親愛なる隣人のさらに隣人 作:九曜の翁
Hey皆!マックス・ジョンソンだよ!前回迄のおさらいをしようか。
前回僕はフューリーとコールソンに呼び出され、ブルックリンの旧倉庫街で待ち合わせをした。
そして、ヒューリーの目的は僕の所蔵品リストの中から発見した『ダークホールドの写本』を回収する事だった。
彼らと僕の交渉は決裂し、話は終わったように見えたが…残念ながら事はそう簡単にはいかないらしい。
「あぁ〜フューリー?悪い知らせともっと悪い知らせのどっちから聞きたい?」
「そこは普通良い知らせと悪い知らせじゃないのか?…悪い方から頼む」
「さっき使ったカボチャ型爆弾…実はあれ誤爆防止でそんなに沢山持ち歩いてないんだ。
だからさっき投げたあれが今持ち歩いている最後の1個」
少しの間気まずい沈黙が空間を満たし、ヴィブラニウム・スピアから発振したエナジーシールドを掠める弾丸の音が酷く大きく感じる。
「もっと悪い知らせは?」
「思った以上に包囲の密度が高い。スキャナーで調べたらさっき無力化した人数の倍以上がこの辺り一帯に集まってる」
もう少し人数が少なければ無理矢理突破する事も考えたんだけどね?それに信用出来ない人たち相手へあまり手札を見せたくないし。
「連中本気らしいな?よほど俺が持ってる写本が欲しいのか…それとも何か別の用事でもあるのか」
「それはわかりませんが、カーティスさんが保有する無数の知識とコネクションは彼らにとっても喉から手が出るほど欲しいものかと」
えぇ?
「知識とコネクションねぇ?なんでも屋なんてやってるが俺自身はただ知り合いが多いだけの一般市民だぞ?」
「それは貴方の認識がズレているだけでは?」
うわひっど!僕はただの一般市民です!それ以上でもそれ以下でもありません!!!
『ダグラス・カーティス!無駄な抵抗をやめてさっさと出て来い!!!』
しかしまぁ派手な催しと熱烈お客様だこと。
おそらくSHIELD上層部お抱えの部隊だろうが、痺れを切らしたのか思いっきりアサルトライフルをぶっ放してきている。
頬の横を掠める弾丸の雨あられが怖くないと言えば嘘になるが、それでも僕はこの状況を絶対打開出来ないとは思わない。
フランクとマットがこっちに向かっているし。
それに…もうすぐ夜がやって来る。
「カーティス、何か打開策があるのか?」
「あるにはあるよ?あんまやりたくないけど」
それはSHIELDどころかフランクやマット、ピーターやマイルズにもずっと隠してきた僕の秘密。
「まぁ仕方ないか、信用出来ない組織の長官に手札を見せるのはあまり気が進まないが死ぬよりはマシだ」
時間も丁度良い頃合いだ。
「まずいな、暗くなってきたぞ」
「相手側はフル装備の部隊ですから、当然夜間作戦用の暗視ゴーグルも用意しているでしょう」
そして、完全に日が暮れた。
「カーティスさん?」
『夜が来た…私たちの時間だ』
僕の体の輪郭がぼやけるのを感じる。
自分と世界を分ける境界線が段々と曖昧になっていく。
そして、1度全ての音と光が消えた。
『諸君、望まぬ悪夢を見る準備は出来たかな?』
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【同時刻:SHIELD上層部会議室】
SHIELDの上層部は腐りきっている。
それは周知の事実だと思うが、この会議の場に集まっている者たちは特に酷い。
『それで?ダグラス・カーティスについて調べはついたのか?』
「残念ながら、現状過去十年以内の彼の経歴や素性についての情報は一切不明のままです。
そもそもダグラス・カーティスという名前も数ある偽名の1つに過ぎないようで」
ヒドラの幹部、非合法な人体実験を指揮するクソみたいな官僚、密かに背信行為を働く者たち。
醜く、そして等しく腐れ果てている。
『不思議な話だ…本人はただの一般市民を名乗っているらしいが、その一般市民に関する情報を我々SHIELDでさえ集められんとはな』
「また、過去彼に接触したエージェント全員が彼の顔を思い出せないという症状を訴えており、調査班からの報告によると、彼らの体からは未知の薬品反応が検出されています。
医療班は、検出された薬品が一種の幻覚剤ではないかと推測しているようですね」
『興味深い内容だが、それも全て我々の部隊が彼を捕らえればわかる事だ』
「現地では、既に捕縛班が対象と接触し交戦状態にあります」
『あら、なら時間の問題ね?現場近辺でヒューリー長官が目撃されたという情報もあるみたいだけど、そちらはどうなっているのかしら?』
「捕縛班からの通信で対象とヒューリー長官は対象の隣にいると報告が」
『あら、ヒューリー長官も彼に接触を図っていたのね?でも今回は我々の方が一歩早かったみたい』
「今回の件で、彼も少しは組織としての立ち振舞いを学ぶでしょうね」
この魑魅魍魎の蔓延る伏魔殿がお開きになろうとした時、1つの異常が起きた。
『本部、こちら捕縛チーム!』
「どうした?」
『対象を見失いました!そのうえ何者かによって激しい抵抗にあっています!これ以上は保ちません!!!』
「落ち着け、状況を伝えるんだ」
『クソっ弾が当たらない!何なんだあの化物は?うわぁぁぁ!!!』
「…通信が途絶しました」
『モニターを監視カメラの映像に切り替えろ!現地の状態を確認するんだ』
会議室には緊張が走っている。
無理もない、容易く仕留められると思っていた獲物が自分たちの喉元に食らいつかんとしているのだから。
「映像、映ります」
『何という事だ』
それはまさしく死屍累々といった様相を呈していた。
幾人もの部隊員たちが地に倒れ伏し、声にならないうめき声をあげながら悶え苦しんでいる。
そして、真っ黒い姿をした何者かがこちらを見上げていた。
怪しく爛々と輝く2つの黄色い光。
まるで、自分たちが見ている事をわかっているかのようにそれはこちらを見つめているのだ。
「いったいあれは」
『何者なのか?と聞きたそうにしているようだね』
会議室へ静かに満ち始めた恐怖を煽るように、通信が途切れた筈の無線機からノイズと共に声が響く。
『望まぬ悪夢に怯えると良い、オールド・メアの目は決してお前たちを逃しはしない』
モニター越しにこちらを見つめるそれは、全てを見抜いているかのような冷たく突き刺さるような低い声で話しかけてくる。
会議室にいた者たちは完全に恐慌状態へと陥った。
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『フューリー、コールソン、もう出てきて良いよ』
「カーティスさんこれはいったい?」
ヒューリー長官とコールソンは非常に困惑していた。
日が暮れたと同時に突然カーティスが通りへ飛び出したと思ったら、数分も経たない内に辺りが静かになり。
先程まで元気にアサルトライフルを撃ちまくっていた特殊部隊が全員うめき声をあげながらのたうち回っている。
「「ダニエル(ダリオ)!いるか!」」
『フランク、マット、2人とも遅いよ!あんまりにも遅いから全部片づけちゃった』
「えっと、君はダリオで合っているのかな?」
駆けつけたパニッシャーとデアデビル、そして建物の陰に隠れていたヒューリー長官とコールソンの前に立っていたのは、黄色い目を怪しく輝かせながら全身に黒い衣服を身に纏った怪人。
オールド・メアであった。
【登場人物紹介】
『SHIELD上層部』
・映画でもお馴染み腐りきったクソ上層部の方々、なんかもう人選が終わり散らかしているので1度サノスに消し飛ばして貰った方が良いと思う。
こんなのに使われる部隊の皆さんがあまりにも可哀想である。
・なお今回の件でより一層カーティスへ確保の優先度が上がったが、後日全員が黄色い目がこちらを睨んでいるとの症状を訴え療養に入った。
『ニック・フューリー』
・上層部に秘密でカーティス(マックス)へ接触しにいったらマジで酷い目にあった可哀想な男。
でもまぁこの人も大概人に信用して貰えないムーブしてるので仕方ないところはある。
『フィル・コールソン』
・上司の流れ弾で巻き込まれた可哀想な男、作者はこの人大好きです。
『フランク・キャッスル(パニッシャー)』
・マックスからの救援要請を聞いて駆けつけたらなんか変な真っ黒い奴がいた。
『マット・マードック(デアデビル)』
・偶々フランクと一緒に行動してたら救援要請が飛んできたので同行した。
現地についたら大惨事になってるうえに、なんかいつもと感じの違う知り合いがやべぇ気配漂わせながら話しかけてきた。
『マックス・ジョンソン』
・わかってる事リストに『暗くなるとオールド・メアに変身する』が追加された(詳しい説明は次回)
・関わった人全員から謎の薬品が検出される怪事件を発生させているらしい。
・僕に特筆事項なんてないよと言いながら「めちゃくちゃ秘密が多いじゃねぇかお前」という突っ込み所が増えた。