古代から生きている男の日記   作:色々残念

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本日3回目の更新になります
今回はアルフィア視点の話になりますね
次回で最終話になります


静寂

ジョンと初めて出会ったのは、メーテリアが好きだった廃教会だったが、あの時は体調を崩していたわたし達に薬師でもあると明かしたあいつは、不治の病の症状を聞くと神秘的な光を放つ液体が入った瓶をわたしとメーテリアに薬だと言いながら渡してきた。

 

初対面で名も知らない相手が渡してきた薬であるというのに、わたしとメーテリアは疑いもせずにその薬を飲んでしまったが、それはきっとわたしとメーテリアを見るあいつの目がとても優しかったからだろう。

 

薬を飲んだわたしとメーテリアの体調は改善されていて、呼吸に苦しむこともなくなっており、不治の病が完治していたことに気付いたわたしは、妹とわたしのことを助けてくれたあいつに感謝を伝えた。

 

わたしとメーテリアの病が治ったことに、他人である筈のあいつはとても嬉しそうな笑顔で「良かった」と言っていて、その笑顔を見ているとわたしの胸が何故か暖かくなっていたのは確かだ。

 

その時には気付けていなかったが、あの時からわたしはあいつのことを好きになっていたのだろう。

 

ジョンという名前だけを名乗って立ち去っていったあいつのことを、ヘラにまで頼んで探してもらったが、見付かることなく時は過ぎていく。

 

三大冒険者依頼で挑むことになったベヒーモスの討伐で、遠距離から魔法を放っていたわたしは、ベヒーモスの毒肉を喰らったザルドに何かを飲ませている奇妙な鎧を着用した男を目撃したが、他の面々にも薬瓶らしきものを渡して立ち去っていく男を見逃してしまった。

 

あとで知ったことだがザルドに解毒剤を飲ませていたのもあいつで間違いなかったらしい。

 

リヴァイアサンを倒した後、黒竜を討つ為に竜の谷へと向かったわたし達を止めたのは、薬師としてではない戦士としてのあいつだった。

 

誰もが突破できぬ極炎の壁を一瞬で作り出したあいつは、黒竜を討つ前に越えなければならない壁としてわたし達と戦い、ゼウスとヘラの眷族達を1人残らず打ち倒す。

 

神の恩恵を授かった眷族では地上最強と言われていたゼウスとヘラの眷族でさえも、あいつ1人には敵わない。

 

それから幾度も敗北を繰り返したわたし達は、ダンジョンで己を鍛え上げる日々。

 

幾度も敗北を積み重ねた結果、ゼウスとヘラのファミリアの連合であれば、ようやくあいつに勝利することができるようになる。

 

しかしあいつは、ならば今度は単独で乗り越えてみせろと、新たな試練を与えてきて、わたし達を再び叩き潰してきた。

 

心身ともに鍛え上げる毎日を繰り返していったわたし達は、以前よりも遥かに強くなっていたのは間違いない。

 

黒竜討伐への切り札となりうる魔法を持つ他派閥の眷族を戦争遊戯で、勝利したことでしばらく拝借し、黒竜との戦いに備えていると、竜を封じる風印が弱まっているという情報が明かされて、黒竜討伐の為に竜の谷へと向かうことになる。

 

あいつが連れてきたエピメテウスという男は、神炎の守護者として語られている大英雄エピメテウス本人で間違いないとのことだが、3000年以上生きている存在が居ても、動揺することはないゼウスとヘラの眷族達。

 

ゼウスの眷族達だけは、子どもが憧れの英雄を見るかのような視線をエピメテウスに向けていたが、男というものは年齢を積み重ねようといつでも少年になれるとヘラは言っていたので、あれはそういうものなのだろう。

 

エピメテウス以外にも平原の獣民達の戦士達を連れてきていたあいつは、無駄なことはしないので、戦力となる存在も含まれている筈だ。

 

黒竜と戦える存在だとあいつが判断したのは、女帝、マキシム、ザルド、わたしに、エピメテウスとベートという若造にあいつを加えて僅か7名であったが、その7名に含まれていたわたしは戦力として認められていたようだな。

 

あいつが用意していた大樽の竜を誘う酒で、黒竜以外の竜を逃がさず引き寄せて、黒竜と戦う7名以外が竜の谷の竜を掃討していくとことになった。

 

春姫の魔法により一時的な階位昇華を果たしたわたしは、同じく春姫の魔法でレベルをブーストしたザルドやマキシムに女帝と共に黒竜へと挑みかかる。

 

かつてリヴァイアサンを倒した頃のわたしでは、確実に着いていけなかった凄まじく苛烈な戦闘。

 

盾役としてオリハルコン製の大盾を用いて、黒竜の攻撃を防ぐエピメテウスとあいつが居なければ50は軽く死んでいる戦場。

 

オリハルコン製の籠手と具足を装着したベートという若造が、黒竜へ打撃を叩き込んでいき「我が名はベート!平原の獣民が部族の族長の長子にして!天の炎を授かりし戦士!」と勇ましく吼えていたが、やはりあいつが連れてきていただけはあって、若造であっても足手まといにはなっていなかった。

 

前衛として黒竜と戦う面々を下がらせたあいつとエピメテウスは、円匙のように大きな鏃を持つ矢と投槍を黒竜へと命中させたが、着弾した瞬間に凄まじい獄炎が発生し、黒竜が居た周辺を焦土へと変える。

 

凄まじい絶叫のような咆哮を上げた黒竜へと追加で矢と投槍が無くなるまで攻撃を続けたエピメテウスとあいつは、黒竜に対する殺意が誰よりも高い。

 

鱗が熱で溶解した黒竜へと女帝の斧槍とマキシムの剣が叩き込まれ、魔法による豪炎を纏うザルドの大剣とわたしの魔法がトドメとなり、討伐された黒竜という怪物。

 

これで三大冒険者依頼を達成することが完了したが、三大冒険者依頼を終わらせるまでは秘めておこうと考えていたわたしの想いにも向き合わなくてはいけない日が来た。

 

あいつの友人だというエピメテウスからは「ジョンに告白するなら回りくどいことはせずに、真正面から告白するといい」と助言はされたが、それは参考にしておくとしよう。

 

そのエピメテウスにあいつへの伝言を頼み、当日の朝、待ち合わせ場所の廃教会で待つわたしの前に現れたあいつ。

 

何を言えばいいのか迷うわたしの背を押したメーテリアに、決心したわたしは、あいつに愛の告白をした。

 

「わたしはお前を愛している。共に生きてほしい」

 

そう言ったわたしに返事をすることなく去ろうとしたあいつを追いかけて、春姫の魔法でレベルブーストまでして捕まえたあいつは「年齢が離れすぎているから、流石にこんなおじいさんは諦めてもらおうかと思ったんだが、捕まえられてしまったなら仕方ないな」とわたしを抱き締めてくれる。

 

「これから末永く、よろしく頼むよ」

 

そう言って笑ったあいつの、ジョンの顔は、初めて出会った頃と変わらず優しかった。




レベルブーストができる春姫が居なければ黒竜には勝てず、アルフィアはジョンを捕まえることができませんでした
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