名探偵プリキュア! 〜迷宮のアルカナと偽りの真実〜 作:暁 蒼空
「……やっぱり、こうなってしまうのね……」
アルカナ・シャドウは、ただ一人、悲痛な目をしていた。
「やったぞ!」
「えくれーる! ポチ!」
エクレールの復活とその圧倒的な強さに、ジェット先輩とポチタンが歓喜する。
「シュシュー! 記念すべき、2回目の変身でシュ!」
シュシュタンが誇らしげに言う。
「ポチ?」
「2回目?」
シュシュタンのその言葉に、ジェット先輩達が首を傾げる。
「心配ないでシュ! だって、キュアエクレールは『最強の名探偵』でシュ!」
「ミスティック!」
「ええ! 私達も!」
エクレールに協力して一気にウソノワールを畳み掛けようと、アンサー達が動く。
しかし、アルカナ・シャドウが、二人とエクレールの間を阻むようにティアアルカナロッドを構えた。
「必要ない」
アルカナ・シャドウの冷たい声。
(そう。エクレールに、あなたたちの手助けは必要ない……)
「でも!」
いくらなんでも、あんな巨大な化け物相手に一人は危険すぎると思い、ミスティックが加勢しようとする。
「大丈夫! 私、強いから!」
エクレールが振り返り、ニコッと笑って力強く答えた。
そして、ウソノワールへと鋭い視線を移す。
「私の力は、こんなもんじゃない!」
エクレールが、右目をスッと閉じる。
「グオォォォォォォォッ!!」
激怒したウソノワールが立ち上がり、両手を前に突き出して構えを取る。
そして、その両手の間に紫色のエネルギーが極大まで収束していく。
次の瞬間、無数の極太レーザーが、キュアエクレールへと一斉に放たれた。
逃げ場など全く無い、全方位からのレーザーの豪雨。
「きらめきタイム!!」
エクレールが、閉じていた右目を開く。
すると、彼女の右目の奥に、星型の紋章が青く輝いて宿っていた。
エクレールが、空へと飛び上がる。
「はぁッ!」
圧倒的なスピードで、空を縦横無尽に飛びまわるエクレール。
ウソノワールのレーザーがエクレールを執拗に追尾するが、光の軌跡を描いて飛ぶ彼女の異常なスピードに、全く追いつくことが出来ていなかった。
その光景を、地上から見上げているアルカナ・シャドウ。
「あの時の……力……」
ウソノワールに完全に敗北した自分を助けるため、初めてエクレールに変身したくれあが見せた力。
ウソノワールを吹き飛ばし、巨大なマコトジュエルを砕いた時の、あの圧倒的な力。
「やっぱり……」
アルカナ・シャドウは、胸の奥で渦巻く感情を押し殺すように、拳を白くなるほど強く握った。
(……そっか……もう、私は引き返せないのね……。エクレールが復活した以上、このままじゃ運命は変えられない)
(私も……覚悟を決めなきゃ。『彼女』を倒す覚悟を……っ!)
絶望の淵で、アルカナ・シャドウは胸の内で密かに、そして冷酷な決意を固めた。
エクレールは、まさに『光』となって空を駆け巡っていた。
「輝いてる……」
「煌めき……」
あまりの美しく神々しい光の乱舞に、アンサー達は目を奪われる。
「まるで……閃光だ!」
ジェット先輩も感嘆の声を上げる。
閃光となったエクレールが、ウソノワールに一直線に向かっていく。
そして、その信じられないスピードの勢いを乗せたまま、強烈な回し蹴りをウソノワールに放つ。
「グオォッ!?」
巨体のウソノワールが、大きく吹き飛ばされる。
ふわりと、美しく着地するエクレール。
「カ、カッコいい!」
「はなまる素敵ー!」
エクレールの圧倒的なカッコよさと強さに、あんなとみくるは完全に目を輝かせてファンになっていた。
「うん?」
しかし、アルカナ・シャドウだけは、エクレールの様子に違和感を覚えた。
「でも……」
シュシュタンも、何故か心配そうな声を出す。
エクレールが、ふらりとよろめき、そのまま後ろへと背中からバタンと倒れてしまった。
「「えっ……!?」」
驚くアンサーとミスティック。
「せ、世界が回ってますぅ〜……」
エクレールの目は、文字通りグルグルと渦を巻いていた。
「力を使い過ぎると、ああなるんでシュ……」
シュシュタンが呆れたように言う。
「「「えええええええええええ!?」」」
エクレールは、自身の異常なスピードに自分の三半規管が全くついていけないため、本気で動いた後は必ず目が回って、一時的に完全に行動不能になるという致命的な弱点があったのだ。
シュシュタンが、目を回して倒れているエクレールを引っ張り、安全な場所へと引きずっていく。
「回ってますぅ〜……」
「エクレールが回復するまで、頼んだでシュ!」
「……まったく」
アルカナ・シャドウが呆れたようにため息をつくが、その口元にはほんの少しだけ、かつてのような笑みがこぼれかけていた。
アンサー達三人が、再び立ち上がったウソノワールと対峙する。
「ウソノワールは、さっきの攻撃で確実に弱ってる! 今なら!」
アルカナ・シャドウの鋭い言葉とともに、三人が同時に動き出す。
ウソノワールが怒り狂い、巨大な拳を振り下ろす。
「ミスティックリフレクション!」
ミスティックが盾を展開し、その攻撃を完璧に防ぐ。
「アルカナスターレイン!」
アルカナ・シャドウがロッドを振りかざし、無数のレーザーがウソノワールへと降り注ぐ。
弱っているウソノワールに、ようやく確実にダメージが入る。
「アンサーアタック!」
アンサーの拳がウソノワールの腹部に深く突き刺さり、ウソノワールが苦悶の声を上げて大きくよろめいた。
「エクレール〜! 早く起きてほしいでシュ~!」
シュシュタンは、倒れて目を回しているエクレールに、自分の尻尾をうちわ代わりのようにバタバタと振って必死に風を送る。
「ハッ!」
パチリと目を開き、ようやく三半規管が回復して復帰するエクレール。
三人の元へと、颯爽と戻ってくるエクレール。
「みんな、お待たせ!」
そしてエクレールが、ウソノワールの方を真っ直ぐに向く。
「私に任せて! みんなを困らせる悪いウソなんて……私が全部終わらせる!」
「オープン! プリキットミラールーペ!」
「シュシュタン!」
「シュシュー!」
シュシュタンからマコトジュエルを受け取り、ミラールーペへと装着する。
「マコトジュエル!」
「キュアエクレールが……解決!」
すると、エクレールの背中から、光り輝く青い巨大な『蝶の羽根』が出現した。
「優雅に!」
中央の宝石を回転させる。
「はばたき!」
2回目の回転。
「ナゾを解く!」
3回目の回転。
「これが私の……アンサーよ!」
エクレールが、その青い羽根で空中へと美しく飛び立つ。
「プリキュア・フライング・インフィニティ!!」
名乗りと同時に、彼女自身が巨大な青い光の蝶となって、ウソノワールめがけて特攻する。
そして、ウソノワールの巨体を、一筋の閃光となって真っ直ぐに貫いていった。
「キュアット解決!!」
「ウォォォォォォォォォォッ……!!」
ウソノワールが光に包まれて浄化されていき、巨大な体からドス黒い紫色のエネルギーが霧散して抜けていく。
そして、ウソノワールは元の小さな妖精の姿へと戻り、地面へと落下した。
「クッ…ウゥ……っ」
全身ボロボロになり、倒れ伏すウソノワール。
「やった……!」
アンサーが歓声を上げる。
「ウソノワールを退けた……」
アルカナ・シャドウは、胸を撫で下ろすと同時に、エクレールの規格外の力に改めて戦慄していた。
ウソノワールの元へと、ファントムの三幹部が慌てて駆け寄る。
ゴウエモンが、倒れたウソノワールをそっと抱き上げる。
「ウソノワール様……休演としましょう……」
ニジーが冷や汗を流しながら進言する。
「プ、プリキュア……め……っ」
ウソノワールの憎悪の声を残し、ファントム達は緑色の光に包まれて、逃げるように撤退していった。
「ウソノワール……一体、何者なんだ?あんな妖精、見たことないぞ」
ジェット先輩が怪訝な顔をする。
「でしょうね……」
マシュタンが、誰にも聞こえないような小声で暗く呟く。
(そう。誰も、彼らの本当の正体なんて分かりはしない)
アルカナ・シャドウは、ウソノワールが倒れていた場所へと無言で駆け出す。
地面に落ちている5つのマコトジュエルの欠片と……そして、『シンシアの心のマコトジュエル』を、震える手で急いで回収する。
そして、シンシアのマコトジュエルを祈るように両手で包み込み、確認する。
ひび割れているマコトジュエルだが、ウソノワールに無理やり使われた後でも、それ以上割れ目が広がっていることはなかった。
「あっ……よかった……っ!」
シンシアのマコトジュエルが無事であったことを確認し、アルカナ・シャドウはへたり込みそうになるほど安堵の息を吐いた。
***
そして、ウソノワールの影響が完全に消え去ったことで、消されていた人達も元通りに元の場所へと戻っていった。
ビルの屋上から、その様子を確認しているアンサー達。
「ウソノワールのウソが解けた……」
「うん……」
すると、後ろから声が聞こえた。
「アルカナ!」
アンサー達が振り返ると、エクレールが、少し離れて背を向けて立っているアルカナ・シャドウへと声をかけていた。
「教えて、アルカナ! シンシアは……こころちゃんは、どうしたの!?」
エクレールが、記憶を取り戻して最も疑問に思っていたこと。
親友であるアルカナの姿が、どうしてあんなに暗く怪しげに変わっているのかもそうだが……いつもるるかの隣でニコニコと笑っていたはずの、こころの姿がどこにも見当たらないのだ。
エクレールには、それが不思議で、そして不安でしょうがなかった。
しかし、アルカナ・シャドウは何も言わず、背を向けたまま動かない。
「アルカナ!」
「……貴女に話すことは……何もないわ」
アルカナ・シャドウが、一歩踏み出してエクレールとの距離を突き放す。
「それと、私は……アルカナじゃない。怪盗団ファントムの『キュアアルカナ・シャドウ』」
「え……?」
どういうことなのか、全く意味がわからないエクレール。
一歩、また一歩と、アルカナ・シャドウがエクレールとの距離を離していく。
「貴女の知っている『名探偵』は……」
そして、ゆっくりと振り返るアルカナ・シャドウ。
エクレールは、そんなアルカナ・シャドウの瞳を正面から見て、息を呑んで目を見開いた。
あんなに、一緒に笑い合ってたはずなのに。
こころと三人で、くだらない事でたくさん笑い合ってたはずなのに。
今、目の前にいる親友は……かつてのような温かい笑顔など微塵もなかった。
その瞳は、先程までウソノワールと戦うために宿していた光とは違う。
何かを致命的に諦めたような……世界を恨むような、何かに絶望しきったような、底抜けに悲しそうな瞳。
明るい希望の光が完全に消え去り、その代わりに、狂気と執念のような怪しげな光が、薄っすらと、しかし確実に宿っていた。
「……もう、いないわ。……行きましょう」
マシュタンが、悲しげに俯き、アルカナ・シャドウの元へと向かおうとする。
「マシュタン……?」
シュシュタンも困惑して呼び止める。
るるかとマシュタンは、ウソノワールに奪われた『エクレールの心のマコトジュエル』と『攫われたこころ』を取り戻す為に、決死の覚悟で出ていったはずなのだ。
その二人が、どうして今、敵であるファントムの幹部としているのか、シュシュタンにも全く分からなかった。
マシュタンは何も言わず、ただアルカナ・シャドウの元へと降り立つ。
マシュタンを抱きしめたアルカナ・シャドウが、無言のままビルの屋上から身を投げ、飛び降りた。
「!?」
エクレールは慌てて屋上の縁まで駆け出し、下を見下ろすが……そこにはすでに、親友の姿はどこにも無かった。
運命の日は過ぎ去り、世界は守られた。
しかし、名探偵プリキュア達の心には、事件の解決よりもずっと重く暗い、謎と悲しみの影が色濃く残されるのだった。
***
キュアット探偵事務所へと戻ってきた一同。
「やっぱりここが、一番落ち着くでシュ~」
ソファに深く座り、一息ついているくれあの左手首に、シュシュタンが安心しきったように巻き付く。
「ふふっ」
久しぶりのくすぐったい感触に、くれあも自然と笑みをこぼす。
「お茶が入ったよー! あれ? ジェット先輩は?」
ティーセットを持ってきたあんなが、首を傾げる。
ジェット先輩の研究室に向かう一同。
「何してるの?」
「見りゃ分かるだろ? 調べてるんだ」
ジェット先輩が、ウソノワールが脱ぎ捨てた鎧を回収して持って帰ってきて調べていた。
「あのとんでもない力は、こいつのおかげみたいだ。だけど……動かす仕組みも、材質もまったく分からない……。一体何なんだ、これは?」
妖精であるウソノワールが、あんな規格外の力を発揮していたのは、この謎の鎧の力によるものだった。
しかし、天才発明家であるジェット先輩でも、その鎧の出所や謎は全く分からなかった。
「シュシュタンも、初めて見るでシュ……」
「何でも知ってる『知識の妖精』のシュシュタンも知らないなんて……」
くれあが驚く。
「まあ、この大天才に任せとけって! 必ず解明してみせるから!」
「シュシュタンも、調べてみるでシュ!」
二人の頼もしい言葉に頷き、一同は一度、解散することにした。
くれあは一人、探偵事務所の中庭の庭園へと来ていた。
るるか や こころと一緒に過ごした、探偵事務所での日々。
三人で、一緒に事件を解決し、一緒にこの庭園で花を育てた大切な思い出の場所。
(どうして……忘れてしまっていたんだろう。あんなに、私にとって何よりも大切だったのに……。あの後、二人に一体なにがあったの……)
そんな風に物思いに耽っていると、向かい側からあんなが走ってきた。
「くれあさん! 探しちゃいましたよ!」
「ごめんなさい。ちょっと、懐かしくて……」
そして、足元に植えられている、美しい百合の花を見つめるくれあ。
「トップオブリリー……。これ、るるか達と一緒に植えたの……」
「くれあさん……」
しんみりした空気を振り払うように、くれあが振り返る。
「それで? 私を探してたって……何かあったの?」
あんなに質問をするくれあ。
「実は私……2027年の『未来』から来たんです!」
あんなが、真剣な顔で信じられないカミングアウトをした。
「…………えっ?」
突然すぎるスケールの大きな話に、さすがの名探偵の頭脳も一瞬フリーズしてしまったくれあだった。
***
怪盗団ファントムの劇場アジト。
「プ、プリキュアめ……。見てるがいい……。私にはまだ、『未來自由の書』がある……ッ」
薄暗い舞台上で、ウソノワールが憎々しげに吐き捨てる。
ボロボロになり、妖精の姿のウソノワールは、アゲセーヌの両手の中に大事に抱かれていた。
「ええ、そうですとも! ウソノワール様が開発なされた、異次元を展開するフィールドに、ハンニンダーもあります!」
「大王になるっしょ!」
ニジーとアゲセーヌが、必死にウソノワールを励ます。
すると。
「……無理」
氷のように冷たい声が響いた。
声のする方へ視線を向けると、いつもウソノワールが座っているVIP席の玉座に、足を組んで見下ろすように座っている『るるか』がいた。
その横にはマシュタンが控えていた。
真っ暗な劇場の中で、るるかにだけ3つのスポットライトが当たる。
「なッ!? アルカナ・シャドウ!」
ゴウエモンが驚く。
「ウソノワール。あなたは、大きな間違いを『3つ』している」
るるかが、ウソノワールを冷たく見下す。
「何……!?」
『パンッ!』
るるかに当たっていたスポットライトが一つ消えた。
「1つ目の間違い。……キュアエクレールとキュアシンシアの『心のマコトジュエル』を、自分に取り込んで使った事。あの力は、あなたでは扱いきれない」
「はぁ?」
「でも、アンタが集めてきてたマコトジュエルの欠片が5つもあったっしょ! あれは普通のマコトジュエルじゃん!」
アゲセーヌが反論する。
るるかが、ポケットから5つのマコトジュエルの欠片を取り出した。
「ウソノワール。貴方がずっと騙されてくれていて良かったわ。……これ、全部『偽物』なの」
るるかが、マコトジュエルの欠片をウソノワール達のいる舞台へと無造作に投げ捨てた。
カランッ、と床に落ちたマコトジュエルの欠片は、パチンと弾けて紫色の光の粒子となり、ただのマジックアイテムのように消え去ってしまった。
「なに!?」
幹部たちが驚愕する。
『パンッ!』
2つ目のスポットライトが消える。
「2つ目の間違い。……未來自由の書を『読み違えた』事。……あなたは大王じゃない」
「残念ね。あなたじゃないの」
るるかの言葉に、マシュタンも同意する。
「何を言い出すかと思えば!」
「ってか、アンタ! プリキュアに味方してウソノワール様を攻撃しておきながら、よくここに戻ってこれたし!」
アゲセーヌが怒りで顔を歪める。
「勘違いしないで。私は、あの子達を『利用した』だけ。二人のマコトジュエルを手に入れるために」
「手に入れたのなら、もうここにいる理由はないだろう?」
ニジーが、るるかへと言い返す。
「キュアエクレールとキュアシンシアのマコトジュエルという弱みを握られた君は、今までウソノワール様の命令に嫌々従っていた。それが戻った今、君がここにいる理由はない。……そうだろ? ベイビー」
「あなたが言った事、半分正解だけど、半分間違い。……ね、るるか?」
マシュタンが薄く笑う。
「うん。……それが『3つ目の間違い』」
『パンッ!』
最後のスポットライトが消え、るるかの姿が完全な闇に包まれた。
「確かに、ウソノワール。あなたに最初に近付いて服従したのは、エクレールのマコトジュエルと、シンシア自身を取り戻す為。……でも、私はエクレールを『元に戻そう』としたんじゃない……」
今まで、相棒のマシュタン以外、誰にも伝えていなかった狂気の真実を、るるかが遂に暴露する。
「手に入れて……『砕こう』としていた!」
るるかの言葉に、幹部たちが息を呑む。
るるかは、記憶を失ったくれあを『元に戻そう』なんて、最初から1ミリもしていなかったのだ。
もう二度と、彼女が傷つく運命にある『キュアエクレール』に変身できなくてもいいよう、マコトジュエルを自分の手で完全に砕いて破壊し……くれあには、一生、自分達と過ごした記憶を失った状態で、安全で幸せな「ただの人間」として生きていってもらおうとしていたのだ。
「なん……だと……?」
ウソノワールが、絶句する。
そして、闇の中から紫色の光が爆発的に膨れ上がり、るるかの姿が『キュアアルカナ・シャドウ』へと変身する。
そして、彼女はティアアルカナロッドの切っ先を、明確な殺意を持ってウソノワール達に進言した。
「いい? これから、あなたたちは名探偵プリキュアを……キュアエクレールを倒すの」
あまりの圧倒的な圧に、ゴウエモン達幹部の額から冷や汗が流れる。
「そうしないと……私達に、未来はない!」
氷のような冷たい瞳で、アルカナ・シャドウは宣言した。
***
話が終わり、アジトの奥の自室へと戻るアルカナ・シャドウ。
重い扉を開けて部屋の中に入った瞬間、紫色の光が弾けて変身を強制解除する。
「うっ……!」
そのまま、糸が切れた操り人形のように、るるかは膝から崩れ落ちた。
「るるか! 無茶ばっかりして!」
マシュタンが慌てて飛びつき、るるかの背中を支える。
ウソノワールと戦いで、るるかの体は怪我でボロボロであり、体力的にも精神的にも限界を超えていた。
「大丈夫……。私は……大丈夫だから……っ」
「そうやって、いつも我慢して! ちゃんと手当はするからね!」
「うん……分かってる」
るるかは、ベッドで眠っているこころの元へと向かう。
「こころ……お姉ちゃん、また間に合わなかったよ……。エクレールが復活して……くれあの記憶が、全部戻っちゃった……」
るるかは、こころの手を握りしめ、ポロポロと涙を流す。
「でもね、私は……覚悟を決めたよ」
るるかは、首から下げているペンダントを強く握りしめる。
「私……『シャドウ』の力を、受け入れるよ」
「るるか……本当に、いいの?」
マシュタンが、悲痛な声でるるかに尋ねる。
「うん。決めたの。……世界を救うために……世界を嘘で覆わせないために……。そして、誰よりも強くなる為に……私は、シャドウの力を使いこなして見せる」
こころの頭を愛おしそうに撫でるるるか。
「必ず……私の手で、エクレールのマコトジュエルを砕く」
「るるか……」
完全に修羅の道へと踏み外したるるかの心を、マシュタンは深く心配する。
「ねえ、こころ。お姉ちゃん、貴女を助ける本当の方法を考えたの……。ううん、ずっと私の心の中にはあったけど、怖くてできなかった考え」
「るるか、一体どうするの?」
マシュタンが尋ねる。
るるかの口角が、不気味に釣り上がった。
「私は、『マコトジュエル』を手に入れる」
「どういうこと? 確かに貴女はウソノワールも騙して、偽物のマコトジュエルを渡して時間稼ぎをしていた……。こころちゃんを救うためだって聞いただけで、本当の方法までは聞いてなかったけど……」
「私が手に入れるのは、普通のマコトジュエルじゃないわ。……本来の力を持つ、『ビッグマコトジュエル』よ」
「るるか! それは……それは本来、名探偵である貴女達が『ファントムから守ってきたもの』じゃない!」
マシュタンが驚愕して叫ぶ。
「そうよ。人間たちの心から現れた『真実の思い』が集まり、凝縮した、希望の結晶……巨大なマコトジュエル」
るるかの顔に、狂気じみた笑みが溢れていた。
「以前、所長が言っていたわ。ビッグマコトジュエルをファントムから守っている理由を」
「あの力があれば……ビッグマコトジュエルに蓄えられている膨大な真実の力を利用すれば……『自分の思う通りの真実を作り出すことが出来る』からよ!!」
「…………」
マシュタンは、声が出なかった。
まさか、名探偵だったるるかが、ファントムと同じように世界を作り変えるために、ビッグマコトジュエルを奪うなんて事(タブー)を考えていたなんて、思いもしなかったからだ。
「私は! その力を使って、世界を変えるの! 何事も無かった世界を。また、くれあやマシュタン、シュシュタン達5人で、平和に生きていく世界を! ……こころと、一緒に笑い合って幸せに生きていられる世界を!」
それが、るるかの狂気的な『本当の目的』だった。
るるかの心の奥底は、あの敗北の日……こころの精神が壊れてしまった時から、すでに狂いはじめていたのだ。
「待っててね、こころ。お姉ちゃん、必ず叶えるから。……貴女と、もう一度笑い合って生きていけるのなら、私は……悪魔にだってなって、世界を作り変えてみせる……っ!」
「……そう。るるか、そうなのね」
マシュタンは、静かに目を閉じた。
(もう……アタシじゃ止められない。るるかの心は、歪んできている。……アタシに出来るのは、最後までるるかの決断に寄り添うことだけ)
マシュタンは、るるかの願いがどんなに歪んでいようと、狂っていようと、るるかの隣にいると決めている。
しかし。
(でも、もし奇跡が叶うのなら……お願い。誰か……るるかを救って……っ)
マシュタンは、密かに願う。
誰かが……名探偵プリキュア達が、本当の意味で、るるかの心を救ってくれる事を。
アニメ31話にて、るるかは名探偵に復帰。この小説のるるかは、どの方向に進んでもらいたい?(アンケートは取るけど、自分の文章力でアンケートの結果に結びつけれるかは自信がないので必ずしも、アンケート通りに出来るかは分かりませんが…)
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名探偵として復帰
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ファントム等の敵として行動
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一時的に復帰するが再び絶望し離反する。
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その他(意見、要望は感想等のコメントに)