名探偵プリキュア! 〜迷宮のアルカナと偽りの真実〜 作:暁 蒼空
皆さんの期待に寄り添えるか、分かりません。
前・後編で分かれますが、不快な思いをした方や、内容に納得いかない方はブラウザバックしてもらって構いません。
帆羽くれあの手に、光の軌跡を描いて戻ってきたマコトジュエル。
それは、本来の持ち主である彼女の胸の中へと、吸い込まれるようにスッと戻っていった。
「……全部、思い出した」
失われていた記憶。
るるか達と共に過ごした幸せな日々。
完全に記憶を取り戻したくれあは、静かに、だが確固たる決意を込めて前を見据えた。
一方。
あんなとみくるに両脇を支えられていたるるかは、その光景を絶望の底から見つめていた。
「はなして……」
るるかが、二人の腕を振り払おうとする。
「でも、そんな怪我じゃ……!」
「いいから! 私は……大丈夫だからっ!」
るるかの気迫に押され、二人は思わずるるかから離れた。
フラフラとよろめきながら、るるかは、くれあを見上げる。
「また……また私は、間に合わなかったのね」
血の気が引いた顔で、拳を白くなるほど強く握りしめているるるか。
るるかは、記憶を取り戻したくれあの真っ直ぐな瞳をまともに見ることが出来ず、罪悪感からスッと目を背けた。
(やっぱり、未來自由の書の予言は正しかった……。いくら私が抗っても、運命は……変えられないの……?)
くれあは、そんなるるかへと静かに目線を向ける。
「……るるか」
(どうして忘れてたんだろう。あんなに私を想ってくれた、大切な親友のことを。……それに、どうして貴女1人なの……。いつも貴女の隣で笑っていた、こころちゃんは一体……?)
くれあの胸に、深い悲しみと無数の疑問が渦巻く。
「ポチ〜!」
その頃、少し離れた場所で、ジェット先輩とマシュタンの元にポチタンが無事に帰還していた。
「ポチタン! よくやったな! さすが、お供妖精だ!」
ジェット先輩が、ポチタンを褒める。
マシュタンの目の前に、一匹の小さな妖精がふわりと降りてきた。
「あら? 元気そうね、シュシュタン」
「マシュタン……久しぶりでシュ!」
共に探偵事務所で笑い合っていた妖精同士が、静かに再会を果たす。
「あいつが……もう一人のプリキュア、『キュアエクレール』……?」
ニジーは、記憶を取り戻したくれあを見て、冷や汗を流していた。
「俺は、何となく分かってたぜ」
ゴウエモンの言葉に、ニジーがバッと振り返る。
「あの時も、フィールドに入って追いかけてきた。……見上げた根性だったからな」
パティスリーチュチュでゴウエモンが写真を奪って逃走した際、くれあがフィールド内にまで追ってきた時の話をするゴウエモン。
「フィールドに入ってきただと!? なぜ、それを早く言わない!?」
ニジーが声を荒らげる。
「「えっ?」」
きょとんとする二人。
「この異次元フィールドに入れるのは、我ら妖精か、妖精と共にいる者。……もしくは、『妖精に招き入れられた者』のみ!」
そして、ニジーはシュシュタンの方に鋭い目を向けた。
「おそらく彼女が入れたのは、あの妖精がいたからさ!」
「しかし、ウソノワール様も、ヤツがフィールドに入ったのは百も承知。何も言わないなんて、つれないぜ!」
ゴウエモンが肩をすくめる。
「誰がプリキュアだろうと、興味ないっしょ。ウソノワール様が『大王』になればチョベリグ! マジ、誰も敵わないから!」
アゲセーヌ達にとっては、ここまで進んだ以上、キュアエクレールの正体などどうでも良かった。
ウソノワールさえ大王になれれば、ファントムの完全勝利は揺るがないからだ。
「グオォォォォォォォッ!!」
巨大な狼の姿となったウソノワールが、空を揺るがすような雄叫びをあげる。
「どうして……キュアエクレールのマコトジュエルはもう体内に無いのに、全然弱ってる気配がないよ!」
あんなが叫ぶ。
「そうだよ! 確かにキュアシンシアのマコトジュエルはまだ残ってるかもしれないけど、一つ失ったなら、それでも少しくらい弱体化するはずなのに……!」
みくるも絶望的な表情で言う。
「マコトジュエルの力を、誤って使ったでシュ!」
シュシュタンが、二人に向かって叫ぶように説明する。
「だから、暴れん坊になったままでシュ! 清らかな心の光ではなく『力』だけを無理やり取り込んだから、凶暴なままでシュ!」
「まったく……」
るるかが舌打ちする。
(でも……このままじゃ……)
るるかはシュシュタン達から視線を外し、巨大なウソノワールを見上げる。
(まだ……ウソノワールの体内に、シンシアのマコトジュエルが残ってる。……あれだけは、絶対に私が回収しないと……ッ!)
「みんなでウソノワールを……『名探偵プリキュア』の力で、止めるでシュ!」
シュシュタンが力強く告げる。
あんなとみくるは、頷き合った。
「「うん!」」
「「オープン!! ジュエルキュアウォッチ!」」
あんなとみくるの手にあるペンダントがまばゆい光を放ち、カラフルな懐中時計『ジュエルキュアウォッチ』へと姿を変える。
二人はそれぞれのマコトジュエルを取り出し、ウォッチに装着した。
「「プリキュア、ウェイクアップタイム!」」
二人の声が重なった瞬間、光が溢れ出す。
「サン!見つける!」
ジュエルキュアウォッチの長針が、3の位置へと揃えられた。
あんなの髪が風にほどけるように一気に伸び、足首に届くほどの長さになる。
毛先はハート型に整い、頭頂部の左右は可愛らしいお団子のツインテール。
髪色は鮮やかな紫へと変わり、毛先に向かって淡いピンクのグラデーションが広がった。
みくるの髪も同時に伸び、やわらかな三つ編みへと姿を変える。
髪色は明るいピンクに。
瞳の色も変化する。
あんなは澄んだ青緑、みくるは神秘的な紫へ。
「ロク、向き合う!」
長針が6を指す。
みくるの身体を、淡いピンクのオフショルダーワンピースが包み込む。
フリルの揺れるスカートが、彼女の可憐さを際立たせた。
背中には、水色の大きなリボン。
あんなもまた、フリフリの紫色のワンピースを身に纏い、背中には鮮やかな黄色の大きなリボンが現れる。
「キュー!奇跡の二人!」
長針が9へ。
二人の足元に光が集まった。
あんなは紫色、みくるはピンク色のブーツを履き、同時にニーハイソックスが脚を彩る。
あんなの手には薄い水色のフィンガーレスグローブ。
その上から薄紫色のオープンフィンガーグローブが重なる。
みくるの手にも薄紫のフィンガーレスグローブと、薄ピンクのオープンフィンガーグローブ。
指先には、それぞれの色のネイルがきらりと輝いた。
「くるっと回して、キュートに決めるよ!」
長針が11へと進む。
あんなの左右のお団子には華やかな髪飾りが添えられ、耳元にはピアスが揺れる。
みくるの髪には大きなリボンの髪飾り。
そして同じく、両耳にピアス。
さらに二人の胸元にはネクタイ型のリボン。
肩には短めのケープが重なり、装いが完成へと近づいていく。
ジュエルキュアウォッチは光となって収束し、衣装の腰にあるキャリーへと収められた。
「どんな謎でも、はなまる解決!名探偵『キュアアンサー』!」
「重ねた推理で、笑顔にジャンプ!名探偵『キュアミスティック』!」
可愛らしい決めポーズを決める。
最後に二人は自然と歩み寄り、並び立つ。
「「名探偵プリキュア!」」
アンサーが、ビシッと巨大なウソノワールを指差す。
「私の答え、見せてあげる!」
るるかも、胸元のペンダントを握りしめる。
(怖い。私は……何も強くなんてなってない)
どんなに強がろうとも、ウソノワールへの恐怖が消えたわけではない。
足は小刻みに震えている。
(エクレールのマコトジュエルは手に入れられなかった)
(でも! シンシアの……こころのマコトジュエルだけは、絶対に私が……!)
「……それだけは、絶対に私が取り戻す」
「……オープン……」
胸元のペンダントが強い光を放つ。
光は細く伸び、形を作り、るるかの手の中で長くしなやかな『杖』へと変貌した。
「ティアアルカナロッド」
指先を添えた瞬間、るるかの身体はふわりと舞い上がる。
衣装は紫の光を帯び、周囲へと輝きを弾けさせる。
マコトジュエルを静かにロッドへ装着する。
円を描くように一回転。
足元に広がる魔方陣が妖しく光った。
「シャッフル」
ロッド上部のカードがくるりと回転した瞬間、るるかの髪は漆黒へ。
もう一度、指先でカードを弾けば、闇は一転して金色へ。
かきあげた髪の先には、鮮やかなピンク色のグラデーション。
「リバース」
ロッドから流れる光がるるかの体を次々と包み込む。
ノースリーブのワンピースが身体を包み、黒を基調とした衣装と明るく揺れる髪が、お互いを強調し合う。
スカートには紫色の雫が散りばめられ、静かに揺れる。
カンッ。
ロッドを地に打ち付けた瞬間、露わだった脚は濃い紫色のサイハイソックスと濃紺色のショートブーツに包まれる。
祈りを捧げるように両手でロッドを握ると、手首には繊細なリストカフスが装着される。
頭には、黒いダイヤ型が並ぶ髪飾りを装着、その中央下には雫型の石飾りが付けられている。
目元へ右手を当てて下に下ろすと、瞳は紫から赤へと変化、瞳の奥にハートの光が宿っている。
耳元には雫型のピアス。
頭の後ろには黒い蝶の飾りを添えた薄紫のヴェールが静かに寄り添う。
ロッドの先端を胸元へと当てると、紫色の光が体を包み込む。黒いケープが肩を覆い、胸元にはネクタイ型のリボンが可憐に結ばれる。
「神秘と秘密で包み込む――『キュアアルカナ・シャドウ』」
ロッドのカードに映るのは、彼女の氷のように冷たい横顔。
一歩、また一歩と進むだけで、神秘が満ちていく。
ロッドをくるりと回し、持ち替える。
「さあ……迷宮へ誘いましょう」
「ウォォォォッ!!」
咆哮と共に、ウソノワールの左手に不気味な紫色のエネルギーが凄まじい密度で集まる。
そして、物凄い勢いで巨大なエネルギー弾となってプリキュア達に放たれた。
「ミスティックリフレクション!」
ミスティックが前に出て、最大出力のシールドで攻撃を防御する。
爆発により、凄まじい煙が上がる。
そして、煙が晴れると同時に、ティアアルカナロッドを構えているアルカナ・シャドウの姿があった。
「アルカナスターレイン!!」
ロッドから放たれた無数のレーザーが、ウソノワールの巨体へと雨あられと叩き込まれる。
その隙を逃さず、アンサーがウソノワールの元へと飛び込む。
「アンサーアタック!」
渾身の力を込めた拳をウソノワールへと放つ。
しかし、ウソノワールは巨大な右手で、その攻撃を虫でも払うように軽々と防いだ。
「くっ……!」
反動で吹き飛ばされ、アルカナ・シャドウ達の元へと着地するアンサー。
アルカナ・シャドウのレーザーの直撃を喰らった筈なのに、ウソノワールは全くの無傷だった。
「全然効いてない!」
アンサーが絶望的な声を上げる。
その時。
後方から、青白い光が眩く、そして優しく光り輝き始めた。
「えっ」
「あっ」
振り返る一同。
その清らかな光は、くれあの手の中にある『ペンダント』から放たれていた。
「くっ……っ」
アルカナ・シャドウは目をそらし、顔を背けた。
光が納まり、ペンダントがくれあの両手にそっと収まる。
くれあは、ペンダントを見つめていた。
「くれあ〜!」
シュシュタンの呼び声に、シュシュタンの方を向くくれあ。
「今でシュ! 変身するでシュ! くれあの『煌めき』を、見せるでシュ!」
くれあがペンダントをもう一度見つめ、胸の前で強く握りしめる。
「うん! みんなを助けて……ウソを止める!」
くれあの瞳に、迷いはなかった。
「……それが私の、『煌めき』!」
「オープン!」
その一言を合図に、眩い光の球体が彼女の手から解き放たれる。
光は瞬く間に広がり、絶望に染まった日常の景色を、鮮やかに塗り替えていった。
足元には波紋の広がる澄んだ水面。
周囲には神聖な古代の石柱がそびえ立ち、空には星屑が煌めく、幻想的な夜の領域が広がる。
無数の青い光の蝶が舞い踊る中、頭上から黄金と青に彩られた香水瓶が、ゆっくりと彼女の手元へと舞い降りてきた。
「トップオブリリーフレグランス」
香水瓶を手に取った彼女の顔に、希望が弾けるような満開の笑顔が咲く。
マコトジュエルをセットする。
「プリキュア、ウェイクアップタイム!」
彼女が香水瓶の蓋を外すと、きらきらと輝く光の粒子が溢れ出した。
「フローラルスピン!」
彼女は水面のような空間へと軽やかに駆け出す。
ふわりと宙を舞い、優雅に水面へと降り立つと、つま先から静かな波紋が幾重にも広がっていった。
彼女は香水瓶を持った手を滑らせるように動かし、香水を周囲に振り撒く。
「ブルーム!」
その声と共に、清らかな水流のような光の帯が彼女の身体を優しく包み込んだ。
光が弾けると同時に、彼女の深い青色の髪は鮮やかなミントグリーンへと染まり、ボリュームのある、途中で二つに分かれている華やかなポニーテールへと姿を変える。
幾重にも重なる純白のフリルスカートがふわりと広がり、腰の後ろには青い蝶の羽を模した大きなリボンが結ばれた。
彼女が胸の前で両腕を交差させると、清冽な光が腕を包み込み、両手には薄紫色のフィンガーレスグローブが現れる。
バレリーナのように高く脚を上げ、水面で美しくスピンを決めると、水飛沫の中から編み上げられたエメラルド色のヒールが現れ、足元を上品に飾った。
耳元には青い宝石のピアス、髪には白百合の髪飾り、そして胸元にはハートをあしらったリボンが次々と形作られていく。
変身の仕上げとして、彼女は手にした香水瓶の蓋を閉じる。
その瞬間、彼女の瞳の奥で、真実を見抜く強い意志を秘めた赤い光が鋭く瞬く。
「解き放て、内なる真実の香り!」
彼女が両手を広げると、背後には無数の白い百合の花が一斉に咲き誇り、光の蝶たちが祝福するように乱舞した。
顔を覆っていた手を払い、真実を見通す探偵の眼差しで、真っ直ぐに前を見据える。
「名探偵! キュアエクレール!」
星空と百合の花を背負い、彼女は凛とした佇まいでビシッと人差し指を突きつけた。
「私の答え、示しましょう」
遂に、もう一人の名探偵、キュアエクレールが完全復活を果たした。
エクレールは静かに閉じていた目を開き、その赤い瞳で巨大なウソノワールを正確に捉える。
「…………」
一切の無駄な動作なく、エクレールは足に力を込め、空高く飛び上がる。
そして、ウソノワールの巨体へと一直線に向かう。
一切の躊躇いのない、洗練された動き。
「はぁッ!」
右足で、恐ろしく鋭い飛び蹴りを、ウソノワールの巨大な腹部へと正確に叩き込む。
「グオォォォォォォッ!?」
たった一撃。
今まで、アンサー、ミスティック、アルカナ・シャドウの三人がかりでも無傷だったウソノワールが、その一撃の威力で後方へと大きく吹き飛ばされ、背後のビル群へと激しく激突した。
轟音と共に、ビルが崩れ落ち、ウソノワールが地面に倒れ伏す。
「あっ……」
それを見ていたアルカナ・シャドウは、目を見開き、悔しさと絶望で拳を強く握りしめていた。
爪が手のひらに食い込み、血が滲む。
(どうして……どうして私には、彼女みたいな『圧倒的な力』がないの……っ。私にも、最初からあんな力があれば……こころを、あんな目にあわせることは……なかったのに……ッ)
自分の弱さへの激しい憎悪が、るるかの心をさらに深い闇へと引きずり込んでいく。
アンサーとミスティックも、エクレールの規格外の強さに驚愕し、言葉を失っていた。
「あれが……」
「名探偵、キュアエクレール……!」
キュアエクレールは静かに着地した。
失われたピースが揃い、運命の歯車が、いよいよ最終局面に向けて激しく回り始める。
アニメ31話にて、るるかは名探偵に復帰。この小説のるるかは、どの方向に進んでもらいたい?(アンケートは取るけど、自分の文章力でアンケートの結果に結びつけれるかは自信がないので必ずしも、アンケート通りに出来るかは分かりませんが…)
-
名探偵として復帰
-
ファントム等の敵として行動
-
一時的に復帰するが再び絶望し離反する。
-
その他(意見、要望は感想等のコメントに)