東方救世録   作:ZED

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Stage1 瘴気の森
2話 蟲の知らせ


「魔法の森、か・・・」

 

魔法の森。瘴気が溢れ、普通の人間では立ち入れないような場所。

地理的に、館はこの森を通らないと入れないらしい。

何か人を招きたくない理由でもあるのだろうか。

 

それよりも、先程から虫が多い。

それも、弾幕を打ってくる訳では無く、ただ霊夢の周りをじっと飛んで、どこかへ去っていく。

何とも奇妙な虫だ。

虫のほかには、ただ木がそびえ立つばかり。

 

「こうも殺風景な森もなかなかないわね」

「だろう?」

「え?」

 

唐突な返事に動揺を隠せないレイム。

いつのまにか正面にいたのは、緑髪にマント、リグル・ナイトバグだった。

 

「・・・また虐められにでも来たの?」

「ちょっ・・・待って!今回は話をしに来たんだ!」

「話って何よ。こっちは忙しいの。手短にね」

 

リグルは一息置き、霊夢をじっと見た。

それは何かを訴えかけてるような目であった。

そして、ゆっくりとこう言う。

 

「この先には進まないでもらえないか」

「・・・そう思うなら、弾幕でも張る事ね。いつもそうしているじゃない?」

「野暮な事言わないでくれ。ボクは今、真剣に頼み事をしているんだ」

「へえ・・・」

 

霊夢はこの質問の意味を考えた。

新聞の事を見たなら、迷惑行為の話は知っている筈。

なのに何故止めようとするのか?

理由は簡単である。

 

「アンタ・・・何か知ってるわね?」

「・・・言い方を変えるよ。『幻想郷が大事なら』この先には進まないでもらえないか」

「意味が分からない。それに無理な頼みね。私は八雲の依頼で来てるのよ?」

「・・・そうか」

 

リグルは霊夢にスッと手をかざした。

その瞬間、とてつもない強風が巻き起こる。

 

「なっ!?」

「ボクは本気でいくから」

「何なのよ・・・!」

 

風に紛れ、刃のような形の虫が霊夢を襲う。

虫は霊夢をスレスレで飛んでいき、後ろへと消え去っていく。

その様子をじっと伺う霊夢。

 

「弾幕は張らないのかい?霊夢」

「・・・アンタ、本気で来るんじゃないの?」

「勿論言ったよ。『本気で』キミを館へは向かわせない」

「成程ね」

 

霊夢はお払い棒を振りかざし、弾幕を生み出す。

そして、そのままリグルへと突進した。

 

「さっさとどきなさい!」

「させるか!」

 

リグルは軽い身のこなしで弾幕をサッと避ける。

するとリグルの居た場所から、無数の蜂のような蟲が出現した。

蟲は霊夢に、一直線に突き進む。

 

(まずい・・・翻弄されてる。こりゃ早めにあの蛍をとっ捕まえて吐かせないと・・・)

 

結界で蟲を防ぎ、今度はお払い棒をリグルのいた場所へ向けた。

針のような弾幕が一直線に飛んでいく。

しかし、その場所にリグルは居ない。

 

「なっ!」

「もらったぁ!」

 

リグルは死角から霊夢に向かって蹴りを放つ。

足は霊夢の背中に直撃・・・したかと思われた。

 

「危な・・・結界張らなかったら、どうなってた事やら」

「チッ!」

 

後ろへと飛び下がったリグル。しかしその方向には、霊夢の設置した弾幕があった。

リグルは飛ぶ方向を修正する。だがまたもや、弾幕が置いてある!

焦ったリグルはぐるりと周りを見渡した。

 

「まさか・・・」

「詰み、ね」

「クソッ!」

 

弾幕はリグルを囲うように、じわじわと追い詰めていく。

必死に目を凝らすが、抜け道が分からない。

 

(まずい!逃げなきゃ・・・逃げなきゃ・・・!!)

 

ふと、弾幕のある場所に、解れが有るのを発見した。

 

「ここだ!」

 

最速で、その解れへと飛び込んでいくリグル。

しかしそこに待っていたのは、更なる弾幕の嵐だった。

 

「えっ?」

「あーあ。」

 

弾幕はついにリグルを捕らえ、爆発した。

森へと真っ逆さまに落ちていくリグル。

 

「ふぅ・・・あ、そうだ・・・吐かせないとね」

 

霊夢はリグルを追いかけて、森の中へと入った。

木の下に、ボロボロになったリグルが倒れている。

 

「リグル」

「!!」

「さあ、言ってもらうわよ。何を知っているの?」

「・・・ダメだ」

「は?」

「絶対にこの先に進んじゃダメだ!」

 

そう言うと、リグルは蟲となり、姿を消した。

その様子をぽかんと見ていた霊夢。

だがそのすぐ後に、ニヤリと笑いこう呟いた。

 

「ダメって言われると・・・やりたくなっちゃうわよね」

 

リグルの発言から、館の住民が何かを企んでいるのは確かだ。

博霊の巫女としてその企みは気になる。

何より自分の知らない所で何かが起きるのは、癪に障る。

そして霊夢は再び森の中を進み始めた。

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