名探偵プリキュア! 〜迷宮のアルカナと偽りの真実〜   作:暁 蒼空

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第15話:運命の日と、絶望の目覚め(後編)

「アルカナ・シャドウ、一体、何のマネだ!」

 

突然、ウソノワールに刃を向けたアルカナ・シャドウの予期せぬ行動に、ゴウエモンが激しく焦りを見せる。

 

「あれって……」

 

アンサーが、ゴウエモンの後ろに立つウソノワールの手の中にある物を見つけた。

 

「キュアエクレールと、キュアシンシアのマコトジュエルよ」

 

アルカナ・シャドウが、忌々しそうに、そして酷く悔しそうに顔を歪めて言う。

 

「「えっ」」

「前に……ウソノワールにうばわれたの」

 

「あれが、探していたキュアエクレールの……」

「でも、キュアシンシアって……?」

 

エクレールの名前はこれまで何度も出ていたが、『キュアシンシア』という名前は名探偵たちにとって初耳だった。

 

「シンシアは……私の妹よ……」

 

アルカナ・シャドウが、血を吐くような声で答える。

 

「じゃあ……あれは、森亜こころさんの……!」

「だったら、絶対に取り返さないと!」

 

アンサーとミスティックは、るるかがファントムにいた理由の一端に触れ、ともに戦う決意をした。

 

「「「はあぁッ!」」」

 

三人は息を合わせ、ウソノワールへと一直線に飛びかかる。

しかし、その前にファントムの三幹部が厚い壁となって立ち塞がった。

 

アンサーの前にはニジー。

ミスティックの前にはアゲセーヌ。

そして、アルカナ・シャドウの前にはゴウエモン。

三人の渾身の攻撃は、三幹部にあっさりと受け止められてしまう。

 

「……ってかウソノワール様、マジ忙しいし!」

「いかにも! 邪魔立て無用!」

 

ゴウエモンが巨大な扇子を力強く振り下ろし、突風を巻き起こす。

 

「「「うわぁぁッ!」」」

 

激しい風圧に吹き飛ばされ、地面を転がる三人。

 

「そう、予言の日である今日この時! マコトジュエルが必要なのだ!」

 

ウソノワールが、狂気に満ちた声で叫ぶ。

 

三幹部の圧倒的な力の前に、防戦一方になるプリキュア達。

 

「くっ……!」

 

アルカナ・シャドウはティアアルカナ・ロッドと得意の鋭い蹴りを駆使してゴウエモンと果敢に打ち合うが、全く通用していなかった。

焦りから動きが単調になり、いなされてしまう。

 

(やっぱり強い……! このままじゃ、ウソノワールになんて届かない……っ)

 

アルカナ・シャドウの額に、焦燥の汗が浮かぶ。

 

「お前たちの、たび重なる邪魔がなければ……!」

 

ウソノワールが、苛立ちと共に掌を掲げる。

 

「マコトジュエルを、全て手に入れてさえいれば! わざわざ『これ』を使わなくてすんだものを!」

 

ウソノワールの掌から、巨大な紫色のエネルギー弾が放たれた。

 

「「「ハッ!?」」」

 

気付いた時には遅かった。

回避する間もなく、アンサー達三人はエネルギー弾の直撃を受け、壁へと激しく吹き飛ばされて叩きつけられた。

 

「「「ぐぁぁッ!」」」

 

たった一撃。

それだけで、プリキュア達はボロボロにされてしまった。

アンサーとミスティックは何とか身をよじって立ち上がろうとするが、アルカナ・シャドウの様子が明らかにおかしかった。

 

「ハァッ、ハァッ、ハァッ……っ」

 

ダメージを受けただけが原因とは思えないほど、大量の冷や汗を流し、全身をガタガタと激しく震わせていた。

いくら強がっても、魂に刻まれたトラウマは消えない。

あの禍々しい紫色のエネルギー弾を見て、それを自分の身で喰らった事で、あの時の絶望の記憶がフラッシュバックし、彼女の心を恐怖で縛り付けていたのだ。

 

(お願い……! 動いて、私の体……っ! 今回だけは、失敗できないの……! お願い……ッ!)

 

アルカナ・シャドウは、震える足に無理やり力を込め、ふらふらと立ち上がろうとする。

 

「約束の時は来た!」

「「「はっ!」」」

 

三幹部が跪く中、ウソノワールが顔の仮面に手をかけた。

 

「ウソノワールが本性をあらわすわ……」

 

物陰でポチタン、ジェット先輩と共に隠れていたマシュタンが、ごくりと息を呑んで呟く。

 

ウソノワールが仮面を外した。

すると、そこに現れたのは……恐ろしい魔王などではなく、小さな妖精の姿だった。

 

「へっ?」

「ポチ?」

「「えっ?」」

 

拍子抜けしたような妖精の姿に、ジェット先輩達とアンサー、ミスティックが呆然とする。

 

「あれが本当の姿……」

 

マシュタンとアルカナ・シャドウだけは、驚くことなく睨みつけていた。

 

「わたしは……大王になる!!」

 

妖精の姿のウソノワールが叫ぶと、目の前にエクレールとシンシアの心のマコトジュエル、そしてるるかが集めた5つのマコトジュエルの欠片が円を描くように浮かび上がった。

 

「ウソよ、覆え!!」

 

ウソノワールの号令と共に、すべてのマコトジュエルがドス黒いオーラに包まれ、禍々しく染め上げられていく。

 

その光景を見ていたアルカナ・シャドウは、何とか起き上がろうとするが、ダメージと恐怖で体が動かなかった。

 

「くっ……ダメぇぇ~ッ!!」

 

アルカナ・シャドウが絶叫する。

使われたくなかった。

それだけは、何としてでも阻止したかった。

しかし、彼女の悲痛な願いは、僅か数分の間に無残に崩れ去ってしまった。

 

「マジイケ~! チョベリグ~!」

「よっ、待ってました!」

 

絶望するアルカナ・シャドウとは違い、幹部の二人は大喜びで拍手喝采している。

 

「ウソノワールさまの『第二幕』が、開演するのか……?」

 

だが、ニジーだけは、何が起こるのか分からず警戒するように呟いていた。

 

「わたしのウソが永遠となり、世界を覆う……フッ、ハハハハハッ!!」

 

黒く染まったマコトジュエルが、ウソノワールの小さな体の中へと取り込まれた。

その瞬間。

 

「ウォォォォォォォッ!!!」

 

ウソノワールの体がドス黒い光と共に異常なほどに膨張し、巨大な漆黒の獣――ビルよりも巨大な『狼』のような姿の『大王』へと変貌を遂げた。

 

「1999年、7の月の大王……これが予言の真相なのか!?」

 

ジェット先輩が、恐怖で顔を引き攣らせて叫ぶ。

 

「ウォォォォォォ!!」

 

「おっ、でっけぇかな~!」

「アゲ~!」

 

呑気なアゲセーヌは、携帯で巨大化したウソノワールの写真を撮っている。

 

「ウゥ……ウォ、ウォォォッ!!」

 

突然、ウソノワール(大王)の口に、巨大な紫色のエネルギーが異常な密度で収束し始めた。

そして、コントロールを失ったかのように、辺り一面に複数のエネルギー弾を無差別に放ち始めた。

 

「ウソノワールさま!?」

「……って、マジやばっ!」

「あぶねぇ!」

 

まさかの味方への無差別攻撃に、三幹部も慌てて攻撃を避ける。

 

逃げる妖精達も、背後からの激しい爆発に巻き込まれた。

 

「ポチ~!」

「うわぁっ!」

「きゃぁっ!」

 

吹き飛ばされるポチタン、ジェット先輩、マシュタン。

衝撃で、ジェット先輩は人間の姿から元の妖精の姿へと戻ってしまった。

 

「ジェット先輩!」

「マシュタン! ポチタン!」

 

妖精たちの心配をして叫ぶアンサー達。

 

「マシュタン……! そんな、私のせいで……っ」

 

アルカナ・シャドウも、吹き飛ばされたマシュタンを見て絶望に顔を歪める。

自分がウソノワールを止められなかったせいだと、激しく自分を責めた。

 

(違う。冷静になるのよ……っ)

 

アルカナ・シャドウは、血の出るほど唇を噛んで気持ちを切り替えた。

 

「予想どおりね。キュアエクレールとキュアシンシアのマコトジュエルが、必死にあらがってる。あの子達のマコトジュエルを、ウソノワールが完全に扱えるはずがない……っ。今、止めないと……!」

 

震える足に力を込め、アルカナ・シャドウは再び立ち上がった。

 

「そうだね、だって!」

「名探偵は、絶対あきらめないんだから!」

 

アンサーとミスティックも、アルカナ・シャドウの隣に並び立つ。

 

「……少しは、らしくなってきたじゃない」

 

満身創痍でありながら、諦めない二人の瞳を見て、アルカナ・シャドウは少しだけ彼女たちを『名探偵』として認めるように呟いた。

 

「プリキットライト!」

 

アンサーとミスティックがプリキットライトを使い、空中にいくつもの光の足場を作る。

その足場を駆け上がり、巨大なウソノワールに挑む三人。

 

「ウォォォォッ!!」

「いくらなんでも、無茶だ! このままじゃ……アンサー! ミスティック!」

 

ジェット先輩が悲鳴のように叫ぶ。

 

「えくれーる! ポチ!」

 

すると、ポチタンがジェット先輩の元へ、あの『特製香水』を持ってきた。

 

「そうか! この香水で、キュアエクレールを見つければ!」

「はっ……一体、何を言ってるの?」

 

マシュタンは、ジェット先輩達の作戦が理解できず目を白黒させる。

 

「ポチタン、いく!」

「前も、あんなに探偵アイテムをとどけてくれたもんな! 頼むぞ、おとも妖精!」

 

ポチタンが、香水をかかえてエクレールを探しに飛び出していく。

 

「ちょっと、エクレールは……っ!」

マシュタンは、エクレールの正体がくれあだと知っているため、ポチタンを止めようとするが、ウソノワールのエネルギー弾の爆発の余波で吹き飛ばされ、その場に留まることしかできなかった。

 

***

 

「ポ~~チ~~~!」

 

町中を全力で飛んでいるポチタン。

すると、避難する群衆とは逆の方向へ走ってくる一人の人間の姿があった。

その人の胸元へ、ポチタンは迷わず飛び込んだ。

 

「えっ? あんなちゃんのポーチ!?」

 

それは、あんな達を心配して探しに来た帆羽くれあだった。

 

「たちゅけて!」

「ポポポ……ポーチが、しゃべっ……!?」

 

ポチタンが喋ったことに、くれあは腰を抜かしそうになる。

 

「あんな、みくる、たちゅけて! くれあ!」

 

ポチタンの悲痛な叫びを聞いて、くれあは先程の探偵事務所でのやり取りを思い出した。

 

『この香りがあれば、記憶をなくした名探偵がいるって、ピンっときたの!』

 

「わたしじゃないの……。ユリの香りを、どんなにかいでも……名探偵の記憶なんて、思い出さないの。ごめんなさい……」

 

くれあが、申し訳なさそうに目を伏せる。

 

「ポチ〜……」

 

落ち込むポチタン。

 

「でも、一緒にさがしましょう! わたしも手伝うわ。一緒に名探偵に香水をとどけるの!」

 

くれあが、ポチタンに力強く手を差し伸べる。

そして、町中を走り回るくれあとポチタン。

 

すると。

 

「ポチ! れい!」

 

れいの姿を見つけるポチタン。

 

「ポチタン!」

 

れいは、ポチタンを心配して町中を探し回っていたのだ。

 

「ポチ~!」

「れいさんって……あんなちゃんの友達の……」

 

合流する三人。

 

***

 

そして、展望台では。

 

「「きゃぁぁっ!」」

 

ウソノワールの強烈な一撃を受け、アンサーとミスティックが地面に叩きつけられる。

光が弾け、二人の変身が完全に解けてしまった。

 

「くっ……!」

 

既にボロボロのアルカナ・シャドウ。

果敢に攻めて攻撃し続けていた。

しかし、巨大なウソノワールには傷一つ付いていなかった。

 

「止めないと……! ハァァァァッ!」

 

アルカナ・シャドウは、ティアアルカナロッドを構え、捨て身でウソノワールへと突っ込んでいく。

 

「アルカナ! 1人では無理よ!」

 

マシュタンの悲痛な忠告など、今の彼女の耳には聞こえていなかった。

 

ウソノワールが、巨大な腕を無造作に振り払う。

それだけで、アルカナ・シャドウは虫けらのように吹き飛ばされた。

 

「うわぁぁッ!」

 

地面へと激しく叩きつけられる。

 

「カハッ……っ」

 

叩きつけられたことで、肺から空気が押し出され、息が詰まる。

そこへ、ウソノワールの口から、巨大な紫色のエネルギー弾がアルカナ・シャドウへと容赦なく放たれた。

 

「キャァァァァーッ!!」

 

アルカナ・シャドウの悲鳴が響き渡る。

 

「アルカナーッ!!」

「「るるかさん!」」

 

マシュタンとあんな達は、るるかの名前を呼ぶ。

 

爆炎が上がり、激しい煙が晴れると……そこには、ボロボロになり、意識朦朧となって倒れているアルカナ・シャドウの姿があった。

 

「うっ……あっ……」

 

ボロボロのアルカナ・シャドウが紫色の光に包まれる。

そして光が弾け、変身が強制的に解除されてしまう。

 

「うっ……うぅ……っ」

 

黒いケープはズタズタに破れ、体中傷だらけのるるかが、苦しそうに呻く。

 

「ウゥ、ウゥ、ウォォォォォッ!!」

 

ウソノワールの雄叫びと共に、台風のような突風が発生した。

 

その突風は、街を走っていたポチタンたちの方まで吹き荒れてきた。

 

「きゃぁっ!」

 

強風に煽られ、ポチタンが吹き飛ばされ、香水が空高く宙を舞う。

 

「ポチタン!」

 

れいは吹き飛ばされたポチタンを庇うように飛びつき、しっかりとキャッチする。

くれあは、アスファルトへ落下していく香水を守るために必死に手を伸ばして駆け出す。

 

「あっ……!」

 

しかし、くれあの指先はわずかに届かず、香水は彼女の目の前で残酷に砕け散った。

パリーン!とガラスが割れる音と共に、辺り一面に甘く強い香りが充満した。

 

***

 

再び戦いの舞台。

 

「完全に正気を失っておられる……! このままでは、世界が壊れてしまう。フィールドを展開するんだ!」

 

ニジーが焦燥の声を上げる。

 

「…っていっても!」

「オレたちだけでできるのか!?」

「フッ、3人の力があればいけるさ。ベイビー!」

 

世界が完全に崩壊するのを防ぐため、ファントムの三幹部が力を合わせる。

 

「フィールドよ!」

「「「おおえ!!」」」

 

3人の力が合わさった、かつてないほど強固で巨大な異次元フィールドが展開され、街全体を飲み込んでいく。

 

「あ……えっ?」

 

れいの手元からポチタンがスッと消え、目の前にいたはずのくれあの姿も、異次元フィールドに吸い込まれて消えてしまった。

 

***

 

空間の中。

 

「ごめんね……」

「ポチ……」

「名探偵を……プリキュアを、見つけることができなかった……」

 

自分の無力さに、くれあは膝をつき、ポチタンを抱きしめて涙を流していた。

 

「あっ、プリキュア……」

 

ふと、くれあは自分が『知らないはずの言葉』を自然に口にしたことに気付く。

 

「あっ、この香り……」

 

割れた香水から立ち昇る、濃密なユリの香りが、くれあの鼻腔をくすぐる。

その瞬間。

くれあの脳内に、ロックされていた過去の記憶が一気に奔流となって流れ込んできた。

 

『うわぁ! すてきな香り!』

『妖精と人間が生み出した、特別なユリ……トップオブリリー』

 

「あっ……」

 

次々と溢れ出す、愛おしい記憶。

るるかとの記憶。

こころとの記憶。

 

『くれあ!』

『くれ姉!』

 

一緒に事件を解決し、笑い合って過ごした、キュアット探偵事務所での眩しい日々。

 

「わたし……どうして……」

 

どうして忘れていたのだろう。

こんなに大切な、世界で一番大好きな二人との記憶を。

 

すると、くれあの髪を纏めていたシュシュが温かく光り出し、フワリと外れて空中に浮かび上がった。

 

「やっと思い出したでシュ」

 

くれあとポチタンが、光るシュシュを見る。

すると、シュシュが愛らしい妖精の姿へと変化した。

 

「戻ってくるって、信じてたでシュ。くれあ!」

「シュシュタン……!」

 

全てを思い出したくれあは、涙を流しながらシュシュタンを優しく抱きしめた。

 

「シュシュタンは、記憶を失くしても、ずっとくれあのそばにいたでシュ」

 

シュシュタンが、一つの『ペンダント』を取り出す。

 

「この日のために、ずっと……ずっと預かってたでシュ」

 

シュシュタンが、くれあにペンダントを渡す。

 

「くれあ! みんなを助けるでシュ! ウソを止めるでシュ!」

 

くれあは、ペンダントをしっかりと握りしめ、静かに、だが力強く頷いた。

 

***

 

そして舞台は再び、マコトランドタワーの広場。

 

あんなとみくるは、痛む体で立ち上がる。

そして、自分たちよりもひどい怪我をして血を流して倒れている、るるかの元へと駆け寄っていた。

 

「るるかさん!」

「しっかりして!」

 

声をかけるが、一人で起き上がることが出来ていないるるか。

起き上がれないるるかに、二人が手を貸して支える。

何とか半身を起こするるかだが、体はウソノワールへの恐怖と深刻なダメージにより、小刻みに震えていた。

 

そしてウソノワールの咆哮が響き渡る。

 

「め、名探偵は……」

「あきらめない!」

 

二人は自分に言い聞かせるように、そして、るるかを励ますように言うが……。

 

「もういい! もう……いいから……っ」

 

ジェット先輩が、絶望して首を振る。

マシュタンも、今にも息絶えそうなボロボロのるるかを見て、恐怖と悲しみで顔を歪めていた。

 

『大丈夫!!』

 

凛とした、透き通るような声が空から響いた。

 

すると、暴走していたウソノワールの体内から、一筋の光――『エクレールの心のマコトジュエル』が勢いよく飛び出したのだ。

 

「そんな……まさか……ッ」

 

るるかの瞳が、限界まで見開かれた。

 

マコトジュエルは、一直線にある方向へと飛んでいく。

そして、それを見事にキャッチした人物がいた。

 

「あれは……」

「えっ……」

「アイツ……!」

 

そこには、紫色の異次元フィールドの中に颯爽と降り立った、帆羽くれあの姿があった。

 

「マシュ……」

「くっ……ぁぁ……っ!」

 

マシュタンが悲しそうな顔を、るるかは喉の奥から絞り出すような悲鳴を上げて、その光景を睨みつけた。

 

(間に合わなかった。これで……エクレールが復活する予言は『現実』に……っ。私は……また、間に合わなかった……ッ!)

 

るるかの心が、引き裂かれていくようだった。

 

「くれあさん?」

「くれあさんが……」

 

状況が理解できず、あんなとみくるが呆然とする。

 

くれあは、マコトジュエルを握りしめ、あんな達に。

そしてボロボロになったるるかに向けて、優しく、力強く微笑みかけた。

 

「お待たせ」

 

「くれあさんが、キュアエクレール……?」

 

遂に、過去の記憶を取り戻した帆羽くれあ。

名探偵キュアエクレールの完全復活。

 

それは、あんな達にとっては希望の光であり――るるかにとっては、愛する親友を再び地獄の戦いへと引きずり込んでしまった、取り返しのつかない『最悪の結果』だった。

森亜るるか、森亜こころは、救われるべきか。(今の所るるかが名探偵として復帰後、最終的には、こころも元に戻り救われる方向で考えている。)

  • 救われるべきだ
  • るるか離反、世界を創り変える
  • その他(バッドエンド等)
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