ロックマンゼクス&はぴねす!2〜激闘!超次元戦争〜 作:騎士誠一郎
**【沖縄本島・恩納村 エメラルドビーチ】**
**ザザァァァァ……ッ。**
果てしない蒼天と、エメラルドグリーンに煌めく東シナ海の水平線。
寄せては返す白い波頭が、柔らかな砂浜を優しく撫で、潮の香りを乗せた暖かい南風が、南国のガジュマルの木々をサラサラと揺らしていた。
あの瑞穂坂上空での死闘——『ワイリー・キャッスル』の次元消滅炉を巡る、時空を揺るがした大決戦から数週間。
地球を覆っていた悪夢のような『Wフィールド』も、異世界の危機も嘘のように去り、世界は平穏な日常を取り戻していた。そして、激闘を駆け抜けた若き適合者たちに与えられたのは……かつて途中で立ち消えとなっていた、念願の「沖縄バカンス」であった。
「うひょーーーっ! 海だぁぁぁぁっ! 最高の天気じゃんかぁぁぁっ!!」
ビーチサイドのパラソルの下から、水着姿の八輔が勢いよく飛び出し、真っ青な海へとダイブを決める!
「ちょっと八輔! 水しぶき飛ばさないでよ! せっかく塗った日焼け止めが落ちちゃうでしょ!」
ヴィヴィッドなピンクのビキニを身に纏った杏里が、腰に手を当ててプンプンと怒声を飛ばす。その傍らでは、すももが可愛らしい麦わら帽子を深めにかぶり、トロピカルジュースのストローを咥えながら、のんびりと波打ち際で足をバタつかせていた。
「ふふ、杏里さんったら相変わらずお元気ね。……でも、本当に良かったわ」
白いワンピース水着を着た小雪が、涼やかな瞳で遠くの水平線を見つめる。その隣で、涼しげな白いビキニ姿の春姫が、風に髪をなびかせながら優しく微笑んだ。
「ええ……。みんなが無事で、こうしてまた笑い合える。これ以上の幸せなんてないわね」
パラソルの影で、ビーチチェアに深く腰掛けた雄真は、冷えたシークワーサージュースのグラスを手に、仲間たちの賑やかな姿を眺めていた。
その胸元——シャツのポケットの中には、青と赤のライブメタル『モデルX』と『モデルZ』が、日差しを浴びて静かに、そして温かく眠るように光を宿している。
『……ふむ。異次元の異変も完全に収束し、この地球のエネルギー状態も完璧に安定しているな』
胸元から、モデルZの低く落ち着いた声が届く。
「ああ。ロックマンたちも自分の世界へ戻り、スターフォックスの皆さんも無事にライラット系へ帰還した……。本当に、全部終わったんだな」
『……油断は禁物と言いたいところだが、今のこの世界に迫る脅威は存在しない。……たまには、こうして翼を休めるのも悪くはないな、雄真』
モデルXの声も、どこか穏やかな安らぎに満ちていた。
「兄さん! ぼーっとしてないで、早く泳ごうよーっ!」
海の中から、八輔とすももが手を振っている。
「はいはい、今行くよ!」
雄真は笑顔で立ち上がり、南国の輝く海へと駆け出していった。
太陽の光が降り注ぐ砂浜。弾ける笑顔と、途切れることのない笑い声。
過酷な運命を乗り越えた若者たちに訪れたのは、何物にも代えがたい、穏やかで平和な「日常」のひとときであった。
**【地球より遥か数千光年離れた、深宇宙の暗黒海】**
だが——。
地球の常夏の歓声が届くはずもない、果てしない星々の海の最果て。
静寂と絶対零度が支配するその深宇宙の闇において……「それ」は、静かに、しかし確実に目覚めの刻を迎えていた。
瑞穂坂の時空歪曲波によって一瞬だけ開いた「次元の深淵のヒビ」。
ワイリーの野望が打ち砕かれ、全てが解決したかに思われたその陰で、次元の裂け目の最深部へとなだれ込んだナノマシンの残光と巨大なエネルギーの奔流。
それが、宇宙の最果てに眠っていた**「古の巨大な存在」**の核へと届いていたのだ。
**ゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ。**
音のない真空の闇の中で、星々を凌駕する超巨大な構造体のギアが、ミリ単位で噛み合い、不気味な重力波を放ち始める。
それは、ロックマンの世界の科学とも、ライラット系の技術とも、地球のナノマシンとも異なる——「あらゆる願いを叶え、あらゆる世界を再構成する」という、あまりにも強大で異質な、神の如き次元干渉の波動であった。
暗黒の宇宙空間に、不吉な巨大な「瞳」のような光が、静かに、ゆっくりと見開かれる。
地球の小さな島で戯れる雄真たちの絆。
そして、彼らが護ったこの世界の未来。
それら全てを再び飲み込み、新たな「究極の過酷な運命」へと引きずり込もうとする、最大にして最後の絶対的な存在の脈動が……いま、銀河の彼方から静かに、確実に地球へと近づきつつあった。
——熱き絆の物語は、まだ終わらない。