レベルMAXの百合サキュバスに転生した元・女子高生の異世界蹂躙録 〜冤罪の聖女様と『共犯者』になって、彼女を嵌めた悪党どもを物理的に分からせます〜 作:百合サキュバス好き
一方その頃。
人間の国々における信仰の中心地、『聖都エリュシオン』。その中枢にそびえ立つ白亜の大教会の、さらに地下深く。何重もの防音と認識阻害の結界魔法が張り巡らされた、限られた高位の者しか存在を知らない『隠し部屋』の中では、三人の女たちが豪奢なワイングラスを打ち鳴らしていた。
「ふふっ……。あのアホな小娘、今頃は『魔の森』の廃屋で、毒に苦しみながら無様に死に絶えている頃かしら?」
「ええ。睡眠薬入りの食事で眠らせ、致死量の猛毒を飲ませた後……私の実家と繋がりのある闇ギルドの商人に依頼して、馬車で森の中間地点にある廃屋へ捨てさせましたわ。入り口付近だと、万が一にも通りすがりの冒険者に見つかる可能性がありましたからね」
「麻袋に詰めてあんな深部までポイよ。今頃は魔物の胃袋の中で、骨すら残っていないかもしれないわね」
「教会への寄付金を横領し、罪から逃れるために失踪した哀れな平民の娘……。孤児院のガラクタどもやスラムの連中は、まさか自分たちの愛する無垢な聖女様がそんな悪党だったなんてと、今頃絶望して泣き喚いているでしょうねぇ!」
コロコロと下品な笑い声を上げる彼女たちは、この聖都においてセシリアと共に『次期教皇候補の聖女』の称号を与えられていた三人の娘たちだった。
表向きは「清貧と平等」を説く教会の教えとは裏腹に、この隠し部屋の中は呆れるほどに背徳的で豪華だった。石造りの床には他国から密輸された最高級の絨毯が敷き詰められ、テーブルには信者たちからの寄付金(お布施)を横領して買い集めた金銀の装飾品や、裏社会から流れてきた違法な魔薬草などが散乱している。
純白の神官服を着た聖女たちが、神の足元でこのような退廃の極みを謳歌しているなど、一般の信者には想像もつかないだろう。
「それにしても……本当にあっけない幕切れでしたわね」
美しい金糸の髪を揺らしながら、上等な赤ワインを一口含むのは、第一の聖女。彼女はこの聖都の出身ではない。他国から「聖魔法を学ぶため」という名目で留学してきている、力ある高位貴族の一人娘だ。
表の顔は、誰に対しても真摯で優しく、教会の教えを完璧に守る『神の使徒』そのもの。しかし、それは彼女が完璧に被り続けている「仮面」に過ぎなかった。
彼女の本当の目的は、自国のために聖都の内部情報を流すスパイ(工作員)である。そして最終的には、彼女自身が次期『教皇』の座に就き、この聖都という強大な宗教国家の権威と発言力を裏から操り、祖国へと莫大な利益を誘導することだった。
「まったく、貴女の完璧な計画のおかげですわ。それにしても、孤児院出身の小汚い平民が、由緒正しき貴族の娘や枢機卿の娘である貴女方を差し置いて、次期教皇候補の筆頭になるなんて……身の程知らずにも程がありますわね」
第三の聖女が太鼓持ちのように第一の聖女を持ち上げると、それに同意するように第二の聖女が冷酷に嗤った。
「……ええ。どこの馬の骨とも知れない平民が、次期教皇候補の『筆頭』に選ばれるなど、私たちの誇りが許しませんもの」
現教皇の側近である『枢機卿』を父に持つ彼女は、特権階級としての選民意識の塊……のように振る舞いながら、扇子で口元を隠し、内心では忌々しげに舌打ちをしていた。
(……ちっ。本当なら、横領の罪で奴隷落ちさせて、私の私室でたっぷりと『可愛がって』あげるつもりだったのに。あの毒婦(第一の聖女)が暗殺なんて手っ取り早い手段を提案するから……っ!)
実は彼女、厳格すぎる父の教育と、聖都の特殊な環境によって、性癖が完全に歪みきった真性の『ガチ百合変態』であった。
そもそもこの大教会は、トップである教皇が必ず女性である『聖女』から選ばれるという歴史的背景があるため、力仕事をする雑用係を除き、所属する人間の大半が女性である。
出会いも男の影もない閉鎖空間の中で権力を持った彼女は、逆らえない下級のシスターたちを秘密の部屋に連れ込んでは美味しくいただき、その行為を『録画の魔道具』で記録して脅迫し、何人も愛人として侍らせるという外道極まりない悪趣味を持っていたのだ。
当然、その毒牙は、大教会でも類を見ない美少女であるセシリアにも向けられていた。
同じ聖女の地位にいるうちは手が出せなかったため、今回の冤罪を利用して自分の愛玩奴隷にしようと企んでいた。あの神聖で穢れを知らない白い肌に鞭を打ち、屈辱に歪む顔を見ながら甘い悲鳴を上げさせてやるつもりだったのに————予想以上に第一の聖女の殺意が高く、問答無用で毒殺へと計画がシフトしてしまったことに、彼女は密かにブチ切れていたのである。
(まあ、いいわ。バカみたいに真面目で清廉潔白なセシリアが教皇になれば、必ず教会の内部調査や、下級シスターたちの不満のヒアリングが行われる。そうなれば、私の悪事も録画の魔道具も全てバレて、可愛いシスターたちやお金という『甘い蜜』が吸えなくなっていたもの。妥協するしかなかったわね)
セシリアの極上の身体を味わえなかった無念を肚の底に隠し、彼女はあくまで『誇り高き貴族の娘』としての仮面を取り繕う。
「まったくですわね。ですが、あの娘の規格外の神聖力と、愚かなほどの『善意』のおかげで、私たちの計画は随分とやりやすかったですけれど」
横領した金貨の入った袋をジャラジャラと弄りながら、下卑た笑みを浮かべるのは第三の聖女。聖都の『大商人』の娘である彼女は、生家の信用と『優秀な神の使徒』という仮面を利用し、金勘定に疎い者が多い教会内で『財務部の長』の座に収まっている拝金主義者だ。
「あのバカ娘、貧しい人々のために『無償で』治癒を行うだなんて、市場の価値というものをまるで分かっていなかった。あんな真似をされたら、聖女の奇跡の値段が暴落して大迷惑だったのよ」
セシリア本人は本当に貧しい人々のために奉仕を行っていたつもりだった。しかし実際は、裏で財務部長である彼女が「聖女の癒やしには多額のお布施が必要不可欠」と偽り、治癒を受けにきた他国の貴族や大商人のような富裕層から莫大な報酬をせしめていたのだ。
セシリアの無償の善意は、この第三の聖女からすれば『暴利を貪るビジネスの邪魔』でしかなかったのである。
それらの不正な金や教会の寄付金は、彼女の堂々たる手腕によって生家やスラムの『闇ギルド』へと横流しされ、三人の莫大な裏金へと変わっていた。
聖都の一般信者や、下級の神官たちは何も知らない。
この三人の聖女の醜い本性も。そして何より、セシリアの親代わりであり、この国のトップである『現教皇』が謎の奇病で倒れている原因が————この三人の女たちが、数ヶ月前から結託して密かに『遅効性の毒』を盛り続けているせいだということなど。
「セシリアが消えて、一番絶望しているのはあの婆さん(教皇)でしょうね」
「ええ。それに、私が闇商人から仕入れた『聖魔法による鑑定や解毒をすり抜ける特製の遅効性毒』がしっかり効いていますからね。もう息も絶え絶えでしょう?」
第三の聖女が得意げに笑うと、第一の聖女は艶然と微笑み、赤ワインを掲げた。
「このまま病死に見せかけてあの老いぼれを毒殺してしまえば、いよいよ私がこの聖都のトップ……教皇の座に就きますわ」
「教皇の座も、面倒な政務も貴女にお譲りしますわ。その代わり、私は大教会の裏で、これまで通り可愛いシスターたちと好き勝手にやらせていただきますからね」
「私も教皇の座に興味はありませんわ。教会の金庫と財務の権限さえ握らせていただければ、それで十分ですので」
「ええ。そうすれば、この聖都は完全に私たちのもの。……さあ、愚かな元・聖女と、私たちの輝かしい未来に乾杯しましょう?」
「「「乾杯!!」」」
神聖な教会の奥深くで、偽りの聖女たちの高笑いが響き渡る。
彼女たちはまだ知らない。
自分たちが麻袋に詰めて殺したはずの『本物の聖女』が————。
第二の聖女が望んでいたような痛みを伴う凌辱ではなく、頭がおかしくなるほどの『極上の快楽』によって、すでに何度も甘く啼かされ、身も心もとろとろに溶かされていることなど。
偶然魔族の里から追放されてきた、この世界には存在しないはずの特異体質『サキュバスとヴァンパイアのハーフ』であり。魔族には扱えないはずの回復魔法であっさりと猛毒を解毒してしまう、規格外の『元・ゲームキャラの上級魔族』に溺愛されながら……。
今まさに、圧倒的な理不尽(ステータスの暴力)を携えて、この聖都へ向かって歩き出していることなど————。