親愛なる隣人のさらに隣人 作:九曜の翁
Hey皆!マックス・ジョンソンだよ。
どうやらとても困った事になったらしい。
なんと僕が妹との大喧嘩をしている間に、ニューヨークの外れへ落下した隕石によりにもよってシンビオートがくっついて来てたみたいなんだ。
ヴェノムで有名なあれだね。
あのは、そういうサプライズは求めてないんだわ!!!
どうせそういう催し物をやるならもっと楽しくなるようなものにして欲しいよ。
「はいは〜い、それじゃ皆さん張り切って行きましょう」
無数の足音、揺れる装備の音が静かに町の片隅で響く。
あの落下現場での事件から1週間が経ち、現場付近一帯は隔離指定地域となった。
とはいえ、隔離が少し遅かったせいかどうにもシンビオートが何体か隔離指定地域の外に漏れてしまったらしく、SHIELD上層部は多数の専門家を招き対策本部を設置。
そして、シンビオートによって引き起こされたとおぼしき事件が確認された現場へ部隊を派遣する事になった。
だが、いつもの例に漏れずSHIELD上層部が事前情報を渡さずに出動させようとした為、マックスが慌ててカバーに入ったのだ。
あの、無能なうえに利敵行為するのやめて貰っても良い?そんなんだからヒドラよりも団結力に欠けるとか言われるんだよ?
本当にフューリーも大変だねぇ。
「さて、前もって詳細は伝えたけど。一応もっかいだけ今から相手をするシンビオートについての説明をしとくぞ?
まず連中相手に銃撃なんかの物理攻撃はあんまり意味がない。あいつらと共生した生命体は本性を現すとえらく柔軟で変形の自由度が高い流動体を身に纏うんだけど。それのせいで弾丸とか全部飲み込まれちゃうの。
でもかわりにデカい音と火にめちゃくちゃ弱いから、火炎放射器とか今回皆に渡した超音波照射器や超振動破砕機はめっちゃ有効。むしろこれで駄目ならもっと大規模な装置使わなきゃだから欲張らずにさっさと撤退して後続に控えてる特殊対策班に引き継ぐ事!」
「質問良いか?」
「ほいほいどうぞワトソン君」
この時SHIELD部隊の皆様は思った。
こいつに指揮任せて大丈夫なのか?事前情報無しに出撃させられそうになった所へ駆けつけてくれたのは感謝するけど。
めちゃくちゃノリが軽いし、フューリー長官が頭を抱えてたけど*1まじで大丈夫なのこの人?
「まずあんたは何者なんだ?フューリー長官と知り合いのようだが?」
「ただのなんでも屋だよ、ちょっと事情通だからフューリーから便利に使われてるだけの哀れな一般市民さ。
あっ、多分信用出来ないと思ってるんだろうけど無理に信用しなくて良いよ?僕ら初対面だし。
いきなりこんな胡散臭い奴の指揮下に置かれて君たちも不安だろう?道具と対処法は渡すから君たちはいつも通りのやり方で動いて構わないよ。
無理矢理僕の知ってる最適解をやらせようとしても、むしろ普段とやり方が違うせいでうまく動けなくて大失敗なんて事になったら困るしね」
「なる程、どうやらあんたは俺たちのしる偏屈な専門家たちとは違うらしい。よろしく頼むよカーティスさん」
「OK、皆油断だけはしちゃ駄目だからね?宿主から分離したシンビオートには絶対に触んない事。
生身で触ったら最後、今度はその人が新しい宿主にされて大変な事になっちゃうからね。
後、シンビオートを回収する時は小さいものも逃さず容器にぶち込んでね?あいつら増殖するから」
SHIELD部隊の皆様は思いました。
絶対後で上層部のカスどもしばき倒す。
「全員ストップ、前方10メートル先に共生体らしき人物を確認。超音波照射器の安全装置を外して構えておいて」
SHIELD部隊のいる場所から少し先に警察官らしき男がふらふらと歩いている。
その足取りは何処か不安定で、酒に酔っているのとは違うまるで自分の体ではないかのような気持ちの悪い動きだ。
「やぁおまわりさん!そこで何をしてるんだい!此処は国から封鎖命令が出ている筈だよ?警察官でも立入禁止だ」
『お前…たち、も…入っ、て来てる?じゃないか』
「あぁやっぱそっかぁ、ならここから出すわけには行かなくなったなぁ」
目の前で嫌な音をたてながら警察官らしき男の体がドロドロの黄色い流動体に覆われていく。
間違いない、シンビオートだ。
「総員一斉掃射!!!」
「了解したカーティスさん」
展開したSHIELD部隊の面々が肩から下げていた超音波照射器『ML』を構える。
それはマックスが夜なべして作った対シンビオート用の装備で、安全装置を外すと物々しい銃身が顕になる。
パラポラアンテナと軍用ショットガンを融合させたようなそれは、トリガーを引く度に凄まじい威力の超音波を照射する。
ことシンビオート相手に限っては絶大な効果を発揮し、その結合を一瞬にして緩めるのだ。
「はい、もう皆撃たなくて良いよ!シンビオートはちゃんと捕獲容器にぶち込んだからね」
部隊が照射器を下ろすと、カーティスが捕獲容器に詰めたシンビオートを片手にこちらへ走ってきていた。
「皆お疲れ様!後は周囲の確認をして撤退だよ」
作戦は想像以上にうまくいった。
もし目の前のなんでも屋を名乗る男が情報を持ってきてくれなかったらと思うとゾッとする。
この後も何体かシンビオートと対峙したが、恐らくこの男の存在がなければ我々はかなりの犠牲を出していただろう。
感謝と同時に、最初から情報を寄越さなかった上層部に怒りと殺意が湧いてくる。
「カーティスさん。あんたのおかげで助かったよ」
「こちらこそ、早めに部隊を送り込んでくれて助かったよ!僕1人じゃ情報を持っててもニューヨーク全体はカバー出来ないからね。
でも、まだ油断は出来ないかな…シンビオートがどれだけ漏れたのかわかんないけどあいつらは感染増殖するから対応が遅れるほど手がつけられなくなる。
だからこそ、君たちが来てくれて良かった」
「別働隊からも次々に報告があがっています。どうやら肉体を触手や刃物のように変形させる個体まで現れたそうで」
「ちょっとまずいなぁ〜…思った以上にシンビオートの広がりが早い。
これ本当に隔離指定地域から漏れただけかぁ?誰かがばら撒いてるんじゃないかって勢いなんだけど。
まぁ仕方ない、こうなったら頼りになる知り合いを片っ端からあたってみるよ」
マックスは少し考え込む、この案件にフランクやマットを巻き込んで良いものか?彼らにシンビオートが取り付いたらもっとヤバい事になるんじゃないだろうか?
「あっ、それと上層部に伝言頼めるかな?」
「なんです?」
「間違ってもシンビオートを軍事利用しようとか考えないように、あれは人の手に負えるような相手じゃないよ。
例えどれだけ完璧に管理しても、たった1度のちょっとした事故で大惨事を引き起こすようなものを兵器運用なんて出来るわけがないんだから。
短期的に見れば最高でも長期的に見れば最悪と言って良いとんでもない悪手になるってさ」
【登場人物紹介】
『SHIELD所属部隊の皆様』
・アメリカ映画あるある『事前情報を伝えられずに現地へ送られる』をやられかけた所をマックスにカバーされた。
今回はどちらかと言うとエージェント・オブ・シールド風味のエピソードになったのでど派手な戦闘を期待していた皆様には申し訳ない。
・フューリー長官の事は尊敬しているが、上層部はカスだと思っている。
『シンビオートA』
・対シンビオート戦闘のお通し、所謂チュートリアルボス的な個体。
・宿主は警察官、だいぶ適合率が低かったのか肉体の変形が出来ないうえに言語能力が著しく低い。
SHIELD部隊による超音波照射器一斉掃射で宿主との結合を保てなくなったところをマックスにより捕獲。
『マックス・ジョンソン/オールド・メア』
・多分今回のエピソードがドラマ放送されてる世界線だと予告無しのゲストキャラとして登場してびっくりされる。
恐らくドラマタイトルは『シンビオート・インベイションズ』とかになる。
・SHIELD上層部に釘を刺したが、多分もっと警戒しなきゃいけない連中が他に2つほどいる。
主人公マックス・ジョンソンの変身後の姿『オールド・メア』のイメージイラストって必要でしょうか?
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必要
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必要ない