東方救世録   作:ZED

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3話 不安定な見張り人

「・・・おかしい」

 

何かがおかしい。

急に、空が暗くなってきた。

時間的には、まだ昼だろう。

しかし魔法の森は暗闇に包まれ、まさに夜のようだ。

 

それに、枯れ木が多くなってきた。

何故かキノコもここらには無く、随分と薄暗い雰囲気の森になってしまった。

 

「・・・何か嫌な予感がするわね」

 

その瞬間、霊夢の頭を何かが横切った。

 

「キャッ!?」

 

それは、見た限りではカラスであった。

しかし何かが違う。

妖怪の山で見る、天狗達と共に居るカラスでは無い。

もっと邪悪な何かだ。誰かが生み出したような不自然さを感じる。

 

森を進むにつれ、カラスの数は多くなってくる。

風は先程より生温く、気持ちの悪い風になってきた。

 

カラン・・・

 

ふと、後ろから音がしたのを感じた。

気のせいだと思い、もう一度進み始めると、

 

カラン・・・

 

また音がした。

これには流石の霊夢も驚きを隠せない。

 

「誰か居るの!?」

 

そう叫ぶが、返事は無い。

しかしまた歩こうとすると、後ろからまた

 

カラン・・・

 

と音がする。

霊夢はイラついたが、ある事を思いついた。

前を向いて、歩き出す。

また例の音がするが、無視して歩き出す。

すると、その音はどんどんと近づいてきた。

 

カラン・・・カラン・・・カラン・・・

 

その音が霊夢の真後ろに来ようかとしているその時。

霊夢はお払い棒を後ろへ向け、ドン、と弾幕を打ち込んだ。

それと同時に、バッと振り向く霊夢。

そこには1体の、カカシが立っていた。

 

「案山子?」

「・・・あなたが人は誰だ」

「!?」

 

急に、その案山子は喋りだした。

ゆっくりと、不気味に、形になっていない日本語だ。

 

「なぜあなたはここに来た?」

「なぜって・・・館へ向かってるのよ。っていうかなんでカカシが喋ってるの?」

「あなたの保つためである」

「???」

 

先程から会話が噛み合っていない。

不気味だ。顔には歯をむき出しにさせた口が描いてあるが、それは全く動いていない。

 

「ここで残してください」

「さっきから何言ってるのよ?」

「戻って行かなければなら、弾幕を張っています」

「弾幕を・・・?」

「ここで残してください」

 

会話にならない、と考えた霊夢は、その案山子を無視して先へ進んだ。

すると後ろから急に、とてつもない音を立ててカラスが霊夢へと向かってくる。

 

「え!?」

「私の名前はスケア・デゼルタ」

 

そう言っている間にも、霊夢にはカラスが襲い掛かっている。

 

「あなたはここでミスする!!!」

「キャァッ!!!」

 

スケアと名乗るその案山子は、黒い竜巻のような衝撃波を放った。

霊夢は結界で防ごうとするが、勢いに負けそうになる。

 

「なんて勢いなの・・・」

 

竜巻を受け流したが、またもやカラスが襲ってくる。

先程のより大きくなり、勢いも増した。

攻撃するチャンスが与えられないのだ。

 

「あなたはここに落ちる!」

「う・・・っさいわね!」

 

霊夢の周りに小爆発が起きた。

襲っていたカラスは、跡形も無く姿を消す。

 

「私はカラスをどのようにした!?」

「うっさいっての!」

 

弾幕が案山子に直撃し、吹っ飛んだ。

倒れた案山子は何故か独りでに立ち上がる。

 

「どうなってんのよ・・・」

「再び闇を!」

 

すると、空がどんどんと暗くなってゆく。

 

「成程、この暗いのはあんたのせい、って訳ね・・・」

「処!」

 

再び現れたカラスが、霊夢を襲う。

しかし今度は、小さく、早さも遅くなっている。

 

「どうしたのかしら?これで終わり?」

「・・・あなたの懸念が減っている・・・」

 

すると、案山子の周りに只ならぬ空気が纏いつく、

空は赤く染まっていき、カラスの目も赤くなっていった。

見回すと、元居た魔法の森とは一変して、まるで地獄のような光景になっていた。

 

「はぁ!?」

「恐符『ドレッデストストーム』」

 

一斉に舞い上がったカラスが、高速移動を始めた。

まるで嵐のように、霊夢に紅い針が吹き付ける。

 

「痛ったぁ・・・」

「ここで終わりである!」

 

嵐の勢いは増し、次々とカラスは襲い掛かる。

弾幕も風と針に掻き消され、意味を成さない。

 

(こうなったら・・・)

「夢符『退魔符乱舞』!!」

 

案山子に向かって、1枚の札が投げられる。

その瞬間。無数の退魔符が、案山子に向かって飛び掛っていく。

札はカラスも風も打ち消し、一直線にだけ案山子に向かう。

 

「!!!!!!!」

 

赤い空は元に戻り、カラスも針も風も消え去った。

スペルカードを終えると、案山子はまだ立っていた。

 

「このっ・・・」

 

が、動かない。

それどころか一言も発さず、その場に佇んでいる。

その様子はまるで本物の案山子のようだ。

 

「もしかして・・・」

 

霊夢は案山子をツン、と突っついてみる。

すると案山子はパタンと倒れこんだ。

 

「・・・逃げた?」

 

案山子はもはや動く様子もない。

霊夢が案山子を蹴り飛ばすと、森のどこかへと転がっていってしまった。

 

「全く人騒がせな案山子ね」

 

空を見ると、元通り青空が広がっていた。

館はもう見える場所にある。

邪悪な、西洋風の館だ。

霊夢は館を睨むと、元気に空へと飛び出したのであった。

 

 

Stage1 瘴気の森 Clear

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