ロックマンゼクス&はぴねす!2〜激闘!超次元戦争〜 作:騎士誠一郎
**【北海道・石狩平野・巨大メガソーラー発電基地】**
地平線の彼方まで見渡す限りの漆黒——。
かつては広大な緑と太陽の恵みを一身に受け、北の大地にクリーンなエネルギーを供給していた日本最大級の『石狩メガソーラー発電基地』。しかし今、その見渡す限りのソーラーパネル群は黒く変質し、無数の高圧電線がまるで巨大な蜘蛛の巣のように大腔を覆い尽くしていた。
「……瑞穂坂の空を歪める悪魔の楔。北の果てにまで、こんな無体な爪痕を残して……!」
氷点下の夜風が吹き荒れるパネルの海。その上空数百メートルの高空に、音もなく旋回する一筋の翡翠(ひすい)の光があった。
風と雷の装甲——『モデルH』を纏う少女、春姫であった。
二重の背部ツインスラスターから澄んだグリーンの粒子を放ち、彼女は舞うように空中に佇む。その手に握られているのは、可憐な見た目からは想像もつかない鋭利な双剣『ソニックブレード』である。
『春姫、油断するなよ』
胸元から、モデルHの知的で洗練された声が響く。
『このメガソーラーは単なる発電所ではない。ワイリーの技術によって過励起された光電変換素子が、大気中の静電気と太陽光の残留エネルギーを異常増幅させている。一歩足を踏み入れれば、数億ボルトの雷撃が襲いかかる超高圧の処刑場だ』
「ええ、分かっているわ、モデルH。……杏里ちゃん、すももちゃん、小雪さん。みんながそれぞれの場所で命を懸けてタワーを砕いた。あたしだけが、この空で後れを取るわけにはいかない……!」
春姫は双剣を交差させ、鋭く息を吸い込んだ。
「神坂流の意地……見せてあげるわ! トランスフォーム・モデルH……ファスト・エア・ドライブ!!」
**シュバァァァァァンッ!!**
音速を超えた翡翠の衝撃波とともに、春姫は極限まで高電圧がチャージされたメガソーラー基地の最深部へと急降下した!
**【メガソーラー基地・中央超高圧変電プラント】**
「ヒャハハハハハッ! 遅い遅い遅ぁぁぁいッ! !!」
バリバリバリバリッ!!
プラント内部へ乱入した春姫を待っていたのは、目にも留まらぬ速度で高圧電線を飛び交い、残像を散らす紫電の狂王——ワイリーナンバーズの一角、**ヒューズマン**であった!
頭部と両腕に設置された巨大な整流管(ヒューズ)から、絶え間なく紫色の高圧プラズマ火花が撒き散らされる。
「ワイリー様の命により! このメガソーラーのミリオンボルト・エネルギーは全て上空の『Wフィールド』へ送電中だ! お前のようなヒヨッコにオレのスピードが捉えられるかぁぁぁッ! 『スピーダー・ボルト』!!」
ジジジジジッ!
ヒューズマンの姿が一瞬で消失! 次の瞬間、春姫の全方位から無数の紫電の軌跡が迫る!
「くっ……!? 速い……っ!?」
春姫は反射的に双剣を構え、風のバリアを展開する!
ガガガガガガガガギィィィンッ!!
「きゃああっ!?」
全方位からの超高速アタック! 風のバリアなど紙屑のように引き裂かれ、十数回に及ぶ高圧雷撃の直撃を受けた春姫は、焦げ茶色の煙を上げながらソーラーパネルの群れへと撃ち落とされた!
「ハハハハハッ! どうだ! この超スピードと超電圧! これがワシの……『ミリオンボルト・ダイナモ』だぁぁっ!」
ヒューズマンがプラントの鉄塔の上に降り立ち、高笑いを上げる。
パネルの瓦礫の中で、春姫は激しい痺れと全身を焼く痛みに耐えながら、必死に双剣を支えにして立ち上がった。
「ハぁ……ハぁ……! スピードなら……わたしのモデルHだって……負けてない……!」
『春姫、落ち着くんだ!』
モデルHが焦燥を含んだ声で叫ぶ。
『無闇に速度勝負を挑むな! 敵はメガソーラー全体から無限に高圧電流をチャージしている! 普通に追いかければこちらのエネルギーが持たん!』
「でも……! 止まっていたら撃ち抜かれるわ! 風を……わたしの風を味方にするの!!」
春姫は双剣を天に掲げ、モデルHのもう一つの属性——「雷」の力を逆利用する構えを取った。
「風よ……あたしの翼に集いなさい! 『ソニック・トルネード』!!」
ドバァァァンッ!
春姫を中心に、巨大な二本の大竜巻が発生! メガソーラー基地全体を巻き込む風の壁が、ヒューズマンの移動軌道を強制的に制限していく!
「ほう! 風でオレの足を止める気か! だがな……無駄だぁぁぁッ!」
ヒューズマンの頭部整流管が赤く発光し、限界突破の過電流を放出し始めた!
「オレの真の力……過充電モードを見せてやる! 吹き飛べぇぇぇッ!!」
バリバリバリガキィィィンッ!!
竜巻すらも内部から引き裂く超巨大な電磁波! ヒューズマンは光の矢となって竜巻を突き破り、春姫の胸元へと一直線に肉迫した!
「終わりだァッ! 『スピーダー・ボルト・マックス』!!」
死の電流が宿ったヒューズマンの右拳が、春姫の心臓部へ迫る。
だが——春姫の瞳は、静かに澄み渡っていた。
(覚悟なら……もうできている。あたしは……神坂家の名に恥じぬ戦いをする……! 雄真さんたちに……この風を届けるために!!)
「風の
**シュパァァァンッ!!**
春姫の背部スラスターから、緑の粒子ではなく、透き通るような純白の「真空波」が解き放たれた!
空中での超即応方向転換!
春姫の身体は重力を無視して横滑りし、ヒューズマンの必殺の拳をわずか数ミリの差で紙一重でかわしてみせた!
「な……なにぃぃぃぃっ!?? オレの過充電モードを……かわしただと!?」
ヒューズマンが驚愕で目を見開く。
「わたしの風は……あなたのような乱暴な電気とは違う! 優しく……そして何よりも速く……空間を翔けるのよ!!」
春姫の双剣が、月光を反射して輝く。
「『プラズマ・ソニック・スラッシュ』ぁぁぁぁぁっ!!」
ズバババババババババッ!!!!
音速を超えた十六連撃の真空斬撃!
風と雷の二重属性を纏った光の刃が、ヒューズマンの四肢と頭部整流管を寸分の狂いもなく正確に切断・解体していく!
「ガハッ……!? オレのスピードが……斬られる……!? ワイリーさまぁぁぁぁぁっ!!」
バリバリバリッ! ドカァァァァァン!!
過充電されたメインコアが内部から破裂し、ヒューズマンは断末魔の悲鳴とともに北の大地の激しい爆炎の中に散っていった!
「ハぁ……ハぁ……! やった……わたし……勝てた……!」
爆砕するヒューズマンを背に、春姫は双剣を消し、胸を押さえて雪の上に膝をついた。
直後、メガソーラー基地の中央にそびえ立っていた巨大な送電タワーが、激しいプラズマ火花を上げて崩壊を始めた!
ドカァァァンッ! ボカンッ!!
北海道の大地から瑞穂坂の上空へと伸びていた紫色の悪魔的エネルギーラインが、不気味な音を立てて完全に消絶していく。
これで——九州の杏里、中部のすもも、太平洋の小雪、そして北海道の春姫。
日本列島を東西南北から縛り付けていた『Wフィールド』の4大中継タワーが、適合者たちの手によって全て撃破されたのだ!
『見事だ、春姫!』
モデルHの声が、誇らしげに響く。
『これでワイリーのバリアは限界まで衰退した! 瑞穂坂の本隊が上空の要塞へ突入するための「道」が……ついに開かれたぞ!』
「ええ……! モデルH……!」
春姫が立ち上がり、夜空を見上げたその時であった。
北の星空を切り裂いて、銀色の巨大な影——**グレートフォックス**が、優雅な旋律とともに春姫の頭上へと舞い降りてきた。
「やあ! モデルHの女の子! 乗っていきなよ!」
ハッチから顔を出したスリッピーが、手を大きく振る。
ブリッジのモニターには、一足先に回収されていた杏里と小雪、そしてスターフォックスのペッピーとフォックスの頼もしい姿が映し出されていた。
『 無事だったな!』
フォックスが力強く頷く。
『四つのタワーは全て沈黙した! 残るは瑞穂坂上空に浮遊する『ワイリー・キャッスル』の攻略だけだ!』
「貴方は……! はい! すぐに向かいます!」
春姫は背部のスラスターを噴射し、グレートフォックスの格納庫へと躍り出た。
——全ての支柱を失い、瑞穂坂の上空で孤立し始めるワイリー・キャッスル。
——東西南北から集結した四人の適合者たちと、宇宙からの救援者スターフォックス。
いよいよ物語は、地球と全次元の命運を賭けた「最終要塞突入作戦」へと進破していくのであった——!
**【瑞穂坂上空三千メートル・グレートフォックス・格納庫】**
ゴォォォォォ……ッ。
氷点下三十度の高空を穿ち、スターフォックス隊の超大型超時空母艦『グレートフォックス』は、雲海を滑るように西へと針路をとっていた。
メイン格納庫の重厚な気密エアロックが強烈な圧搾空気の音とともに開放される。
広大なフロアには、北海道のメガソーラー戦を制した春姫を乗せ、Gディフューザーから残アーウィンの姿があった。
「春姫っ!」
「春姫さん!」
格納庫のタラップを駆け下りてきたのは、一足先に収容されていた杏里と小雪、そして同じく中部エリアの電磁タワーを粉砕して戻ったばかりのすももであった。
「みんな……! 無事だったのね……!」
春姫はモデルHの装甲を解除すると、駆け寄ってきた三人と強く抱き合った。
九州の阿蘇、中部の電磁山脈、太平洋の深海プラント、そして北海道のメガソーラー——。
日本列島を東西南北から縛り上げ、瑞穂坂の上空へ凶悪な暗黒エネルギーを送り続けていた『Wフィールド』の四大中継タワーは、彼女たち四人の適合者の死闘によって、いまや全て沈黙を迎えていた。
「すごいわ、春姫。北海道の過酷なメガソーラーを一人で……」
小雪が安堵の息を漏らし、春姫の冷たくなった手を優しく包み込む。
「へへっ、みんながそれぞれの場所で頑張ってるって分かってたからね! わたしだけ負けるわけにはいかなかったもん!」
すももが胸を張り、眩しい笑顔を見せる。
「これで……上空のワイリー城を包んでいた『Wフィールド』の出力は七割以上低下したはずよ」
杏里がキッと頭上の巨大モニターを見上げた。そこに映し出されているのは、瑞穂坂の遥か上空、時空の歪みの中心に不気味に佇む『ワイリー・キャッスル』の巨大なホログラム像であった。
「だが、油断は禁物だぞ、お嬢さん方」
重厚な足音とともに現れたのは、スターフォックス隊の老練なるパイロット、ペッピー・ヘアであった。その隣には、メカニック兼操縦士のスリッピー・トードが、賑やかにデータパッドを叩きながら歩いてくる。
「日本各地の中継タワーは潰したが、ワイリーは瑞穂坂の地下に残された旧イザナミのナノエルフ端末から、直接エネルギーを吸い上げる非常回路に切り替えようとしている。手遅れになる前に、奴の居城に直接乗り込むしかない!」
「ええ……その通りです、ペッピーさん」
格納庫の奥、アーウィンの整備デッキから歩み出てきたのは、小日向雄真であった。
その胸元には、赤き英雄の魂を宿すライブメタル『モデルZ』と、青き希望の意志を継ぐ『モデルX』が静かに光を放っている。
「雄真くん……!」
春姫が目を見張り、雄真の元へ歩み寄る。
「無事だったのね。瑞穂坂の地下防衛線は……」
「ロックマン、それにフォックスさんたちが地上の残党を抑えてくれた。おかげで俺たちは、このグレートフォックスで全戦力を結集させることができたんだ」
雄真は力強く頷き、集まった仲間たちの顔を一人ひとり見つめた。
「杏里、すもも、小雪さん、そして春姫。みんな……本当によくやってくれた。みんなが繋いでくれたこの道で、俺たちはワイリーの野望を完全に打ち砕く」
その場にいた全員の心に、熱い決意が満ち渡っていく。
東西南北のタワー攻略という過酷な試練を乗り越え、いまや異世界の英雄たちと若き適合者たちの心は、固い一つの絆で結ばれていたのだった。
**【グレートフォックス・ブリーフィングルーム】**
ガラス張りの窓から雲海と不気味な紫の渦が見渡せるブリーフィングルーム。
そこには、雄真たち四人の適合者に加え、フォックス、ペッピー、スリッピーのスターフォックス隊、そして映像通信を介して参加するロックマン(ロック)とブルースの姿があった。
重厚な円卓の中央に、二つの光が浮遊する。
赤きライブメタル『モデルZ』と、青きライブメタル『モデルX』である。
「……さて、みんなが集まったところで、話しておかなければならないことがある」
モデルZの低く重厚な声が、静まり返った室内を満たした。
「阿蘇の地下で、杏里が出会った『純白の光を纏ったサイバーエルフ』……そして彼女が遺した『ゼロによろしく』という言葉についてだ」
杏里がハッとして息をのむ。
「やっぱり……モデルZ、彼女は……!」
「ああ」
モデルZのバイザー状のコアが、どこか懐かしむように、そして深い痛みを耐えるように明滅した。
「彼女の名は……**『マザーエルフ』**。かつて俺たちの世界において、あらゆるサイバーエルフの根源であり、すべての命を救うために生み出された『創世の光』だ」
「あらゆるサイバーエルフの……根源……」
春姫が小さく呟き、自分の胸元に浮かぶモデルHを見つめた。モデルHもまた、静寂を守ったまま耳を傾けている。
「……元々、サイバーエルフという存在は、傷ついた世界を再生し、生命のプログラムを修復するための救済プログラムとして開発された」
続いて、モデルXの澄んだ清廉な声が響く。
「そしてその頂点に存在していたのが、マザーエルフだったんだ。彼女の持つ光は、邪悪なナノマシンやコンピュータウィルスを瞬時に浄化し、傷ついた人々やレプリロイドの心を癒やす絶大な力を持っていた。文字通り、世界の『母』だったんだよ」
「そんなすごい存在が……どうして阿蘇の地下なんかに閉じ込められていたの?」
すももが素朴な疑問を投げかける。
モデルZの光が、わずかに陰った。
「……力があまりにも強大すぎたからだ。絶大な浄化と救済の力は、裏を返せば……『全世界のプログラムと意志を書き換える力』と同義だった。ある愚かな狂気の科学者が、そのマザーエルフのプログラムに目をつけるまではな」
「邪悪な改変……ですか?」
小雪が眉をひそめる。
「そうだ。マザーエルフは書き換えられ、悪用された。生きとし生けるものを脅かす悪夢の存在へと変貌させられたんだ……。かつて俺たちの世界で起こった……あの『惨劇』の渦中でな」
モデルZの言葉には、不穏で凄惨な歴史の重みが滲み出ていた。だが彼は、その惨劇の具体的な名称や凄絶な結末については深く触れず、ただ拳を握りしめるように光を強めた。
「その狂気の連鎖を止めるため……かつて『ゼロ』と呼ばれた赤き英雄と、伝説の戦士たちは、自らのすべてを賭して戦った。そして……マザーエルフは自らの意思で自らを封印し、数片の光となって次元の彼方へと散ったはずだったんだ」
「それが……どうしてこの瑞穂坂や日本各地に……?」
雄真が問う。
「ワイリーだ」
モデルZの声に、激しい怒りが宿る。
「時空の歪みを発生させたワイリーは、異次元の歪みの底から、散らばっていたマザーエルフの残光——その欠片(ナノエルフの核)を拾い上げた。そしてそれを、旧イザナミの残した兵器プラントと融合させ、『Wフィールド』の無限動力源として悪用したんだ」
「そんな……! 世界を救うための光を、世界を滅ぼすバリアの電池にするなんて……!」
杏里が怒りに拳を握りしめ、体を震わせる。
「阿蘇で杏里が出会った光……あれは、ワイリーの不完全な支配から一瞬だけ逃れ出た、マザーエルフの純粋な意志の残光だったのだろう」
モデルXが悲しげに紡ぐ。
「彼女は……自分を悪用するワイリーの野望を止めてほしいと、そして……かつて自分を救うために戦ってくれたあの『赤き英雄』の面影をモデルZに見出し、託したんだよ。自らの残された『黄金の炎』をね」
「ゼロに……よろしく……」
小雪が阿蘇で杏里が受け取った言葉を反芻する。
その言葉に込められていたのは、数多の時空を超えてなお消えることのない、果てしない感謝と絆の祈りであったのだ。
「……なるほどな」
静かに話を聞いていたフォックス・マクラウドが、腕を組みながら低く呟いた。
「次元を超えて俺たちが集められたのも、単なる偶然じゃないのかもしれない。悲しい過去を繰り返しちゃいけないという……世界の意志が、俺たちをここに引き寄せたんだ」
「フォックスさん……」
雄真がフォックスを見つめる。
「悲しい過去を背負っているのは、俺たちの世界も、お前たちの世界も同じだ」
ペッピーが力強く雄真の肩を叩いた。
「だがな、若者よ! 過去を変えることはできんでも、未来を創ることはできる! あの『マザーエルフ』とかいう光の少女の祈りを無駄にしないためにも……今度こそ、あの悪趣味な城をぶち叩き潰してやろうじゃないか!」
「ペッピーの言う通りだよ!」
スリッピーが胸を叩く。
「グレートフォックスのシールドは完璧! アーウィンの調整も万全! いつでもワイリー城へ突撃できるよ!」
「みんな……」
雄真は深く息を吐き出し、胸の中の迷いを完全に払拭した。
彼の中で、モデルXの青き希望と、モデルZの赤き情熱が、かつてないほど激しく、美しく共鳴し合っていた。
「行こう、みんな。瑞穂坂の空へ……ワイリー・キャッスルへ!」
「「「「おおっ!!!』」」」
適合者たちとスターフォックス隊の歓声が、グレートフォックスの艦内に力強く響き渡った。
**【瑞穂坂上空五千メートル・時空歪曲域】**
ドドドドドォォォォン……!
グレートフォックスが雲海を突き抜け、ついに『Wフィールド』の中心部へと足を踏み入れた。
眼前に迫るのは、漆黒の装甲と巨大な「W」の紋章に彩られた絶望の要塞——**ワイリー・キャッスル**。
四大タワーを失ったことで、要塞を包む紫色のバリアは薄く明滅し、あちこちで過負荷による放電現象を起こしていた。
「シールド出力、三十パーセントまで低下確認! 今なら要塞の外壁を突破できるよ、フォックス!」
スリッピーが叫ぶ。
「よし! 全機、出撃準備! 雄真、小雪、杏里、すもも、春姫! 俺たちスターフォックスが先陣を切り、要塞の防衛砲台を無力化する! お前たちはアーウィンのコンテナに乗って中央ドームへ潜入してくれ!」
「了解! フォックスさん、気をつけて!」
雄真たちが格納庫へ向かって走り出す。
その時——。
突如として、要塞全体が不気味な赤黒い光に包まれ、瑞穂坂の街全体を震わせるほどの巨大な重力波が放たれた!
「な……なんだこの重力波は!?? スリッピー、何が起きている!?」
フォックスが操縦桿を必死に抑え込む!
『フォックス! ワイリーの奴、残されたマザーエルフのエネルギーと、地上のイザナミナノマシンをオーバードライブさせてる! 要塞全体が……巨大な次元崩壊爆弾に変貌しようとしているんだ!!』
「何だと……!?」
要塞の最上階、巨大なスカルヘッドのホログラムが空中へ投影され、凶悪なDr.ワイリーの嘲笑が響き渡った。
『ヒハハハハハ! 愚か者どもめ! 四大タワーを壊せばワシが詰むとでも思ったか! この要塞そのものが、地球とすべての異次元を呑み込む『時空消滅炉』だ! 阻止したくば来るがよい! お前たちの絆ごと、この深淵の藻屑とな解けて消えるがいいわぁぁぁっ!!』
禍々しい赤黒い波動が、瑞穂坂の空を刻一刻と塗り替えていく。
残された時間はあとわずか。
「……行くぞ」
雄真がモデルXとモデルZを握りしめ、鋭い眼差しで赤黒く染まる要塞を見据えた。
「どんなに深い闇でも……俺たちの光は消えない! 全員、最終突入作戦を開始する!!」
引き寄せられた運命。託されたマザーエルフの祈り。
異世界の英雄たちと若き適合者たちは、世界の存亡を賭けた最後の決戦の地——ワイリー・キャッスルの深淵へと、いま静かに、そして激しく飛び立っていくのであった!