転生したのに念能力が使えない男 作:ゴリラ廻戦
第二話 二次試験&ネテロ
「二次試験後半のメニューは、スシよ!」
だだっ広い会場の中央、置かれたソファに脚を組んで腰掛けている美女。名をメンチという。この二次試験の試験官であり、こう見えても一ツ星の美食ハンター。露出が半端なく髪型もおかしいが、エロい人!違う間違えた、えらい人だ!ひゃっほい!
メンチが出した課題はスシというジャポンの民族料理のことである。おっぱい。この世界でジャポン料理はかなりマイナーなのでスシを知っているやつは少ない。元日本人として誠に遺憾です。
「スシはスシでもニギリズシしか認めないわよ!それじゃ試験スタート!」
パン、と乾いた手拍子が会場に響き渡る。その音を合図に、受験者たちが一斉に散っていく。
実は俺はメンチのことが原作で上位に入るくらい好きだ。おっぱい。この試験で連絡先を交換したい!隣にいる豚野郎のことなんて知らん!
――おい、スシってなんだよ!?
――知らねぇよ!俺に聞くなよ!
周囲では、汗だくのマッチョや強面の男たちが額を寄せ合い、聞いたこともない単語に頭を抱えている。その光景を横目に、俺は静かに笑いを噛み殺した。
ふふふ、くくく、あーはっはっ!周りの雑魚どもが焦っておるわ!俺はこの二次試験のためにジャポンに行き、スシ職人に弟子入りをしたのだ。長く厳しい修行だった……用事があったから日帰りだけどな。
試験の合否なんてどうでも良い!俺はうまいスシをメンチに食わせたい!そしたら――「スシ美味しい!ガイさん好き!❤︎」――になるに違いない!これで勝つる! ※IQ53万
"隠し味は愛だよ❤︎大作戦"開始!
――――――
ふんふんふーん。必要なのはあれとこれとそれだな。あとデザートもあると喜んでくれるかもしれないな……。おっゴン達じゃないか!おっす!
あらかじめ考えておいたレシピを頭の中で組み立て直しながら食材を集めていた最中、木の陰からゴンたちがひょっこりと顔を出した。スシとはなんぞ?と聞かれたので答えてやる。
「スシとは――」
言葉だけではわかりづらいだろう。地面にスシの絵を描いてあげた。枝で描いたのに無駄にクオリティが高くて驚かれた。うれしい。
「ありがとうガイ!さっそく食材を集めてくるよ!」
「なるほどこれがスシか。教えてくれて感謝する」
「一次試験の時も助けてくれてありがとうな!この礼は必ずするぜ!」
「………」
キルアはじーっと観察するように距離をとっている。やっぱり警戒しているな。そんなに俺が怖いのだろうか?猫みたいでかわいいね❤︎
気を取り直して探しますか。すんすんと匂いを頼りに食材を見つける。おっ、この鼻にツンとくる匂いは……わさびだ!よくこんなところに生えてるな。はっはーん、試験のために植えたな?わさび以外にもスシに使う食材が森の色んな場所に配置されてるって感じか。こりゃ思ったより豪華な飯が作れそうだな。
両手いっぱいに抱えた食材を見て満足げに頷く。よし!ぼちぼち食材も集め終わったし、キッチンで料理しますか。俺の料理の腕を披露する時がきたぜ。メンチに提供するのは全部で4品。会場に用意された簡易キッチンに向かい、エプロンをしっかり着て手を洗って料理開始!
――――――
料理を始めて1時間弱…ついに完成したぜ、俺のフルコースが!
一品目、だし巻き卵の握り。
出汁をたっぷり含ませ、ふわふわに焼き上げただし巻き卵をシャリに乗せた。断面からじわりと出汁が滲み出る、その黄金色の輝きだけで食欲をそそる。甘みのある卵と酢飯の相性は抜群だ。
二品目、炙り豚ロースの握り。
前半の試験で狩った豚のロースを薄切りにして加熱。表面に軽く焦げ目をつけ、余分な脂を丁寧に拭き取り、甘辛い醤油ダレに漬け込んでから握った。香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。
三品目、鮎の酢締め握り。
川魚特有の臭みを塩でしっかり抜き、酢で締めて身を引き締める。透き通るような身の色合いが美しい。最後に薬味のワサビを少量、隠すように添えた。
四品目、抹茶プリン。
……寿司じゃない?知らんな。食後のデザートだ。メンチさん、甘いものも好きかもしれないだろ?こういう気遣いができる男こそモテるんだよ。
完璧だ……!この二次試験で俺より料理に力を入れた受験者はおるまい。ふふふ、この試験は貰ったな(メンチの連絡先)。喜ぶ姿が想像できる。鮮度が落ちる前に持って行こう!
皿を持ち上げ、慎重な足取りでメンチの元へ向かう。
メンチはソファに座りながら、他の受験者のスシを食べている。列に並びいまかいまかと待っていると、やっと俺の番がきた。
さぁおわがりよ!
「お待たせしました。スシ三種盛りとデザートです。どうぞお召し上がり下さい」
皿を差し出すと、メンチの目つきがわずかに変わった。値踏みするような視線が皿の上を這う。
「これは……! へぇ、やるじゃない。しっかりとスシ下駄を使っているわね。見た目も美しい」
「ありがとうございます。右から順番に食べるとより美味しく感じられると思います」
ふふふ、やはり気づくか。寿司下駄とは、寿司を乗せる木製の台のことだ。余分な水分を吸収して寿司や刺身のおいしさを引き立てる効果がある。ちなみに一次試験の時に走りながら作った。
「最初はだし巻き卵のスシね、いただきます。 ――うん…美味しいわ。卵のふんわりとした食感と優しい甘さが口に広がる。ネタとシャリの塩梅も完璧ね」
よーしよしよし、掴みは完璧だ!次にメンチはガッツリ系の炙り豚ロース握りを口に運んだ。咀嚼するたびに、その表情が徐々に緩んでいくのがわかる。
「――美味しい。噛むたびに肉汁がじわりと染み出し、力強い旨味が口いっぱいに広がるわ。脂もしつこすぎなくて甘辛いタレとマッチしている」
おーけー!肉寿司は邪道とか言われたらどうしようと思ったけど高評価だ。次はさっぱりとした鮎の酢締め握りを口に運んだ。彼女の瞼が一瞬閉じられ、味わうようにゆっくりと咀嚼する。
「――完璧ね。川魚なのに嫌な臭みが全然なくそれどころか、鮎の香りがちゃんと残っている。酢の酸味も強すぎないし、ワサビの辛味が後からほんの少し追いかけてくる……」
よっしゃー!!!最後の締めをおあがりよ!!
「最後にこちらの抹茶プリンをお召し上がり下さい。試験とは関係ありませんが、スシばかり食べてると甘いものが欲しくなると思いまして」
抹茶プリンを食べたことがないのか、甘いものが好きではないのかメンチは少し怪訝そうな顔をしながら、スプーンでプリンをすくう。
そして――口に運んだ。
「――!何これ、すごく濃厚。でも甘すぎず、抹茶の苦味がちゃんと残っていて、スシを食べた後でも重く感じない……とっても美味しいわ!」
その表情は、これまでの試験官然とした厳しい顔つきから一転、年相応の女性らしい、素直な笑顔に変わっていた。
…………。
よっしゃあああ!!!メンチかわいいいい!!!笑顔が素敵すぎんだろ!!!おそまぁーつ!!!
「ご馳走様でした。401番、あんた名前は?」
「ガイ=アウスナーメです」
「ガイ、二次試験合格よ。あと、はいこれ」
小さなメモ帳のようなものを差し出され、そこには数字の羅列。こ、こここ、これは――連絡先ぇぇぇぇ!!!
「いいんですか?試験官が……?」
「将来有望そうな子には、唾をかけてもいいのよ。試験官になる数少ないメリットね」
メンチは腕を組み、俺を上から下まで、まるで品定めするようにゆっくりと眺める。もっと見て
「最初はヒソカを倒したって聞いて、警戒してたのよ。でも――」
メンチはテーブルに並んでいる板を見る。
「料理の腕は本物みたいね。あれだけの戦闘力があって、こんな料理まで作れるなんて興味が湧いたわ、それに顔もいいし」
「将来、どこまで伸びるか分からないけど、繋がっておいて損はないでしょ」
「なるほど……」
メンチは俺に惚れて――
「勘違いしないでね。投資よ」
「はい」
告る前に振られた。
――――――
現在、俺は飛行船の中を散策していた。三次試験の会場に向かっているらしい。
ちなみに、二次試験だが原作通りの流れになった。俺以外に合格者は無しで、それに待ったをかけたネテロ会長。鶴の一声で試験が変更され、深い谷にあるクモワシの卵を獲ってきたら合格。そして、無事に終了し現在に至るというわけだ。
よし!さっそくメンチさんにメールを送っちゃおう。えーっと、『二次試験ありがとうございました。もし私がハンター試験に合格したら、一緒にお食事でもいかがですか?私のスペシャリテをご馳走したいです』こんな感じでいいか、送信っと。あー……なんかそわそわしてきた。他のことでも考えとこー。
いやー…しっかしネテロ会長は強いなー!!!あの澱みが一切ない美しく静かなオーラの流れ。今まで見てきた念能力者でも間違いなくNo1だな。
試しに、殴るイメージを殺気に乗せてぶつけてみたら、カウンターで正拳突きのイメージで返されてしまった。ふふふ、恐ろしく速い感謝の正拳突き。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。あ、その後はちゃっと頭を下げて謝罪したよ?
膂力だったら間違いなく俺が強い自信があるけど……拳の速度では負けたな。感謝ってなんだよ、ドーピングか?
ネテロ会長ぉ。あの時は、殺気だけで我慢しましたけど、俺は未来を知ってるんですよ?数時間後にこの飛行船で、会長はゴンとキルアとボールで遊びますよね?俺も行きますから!!!ふふふ、あはは、あひゃひゃひゃ!!! ごほっ…
変なテンションになってしまった。メンチに送ったメールがいつ返信されるのか気になりすぎて、その熱量をネテロ会長にむけていた。ふー…落ち着けー。でも、自分自身がどの程度の強さなのかを作中でトップの実力者で測りたいのは確かな本音だ。どれぐらい戦えるのか、それ次第で……
――ピロリン
返信きたぁぁぁ!!!どれどれ、えーっと――
『いいわよ。合格できたらまたメールをちょうだい。空いている日を教えるわ』
おおおおお!!言質取ったり!!はい約束!!何がネテロ会長だ!!ぶちのめしてやんよ!!
テンション上がってきたぁ!!!
――――――
「ネテロ会長、お手柔らかによろしくお願いいたします」
「ふぉっ、ふぉっ、そう固くならんでもよい。ただお主は遊びにしては強すぎるからの。使っていいのは片手だけ。……あと物を壊すのも禁止じゃ」
はい。というわけで、そういうことです。あと「だけ」って別に念を押さなくても、俺は念を使えないので大丈夫ですよ。念だけに、なんちゃって!まぁ…間接的に使えないわけでもないけど。
ゴンとキルアは会長が持っているボールを奪えたら、ハンターライセンスをゲットみたいなゲームをしていた。もちろん俺にはそんなもんはない。
とりあえず――
先手必勝!右ストレート!ふんっ!!!
――――――
ネテロ視点
確かゴンと言ったか。まさか右腕を使うことになるとは思わなかったわい。流石はジンの息子じゃな、将来が楽しみだのう…。さて、ぼちぼち戻ろうか。
――コンコン
運動部屋の扉がノックされた。一体誰じゃ?オーラも感じんな――ということは401番の男か?
「開けてよいぞ」
「――失礼します」
やはり、ガイ=アウスナーメだったか。ここに来た目的はワシじゃろうな。いやはやモテる男は辛いの〜。……てか、こやついい筋肉してるわい。ビスケが見たら鼻血を出しそうじゃ。
「なんの用かの?」
「謝罪をしに来ました。あの時の非礼をお詫び申し上げます」
あー……あれか。ワシがメンチの二次試験の結果に待ったをかけた時に、突然殺気を当ててきたことかの?いやはや、あんな鮮明に殴られかけたイメージを見たのは初めてじゃわい。うまく返せたといえ冷や汗をかいたのう。
「かまわん、かまわん!しかし、その若さでよくそこまで肉体を練り上げたの。オーラは見えんからわからんが、おぬしの闘気はびんびん感じるぞ」
「ネテロ会長にそこまで言っていただき、身に余る光栄です。これからも精進いたします」
ガイはそう言って無表情の顔で頭を下げた。
………。
れ、礼儀正しい〜!少しお茶目なところはあるが、ちゃんと謝罪もしてるし、言葉遣いと所作も丁寧で綺麗じゃ。……怖っ、その肉体で?あの殺気で?……チグハグすぎて怖いのう。礼儀知らずの戦闘狂の方がまだしっくりくるわい――
つかなんでずっと無表情?ワシが褒めてるんだから、少しくらい笑顔になったらどうなんじゃ!?
「う、うむ。用はそれだけかの?それだけならワシはそろそろ……」
「お待ち下さい。謝罪した手前、大変恐縮なのですがお願いがございます」
なんじゃ?なにを要求されるんじゃ?ワシこやつのこと苦手かも…
「私と手合わせをして欲しいのです。もちろん本気でとは言いません」
なんじゃ、そんなことか。やっぱりこやつも漢じゃの。だったら話が早いわい。ワシもガイに興味があったんじゃ。
「ほ〜!ちなみになんで手合わせをしたいんじゃ?」
「今の自分がどこまでやれるのか興味があるのです」
なるほど、よくある理由じゃ。ワシも若い頃は道場破りをしたし、武に生きるなら誰もが通る道だの。
ワシは手合わせを了解し、お互い離れたところで向き合った。
「ネテロ会長、お手柔らかによろしくお願いいたします」
「ふぉっ、ふぉっ、そう固くならんでもよい。ただお主は遊びにしては強すぎるからの。使っていいのは片手だけ。……あと物を壊すのも禁止じゃ」
これぐらいのルールが無いと飛行船を守れないじゃろうな。
――ピン
ワシは親指でコインを上に弾いた。床に落ちたら開始、5分後に終了。コインが回転しながら天井近くまで上がる。
コインが落ちるまで残り5秒――
「………」
「………」
こやつと向き合ったら感じる。なんて真っ直ぐで純粋な闘気だ、一切の邪気が無い。それどころか背後から金剛力士像が見える……!!
くくく、ワシの腕が震えている。武者震いなんて何年振りだろう。わしも歳をとって丸くなったと思うたが、まだまだイケるな!
コインが落ちるまで残り2秒――
「………」
「………」
ここが飛行船なのが悔やまれるがしょうがないか。だがもしもお互いに全力を出せる機会があったら、その時は……
コインが落ちるまで残り0.5秒――
「先手は譲ってやるよ
コインが落ちるまで残り0秒―「ふんっ!!!」
――――――
「ふんっ!!!」
「遅いわッ!!!」
渾身の右ストレートがネテロ会長の顔面にクリーンヒットすると思いきや、正拳突きを土手っ腹に喰らってしまった。ぐふっ…!
いや速すぎんだろ!なんで後から打った拳の方が当たるんだよ。正面からじゃ対応されんなら、下から突き上げるように拳を打つ!つまりアッパーだ!
「シャア!!!」
「ちっ!!!」
避けられたが、僅かに重心は傾いたな。その隙を逃す俺では無い!そのまま手刀を喰らいなァ!!
「ッ!危ねッ!」
首を狙った手刀が掴まれて止められた。流石に狙いがわかりやす過ぎたか?だが腕力なら俺の方が優っている。このまま腕ごと首をへし折ってやるよォ!!
「なんて腕力してやがる!?だが甘めぇんだよ!」
「!?」
うおっ!?投げられて壁に激突した。合気ってやつか?すげー魔法みたいだ。距離を離されてしまった。どうやって詰めようか……そうだ獣になるか!
床に四つん這いになって加速ッ!!脚力と腕力で2倍の速さだ!床、壁、天井、どこでも素早く動ける。しかも体が低いから拳を当てづらいだろう。
ほれほれほれ、拳が当たってねぇぞ?ネテロ会長の攻撃を避けつつ、俺は脚を狙い続ける。
「おめぇはゴキブリかよ!」
誰がゴッキーだ。口の悪い子には拳骨をプレゼント!!
「それは残像……だッ!!」
裏拳が俺の顔面にクリーンヒット。ダニィ!?拳が体をすり抜けた、そういう技があんのか。明確な隙が出来た俺に攻撃を仕掛けてくる。
まずい! 正拳突きが――
「はッァ!!!」
「ッ!?」
顎ッか!?クソッ…脳が揺れてる……!揺れる視界の中でネテロ会長は2撃目を構えた。
「そらァ!!!」
「ガッ!!」
鳩尾ッ!?容赦ねぇ〜〜!!お手柔らかにって言ったじゃーん!痛ェ〜!久しぶりに痛みを感じたぜ。また壁にぶっ飛ばされたし…。
「はぁ…はぁ…。なんて体の硬さしてんだ。鋼鉄をぶん殴ってるかと思ったぜ。拳が砕けそうだ」
やばい。脳が揺れてまともに立てない。どしよ?そうだ、逆に頭ぶっ叩いて揺れを戻せばいいのか。
――パァン!
完ァ〜治!スゲーッ爽やかな気分だぜ。新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のようによォ〜〜〜ッ!
「くくくっまじかよ。無茶苦茶だな。本当に人間か?」
「そろそろ時間ですね。お互いに最後の一撃で勝負を決めませんか?」
そう提案すると、快くノッてくれた。やっぱり最後の一撃ってカッコいいよね。いくつ歳をとっても男心がくすぐられる。じゃ、ヤッちゃいますか!!!
クラウチングスタートの構えをとる。どこに走るのかって?もちろんネテロ会長さ!
――すぅー はぁー すぅー
ピタッと呼吸を止めて、全身に力を込める。そうすると俺の体の筋肉がビキビキと隆起していく。
このまま突っ込んでも、また正拳突きの餌食になるだろう。でも、そんなの関係ねェ!真正面からぶん殴る! 3 2 1 ファイヤ!!!
「ふんッッッ!!!」
――ゴォッ!!!
一気に地面を蹴り抜く。視界が後ろに吹き飛び世界がゆっくりになった。
ネテロ会長は目を閉じ両手を合わせて祈っている。違う、感謝をしている。
「ガイ……お前に感謝を……」
俺が届く前に、その右手が静かに引かれていく。
あれは――
感謝の正拳突き。
「美しい……」
ヤバい。と思った瞬間――
――メキッ!!
拳が俺の腹に突き刺さった。体がくの字に折れる。だが、止まらんぞ!前進せよ!!
全身の力を右腕へ。真っ直ぐに単純にシンプルに拳を突き出す!てめェの顔面になァ!!!
「オラァッッッ!!!!」
――ドゴォッ!!
渾身の右ストレートが、頬を捉えた。よっしゃ!と思いきや、それと同時に俺の体が吹き飛び、壁に叩きつけられぶっ倒れた。痛ェ!ちくしょう!一体どうなった?
「顔面を殴られるなんて何年ぶりだぁ…?」
顔を上げると、口の端から血を流し頬を押さえながらもネテロ会長は立っていた。つ、強ぇ〜!まじかよ。俺の渾身のパンチだぜ?
「危なかったぜ。もう少し踏ん張られてたらオレの頭が吹き飛んでいた」
「参りました。私もまだまだ未熟ですね」
「……? ま、まぁ次はお互いに本気でヤろうぜ?」
本気で戦うってなれば拳は使わないけどね。ていうか口調変わってね?さっきまでジジィ言葉だったのに、おもろ。
あー、あー、部屋がボロボロになったな。あと、めちゃくちゃ飛行船が揺れてたけど大丈夫かな?
……まぁいいか!