名探偵プリキュア! 〜迷宮のアルカナと偽りの真実〜   作:暁 蒼空

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名探偵プリキュア!第22話「しるくの覚悟」を元に作成した話です。

遅くなってしまい、申し訳ありません。


第12話:狙われた星と、限界の堕天使(前編)

キュアット探偵事務所。

 

ジェット先輩とあんなは、机の上に置いてある『青い蝶の写真』を見て話し合っていた。

 

「この事務所には、森亜るるか と 森亜こころの他に『キュアエクレール』が所属していた」

 

ジェット先輩が、腕を組んで思案顔で呟く。

 

「もう1人の名探偵かぁ……エリザさん……だったらいいのになぁ」

 

あんなは、現役高校生でミステリー小説家であるエリザさんが、実はその正体だったらいいのにな、と呑気なことを言う。

 

そんな会話をしていると、みくるが大慌ててでやって来る。

 

「事件! じけ~ん!」

「依頼か!」

「しるくさんの舞台にご招待されちゃった~!」

 

女優として活躍している現役高校生、家入(いえいり)しるくの舞台のポスターを持ってやって来たみくる。

 

「な~んだ、家入しるくの……家入しるく!?」

 

驚くジェット先輩。

 

「それは!」

「ポチわ!」

「「大事件だぁ~!」」

 

目を輝かせている一同。

人気絶頂の女子高生女優からの直々の招待。

ある意味、とてつもない大事件だった。

 

***

 

一方、怪盗団ファントムのアジト。

 

VIP席にはウソノワール、そしていつもの席に、幹部全員が座っていた。

るるかは、マシュタンを膝に乗せて撫でていた。

 

すると、ウソノワールの『未來自由の書』が光を放ち、新たな予言が現れる。

 

「未來自由の書が、新たなマコトジュエルを示している。『演じる星の声、いつも聞いている耳で輝きし石』と」

 

「耳で輝く石? あっ、イヤリングね」

 

マシュタンがすぐに答える。

 

「演じる星の声……?」

 

ゴウエモンが首を傾げて疑問をもつ。

 

「……『演じるスター』、家入しるくのイヤリング」

 

るるかは、瞬時に入家しるくのイヤリングだと導き出した。

 

「アルカナ・シャドウ、出番だ!」

 

ウソノワールは、成果を上げているるるかに、今回のマコトジュエルを奪ってくるよう命令する。

るるかの瞳の奥が、鋭く光った。

 

(マコトジュエルを手に入れるチャンスが来た。今度こそ、マコトジュエルを……。足りない……まだ全然足りないの……何としてでもマコトジュエルを……)

 

自然と、マシュタンを抱きしめる力が少しだけ強くなる。

 

(それに……あの予言を本当にする訳にはいかない。エクレールを復活させるわけには……絶対に!)

 

るるかの心が再び焦りと使命感で軋み、様子がおかしくなりかけている事に気付いたマシュタンが、咄嗟にウソノワールの命令に返事をする。

 

「ライライサー!」

 

ハッとして、マシュタンの機転で冷静になるるるか。

すると。

 

「ライライサー! まかせとけぃ! オレが、ひと肌ぬいでやるぜ!」

 

何故か、命令を受けていないゴウエモンが大きな声で返事をして、一番ノリノリだった。

 

「さぁ、いくぞ~! ダーハッハッハッハッ……」

「「ハァ……」」

 

そんなゴウエモンに呆れながら、ため息をつくるるかとマシュタン。

 

るるかは、マシュタンを抱き席を立つ。

 

「準備してくる。少し待ってて」

「おう。エントランスで待ってるぜ!」

 

るるかとマシュタンは、1度自分たちの部屋に戻る。

部屋の中に入り、るるかは深く息を漏らした。

 

「るるか、少しは冷静になれた?」

「うん。……ごめんね、あのままだとヤバかったかもしれない。マシュタンの声が聞こえたから気づけた」

「直ぐに気付いたわ。……今回はウソノワール様に直接指名されたから、尚のことマコトジュエルを奪わなければいけない。ある意味、周りを気にしないで手に入れる『チャンス』でもあるわね」

「……そう、今回はチャンスなの。新たなマコトジュエルの欠片を手に入れる、絶好のチャンス。……まだ……全然足りないの」

 

るるかは、部屋の奥で眠っているこころの元へと向かう。

変わらず虚ろな瞳が、そこにはあった。

そして、こころの状態は日に日に残酷なまでに酷くなっていた。

 

いつも通り点滴が繋がれ、それによって最低限の栄養と水分が補給されている状態。

痩せ細っていた体は更に細くなり、一目で弱っているのが分かるほどだった。

そして前回、様子がおかしくなり呼吸が極端に浅くなってから……こころには『人工呼吸器』がつけられていた。

 

筋力が著しく低下していることで、呼吸筋やその他様々な所にも影響がでて、重度の呼吸不全を起こしていた。

その為、非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)を行なっていた。

こころの顔には、鼻と口を覆う無機質なフルフェイスマスクがつけられており、そこから太いチューブを通して様々な機具に繋がれていた。

 

本来なら、病院にいってちゃんとした医師の管理下でやってもらわなければいけないもの。

しかし、怪盗団のアジトから病院へ連れていけるような状況でないのが現状だった。

その為、るるかとマシュタンは探偵時代の知識として医療系の事も少し覚えていた事もあり、自分達で人工呼吸器をつけていたのだ。

 

こころの冷え切った手を握るるるか。

マシュタンも、こころを覗き込むような形でるるかの隣に降り立つ。

 

「こころ……こんなに痩せちゃったのね……。ごめんね。辛いよね……苦しいよね……」

 

るるかの声が震える。

 

「こころちゃん……。お願い、まだ頑張って……」

 

マシュタンが祈るように呟く。

 

まだ大丈夫かもしれないが、この状態が続けば、いつ容体が急変してもおかしいわけではない。

文字通り、命の危険が迫っていた。

 

「こころ……、駄目なお姉ちゃんでごめんね。……本当は、貴女のことを救うことだけを考えないといけないのに、くれあの事も出てきたの……」

 

るるかは、こころの手を握ったまま、自分の額をその手に押し当てた。

 

「予言がでたの……。エクレールが……くれあが復活するって。それだけは、絶対に阻止しないといけない」

「マコトジュエルを……とにかく、マコトジュエルを手に入れないと……」

「こころと、くれあの為にも……私が、マコトジュエルを……必ず……っ」

 

るるかの目に、暗い狂気と悲壮な決意が宿る。

 

「るるか……」

 

るるかの精神の限界を心配するマシュタン。

るるかはこころの手を静かに放し、最後に、愛おしそうに頭を撫でた。

 

「大丈夫、まだ大丈夫だよ、マシュタン」

 

るるかは立ち上がり、妹に別れを告げる。

 

「こころ、お姉ちゃん行ってくるね。……必ず……貴女を……」

 

「るるか、そろそろ……」

「うん。そろそろ行かないと、ゴウエモンに怪しまれるかもしれないわね」

 

マシュタンと共に部屋を出ていくるるか。

 

「行ってきます」

 

そして、扉が静かに閉まった。

 

***

 

家入しるくの舞台公演が行われる、まことみらい市の劇場へとやって来たあんなとみくる。

 

「わぁ~! すごい!」

「しるくさん、大人気だね!」

 

夜公演の為、現在はまだ夕方。

それでも、物凄い数のファンが会場の前に集まっていた。

 

「ジェット先輩も来たかっただろうな~」

 

ジェット先輩は店番をする為に、泣く泣く残ってくれたのだ。

『店はボクにまかせて、行ってきな……』と、背中を向けて震えていたジェット先輩の姿が目に浮かぶ。

 

すると、入家しるくのマネージャーが二人の元へ小走りでやって来た。

 

「いたいた! ひさしぶり~!」

「あ! しるくさんのマネージャーさん!」

「しるくが楽屋でよんでるわ。こっちよ」

 

二人は、関係者入口から特別に楽屋に案内される。

 

楽屋の中。

 

「腕をのばして…反対も、のば~す。優雅にターン」

「ふぅ……」

 

しるくがストレッチをしながら、心を落ち着かせていた。

 

そこへ、あんなとみくるがマネージャーに連れられてやって来る。

 

「スマイル!」

 

しるくが、二人に気づいてとびきりの笑顔を見せる。

 

「あんなさん! みくるさん! 来てくれてありがとう!」

「本番前によかったんですか?」

「うん。……実はね、探偵の2人に『相談』があるんだ」

 

しるくが、少し険しい顔になり、机の上に置いてある物を二人に見せる。

それは、黒いカードに書かれた、ファントムからの予告状だった。

 

「怪盗団ファントムからの予告状!?」

「リハーサルが終わって、楽屋にもどってきたらいつの間にかあったの…」

 

「『本日、夜7時、家入しるくのイヤリングをいただく。怪盗団ファントム』」

 

予告状の文面を読むあんな達。

 

「特別高価なものでもないの。ただ……わたしにとっては、大切な思い出のイヤリングなんだ。デビューオーディションの時に着けていてね。あの時の初心の気持ちをわすれることがないようにって、大切な舞台の時には必ず身に着けているの」

 

しるくにとって、値段以上の価値がある大切なイヤリングが今回のファントムの目的だった。

 

「そんな大事なイヤリングをねらうなんて……」

「ゆるせない!」

 

二人は拳を握る。

 

「予告状にあった夜7時は、開演時間なの。もし大ごとになれば、舞台は、大変なことになってしまうかもしれない。だから、あなたたちに……」

 

自分のイヤリングが盗まれることよりも、公演を見に来てくれたファンやスタッフの心配をするしるく。

 

「わたしたちに、まかせてください!」

「怪盗団から、しるくさんのイヤリングを守ります!」

 

あんなとみくるは、やる気十分だった。

 

「探偵さん……ありがとう!」

 

しるくが、安堵の笑みを浮かべて二人に感謝する。

 

***

 

しるくからイヤリングを守る依頼を受け、調査を始めようとしていたあんなとみくる。

楽屋を出て、二人は辺りを見渡した。

 

「うっ……!」

 

あんなが目を見開く。

本番まであと一時間を切り、大道具や衣装のスタッフ達が慌ただしく走り回っていた。

 

「みんな、すっごくいそがしそうだね……」

「7時の開演まで、あと1時間しかないからね!」

「しるくさんがリハーサルをしている間に予告状がおかれたということは……ファントムはきっと、この会場のどこかにいるはずだよ!」

「もしかしたら、もうスタッフや関係者の『誰かに変装』して紛れ込んでるのかも……」

 

二人は顔を見合わせ、頷いた。

 

「よし! 2人で手分けして調べよう!」

 

お互いの拳をあわせる二人。

 

「わたしは、お客さんを調べる!」

「わたしは、スタッフを調べるね!」

「「調査開始!」」

「ポチ~!」

 

二人は、それぞれのターゲットを絞って手分けして調査を開始した。

 

***

 

その会場のすぐ近く。

会場を上から見下ろせる、隣の雑居ビルの屋上に三つの影が立っていた。

るるか、マシュタン、ゴウエモンの三人だ。

 

ゴウエモンは、屋上の縁に足をかけ、腕を組んで眼下の劇場の様子を確認していた。

 

「しるくは、きっとイヤリングを身に着けたまま舞台に上がるわ。……どんな作戦でいく?」

 

マシュタンがゴウエモンに尋ねる。

 

るるかはマシュタンの隣で、買ってきたカップアイスを手に取っていた。

それは現在、家入しるくがCMに出演して大ヒット話題になっている『シルキーアイス』というカップアイスだった。

るるかは一番王道のバニラ味を手に取っている。

 

アイス好きのるるかだが、この新商品はまだ1度も食べたことがなく、虚無の瞳の奥で少しだけ目を輝かせていた。

 

(これが、話題のシルキーアイス……。マコトジュエルも大事だけど、このアイスを食べる事も大切だわ)

 

るるかはスプーンを取り出し、カップアイスの蓋をペリッと剥がして準備をする。

そんなるるかを横目に、マシュタンの問いにゴウエモンが鼻息荒く答えた。

 

「そんなの簡単だ! さっさと正面から舞台に上がって、うばえばいい!」

「全然おしゃれじゃないー!」

 

怪盗の美学も何もない、力ずくの脳筋作戦にマシュタンが怒ってツッコミを入れる。

そんな二人のやり取りが行われている中、るるかはスプーンですくったアイスを口に運んだ。

 

(……美味しい! 本当に絹(シルク)のように滑らかで濃厚な舌触り……。凄い!)

 

アイスの美味しさに感動し、るるかは頬を緩ませてほわほわとした空気を漂わせた。

るるかの周りに、心なしかキラキラとした小さな星が輝いているようにも見える。

 

しかし、その幸福な時間も一瞬だった。

甘い冷たさが喉を通った瞬間、るるかの脳裏に、かつてこころとくれあと過ごした日々の記憶がフラッシュバックした。

 

『るるか、お疲れ様。はい、差し入れのアイスだよ』

『お姉ちゃん、あ~ん!』

 

くれあが調査で疲れている自分にアイスを買ってきてくれた時の事。

こころが無邪気な笑顔で、自分にアイスを食べさせようとしてきた事。

 

(こころ……くれあ……っ)

 

ズキリと、胸の奥が痛む。

正直に言えば、くれあの事だけなら、今は問題ないはずだった。

ウソノワールがエクレールの心のマコトジュエルを握っている限り、彼女が記憶を取り戻すことも、エクレールに変身することも無い。

彼女は何も知らず、パティシエとして安全に、平和に生きていられる。

今になって、あの『青き蝶』の予言さえ出なければ……。

 

(私だって……私だって……本当はこんな事……皆で一緒に、平和に過ごせたら……ただそれだけでよかったのに……っ)

(私が……私がもっと強かったら、こんな事には……!)

 

あの日、ウソノワールに負けた時の絶望を思い出す。

自分の力が……名探偵「キュアアルカナ」としての力が、ウソノワールの前に何一つ通用しなかったという絶対的な事実。

 

(私が弱かったから……こころも……くれあも……私があの幸せな日々を、全部壊したんだ……)

 

思い出しているだけで、るるかの虚無の瞳から涙が溢れそうになる。

るるかは、アイスを持つ手を震わせながら、強く首を振った。

 

(……駄目! 余計な事を考えちゃ駄目。私が……私がやらなきゃいけないの……!)

 

大切な親友で相棒である、くれあの為に。

そして、何よりも大切なたった一人の家族――。

心が壊れてしまい、暗い部屋で人工呼吸器をつけられ、痩せこけて日に日に弱っていっている妹を救う為に。

 

(こころ……。大丈夫、まだ大丈夫。まだ猶予はある……)

 

こころの容体は、いつ急変してもおかしくない危機的状況だった。

それでもるるかは、こころがまだ大丈夫だと信じるしかなかった。そう自分に強く言い聞かせなければ、恐怖とプレッシャーで自我が耐えられる気がしなかったからだ。

 

自分にそう思い込ませ、るるかはアイスのカップを握りしめる。

 

(大丈夫、私が何とかしてみせる。……必ず!)

 

その一方で、ゴウエモンの作戦に全く納得いっていなかったマシュタンが、振り返ってるるかへと尋ねる。

 

「どうする? るるか」

 

尋ねられたるるかは、アイスを無表情で食べながら、眼下の会場前を見下ろした。

入場待ちの客でごった返す会場の前に、聞き込み調査をしているあんなの姿を発見する。

 

「……『役者』は決まったわ」

「うん?」

 

るるかの冷たい声に、マシュタンが首を傾げる。

るるかの中で、今回の舞台(作戦)の配役は、すでに完璧に決まったようだ。

 

***

 

「緊張してきた~!」

「りえが出るわけじゃないでしょ」

 

会場の前には、あんなとみくるの同級生で友達の、りえとゆみが来ていた。

しるくの大ファンであるりえは、すでに大興奮で大慌てだ。

 

「だって、あのしるくさんの舞台だよ!?」

「そんな時は、しるく体操第一だよ」

 

しるく体操をさせて、りえを落ち着かせようとするゆみ。

 

そんな二人の近くを、考え事をしながら歩いているあんなが通りかかった。

 

「うーん……」

 

お客さんの中の怪しい人物を探す調査が上手く行っていないのか、物凄く考え込んでいる。

 

「腕を伸ばして~」

「もう一方も伸ばして~」

 

体操しているりえとゆみ。

 

「うーん……」

 

あんなは足元ばかり見て、前を見ないで歩いている。

 

「優雅にタ……」

「きゃっ!」

 

その瞬間、ターンをしたりえの腕とあんながぶつかる。

 

「いたぁ!」

 

派手に尻餅をついて転んでしまうあんな。

 

「すみません……って、あんな!?」

「りえ! ゆみ!」

 

お互いに驚く三人。

 

二人のチケットを見て、あんなが目を丸くする。

 

「これを見るの、3回目!?」

「うん! 全公演、行くつもり!」

「じゃあ、2人ともこのお芝居のこと、すっごくくわしいんだ!」

「まぁね~」

 

りえが自慢げに胸を張る。

 

「『Sの喜劇』。これ、2人だけで演じる劇なんだよ! しかも、しるくさんのお相手は……あの大女優、サクラよし乃さん!」

「ポスターの……きれいな人だね」

「しるくさんは『キヌエ役』で、サクラさん演じる『エステル』との関係の中で成長していくの!」

 

りえは、目をキラキラと輝かせながらあんなに説明する。

「見どころはね! エステルがキヌエを罠にかけて、泥棒の疑いをかけるんだけど……! キヌエが『名推理』で逆転するところ!」

 

「「かっこいいー!」」

 

ノリノリで反応するあんなとゆみ。

 

「ポチチ~!」

 

ポーチのフリをしているポチタンも、バレない程度に反応する。

 

「名推理で逆転か~。わたしたちも、負けないようにがんばらないと!」

 

そう意気込んでいるあんな。

 

その時だった。

あんなの腰のポーチのフリをして、周囲を警戒していたポチタンが、ふと人混みの中を見た。

 

「……」

 

開演前の喧騒に紛れ、無表情であんなの様子を観察しながら歩いている少女――るるかの姿を発見したのだ。

 

「ポチ!?」

「「ポチ?」」

 

ポチタンの漏らした驚きの声に、りえとゆみが反応する。

 

「はっ!」

「なんか今、鳴った?」

 

あんなとポチタンの顔面から、滝のような冷や汗がダラダラと流れる。

 

「え、えっと……! ま、また後でねーっ!」

 

あんなは笑顔のまま、ものすごいスピードで綺麗に後退りして二人から離れていく。

ポカーンとしている、りえとゆみだった。

 

***

 

一方、スタッフに変装したファントムを探す担当になったみくるは。

 

「開演時間に、どうやってイヤリングを盗むんだろう……?」

 

みくるも調査を進めていた。

裏口に停められている、機材を積んだ大型トラックの周りを捜査している。

 

「そうだ!」

 

何かを思いつくみくる。

 

「それは倉庫に持っていってー!」

「はい!」

「あの、すみません!」

 

忙しそうに指示を出しているスタッフに、みくるが話を聞こうとする。

 

「しるくさんの相手役の、サクラよし乃さんって……」

「あ、ごめんね! それはそっちじゃなくて!」

「今、ちょっと手が離せなくて!」

「あ、はい……」

「ほんとごめんね!」

「あぁ……」

 

声をかけるが、本番前で殺気立っているスタッフ達は、誰もみくるの話を聞いてあげられない。

 

「サクラさんに話を聞こうと思ったけど……これじゃ、そもそも楽屋に会えないよ……」

 

捜査に行き詰まってしまったみくる。

すると、何やら遠くでスタッフ達が騒ぎ出していた。

 

「メイクさんは!?」

「さっき休憩に行くって言って、戻ってきません!」

「ええ!? もうサクラさんのメイクの時間なのに!」

 

「(……これだ!)」

 

みくるは急いでトラックの後ろに隠れる。

 

「オープン! プリキットグロス!」

 

グロスを唇に塗ると、みくるの姿が光に包まれる。

 

「メイクアップアーティスト!」

 

光が収まると、みくるはプロのメイクアップアーティストの服装に変身していた。

身長も少し伸び、髪型も大人っぽく綺麗にまとまっている。

腰には、プロ仕様のメイク道具がぎっしり詰まったポーチ。

 

「たくさんのメイク道具、かわいすぎる~!」

 

みくるはウキウキしながら、作戦の成功を確信した。

 

「これなら、メイクとしてサクラさんの楽屋に入って、怪しい人がいないか捜査できるはず!」

 

「いた! メイクさん!」

 

意気揚々と歩き出したみくるの元へ、血相を変えたスタッフが駆け寄ってきた。

 

「もう、どこ行ってたのよ!」

「え?」

「サクラさん、すっごく待ってるから!」

「ええー!?」

 

みくるは本物のメイクさんと間違えられ、有無を言わさずサクラよし乃の楽屋へと引っ張られて行ってしまうのだった。

森亜るるか、森亜こころは、救われるべきか。(今の所るるかが名探偵として復帰後、最終的には、こころも元に戻り救われる方向で考えている。)

  • 救われるべきだ
  • るるか離反、世界を創り変える
  • その他(バッドエンド等)
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