親愛なる隣人のさらに隣人 作:九曜の翁
Hey皆!マックス・ジョンソンだよ。
クソみたいな厄介事が立て続けに起こると本当に面倒で嫌になるよね!
う〜ん、でもそれで友達を助けられるのならまぁ良いかな?
「ようこそジョンソンさん、社長が部屋でお待ちです」
「今は市長もやってるんだっけ、本当にどんどん上へ上へと駆け上がっていくね彼」
「ノーマン社長は向上心が人の姿をして歩いているような方ですから」
向上心か、便利な言葉だね。
野心の塊っていうノーマンの本質を覆い隠すには本当に丁度良いんだろう。
「やぁオズボーンさん、呼ばれたから来たよ」
「マックス!来てくれて嬉しいよ」
ノーマン・オズボーン、スパイダーマンファンの人ならグリーンゴブリンという名前の方が馴染み深いかもしれないね。
登場した作品によって経緯は違えど、ろくでもない研究をやっている事と大体の事件で元凶だったりするのは共通。
はっきり言って超危険人物だからさっさと収監して死刑判決出しといた方が良いと思うんだ。
「それで?今回は何の用かなオズボーンさん」
「君も変わらないねぇ、偶には仕事以外の世間話なんてどうだい?」
「悪いけど予定が立て込んでてね。最近政府機関の連中から毎日協力要請が来るおかげで通常業務が滞りまくりなのさ。
んで要件は何?何もないなら僕は帰るけど」
「待て待て、要件はちゃんとあるんだ!君も知っているとは思うが、少し前にニューヨークの外れへ隕石が落ちただろう?」
やっぱお前らも関わってんのね?
落下現場にオズコープのロゴが入ったコンテナがあったから薄々わかってはいたけど。
「我々オズコープもあの隕石を調査していたんだが、残念な事に調査員は1人を残して死亡。
その残った1人も次の日には謎の衰弱死を遂げた…そして、その死亡現場で見つけたのがこれだ」
ノーマンは手元の端末を操作し、恐らくオズボーン所有の研究所内らしき映像が壁にかけてあったスクリーンに映し出された。
「冗談でしょ?」
そこには巨大な培養槽が幾つも立ち並び、その中には無数のシンビオートたちが蠢いている。
「あんた気は確か?とてもじゃないが正気とは思えないんだけど」
「やはり君もあの生命体の事を知っているようだね。我々オズコープは隕石の落下後にいち早く現場へ調査隊を派遣した。
そして見つけた。あの素晴らしい生命体を!
あの生命体の持つ生態は実に我々好みでね?既に上手く商品として転用出来ないか色々と試したんだが、そこで1つアクシデントが起きた」
うわぁ聞きたくない!
「我々はあの生命体を調整し、何体かの特殊個体を生み出したんだが、その内の何体かが研究所のセキュリティを突破して外へ逃げてしまったんだ。
オズコープとしてもこれは手痛い損失でね?そこで君に頼みたい事があるのだよ」
「まさかとは思うが、その逃げ出した特殊個体を捕まえてこいとか言わないよね?」
「そのまさかだ。君なら出来るだろう?既に政府機関との連携で特殊個体たちが逃走の為に生み出した廉価版たちを複数体捕獲に成功している君ならば」
やっぱこいつが元凶じゃん!
「…あんたさぁ、本当に何にも学んでないだろ?
「マックス、君が個人的に私を嫌っているのはわかっている…だがこれはビジネスの話だ。
君はとても賢い男だろう?この話がいかに今後の仕事へ関わってくるかもわかると思うが」
正直なところ、僕はこいつが大っ嫌いだ。
とはいえ客である事に間違いはないから仕事はきちんとこなさなきゃいけない。
「あんたきっとろくな死に方しないだろうね。まぁ良いさ…仕事は受けてやるがくれぐれもあんまり期待はするなよ?あんたがどんな調整をしたのか知らないが、それ次第では僕個人ではどうにもならない場合がある」
オズボーンとの話が終わって部屋を出ようとしたその時だ。
「何だあれは?」
オズボーンが窓の外を見て驚愕の表情を浮かべている。
そして、僕もそれを見た。
「嘘でしょ?なんで今になって!」
窓の外では、恐らくノーマンの言っていた特殊個体であろうシンビオートと
「良かったなノーマン、不本意ながら早速お仕事開始だよクソッタレ!!!」
時は少し巻き戻り、ここはマックスたちが住むアパートの一室。
ピーター・パーカーの部屋である。
マックスにあの蜘蛛について相談しようとしたのに、結局話出せずに数日が経ってしまった。
その間に僕の体にはある変化が起きた。
「町を歩いてるとそこら中から変な気配や音を感じる。僕おかしくなっちゃったのかな?」
学校に通ういつもの道。
マックスやマイルズと一緒に行ったタコス屋台。
そして、ハリーの入院してる病院。
何処へ行ってもまるで全身が総毛立つような感覚と妙な囁きのようなものが聞こえてくる。
それだけじゃない。
「腕から変な糸は出るし、なんだか力が強くなり過ぎて物を壊さないようにするのも一苦労。本当にどうしちゃったの僕?」
その問いに応えるものは誰もいない。
「やっぱりマックスに相談しようかな?もしかしたら何かわかるかも!」
ピーターがこれからの行動を決めたまさにその時だ。
『きゃあぁぁぁ!!!』
「!?」
何処からともなく悲鳴が聞こえた。
「行かなきゃ」
数日前にこの力を自覚してから僕はこの力を何かに活かせないかとずっと考えていた。
そして、思ったんだ。
どうせなら、誰かを助ける為に使えば良いんじゃないかってさ。
気づけばピーターは窓に手をかけていた。
どうやら僕の頭より先に体はとっくにわかっていたみたいだ。
今はとにかく行動すべきだって!
「待ってて!今すぐ助けに行くからね!」
そして、ピーターは
「嫌ぁぁぁ!!!」
その女性は何かから逃げていた。
彼女はごくごく普通の一般会社員だ。
この日もショッピングを終えて帰ろうとしていたのだが、ふと古い小道が目に入った。
いつもなら絶対に通らないような場所だが、偶にはこういう道を通ってみるのも良いかもしれないと思ったのだ。
でも、それがいけなかった。
「何なのよあの化物!」
入った小道で、彼女は出くわしてしまったのだ。
偶然そこでお食事中だったシンビオートに。
「逃げなきゃ早く逃げなきゃ!…きゃっ!?」
慌てて逃げようとした彼女は何かに躓いた。
何かと思い足元を見ると…
「あっ、あぁぁぁ!?」
自分の足に何かが絡みついていた。
彼女はその絡みついた何かに見覚えがある。
それは小道の奥にいたあの化物の体中に纏わりついていた気味の悪いドロドロにそっくりで…
「あっ」
いつの間にかそれが目の前にいた。
人の頭らしきものを貪り食っていたあの化物が目と鼻の先に立っている。
「やだ…!来ないで!」
化物が笑っているのが何故かわかる。
それは悪戯が成功した子どものようであり…女はそれを見て理解した。
この化物は自分をわざと逃し、恐怖に震えながら走る私を見て楽しんでいたんだ。
「嫌、嫌よ、誰か助けて!」
化物が大口を開けて女を頭から食おうとしたまさにその刹那。
何処からともなく飛んできた何かによって、その巨体が凄まじい勢いで吹き飛ばされた。
「大丈夫ですか!」
「貴方は、誰?」
化物の姿は消え、目の前にはその変わりに赤いパーカーを着てフードを目深に被った男が立っている。
「ごめんね、今は説明出来ないんだ!でも君をここから逃がす事は出来る。
さぁ立って!あっちに行けば表通りに出られるから!」
男の何処か安心感を与えてくれる優しい声に、女は我に返って走り出した。
「間に合ったみたいで良かった。それで?君は何なのかな?」
『お前ぇ!何者だ!?何故俺の邪魔をする!』
吠えるシンビオートに対し、フードの男…ピーター・パーカーは答える。
「僕は…そうだね。親愛なる隣人とでも名乗っておこうか!!!」
時は満ちた。
祝わねばなるまい。
祝福せよ!刮目せよ!これぞこの世界におけるスパイダーマン誕生の時である!!!
【登場人物紹介】
『ノーマン・オズボーン/見た目はウィレム・デフォー版』
・スパイダーマンシリーズに登場する企業オズコープ社の社長(作品によってはニューヨーク市長も兼任)
・スパイダーマン世界における大体の事件の元凶枠、実写映画シリーズだとライバル企業との競争による焦りからゴブリンになっちゃう。
ゲーム版は言ってる事は合ってたりするが、めちゃくちゃヘイト稼ぎまくるせいでプレイヤーからの印象が最悪である。
・今作ではそのゲーム版ノーマンと実写映画版ノーマンのキメラ。
『ピーター・パーカー/スパイダーマン』
・皆様ご存知親愛なる隣人スパイダーマンその人。
・助けを求める声に応え、とうとうスパイダーマンとして覚醒した。
・現在判明している能力はスパイダーセンスと怪力、そして生体ウェブ。
『謎のシンビオート』
・名前は次回以降、知能が高めで体を変形させて長射程の触手を何本も形成する。
・前述の通り知能が高いので人をいたぶって恐怖がピークに達した瞬間に食う楽しみに目覚めている。
『マックス・ジョンソン/オールド・メア』
・ノーマンに呼び出され仕事の話をしていたところスパイダーマンを目撃して驚愕した。
・腕から糸を出しているところと真っ赤な衣装でスパイダーマンだと判断した。
主人公マックス・ジョンソンの変身後の姿『オールド・メア』のイメージイラストって必要でしょうか?
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