナーの上でぐったりと崩れ落ち、突如現れたクチュリエールのジュー・ウェアから覗く豊満な胸に顔がぶつかり、谷間に顔が沈み込んだ。
タイマーが停止するタイミングを見越してニンジャ身体能力で駆けつけたクチュリエールがヤモトを持ち前の豊満な胸で受け止めたのだ。右手にはスシとウエットティッシュの載った皿、左手にはスポーツドリンクを持っている。
両手が塞がっていた為、胸でヤモトを受け止めたのだ。
「ヨクガンバッタでヤンス。はい、スポーツドリンクとスシ。スシの前に、このウエットティッシュで手を拭くでヤンス」
「ぷはぁっ、アリガト、クチュリエール=サン」
谷間から顔を抜いたヤモトがスポーツドリンクを受け取って飲み、一息ついてから皿を受け取りウエットティッシュで手を拭いてからスシを食べ始めた。疲れ切った身体に優しい一般的なニギリズシ。クチュリエールの手作りだ。
昨日、クチュリエールの撮影した記録がソニックブーム経由で提出された事により、現存するシックスゲイツ全てに緊急招集がかかったのだ。
クチュリエールは関係各所に了解を取り、シックスゲイツ会議中、臨時でヤモトのトレーナーを務めることになった。
そんなヤモトの様子を見てザゼン・トレーニング・プロトコルが進んだ事を喜びながら、クチュリエールはソニックブームと一緒にニンジャスレイヤーを撃退した時の事を思い返した。
(あの夜、自分でも怖いくらいに上手く事が運んで撃退できた。戦闘による負傷だけならソニックタタミ・ケンの後、射線が切れたタイミングでチャドー呼吸を行って復活してきたはず。
あそこで逃げるような事……あったよ)
クチュリエールの原作知識に思い当たる節があった。
(そういえば、ニンジャスレイヤーって原作ではナラクによるヤモト=サンへの殺忍衝動を血涙流しながらのチョップ連打で持ち堪えてた……〝ソウカイヤとは関わりのない女の子を殺す訳にはいかない〟と)
ソニックブームによる勧誘も原作とは全く違う。会話内容を思い出し、一つの結論に至った。
(たまたまニンジャソウルに取り憑かれた女の子がニンジャスレイヤー視点で詐欺に遭うようにソウカイヤ入りを決める手前まで悩む姿を見せられた上、自分自身がソウカイヤ入りのダメ押しになり、その上言われてる事自体は全て事実だった事が逃げを選ぶ程にショックだったのか!)
合点が行ってしまった。
(テンプラも副次的なイメージトレーニングだけで一流のワザマエになる位に家族と過ごした最後の日を何度もシミュレーションしてたってソシャゲのコラボで語られてたから、あの屋台自体が自分の傷を抉ってるような物じゃないか!)
何とも言えない気持ちになった頃、ヤモトがスシを食べ終えた。効率の良いエネルギー補給により元気を取り戻したようだ。
「ゴチソウサマ!クチュリエール=サン!シャワー浴びてきます!」
「イッテラッシャイでヤンス」
シャワールームに向かうヤモトを見送ると、自動フスマが開いてソニックブームが入って来た。
「オツカレサマでヤンス」
「ああ、オツカレサマ。残念だが、お前のシックスゲイツ入りは見送りになった。
バンディットから横槍が入ってな。『偵察諜報部門にはアイツ程潜入が上手いニンジャがそうそういないから引き抜かないでくれ』だとさ。
ゲイトキーパーも『新設予定のセキュリティ部門に回せるハッキング可能なニンジャが少ないから彼女は除外させてくれ』と止めてきた」
「やっぱり言われたでヤンスか?インターラプター=サンが出奔してから偵察諜報部門のニンジャに『ここに残ってくれ』って頼まれるでヤンス。
ケッパンセンセイからは『新設予定の部門に良いポストを作るから是非来てください』ってお誘いが来てるでヤンス」
「ワォ、人気者は辛いな」
クチュリエールの反応にソニックブームは軽口を挟む。気を取り直したソニックブームは改めて口を開いた。
「ニンジャスレイヤーについてだが……有効そうな対策を打つにはニンジャが足りない。
今の規模でそれをやるとザイバツやヨロシ=サンへの睨みが足りなくなる上に舐められるから指名手配に留めるそうだ」
「アッシ、またニンジャスレイヤーと戦ったら生き残れる自信は無いでヤンス……」
「俺様もだ。インターラプター=サンが出奔しなければもう少し楽だったんだがな……」
二人揃ってため息をついた。
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ネオサイタマのどこかにある路地裏の一つに大きなくしゃみが響いた。
くしゃみをした男のシルエットは大きく、四角い。がっしりと盛り上がった肩と太い首を持ち、只者ではないアトモスフィアを醸し出している。
いつ聞いた話だったか、男は誰かに自分の事を噂されるとくしゃみが出るという話を思い出した。
「まさかサユリ、俺の事をまだ気にかけてくれているのか?」
男は懐からポラロイド写真を取り出して覗き込む。
写真にはジュー・ウェアを着た男が同じくジュー・ウェアを着たクチュリエールを抱き抱え、笑顔で一緒に写っていた。
うへへ、まだ劇中では年末年始の期間だから、ここからどうするのか全然思いつかねーや!