先生LOVE勢TS転生者生徒   作:めめ師

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第2話 シャーレ奪還戦

そんなこんなでやって来ました外郭地区!私にとっては慣れた道なんだけど、普段とは全く違う景色がそこには広がっていた。

 

ドカアァァァァン!!!

タタタタタタタ!!!

「な、なにこれ!?なんで私たちが不良と戦わなきゃいけないの!!」

 

そう、大量の不良が至る所で暴れており、辺りは発砲音と爆発音、そして不良の楽しそうな歓声で埋め尽くされていた。

 

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部室の奪還が必要ですから...」

「それは聞いたけど...私これでも、うちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど!なんで私が...!」

 

そう文句を言うユウカを、いつの間にやらこちらを向いていた不良たちの銃から飛んできた弾が襲った。

うわぁ、痛そ。

 

「いっ、痛っ!!痛いってば!!あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!?」

「伏せてください、ユウカ。それに、ホローポイント弾は違法指定されてはいません。」

「うちの学校ではこれから違法になるの!傷跡が残るでしょ!」

 

それ、ちょっと前の会議でも話題になったなぁ。

結局既に浸透しすぎている、ということで違法指定をするか否かは各学園の自治区の規則に委ねる、基本的に使用は控えるように呼びかけていく、という結論になったのだ。連邦生徒会の思惑としては、少しずつホローポイント弾の危険性を少しずつ認識させていくという形になったのだ。

 

まあ私は絶対違法にするべきだと思ったんだけどね。だってめっちゃ痛いし。

今までなら連邦生徒会長が違法指定から規則の周知と徹底、罰則までこなしてたからすぐにでも違法指定されていたんだけど、連邦生徒会長がいなくなってホローポイント弾が大量に流通し始めてから開かれた会議だから違法指定した所で誰も守らないだろという話になってしまったのだ。

今まで連邦生徒会長1人に頼りきったワンマン体制に、なんの疑問もなく続けていた報いだろう。

 

「今は先生が一緒なので、その点に気をつけましょう。先生を守ることが最優先。あの建物の奪還はその次です。」

「ハスミさんの言う通りです。先生はキヴォトスではないところから来た方ですので...

私たちと違って、弾丸1つでも生命の危機にさらされる可能性があります。その点ご注意を!」

「分かってるわ。先生、戦場には出ないでください!私たちが戦っている間は、この安全な場所にいてくださいね!」

 

ヘイローを持たず、銃弾1つが致命傷になる先生を心配するユウカ達に対して、戦場を少し見渡した先生は真っ直ぐにみんなを見ながら宣言した。

 

「"私が指揮する、任せて。"」

 

それを聞いた皆が驚いていた。

ユウカが「まあ先生だし...」と納得していたが、普通は先生って戦術指揮なんて出来ないからね?先生の仕事は戦術指揮ではなく教鞭をとることなのだ。

ところでなんで先生は戦術指揮なんてできるんだろう?

アロナが居ない今ですら戦術指揮が出来る辺り、先生は素でそういう技能を持っているんだろう。なんで???

 

「それじゃあ私はせんせの隣で皆さんのサポートをしますね?」

 

そういった私は、ホルスターから抜いた愛銃のセーフティロックを外して構えるのだった。

 

 

 

 

「悲しみも怒りも、全て因数分解してやるわ!」

...なんだって?

 

「天罰の光を!」

...厨二病?

 

「薬品ではありません、未来です。」

...ちょっと何言ってるか分からない。

 

「ターゲット、発見。」

...さっきからずっと見えてたよ?

 

戦闘中、先生に流れ弾が飛んでこないかを注視しながらインカムから聞こえてくるみんなの言葉に、私は心の中でツッコミを入れていた。

 

ゲームの事情だと思ったら本当にセリフ言うんだ...とか思っていると、今度は先生が私の方を見て言った。

 

「"次はサトミ、やれる?"」

 

...やっべ、なんにも考えてなかった。普段弱すぎて戦闘なんてやらないから急にEXスキルを発動しろって言われてもなんにもないんですけど...

えーと...考えろ私!なんかないか...

こんなとこから銃を撃っても届かないし...

救助要請にしてもみんな忙しいから援助なんて期待出来ないし...

えー...なんも浮かばねぇ!どうにでもなれー!!

 

「えっと...が、がんばれー!」

 

頑張れってなんやねん。我ながら呆れるほど訳の分からないことをしてしまったものだ。人のEXスキルのセリフにツッコミを入れる暇があるなら自分のを考えるべきだった...しかもこれ本当にただ声援を送っただけっていう。まあほかのサポート枠生徒がどうやってバフを撒いてるのか一切知らないからどうしようもないんだけど...

それにしたってただの声援は...

今後先生にこれが私のEXスキルだと思われると堪らないと思ったのだが、私が苦悩しているうちにいつの間にやら戦闘が終わっていたらしく、それ以上EXスキルを発動する機会を失ってしまったのだった。

 

...いや、EXスキルってのはゲーム上の演出であって、そもそも先生がEXスキルとかノーマルスキルとかの存在を認識してる訳では無いだろうし...

うん、そう考えると特に問題ない気がしてきた。

挽回しようにも私戦闘弱いし...EXスキルとして使えそうな何かを考えておかないとな...

 

『今、この騒ぎを起こした生徒の正体が判明しました。

狐坂 ワカモ。百鬼夜行連合学院で停学になったあと、矯正局を脱獄した生徒です。

似たような前科がいくつもある危険な人物なので、気をつけてください。』

 

インカムから聞こえてきたリン行政官の声に私たちは声を揃えて返事をした。

ワカモ...シャーレの建物の中で先生と会うはずなんだけど...

確かここで一目惚れするんだよね?大丈夫だよね?戦闘にならないよね?戦闘になったら多分、私10秒ももたないよ?私は先生がひとりでシャーレの中に入っていっても問題ないことは分かっているんだけど、シャーレ管理担当の私が一緒に入っていかないのは不自然だし...

 

そんなことを考えていると、気がつけばシャーレの建物の玄関前までたどり着いていた。

そうして再びシャーレが不良たちに襲われないようにとユウカ達4人が玄関前で警備を、そして私と先生がシャーレ内部にある今のキヴォトスに1番必要なオーパーツの回収を行うことになった。

 

先生を連れてシャーレの中に入った私は、陰からワカモが飛び出してこないかをめちゃくちゃ警戒しながらシャーレの中を進んでいく。

そうしてクラフトチェンバーの設備とシッテムの箱を保管していた部屋にやってきた私たちは慎重に扉を開けると同時に目の前にいた生徒と目が合ってしまった。

 

そう、その手にシッテムの箱を持ち、狐の仮面と着物を身につける生徒、言わずと知れた狐坂 ワカモである。

 

「あ」「あら?」

 

私に気付いたワカモは物凄い速さで手に持っていたライフルを私に向けてきた。一方の私は警戒をしていたにもかかわらず、ライフルを向けられた時にはホルスターにある拳銃に手が触れている程度だ。

これが戦闘経験の差か...というかそもそも最初から構えとけよ!何してんだ私!

 

そうして脳内で自分自身にツッコミを加えていると、ワカモの視線(仮面をつけているから分かりづらいけど、顔の方向が明らかに私の顔の隣を見ている。)に気づいた。

 

「あら、あららら...」

 

その状態で固まったワカモは明らかに目の前の私を気にしておらず、私は万一に備えて拳銃をワカモに向けた。

それでもまだワカモはこちらを見ることなく、ついにはライフルの照準すらどんどん下がっていく。

 

「し、し......

失礼いたしましたーーーー!!!

 

私を見ないままにそう叫んだワカモは手に持っていたシッテムの箱を放り出してものすごい速度で私の先生の横を走り抜けて行った。

 

...原作通りだからいいっちゃいいんだけど...やっぱりこうなったか...

今、ワカモの身に何が起きたのかと言うと、つまりワカモは先生に一目惚れしたのだ。それによって助かったのは良いんだけど、私にとってはライバルが増えたということである。

ワカモめ!!先生は渡さんぞ!!

 

何やらどこかからそもそもお前のじゃねぇよとツッコミが聞こえてきた気がするが、まあ気のせいだろう。先生は私のだ!!

 

「"...今の子は?"」

「狐坂 ワカモ、今回の暴動の首謀者ですね。...今後、彼女から何かしら接触があるかもしれませんが、十分注意をお願いします。」

「"うーん、多分大丈夫じゃないかな?"」

 

いや本当に大丈夫なんだけどさ。

くそっ、先生のことだから意味ないって分かってはいたんだけど、対ワカモへの牽制は失敗か...

 

「リン行政官、とりあえずこちらで進めてもいいですか?」

『構いません。正直に言いますと私がそちらに向かったところでサトミ以上の手掛かりを出せることはないでしょうから。』

 

牽制の仕方を変えた方がいいかなと思案しつつ、私はワカモが放り投げて地面に落ちてしまったシッテムの箱を拾った。

結構な勢いで地面に落ちてたけど壊れてないよな?一目惚れの衝撃で放り投げられて画面が割れたせいでバッドエンドとか洒落にならんぞ。

 

「良かった、無事ですね。はいせんせ、こちらをどうぞ。」

「"タブレット端末?"」

「はい。これが連邦生徒会長が先生に残したオーパーツ、「シッテムの箱」です。

一見普通のタブレット端末ですけど、実のところこのタブレットに関しては何も分からないんです。製造会社、OS、システム構造、挙句の果てにはどうして動くのかすらも。

連邦生徒会長曰く、これは先生のものでこれがあればサンクトゥムタワーの制御権を回復させられるそうですよ。私達生徒では起動すら出来なかったんですけど、先生なら出来るはずですから、お願いしますね?」

 

私が先生にシッテムの箱を渡して部屋の隅の方に離れると、先生はゆっくりと電源ボタンに触れる。私たちではうんともすんとも言わなかったシッテムの箱は、これまでの私たちの苦悩を一笑に付すかのごとく画面を光らせるのだった。

 

そして先生は画面に何かを入力していく。多分プロローグで出てきた謎に長ったらしいパスワードだろう。

確か「我々は望む、ジェリコのなんちゃらを。我々は覚えている、ほにゃららほにゃららを。」とかそんなんだ。うろ覚えすぎて全然分からないけど。ジェリコって誰よその女!!

 

やがてパスワード入力を終えた先生が目を閉じて沈黙する。

ほえー、あの教室に入ってる間はこんな感じなのか。まあ確かに肉体ごとあの教室に入れちゃったら色々と不味いもんね。あの教室に入る事にシッテムの箱が地面に激突することになったり、肉体をシッテムの箱に収納して衝撃から逃げたり...色々出来そうだ。

 

そんなことを考えていると部屋の照明が着く。

 

『...はい。サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認できました。これからは、連邦生徒会長がいた頃と同じように行政管理を進められます。』

「先生、お疲れ様でした、ありがとうございます♡」

『ここを襲撃した不良たちと停学中の生徒については、これから追跡して討伐いたしますのでご心配なく。

...これで私の役目は終わりですかね。サトミ、先生に連邦捜査部「シャーレ」の案内をしてあげてください。』

「分かりました!先生、着いてきてください♡」

 

それから私はシャーレの中を先生と一緒に進んでいく。

そうしてやってきたシャーレの部室、今後私も先生も、最もお世話になるであろう部屋だ。

 

「ここはシャーレの部室。先生のお仕事は基本ここで進めることになります。もちろん、私も手伝いますからね?」

「"私はこれから何をすればいいの?"」

「実の所、シャーレは権限はあっても目標はない組織なんです。だから何かしらやらないといけない仕事がある、というわけではありません。つまり、先生のやりたいことを何でもやっていいんです!

...面白いですよね。先生は連邦生徒会長を知らないのに、連邦生徒会長はそんな権限を簡単に預けてしまえるほどに先生を信頼している。果たして連邦生徒会長と先生の間には何があるのか...

...まあ目下シャーレの仕事としては、連邦生徒会からキヴォトス各地の問題事や様々な苦情、要請に対応することになるでしょう。恥ずかしい話ですが、連邦生徒会長のいない連邦生徒会はそれらに対応ができるほどの余裕が生まれることは無いでしょうから...」

 

 

 

 

 

「ええ。サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会が取り戻した頃を確認したわ。」

「ワカモは自治区に逃げてしまったのですけど...すぐ捕まるでしょう。私たちがここまで。

あとは、担当者に任せます。」

「お疲れ様でした、先生。先生の活躍はキヴォトス全域に広がるでしょう。すぐにSNSで話題になってしまうかもしれませんね?」

「"みんな、お疲れ様。"」

 

私と先生はシャーレ奪還を手伝ってくれた4人を見送っていた。そんな中、ハスミが不思議そうに私のことを見ていた。

 

「あの...サトミさんは連邦生徒会に戻られないのですか?」

「あぁ、私は元々シャーレ部室の管理担当ですので。シャーレに先生という主ができた以上、今後は私の専属は連邦生徒会ではなくシャーレになるんです。」

 

私の言葉に4人は驚きの表情を浮かべる。

 

「そ、そうなのですね...」

「へぇ...そ、それは...いや、なんでもないわ。」

 

若干顔を赤くしながらかぶりを振ったユウカを見て、私はなんとなく彼女の考えが予想できた。

どうせ先生とずっと一緒にいられて羨ましいなーとか思ってるんだろー?ほらほら、羨ましいだろー?シャーレは今日から私と先生の愛の巣(意訳)だぞ!!

 

 

 

【数日後】

 

 

 

シャーレの部室が先生という主を迎えてから数日後。

シャーレ奪還戦の翌日には既に連邦生徒会からキヴォトス各地の問題事やら苦情、要請に関する書類が山のように届き、私も先生も連日書類仕事に追われる日々を送っていた。

先生は生徒である私に対して無理をしないように言ってくれているが、私からすれば無理をしているのは先生だ。既に連日徹夜を繰り返して、少し目を離した隙に机の上には空になったエナジードリンクの缶が置かれている現状。本当に心配になる。これは先生が好きだからとか関係なく、先生が明らかに無理をしているからだ。

 

私はその度に連邦生徒会に苦情を叩きつけた。

古巣ということもあって、(連邦生徒会を辞めた訳では無いが。)みんなが忙しいというのはわかっているが、流石に多すぎる。私も連日書類を纏めたりサンクトゥムタワーに持っていったりする日々。

 

一応当番の子が何人か手伝ってくれてはいるけれど、それでも足りないレベルだ。

それに個人的には当番という制度は私にとってはちょっとだけ嬉しくない。

だってこの間も私が書類を持って行っている間に、いつの間にやら当番だったユウカがメモロビを敢行しやがったのだ。私がいない隙を伺って先生にアピールをするとか...

卑しい...卑しい〜!(おまいう)

 

まだ先生がシャーレに来てから数日しか経っていないのにいくつも見えてくるライバルの影に、私は燃えるのだった。

ヒロインレースを優勝するのは私だぞ!!




サトミのブルアカ知識はストーリーを大まかに把握している程度です。ある程度何が起きるかは知ってるけど、どのタイミングで何が起きるのかは知らないとかその程度。
本人としては可哀想な子は救ってあげたいよねー程度のノリでストーリーに介入します。
パラレルワールドがどうだとか、バタフライエフェクトがどうだみたいなのは気にしません。
そもそもこの子、プレ先世界がどうだみたいな話あんま理解してません。
サトミの1番の目的は先生とくっつく事ですので。
先生、お姫様って呼んで!!
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