親愛なる隣人のさらに隣人 作:九曜の翁
『テレビの前の皆様、本日もニュースの時間がやってまいりました』
真っ暗な部屋の中で、テレビの画面から漏れる光だけが明かりとなって目の前を照らしている。
『先日病院で起こった爆発事故に続き、行方不明者が多数確認されております。
また、町中で不審な人物や車両の目撃例が相次いて報告されており、つい先日もオズコープ本社ビル付近の空中で赤い服を着た不審人物と全身が黄色の粘液のようなものに覆われた化物が殴りあっていたという情報が入っています。
政府からは不要な外出を控えるようにとの要請が出ていますので、テレビの前の皆様もどうかお気をつけて良きニューヨークライフを…』
部屋の中でリモコンだけがひとりでに動き、チャンネルが瞬時に切り替わる。
『続いてのニュースです!前々から大規模な広告を打ち出し界隈でも噂になっていた第二オズコープタワーが遂に完成したとの事です!
この第二オズコープタワーは多数の専門家による協力とオズコープの持つ豊富な財源によって建設されたニューヨークでは2つ目になるオズコープの大規模研究施設で、その中央には最新テクノロジーの髄を集めて製作された最先端の粒子加速器『バース』が置かれており、これによって第二オズコープタワーはエネルギー問題に悩まされる事がありません。
ただ、中央病院のすぐ近くに建設されたこの施設に不安の声を上げる住民も少なくはありません。
近日オズコープは近隣住民も招いた大規模な式典を行う予定であり、その場で施設に関する説明会も行う模様です』
「…オズコープ」
真っ暗だった筈の部屋にいつの間にか怪しげな白と黒の光が満ちていた。
その中心にて佇む何者かはテレビに映るオズコープのロゴを憎々しげに睨みつけている。
「お前は、裁かれなければならない」
やぁ皆、僕の名前はマックス・ジョンソン。
ちょっと前まで少し物知りなだけの一般ニューヨーク市民を自称していた男だ。
残念な事に、ノーマン・オズボーンがやらかして町に脱走したシンビオートたちのせいでピーターにお仕事を見られてしまってね。
流れでピーターとシンビオートの戦闘に参戦しちゃったせいで無事一般市民卒業しちゃったよちくしょう!!!
今は何をしてるかって?それじゃVTRへGO!
「うわぁぁぁ!!!マックス何これぇ!」
「落ち着くんだピーター!だから下手にガジェットに触らず近くに置いてある説明書をちゃんと読めって言ったのに!!!」
スパイダーマンとして覚醒したピーターは様々な力を使えるようになったけど。
急に目覚めたそれらを使いこなすには経験が少ない。
そこでピーターには、経験不足を補う為に僕が製作したガジェットを幾つか試してもらう事にしたんだ。
まぁそしたらこのざまなんだけど。
とんでもない勢いで空中を跳ね回るピーターに向かって僕は大声で叫ぶ。
「そのマルチアクションズ・サポーターは空中移動中に急加速及び方向の急転換を可能にする為のガジェットだけど!それはまだ開発途中だから触るなって言ったでしょ!!!」
「ごめん!間違ってボタン押しちゃった!!!」
スパイダーマンの代名詞としてウェブを使った空中移動がある。
このガジェットはその空中移動中にボタン1つでサポーターに内蔵されたカートリッジを炸裂させて、そこから発生した衝撃波により方向を急転換させる事が出来るというわけだ。
まだ未完成で危ないから使わせる予定なかったのにピーターが勝手につけてボタン触っちゃったもんだから誤作動起こしてピーターがピンポン玉みたいになってるんだよね。
ウェブ移動中は放物線を描くでしょ?あの最中に衝撃波で色んな方向にぶっ飛ぶ事で急加速して隙を減らそうっていう試みだったんたけどこれはやめた方が良さそうだね。
それに、よくよく考えたらあの放物線を描くような移動もスパイダーマンらしさなわけだし。
あんまり変な機能つけて慣れない動きさせるのも良くないよね。
「ところでピーター、変な気配や囁き声は止まったかい?」
「うん!凄いよこのマスク!」
ピーターに備わってしまったシンビオート感知能力。
この能力よりにもよって常時発動型だったせいで、ピーターはずっと頭の中で囁き声が響くし出歩くだけで気持ちの悪い気配を感じるっていうわりと切実な悩みが出来ちゃったんだよね。
だからピーターに顔バレ防止で渡したマスクにちょっと細工して新しく感知能力に対するキャンセラー機能を加えた。
「頭の中でずっと響いてた耳鳴りみたいな嫌な音がすっかり消えちゃったよ!」
感知が過敏過ぎて、ちょっとしたシンビオートの破片から発する小さな反応まで全部拾ってしまうようになっていたからそこを改善する為に色々と苦労して作ったものだが役にたっているなら幸いだ。
シンビオート本体が発する大きな反応だけはちゃんと感知するように調整してあるからそこら辺は心配なし。
「よし、それじゃ暫くの間は僕が君の活動に付き添う形で行こうか?未完成のガジェットを使わせて君が大怪我なんてしたら大変だしね。
それなら僕がついていってサポートをした方が安全だろう?」
ピーターには無理にスパイダーマンとして活動する必要はないって言ったんだけど。
シンビオートみたいな化物を放っておいたら親しい人や町の人たちも危険に曝されるから動かずにはいられないって言うんだよ。
やっぱり凄いなぁピーターは、スパイダーマンだから凄いんじゃなくてピーター自身の精神性からしてもう凄いんだ。
僕にはちょっと眩し過ぎるよ。
「じゃあ、早速パトロールに行こっか」
「うん!準備はバッチリだよマックス!」
・中央病院付近の路地裏
最近この付近では相次いで殺人事件が起きている。
被害者は全員素行の悪い男性ばかりで、全身をズタズタに切り裂かれたうえで頭だけがなくなっていた。
その特徴からシンビオートの仕業だと見た僕たちは早速調査を開始した。
「ピーターどう?」
「うん感じるよ、囁き声と嫌な気配が近くなってる」
ピーターのシンビオート感知能力は囁き声や嫌な気配といった形で出力されてる。
シンビオートの居場所が近ければ近いほどその感覚は強くなる。
「見つけた!」
ピーターが指差す先、そこにはやたらと細長くて背の高いシンビオートが佇んでいた。
『なんだお前らあんまり美味そうじゃねぇなぁ…ん?てめぇ同類かぁそれじゃあ駄目だなぁ。
ほら、此処は俺の飯場だからあっち行きな?同類同士でやり合うのは面倒だ』
僕たちを視認したシンビオートは腕を蠢かせながら変形させ、こちらを威嚇するようにその刃先をこちらへ向けている。
「シンビオート!今から君を捕縛するよ!」
『あぁ?まさかお前やり合おうってか、面倒だなぁ…腹が減るから嫌なんだよ争いはよぉ。
俺は女とガキは食わねぇ事にしてんだ…やわっこくて噛みごたえがねぇからなぁ。
でも悪さしてる男どもは食うぜぇ!あいつら噛みごたえがあって美味いんだ!』
それは無数の巨大な刃だった。
酷く幅広で、長く、そして鋭利な刃がところ狭しと全身に並んでいる。
「う〜んフランクが喜びそうなやつだけど確保対象だから見逃す事は出来ないかなぁ?後君派手にやり過ぎ!この辺りで死体が出過ぎて警察官さんたちが困ってるんだからね?」
「マックス、そこは人を食べてる事にも怒ろうよ」
「そこは大前提だから言う必要あるかなって」
『ふざけた奴らだ…悪い事はしてなさそうだしまずそうだから食いたくはねぇが、俺と争うんなら手足の1本はなくなるの覚悟しろよぉ!!!』
凄まじい咆哮をあげながらこちらへ迫るシンビオートは、まるで大量の刃物をくくりつけたバイクみたいだった。
「うわっ!?スピードも結構あるね!特徴からして君はもしや『リッパー』かな?」
個体名『リッパー』主に速度と攻撃性能に特化する方向で調整された超スピードアタッカー。
その凄まじい速度から放たれる突進は全身から生えた鋭利な刃と相まって驚異的な威力を誇る。
『違うな、俺がじゃねぇ
「ちゃんと宿主と仲良くしてるタイプかぁ…物凄く面倒な事になっちゃったよ」
【登場人物紹介】
『???』
・冒頭でテレビを見ていた謎の人物、一応原作登場人物とだけ言っておく。
『ピーター・パーカー/スパイダーマン』
・精神性がヒーロー過ぎて周りが絆される凄い子。実写映画だと疲れ果てたおじさんたち(ヒーロー&ヴィラン両方)の脳を焼きまくる。
・今作では1番近場にいる中の良い近所のお兄さん枠の脳を焼いていく。
それはそうとして全方面を脳焼きしていくのは間違いない(近所のお兄さんの激ヤバな妹?やっこさん尚更暴走するぞ)
『リッパー/中央病院付近のシンビオート』
・オズコープから脱走したシンビオートの1人、脱走組の中でも特にスピードと攻撃性能に優れる個体で、もう一体の超パワー型と並んで脱走組の中ではかなり上澄み。
こんなもん2戦目に持ってくるとかスパイダーマン世界の神様鬼畜か?
・実は宿主と仲良くしてるタイプなので尚更厄介である。
『マックス・ジョンソン/オールド・メア』
・冒頭の人物ではないがオズボーンには何か思うところがある、順調に地獄への道を歩んでいる(スパイダーマンのサイドキックとかろくな目に合わなそう)
・読者からヒロイン認定されてて草である(これ性別♀だったらヤバかったな)
どうもオリキャラメインの話が一部読者から不評らしいので該当エピソードの大幅修正(または削除)アンケートを実施します。下記のアンケートの結果によっては該当エピソードの削除及び関連するエピソードの大幅見直しもあり得ます(主にザ・カミングアウト・ファンタズム編)
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ザ・カミングアウト・ファンタズムⅢ〜Ⅵ
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ザ・カミングアウト・ファンタズム全話
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変更無し