親愛なる隣人のさらに隣人   作:九曜の翁

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ザ・グローイング・ホリデーⅠ

 やぁ皆、マックスジョンソンだ。

 

 嫌な事が連続して続くことって偶にあるよね?僕の場合はずっとそれが続いてるわけだけど。

 

 それはさておき、全てが始まってしまったね。

 

 ここから先は、僕にとっても未知の領域だ。

 


 

「君はいったい何者なんだ!」

 

『お前こそ何なんだ?俺の楽しい楽しいお食事タイムを邪魔しやがって!』

 

 全身から大量の触手を伸ばしながら迫るシンビオートに対し、ピーターは怒りを込めた拳を以て迎え撃つ。

 

「ふざけるな!町の人たちはお前のご飯なんかじゃない!!!」

 

 建物の壁、ビルからビルへと場所が移り変わりながらシンビオートとピーターの拳が幾度となくぶつかり合っている。

 

 一見2人のパワーは拮抗しているかのように見えるが、実のところ純粋なパワーだけならピーターの方が上である。

 

 ところで、皆さんはスパイダーマンの怪力がどの程度かご存知だろうか?

 

『ガアァァァ!?』

 

 その答えは、なんと比較対象がハルクになるほどである。

 

「ほらほら!自慢げに振り回してた触手はどうしたのかな?」

 

 吹き飛ばされたシンビオートを煽りまくる姿はまさしくスパイダーマンである。

 

 戦闘中に軽口叩きながら悪党を制圧する姿は実に痛快だ。

 

 人々を苦しめ痛みを与えてきたヴィランたちには報いがなければならないのだから。

 

『舐めるなぁぁぁ!!!』

 

「取り込み中悪いけど。悪ガキは家に帰る時間だよフィアー!」

 

『なんだぁてめぇ!』

 

 瞬間、凄まじい閃光と爆音が鳴り響く。

 

『うがぁぁぁ!?今度は誰だぁ!どいつもこいつも俺の食事を邪魔しやがってぇ!!!』

 

「嘘!?マックス!!!」

 

「やぁピーター、悪いけど今は説明している暇がないんだ!こいつをなる早で制圧して捕獲容器にぶち込まないと被害がどんどんでかくなっちゃうからね!」

 

 驚くピーターの目の前には全身をガチガチのプロテクターと漆黒の衣装で覆ったマックスがいた。

 

 真っ黒なトレンチコートを翻しながら装着したサングラスのようなバイザーを赤く光らせシンビオートに接敵せんとするマックスは、まるで現実に現れた悪夢のようである。

 

 更にもう一発、マックスお手製のショットグレネードから放たれたフラッシュバースト弾が小気味よい音をたててシンビオートに突き刺さる。

 

「さぁフィアー、お家に帰る時間だよ!」

 

『くそぉ!?やめろぉぉぉ!!!』

 

 フィアーと呼ばれたシンビオートの体に突き刺さった複数の弾頭が時間差で炸裂する。

 

「今だよピーター!こいつを思いっきりぶん殴っちゃって!」

 

「了解マックス!さぁとびっきりキツいのお見舞いするよ!!!」

 

 マックスの放ったフラッシュバースト弾によって、既に宿主との結合が解けかかっていたシンビオート『フィアー』と呼ばれるそれは、ピーターによる全力の拳によって吹き飛ばされた。

 

『ぎっ!?ぎゃあぁぁぁ!!!』

 

 宿主との結合が完全に解かれたシンビオートが地面に転がる。

 

 再び肉体を手にしようと必死に這いずり回るシンビオートは、まるで泥と肉で出来たモップのようだ。

 

「やっと宿主から離れたようだね?君は宿主の体を完全に乗っ取って意識も奪ってたみたいだが、より強くなりたいなら宿主とは仲良くしておくべきだった。

 

 それが君の致命的なミスだ。信念の伴わない攻撃じゃスパイダーマンは倒せないよ」

 

 シンビオートは悟った。

 

 こいつからは逃げられない。

 

「はい捕獲完了!お疲れ様でした」

 

「マックス?やっぱりマックスだよね!」

 

「あぁ、なんでこのフル装備で僕かどうかわかるのかな?まぁ良いや、取り敢えずこれ被っておいて」

 

 腕から射出されたワイヤーフックを使ってビルの壁へ器用に張り付いていたマックスから、何やら赤い袋のようなものが投げ渡された。

 

 これは、蜘蛛の巣がプリントされた目出し帽?

 

「君用のマスクだ!ヒーローには素顔を隠す仮面が必要だろう?」

 

「ありがとうマックス!後で落ち合おう!」

 

「それじゃいつもの場所で!」

 

 この時、マックスとピーターは気づいていなかった。

 

 2人が戦っているその光景を目の当たりにしたノーマンが、窓に張り付いて目を輝かせながら感嘆の声を漏らしていた事を。

 

 その背後には、緑色の液体が入った幾つもの試験管と赤いシンビオートの入った捕獲ケースが置かれていた。

 


 

 数時間後、マックスの部屋。

 

「さてピーター、取り敢えず説明タイムといこうか?」

 

「マックス!いったいあそこで何してたのさ?」

 

「いつものお仕事だね。今回はちょっと特殊だけど」

 

 マックスの部屋には幾つもの道具と仕事で使うガジェットが置かれている。

 

 部屋の奥にあるのは巨大なブレードだろうか?その横にはさっきの戦いで使っていためちゃくちゃでかい銃も置いてある。

 

「何から話そうかな…まずはピーターの体に起こってる変化についてかな」

 

 それだ。

 

 それこそピーターがマックスにしたかった相談の内容だ。

 

「今君の体にはかなり重篤な遺伝子変異が起こってるんだ。それも不可逆的なやつね」

 

「えっ!?」

 

「ピーター。君最近変な蜘蛛に噛まれたりしてない?例えばこんなやつ」

 

 マックスが手元の端末を操作すると空中にホログラムが浮かびあがった。

 

「あっ!こいつこの前僕の手を噛んだ蜘蛛!」

 

「やっぱそうかぁ…こいつはオズコープが遺伝子操作した蜘蛛でね。この前撮影に行った隕石の落下現場を覚えてる?

 オズコープのメインサーバーをハッキングしたらどうもあの現場にこいつをあの現場に持ってきてたらしくてね。

 

 どうやら、あの隕石から出てる宇宙線を使ってより強力な変異を起こそうと画策してたみたいだけど。

 その結果はお察しの通りシンビオートに襲われて調査員は1人を残して全滅。その時にこの蜘蛛も逃げ出して、どうやらピーターにくっついて来ちゃったみたい。

 

 そして、ただ1人生き残った調査員から抽出されたシンビオートの因子を元にオズコープは大量のシンビオートを生み出して兵器に転用しようとしたが、事故でその中でも特別な変異個体が何体か逃げてしまったんだ」

 

「それがさっきのやつ?」

 

「うん、逃げ出した特異個体の1人『フィアー』生物が恐怖を感じた時に出るノルアドレナリンに強く反応するよう調整されてた。

 要するにあいつを見て怖がると何処までも追跡されるって事ね。物凄く悪趣味だけど理に適ってる。

 

 問題は調整過程で過剰反応するようになって周囲100メートル以内の恐怖全てを感知するようになった事かな?そのせいで本来なら恐怖を感知した時だけ外れるリミッターが常に外れた状態になっててバカみたいに反応速度と変形能力が上がってたってところ」

 

「そうだったの?なんか普通に対応出来たんだけど」

 

「それは君の感覚も強化されているからだよピーター。蜘蛛に噛まれた事で君は超人的な能力を手にした。

 で、気になるのはシンビオートと戦った時に素手で殴り合いが出来てたところね。

 

 あれ、本来ならシンビオートに侵食されかねないのに見たところその兆候がまるでないみたいだし。

 

 取り敢えずちょっと採血しても良いかな?もしシンビオートに侵食されて無くてもどんな変化をしたのか検査する必要があるんだ」

 

「OKマックス、でもなるべく痛くないようにお願い」

 

 数時間後。

 

「検査結果が出たよ」

 

「どうだった!?」

 

「興味深い結果だね。ピーター良く聞いてね?今君の体には遺伝子変異が起こっているのは先に話した通りだけど。それとは別に君の血液中にはどうやら非活性状態のシンビオート因子が流れているらしい。

 それがシンビオート的には既に他のシンビオートが侵食している状態に見えてて強烈な忌避感を与えるようになってるね。

 つまり、今の君はシンビオートからするとサルミアッキみたいなものみたいだ」

 

「それどういう事?」

 

「まっずいから食べたくないもの扱いされてる。だから侵食されない」

 

 何それ酷い。

 

「後、もしかしてだけど何か変な感覚があったりしない?例えば変な気配を感じるとか」

 

 あっ、それもしかして。

 

「最近出歩いてると変な気配を感じたり囁き声みたいなのが聞こえてくるんだけど。それも何か関係があるの?」

 

「うわぁお気の毒」

 

「えっ?」

 

「さっき君の血液をシンビオートのサンプルと近づけてみたんだけどね?そしたら君の血液がサンプルに対して強い反応を示したんだ。

 多分だけど今の君は、町にいるシンビオートの位置を感知出来るようになってる。

 最早シンビオート発見器って感じ、四六時中シンビオートの居場所を感知しちゃうから後で何とかそれを抑えられるようなガジェットを作るよ」

 

 僕どうなっちゃうの?

 

 




【登場人物紹介】

『ピーター・パーカー/スパイダーマン』

・皆様ご存知スパイダーマン、覚醒してすぐにシンビオートと戦わされるという○ロムゲーばりの鬼畜チュートリアルをかまされた。

・現在は怪力、スパイダーセンス、生体ウェブの3つの能力と後述する2つの能力が判明している。

・マックスによる検査の結果、シンビオートから絶対に食べたくないまずいもの扱いされてるおかげで『シンビオートからの侵食阻害能力』を得ている事がわかった。
・また非活性シンビオート因子によって変異した肉体はシンビオートに対して強く反応する性質を持つ為、スパイダーセンスとは別に『シンビオート感知能力』も得ている

『フィアー/特異個体シンビオート』

・研究所脱走時に近場にいた研究員を取り込んで融合し、その後は町中で住人を追いかけ回して恐怖がピークに達したところを捕食するという凶行を繰り返していた。

・オズコープによる調整内容は生物が恐怖を感じた時に分泌されるノルアドレナリンへの感知及び過剰反応。
 恐怖を感知するとリミッターが外れて反応速度と肉体の変形能力が強化される能力を持つ。

・最後はマックスによって放たれたフラッシュバースト弾を食らったところをピーターに全力で殴られ、宿主との結合が完全に解けて敗北。
 実写版ヴェノムみたいにちゃんと宿主と仲良くしていたらもっと強くなっていたかも?

『ノーマン・オズボーン』

・オズコープの社長、スパイダーマンとシンビオート『フィアー』の戦いを目を輝かせながら観戦していた。
 なにやら怪しい薬品とシンビオートを所持しているようだが?

『マックス・ジョンソン/オールド・メア』

・今回は新コスチュームを引っさげてピーターとフィアーの戦闘に乱入した。
 ちなみに新コスチュームの内容は真っ黒トレンチコートの上からメカニカルな装甲を纏っている。えっ?なんでバイザーがクソデカサングラス型なのかって?作者の趣味だ!(後は作者のイメージする格好良いアメリカ人はグラサンとでかい銃が似合うマッチョだからだ!)
 オールド・メアに変身していない状態のマックスは多彩なガジェットを併用する戦闘を得意としている。
・ピーターの血液を検査したら結果がエグかったので内心頭を抱えている(こいついつも頭抱えてるな)
・何気にオズコープのメインサーバーをハッキングしてたりと色々多芸。

どうもオリキャラメインの話が一部読者から不評らしいので該当エピソードの大幅修正(または削除)アンケートを実施します。下記のアンケートの結果によっては該当エピソードの削除及び関連するエピソードの大幅見直しもあり得ます(主にザ・カミングアウト・ファンタズム編)

  • ザ・カミングアウト・ファンタズムⅢ〜Ⅵ
  • ザ・カミングアウト・ファンタズム全話
  • 変更無し
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