エイリアンは睡蓮鉢でたゆたう   作:照喜名 是空

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DIY

 とにかく……状態のいい家を探して最初に修復するべき家を定める。

 

「とりあえずできるところまでは私たちでやってみましょう。らいふ、私がDIYとかリフォームの参考動画を見たからそれを読めるかしら?」

「なるほど、私たちの性能テストもかねてだね」

 

 依織の手を握って意図して依織の記憶を読み、お目当ての情報を探し当ててダウンロードしていく。

 ふーむ、依織の精神構造ってパソコンみたいなんだな。

 フォルダがあってさらに下部フォルダやショートカットがある整然とした感じだ。

 これって個人差とかありそうだね。

 

「よし……覚えたと思う。道具もそろってるんだね」

「じゃあせっかくだから恵比寿にその情報を渡せる?」

「これも経験と実験か。確かに同族の人数が多いと試せることは多いね」

 

 スッと依織に手を差し出すとうやうやしく取られた。

 

「ッス……」

「まあ……もう怒ってないからいいよ。準備はいいかい?」

「……ウス!」

 

 うおっ、情報をアップロードする気でやるとこうなるのか。

 なんだろう、海のイメージだ。恵比寿にとって情報は魚や流れ、岩礁なのか。

 これを……こうやって……できそうだな。アップロード。

 ファイルの形式を魚に変換してこう……流す感じだ。

 

「うおっ、自分で読みとるってこんな感じなんすね……」

「私も情報を渡す感じは初めてだよ。興味深い」

 

 それからヨルにアップロードしてみたり。

 依織のオリジナル情報を恵比寿やヨルが読みとったり。これで能力の実験と検証をしていく。

 後で依織がまとめてくれるらしい。有能だ……ありがたい。

 

「じゃあまあ、片付けからだね。依織は手配と指示、あとは記録だっけ?」

「あらその情報も手に入ったのね。ふうん……面白いわね。ええ、動画に撮っておけば後々で世間に説明が楽でしょ」

「不味いところはカットすればいいんだから私たちの力はそのまま使ってよさそうだね」

 

 そういいつつ恵比寿はトンパックという1トン入る樹脂製の布のゴミ袋を次々持ってくる。

 

「ヨルちゃんの分も私が働くんで!悪いっすけどヨルちゃんは育児ってことで……」

「ああ、もとよりそのつもりだ。じゃあまあ……やろうか」

 

 屋内にたまったガラクタをすべて外に出して木材、金属、ガラス、混合廃材いわゆる混廃に分けていく。

 これがもう数が多いこと多いこと!しかも片づけるということは前の住人の歴史を知ることになるわけで……

 

「信楽焼の置物とか北海道土産の木彫り熊とか無限に出てくるっすねえ」

「気にはなるけど心を殺して全部捨てよう。進まないからね」

「っす!」

 

 片付けが終わったら畳と床板をはがす。ここではバールやハンマーが大活躍だ。

 

「ううむ、かなり汚いね……」

「まあ古い家ってこんなもんじゃないすか?」

「それは、そう!本当に私たちが怪力でよかったよ」

 

 ここで一日目が終わる。

 川から水をバケツで汲んでその金属バケツをガラクタを燃やした焚火で炊いてお湯を作り体を洗う……

 

「なかなか……なかなかワイルドだねえ!」

「まあだから私もこの苦労をしとけって親方は言ったんすねえ」

 

 たしかに……これで後からきてこうだったらぶん殴ってたと思う。

 苦労を分かち合うって大事だな……舟木さんの年の功か。

 

「ヨルや依織も育児しつつやってくれてるしね。幸い弁当も保存食もまだまだあるからね」

「頑張らなきゃっすね……親として」

 

 次の日には私たちには難しい風呂やキッチン、トイレの水回りとガス業者さんを依織が手配してくれた。

 

「その、だいぶ変わった企画をされるんですねえ御社は……」

「ま、まあ私たちも変わり者だからね。色々と訳ありなんだ」

「はあ……まあ料金分はちゃんとやりますわ」

 

 工事業者の人たちにいぶかしがられながらも、私は片っ端から握手をしていく。

 

「よろしくお願いします。結構ガチのプロジェクトだから……こんな場所だから賄い弁当も出すよ」

「助かりますわ。……っといけねえ。少し立ち眩みしちまったみたいで」

 

 ……よし!読めた。なるほどこういう作業をこうやってするわけか。

 全部は到底読めないが、今日やれる分とかだいたいの見通しくらいはわかったぞ。

 ……この人の精神構造は配管なんだな。

 

「今日も暑いからね。どんどんスポドリは支給するから」

「すいませんねえ」

 

 井戸のポンプからコンテナハウスまで配管をつなぎ、給湯器も動くようにしてもらった。

 つまり……もうお湯が使える!シャワーのありがたさを痛感するね。

 だがこれでまた一日が終わった。

 つまりヨルの産んだ子、ルナがどんどんでかくなってるんだよ日ごとに!

 いつまでごまかせるかなこれ。

 とりあえずヨルにはできるだけ隠れるように言ってるし、作業員さんにもそっとしてあげてと言ってるけど。

 

「いやあ、手慣れたもんですねえらいふさん。なんかやってらっしゃったんですか?」

「DIYをちょっとね。素人なりにね」

「手つきもいいし、力もある。うちの息子の嫁に欲しいくらいだ」

「ははは、どうも。ははは……」

 

 笑ってごまかすしかないだろもう!絶対怪しまれてるよこれ!

 かといって手を抜けば余計ごまかしてる感が出てしまうから、それもできない……!

 とりあえず鍛えていますの範疇で力を使うしかない。

 

「まーこんなもんですかね。あとはタンクや配管を埋め戻すだけなんで、がんばってください」

「お世話になりました、伝田さん」

「農村再生ねえ……最初はこんな若い子にできるのかと思いましたけどね。まあまた呼んでください」

「ありがとうございます」

 

 よし帰ったな!ゴリラパワー解禁だ!

 ミニユンボで掘り返した土で配管を埋めていく!

 

「じゃあやろうか恵比寿」

「っすね!いやーこれでとりあえずのインフラはなんとかできますね」

「水とガスと下水はね。電気はまだこれからだ。ネットだけは衛星でつながってるけど」

「まああとは作るだけなんで!がんばりましょうっす!」

「それだね……」

 

 大工仕事だよ。今日も。山の中で涼しいとはいえね。

 板を張って!断熱材を張って!床板を張る!

 場所によってはそこにさらに畳が入る!

 下に電気配線を通しながらね。

 板を切る!インパクトドライバーでねじを打つ!

 

「とりあえずはこんなもんだね。発電はもう業者に任そう……!」

「っすね……」

 

 私たちは畳張りの大部屋でぐったりしていた。

 あれから長椅子で作った簡易ベッドも持ってきたんだぞ!

 椅子の足を番線でくくってしっかりしたものにしたりしてね。

 ああ布団……素晴らしき文明の利器……

 

「こ、こっちもとりあえずルナが子供くらいにはなったんで……!」

「おかあさん、ここがあたらしいおうち……?」

 

 ヨルもへとへとだよ。

 数日とはいえ赤ん坊をこの何もないところで世話したんだからな。

 依織がキッチンから豚汁の鍋とようやく使えるようになった炊飯器で炊いた米を持ってくる。

 おかずは卵焼きに漬物だよ。ありがたい……!こういうのが……!

 

「良い動画が撮れたわ。時期を見てアニマフィリアの名義で投稿するわね」

「それはどうも……ありがとう」

「あとどうせだからあのコンテナハウスも買い取ったからずっと使えるわよ」

「それは本当に助かるよ……!」

 

 とりあえず家に余裕があるのは助かる。一軒だけでは不安が残るしね。

 

「あっ、じゃあもう二人三人産んでも……」

 

 恵比寿!言うと思ったよ!

 そうじゃなくても今後仲間がさらに見つかるのは前提なわけでさ。

 

「話し合おう……家族計画も含めて……!」

「っすよねえ~!あはは……」

「ははは……頼むよマジで」

 

 とりあえず……一段落だ。休憩しよう!休憩!

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