アビドスのみんなが銃を構えて進んでいく。
それを受けた風紀委員会も戦闘を開始し始める。
ついさっきまで便利屋68の4人になかなか苦戦していた上に、その戦闘直後ということで負傷しているから不利だと思っていたのだが...どうやらそうでもないらしい。
私が思っている以上に便利屋68は強い集団だったらしい。アビドスもそうだけど。
「規則違反者め!抵抗するな!」
イオリが叫びながら突っ込んでくるが、アビドスの自治権はアビドス高校にあるというのに規則違反も何もないのでは?
そもそもの規則違反は他校の自治区に許可もなく入り込み軍事活動を行ったゲヘナの風紀委員会側にあるはずなんだけど...後で法務部にでも聞いてみようかな。
というか...そもそもなんでゲヘナはこんなところまでわざわざ出張してきたのだろうか?
いやまあ、便利屋68の捕縛が目的なんだろうけど、それにしては違和感が残る。
便利屋68は、元々ゲヘナに拠点を置いていたはずだ。こんなに大規模な部隊を率いてまで捕まえたい事情があるのであれば、ゲヘナにいたタイミングで捕まえればよかったはずなのに、なんでアビドスにやってきたタイミングなのか?こうしてまで捕まえたい理由がアビドスに拠点を移した後に生まれたというのなら分からんでもないが、それにしては便利屋68が直近に行った悪事はそこまで大きなものではない。
強いて言うならカイザーグループとの関わりだろうか?しかしそれにしたって、ゲヘナという「自由と混沌」を掲げる学園がそんな事を気にするのは不自然に思える。
...それならどうしてゲヘナの風紀委員会は...?
うーむ、まだ全然わからんぞ。ストーリーを詳しく覚えていればこんなに悩む必要も無かったんだろうけど。
私がひとりそんなことを考えている間も戦闘は続いていた。
先生の指示でドローンを動かしたシロコがイオリを迎撃しつつ飛び込んだ。そのまま肉薄したシロコとイオリは銃で鍔迫り合いをしつつ蹴りを入れ合っていた。
キヴォトスの戦闘って銃を撃ち合うものかと思っていたら、こういう近接戦闘もそこそこ見られるんだよね。まあ一部の人限定みたいな戦い方ではあるんだけどね。
だからこうして近接戦闘をやれる人同士の戦闘ってのは珍しい。
ふと隣の先生を見てみると、先生はその戦闘の様子を目を輝かせながら見ていた。
...これ多分、珍しい近接戦闘に目を輝かせてるんじゃなくて、イオリの足に惹かれてるんだよね...
むー...私ももうちょっとスカート短くしようかな...
私が横でちょっとだけ腰のところでスカートを折っているのに全く気が付かないまま先生はみんなに指示を出していた。
そんな先生の支持を受けて掃射を開始したノノミの手によってこちらに突っ込んできていた風紀委員会のショットガン部隊が一気に数を減らす。撃ち漏らしはセリカが処理をするし、その更に外側から狙ってくるスナイパーやらライトマシンガンの弾は見事な連携で相手を翻弄するアビドスのみんなには中々当たらない。便利屋が相当強い相手だったってだけで、やっぱりアビドスのみんなって強いんだなーと再認識した。
突っ込んでくるショットガン部隊が居なくなったのを確認したセリカが前に出てイオリと戦っているシロコのサポートに入る。ついさっきまで拮抗していた2人の戦闘は、セリカの介入によって一気にシロコの方に傾き直ぐに決着がついた。
まだ遠くにスナイパーやらライトマシンガンやらを構えた遠距離部隊が残っているが、もうほとんど消化試合だろう。
「な、なに!?私たちが負けただと!?」
地面に膝を着きながら驚きの声をあげるイオリを他所に先生が離れたところにいるチナツの方へと歩いていった。
「"久しぶり、チナツ。"」
「...せ、先生...こんな形でお目にかかるとは...
先生がそこにいらっしゃると知った瞬間、勝ち目は無いと判断して後退するべきでした...私たちの失策です。」
『アビドス対策委員会の奥空アヤネです。所属をお願いします。』
「それは...」
『それは私から答えさせていただきます。』
その時、イオリの近くからホログラムが起動し、アコが姿を現した。
「ブフッ...ww」
『さ、サトミさん...!』
思わず服装を見て吹き出してしまった私は、別に悪くないと思う。一応ゲームでも「なんだその服装!?」って印象に残っていたから覚えてはいたんだけど、実際にあの横乳がはみ出してる上に謎のベルを首から提げている訳の分からない服を見たら、我慢できなかった。
『......こんにちは、アビドスの皆様。私はゲヘナ学園所属の行政官、アコと申します。今の状況について、少し説明させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?』
私が吹き出したのを見てちょっと怒ったっぽい様子を見せたアコだったが、それを表情に出すことなく何とか持ちこたえたらしい。それを見たアヤネがホログラム越しにジト目を向けてくるが...
...私は悪くないって。
「アコちゃん、その...」
『イオリ。反省文のテンプレートは私の机の、左の引き出しにあります。ご存知ですよね?』
「...うぅ。」
イオリが反論しようとしたのか、口を開いたが言いきる前にアコがそれを止めた。
それを受けてイオリが黙り込んで項垂れてしまった。
この部隊の隊長らしいイオリが一言で黙り込んだのを見たアビドスのみんなは、目の前の変な服の女性の、風紀委員会の行政官であるという自己紹介に説得力を感じる。
『行政官...ということは、風紀委員会のナンバー2...』
『あら、実際はそんなに大したものではありません。あくまで風紀委員長を補佐する秘書のようなものでして...』
「本当にそうなら、そこの風紀委員たちがそんなに緊張するとは思えない。」
「だ、誰が緊張してるって!?」
イオリがカッとなって言い返してくるが、シロコの言葉は確かにその通りだった。
さっきまで倒れ伏していた風紀委員たちだったが、その殆どは居心地悪そうに佇まいを正して顔を伏せている。
連邦生徒会でいえば、リン行政官を前にしたような感じだろうか。まあ私はリン行政官が言葉選びが悪いだけって言うことを知っているから、そこまで苦手意識は持っていないけど。...今年入った後輩たちはほとんどがリン行政官に気圧されているだろう。図太く振る舞えているのなんてモモカくらいだろう。...あれはやりすぎだけど。
『なるほど、素晴らしい洞察力です。確か...砂狼シロコさん、でしたか?
アビドスに生徒会の面々だけが残っていると聞きましたが、皆さんのことのようですね。アビドスの生徒会は5名と聞いていましたが、後ひとりはどちらに?』
『今はおりません。そして私たちは生徒会ではなく、対策委員会です、行政官。』
『奥空さん、でしたよね?それでは、生徒会の方はいらっしゃらないということでしょうか?私は、生徒会の方と話がしたいのですが。』
「アビドスの生徒会はずっと前に解散したの!事実上私たちが生徒会の代理みたいなものだから、言いたいことがあるなら私らに言いなさい!」
「こんなに包囲して銃を向けられたまま「お話をしましょう」なんて言うのは、お話の態度としてはどうかと思いますけどね?」
『ふふっ、それもそうですね。失礼しました。
...全員、武器を下ろしてください。』
アコのその言葉で、私たちを囲んでいた全員が武器を下ろした。素直に戦闘態勢を解いた風紀委員達にアビドスのみんなは拍子抜けと言った様子だったが、そんな中で私は別のことに考えを巡らせていた。
さっきの会話...明らかにアビドス対策委員会のことを詳しく調べている。アビドス高校は昔は大きかったはずだが、もう規模を縮小して久しいはずだ。そんな高校を、それも廃校寸前の学校の情報を、ゲヘナなんていう巨大な学校の風紀委員会がどうしてこうも事細かに掴んでいるのか?
便利屋を追ってアビドスに来る際に調べたにしても、そもそもアビドス高校に一切の連絡を入れないのは不自然。つまりアビドス対策委員会の情報を知っているのは便利屋の件とは別の理由のはずだ。だとすればアビドス高校には何かしらわざわざ調べるほどの理由があるはずだ。
それなら風紀委員会の目的はなにか...いや、彼女らの雰囲気からして風紀委員会の目的というよりはアコの目的といったほうが正しいか...
パッと思いつくものはアビドスの何かしらを求めているということ。まあこれはここまで大規模な軍事作戦を強行している時点で違うだろう。砂漠、土地、人材...いずれもゲヘナ学園が求めると言うには不自然だ。
と、くればアコが求めているものはアビドスに関連しないがアビドスにあるもの...
ふと思い至った私は隣に立つ先生をチラリと見る。
...なるほどね。アコの目的はつまるところ、先生か。
突如として現れた超法規的機関の存在。それに合わせて崩れた秩序はみるみるうちに回復していった。
それほどに巨大な力を持つシャーレの先生の存在。
多くの野心を抱えるであろうゲヘナ学園がそれを求めることに不思議はなかった。
...とはいえだ。やはりここまでの強硬手段を取るというのもおかしな話だ。
そもそもこれまでのシャーレの仕事の中で万魔殿と関わるような仕事は一切なかったし、それどころか万魔殿からのコンタクトすら無かった。
シャーレの権限を支配する、シャーレに取り入る。なんにせよ、いきなりこんな荒っぽいやり方を選ぶとは...まあ見方によってはゲヘナらしくはあるが、万魔殿のあの生徒会長がこんなことをするとは...そんなに焦ってまで先生を確保する必要があるということか。
うーん...その理由もいくつか推測出来るけど...まあそれは良いや。私はここで先生が捕まったりしないってことも知っているし。
『先程までの愚行は、私から謝罪させていただきます。』
「なっ、私は命令通りにやったんだけど!?アコちゃん!?」
『命令に、「まずは無差別に発砲せよ」なんて言葉が含まれてましたか?』
「い、いや...状況を鑑みて必要な範囲で火力支援、その後に歩兵の投入...戦術の基本通りにって...」
『ましてや他の学園の自治区付近なのだから、きちんとその辺りは注意するのが当然でしょう?』
うーん、茶番だ...アコの登場タイミングとか、これまでの会話を見るにアコがイオリを誘導してそう動くように仕向けたのは明らかだろうし。
...というか他の学園の自治区
今、アコははっきりと自治区付近だと言った。自治区内ではなくだ。ここは、アビドスの自治区ではないと。
ついさっきまで、在校生が少ないとはいえアビドスのみんなの情報を調べているはずのアコが、アビドスの自治区を間違えるわけがない。
...まさか、本当に?後でアビドス高校の持つ自治区範囲を調べないとな...
分からないことが多すぎる現状、連邦生徒会という公的な立場にある私は、無闇矢鱈と口出しをする訳にはいかず、会話から読み取れる情報を脳内でひたすらに整理するばかりだった。
『失礼しました。対策委員会の皆さん。
私たちゲヘナの風紀委員会はあくまで、私たちの学園の校則違反をした方々を逮捕するために来ました。あまり望ましくない出来事もありましたが、まだ違反行為とは言いきれないでしょうし...やむを得なかったということでご理解いただけますと幸いです。風紀委員会としての活動に、ご協力をお願いできませんか?』
『先程もいいましたが...そうは行きません!
他の学校が別の学校の敷地内で、堂々と勝手に戦闘行為をするなんて!自治権の観点からして、明確な違反です!便利屋の処遇は、私たちが決めます!』
アヤネの宣言に、アコは押し黙る。アビドスのほかのみんなも何も言わずにまっすぐとアコを見据え、アヤネと同意見だと暗に示していた。
『......なるほど。そちらの方々も、同じ考えのようですね。
ふぅ...この兵力を前にしても怯まないだなんて...これだけ自信に満ちているのは...やはり、信頼できる大人の方がいるからでしょうか?
...ねぇ、先生?』
アコは先生を見据えながら言う。
これで確信した。やっぱりアコの目的は先生だ。
私はアコと先生の間に無理やり入り込む。
...だってあの服装、目に毒だし。
『...そういえばあなたも居ましたか。連邦生徒会、交通室長の小比類巻 サトミさん。』
「当然、私のことも知っていましたか。ですが今、交通室長は別の方が担当しています。今の私はシャーレ専属ですよ。」
『ふむ...先生、小比類巻 サトミさん。あなた方シャーレも対策委員会と同意見、ということでよろしいですか?』
「"便利屋は困った子たちかもだけど、悪人じゃないからね。"」
「私は既に、アビドス高校の味方をすると決めています。...それに、事前準備も情報収集も状況の誘導も、見事な手際ではありますが...こうして膠着した以上、不利なのはあなたの方ではありませんか?」
『...なんの事でしょうか?兵力はこちらの方が何倍も上ですよ?』
アコの作戦はおそらく、便利屋を餌にアビドス対策委員会を誘い出し、その戦闘の後にゲヘナの風紀委員会の業務を妨害したとして先生の身柄を拘束することだった。
しかし、この作戦にも穴はある。
その穴というのがこの場所における戦闘行為の権利だ。先の会話から、この場所がアビドス高校の自治区から外れているという可能性が浮上した。
...したのだが、こちらにいるのは連邦捜査部シャーレの先生。彼の持つ権限のひとつに、他所の自治区における無制限の戦闘行為の許可がある。つまりここがアビドス高校の自治区であろうとそうでなかろうと、この戦闘行為を咎める術はないのだ。逆に風紀委員会については、便利屋68を捕縛すると言う名目でここまで出撃してきている。その名目を無視して、ここでアビドス対策委員会と、そしてシャーレとの戦闘行為に及ぶ場合、追求は免れないだろう。
もちろん負けるとは思っちゃいないが、勝敗なんてここには関係ない。この戦闘行為に正当性を示せるかどうかなのだ。そもそも許可の必要ないシャーレと、他の自治区に出張ってきた風紀委員会。どちらが有利かは明白だ。
加えて、もしこちらが敗北したとしても、風紀委員会が業務の妨害を理由に先生の身柄を拘束することは出来ない。
何故ならアビドス対策委員会が現在行っているのは便利屋68の捕縛作戦だから。
向こうは「便利屋68を拘束しようとしたら相手が邪魔してきた!」と主張するんだろうが、それに対してこちらも同じことを主張する。
するとどうだ、あちらもキヴォトス最大のマンモス校の風紀組織ではあるが、こちらは連邦生徒会の指名した超法規的機関シャーレである。どちらの主張が通るかなんてのは...考えるまでもない。
つまるところ、アコは初撃で決着をつけられず、こうして私たちに情報を渡してしまった時点で負けなのだ。細かい目的やら、自治権の所在やらが不明でもこれが揺らぐことはない。
アコはそのことに気付いているのかいないのか、何とか下手くそなポーカーフェイスで取り繕っていた。
『......ですが、皆さん便利屋をこちらに引き渡す気は無い様子...こうなったら仕方ありません。本当は穏便に済ませたかったのですが...
...やるしかなさそうですね?』
アコのその言葉を受けて、場の緊張感が一気に高まる。
そしてその緊張を破るように、辺りにショットガンの乱射音が響き渡った。
ダダダダッ!ダダダダッ!
「うわぁっ!?」
ダンッ!ダンッ!ダンッ!
「ぐあっ!?」
みんなが一斉に音のする方向をむくと、そこにはいつの間にか起き上がって風紀委員会の包囲の外側から奇襲を仕掛けているハルカの姿があった。
迫撃砲を受けてまだ単身暴れ回るとか...こえー...
「嘘つかないで、天雨アコ。」
『あらっ?』
「偶然なんかじゃない。最初から、あんたが狙ってたのはこの状況だった。」
『ふむ...面白い話をしますね?カヨコさん?』
「そこの連邦生徒会の子も気付いてるみたいだけど?」
「...まあ、そうですね。そもそも不自然なことが多すぎますから。」
カヨコに振られ、私も頷く。どうやらカヨコもアコの目的に気付いているらしい。私はまだ分かっていないこともあるけど、カヨコはどこまで気づいてるんだろうか。
「...最初はどうして風紀委員会がここに現れたのか、理解できなかった。風紀委員会が他の自治区まで追ってくる理由、それも私たちを狙って?
こんな非効率的な運用、風紀委員長のやり方じゃない。だからアコ、これはあんたの独断的な行動に違いない。」
『...。』
え、そういうこと?
さっきまでの私の疑問の中に、ゲヘナ学園がここまでして先生の身柄を求める理由が分からない、というものがあったのだが、カヨコの言葉を受けてようやく理解した。そもそもゲヘナ学園の、万魔殿の指示で動いてる訳じゃなかったのか。この作戦が個人の暴走によるものだとすれば、たしかに納得の行く部分が生まれる。どうりで非合理的な行動なわけだ。
「それに、私たちを相手するにしてはあまりに多すぎるこの兵力。他の集団との戦闘を想定していたとすれば、説明がつく。
...とはいえ、このアビドスは全校生徒を集めても5人しかいない。
なら結論はひとつ。アコ、あんたの目的はシャーレ。最初から、先生を狙ってここまで来たんだ。」
「!?」
「な、何ですって!?」
「先生を、ですか?」
「"私?"」
久しぶりに見た先生のキョトン顔かわい♡写真撮っていいですか?
...まあそれは置いておいて。
「そうですよ。色々な情報を繋げていけば分かります。
あの行政官はアビドス対策委員会について詳しい情報を持っていました。それはアビドス高校の自治区に入り込んでの戦闘行為を行うからでしょう。ですがそれなら、どうして最初からアビドス高校に連絡を入れないのでしょうか?最初からアビドスの自治区で戦闘行為を行うなら連絡を入れておけばここまで拗れずに済んだ話です。つまり彼女は、意図してそれをしなかったんですよ。」
『...ふふっ、なるほど。』
ここで、押し黙ったままだったアコがようやく口を開いた。
『あぁ、便利屋にカヨコさんがいることをすっかり忘れてました。それにサトミさんも、そこまで頭が回るとは...連邦生徒会所属は伊達ではないということですね。
...呑気に雑談なんてしている場合ではありませんでしたね。
まあ、構いません。』
そう言ってアコが手を叩く。
『12時の方向、それから6時の方向...3時...9時...風紀委員会のさらなる兵力が四方から集結しています...!』
「...!」
「...増員。」
『まだいただなんて...それもこんなに沢山...』
『うーん...少々やりすぎかとも思いましたが...シャーレを相手にするのですから、これくらいあっても困らないでしょうし...まあ、大は小を兼ねると言いますからね。』
「包囲を抜けたと思ったけど...2重だったか。」
『はい、そうです。それにしても、さすがカヨコさんですね。先程のお話は正解です...いえ、得点としては半分くらいでしょうか?確かに私は、シャーレと衝突するという最悪のシチュエーションも想定していました。
しかし、この状況を意図的に作り出した訳ではありません。それだけは信じていただきたいのですが...どうやら難しそうですね。』
まあ、そりゃあね。イオリへの半端な指示といい、姿を現したタイミングといい...意図的だとしか思えない。
部下への指示はちゃんと明確にしろ!それで部下が失敗しても責任をとらんなんてクソ上司は嫌われるぞ!!私は前世のクソ上司大嫌いだったからな!!
『仕方ありませんね。ことの次第をお話しましょう。
...きっかけは、ティーパーティーでした。
もちろんご存知ですよね。ゲヘナ学園と長きにわたって敵対関係にある、トリニティ総合学園の生徒会のことです。そのティーパーティーが、シャーレに関する報告書を手にしている...と。そんな話が、うちの情報部から上がってきまして。
当初は私も「シャーレ」とは一体何なのか、全く知りませんでしたが...ティーパーティーが知っている情報となれば、私たちもする必要があります。それで、チナツさんが書いた報告書を確認しました。』
...確認遅くね?自信満々に言っているが、チナツの報告書とやらはおそらく先生がキヴォトスに来た時の話だ。そこそこ前の話なんですけど。
『連邦生徒会長が残した正体不明の組織...大人の先生が担当している、超法規的な部活。どう考えても怪しい匂いがしませんか?
シャーレという組織は、とても危険な不確定要素に見えます。これからのトリニティとの条約にも、どのような影響を及ぼすか分かったものではありません。ですからせめて、条約が無事締結されるまでは、私たち風紀委員会の庇護下に先生をお迎えさせていただきたいのです。ついでに、居合わせた不良生徒たちも処理した上で...と言った形で。』
うーん...取り繕ってばかりだけど、普通にシャーレの権限を自分たちに有利になるように利用したいだけだよね?自分たちが目の敵にしているトリニティに利用される前に自分たちが利用してしまえ!的な。まあ口でそんな事しない、なんて言われても信じられるものでもないけど。
「ん、むしろ状況が分かりやすくなっていいかも。」
「先生を連れていくって?私たちがそれで「はいそうですか」って言うとでも思った?」
『...ふふ、やっぱりこういう展開になりますか。では仕方ありませんね、奥空アヤネさん?』
『...?』
『ゲヘナの風紀委員会は、必要でしたら戦力を行使することもあります。私たちはいちどその判断をすれば、一切の遠慮をしません。』
アコの言葉に私たちが身構えた。そんな中、セリカが風紀委員会の壁の向こうにいる便利屋たちに叫んだ。
「よっし、便利屋!挟み撃ちするわよ!この風紀委員会、コテンパンにしてやらないと!!」
「先生の盾になってもらう。」
「先生を守ります。いいですね?」
「...話が早いね。」
「ふふっ、あはははは!
当たり前よ!この私を誰だと思ってるの?心配は無用!
信頼には信頼で報いるわ!それが私たち、便利屋68のモットーだもの!!」
こうしてアビドス対策委員会、便利屋68の一時的な共同戦線が幕を開けたのだった。
...私?もちろん戦えませんが?
今回長めになっちゃったけど、短くまとめるのが下手すぎて上手く分けられなかったので繋げます。そういうスキルが欲しいよね...
サトミの思考を長々と書き連ねることが多いですが、サトミは戦闘出来ない分他のところでいっぱい活躍して貰おう!って思ってたらなんかこうなるんです。