転生したのに念能力が使えない男 作:ゴリラ廻戦
オリジナル設定が出てきます。
第四話 ヒソカ
なんか地面に埋まってる人がいるんだけど。
朝起きて散歩してたら、地面の下から人間の臭いがするんだが。オーラも感じないし、死んで埋葬されたのか?地面に耳を傾けるといびきと心音が聞こえてきた。い、生きてる。どうしよう掘り起こした方がいいのか……?それとも睡眠の邪魔をしない方がいいのか……?
――ボコッ ヒュン!
うーん。と頭を悩ませていると、土が盛り上がって人が出てきた、黒髪ロングの死んだ魚の目の男だ。あれ?イルミじゃん……おっと。針を飛ばしてきた危ね。ひょい、ひょい、ひょいと。おぉ、当たったら刺さりそうないい針だ。かなりのオーラが込められてる。
「待ってくれないか?あなたの睡眠を妨害するつもりはなかった」
「!?………もしかしてオレが君のターゲットなの?だとしたら素直に渡すけど」
「いや、自分の分はもう集まっている。散歩していたら偶然通っただけで敵意はない。俺はガイ=アウスナーメだ。よろしく頼む」
「オレはイルミ。針を投げてごめん」
こっちも申し訳なかった。嫌な起こされ方をしたら顔面に針を投げたくなる気持ちはよくわかる。次からは地面の下で寝ている人には注意しよう。どうやって注意したらいいんだ?
「そうだイルミのお爺様によろしく伝えておいてくれるか?昔、お世話になってな」
「………わかった。爺さんに伝えておくよ。……オレがゾルディックだと気づいてたんだ」
それじゃ。と別れの挨拶をして立ち去る。昔を思い出すな……ゼノさんには本当にお世話になった。あんまり思い出したくない。
――――――
「あれが『鬼人』か……。はぁ、憂鬱だなぁ……。仕事だから仕方ないけど、これで死んだら恨むよヒソカ」
――――――
おっ! ゴンとヒソカを発見した。ゴンは虎視眈々とヒソカの番号札を狙って隠れ、野生動物並みに気配を上手く消している。二流念能力者の絶と同じくらいじゃないか?うーむ、見事なものだ。
それに対してヒソカは何かを待っているのか、じっと動かないで遠くを見つめている。何を黄昏てんだ、お前には全く似合わな――
……ん?気のせいか?オーラの匂いが少し変だ。いつもの甘ったるい匂いの中に、エグみがある。聴こえる心臓の音も若干速いな。ヒソカが纏っている空気感も肌が少しピリつく。
何か嫌な予感がすると五感が訴えてくる。こういう勘は外したことが無いんだよな…。はぁ、仕方ない。原作の名シーンを堪能しようと思ってたけど、切り替えて監視に徹するか。
ヒソカの異変にゴンが気づいているわけないよなぁ。危ないから距離を取れと警告しても、あの頑固頭が受け入れてくれるとは思えないし。ゴンは一旦置いといて、集中しますか。
数十時間、目を離さずに監視していると動きがあった。ポッケに入れていた携帯を取り出してイジっている。暇つぶしにゲームでもしているのか?そんなわけないか。あ、ニヤリと笑った。きも。と思ったらヒソカは口を開いた。
「――何処かに隠れてるんだろ?出てきなよ♦︎」
ん、誰に言っている?ゴンか?いや、まさか俺ではないだろう、絶対にバレてはいない自信がある。
「君に言っているんだよ、ガイ。ボクを監視してるんだろ?♠︎」
え!? いや、これは揺さぶりだな。俺がいる茂みに意識が向いていない。バレてない、バレてない。仮にバレてても出て行くわけない。逃げる。
「はぁ…強情だな。この画面が見えるかい?❤︎」
そう言って、携帯の画面を高く掲げた。なんだ?とじっーと見つめると、映っていたのは――
「メンチ……?」
画面に映っていたのはメンチだった。顔に目隠し、口には布を噛まされている。腕は後ろで縛られ床に横たわっている様子だ。……ちょっと待て。
「この試験官がどうなってもいいのかい?君はずいぶんと彼女にご熱心な様子だったね♣︎」
………。
「君が一生懸命に料理をしている姿は素敵だったよ。スシが美味しいと言われたとき、君は無表情だったけどすごく嬉しそうだったね♦︎」
………。
「そうそう、最後に連絡先も教えて貰ってたね。今、携帯を見てみなよ。愛しの彼女からの熱いメッセージが届いているんじゃないかな?♠︎」
………。
『 助 け て 』
………。
「勘違いするなよ、彼女には興味がない。だって弱そうだし、全然そそられないよ。ボクの目的は君さ、ガイ=アウスナーメ❤︎」
………。
「簡単に言えば、人質ってこと。ボクと戦わないと彼女がどうなっても知らないよ?♦︎」
………。
「三次試験の時は邪魔されたからね。あの後、ボクがどれほど辛かったのか知らないだろ?♠︎」
………。
「もうね、我慢出来ないんだよ。目の前に100点満点のご馳走があるのにおあずけなんて地獄だ。だからボクと――」
………。
「思う存分、殺し合おうじゃないか!!!❤︎」
………。
「………。そっか、居ないんだ。てっきり監視してるかと思ったけど勘違いだったか。ならあの女はもういらな――「死ね」
――メキッ!!!
「カハッ!?❤︎」
渾身のドロップキックを背中に喰らせる。くそ、
ヒソカが吹き飛んだ隙を逃さず、眉間にナイフを投擲した。
「ッ!ふふっプレゼントをありが、とッ♣︎」
掠ったが避けられ、お返しと言わんばかりに大量のトランプを投げてきた。それを横に飛んで避けた瞬間、後ろの岩が砕けた音がする。かなりのオーラが込められている、無理にでも避けた方が得策だな。
「その体に巻き付けている念獣は、君の能力かな♦︎」
「さぁ……なッ!」
一気に距離を詰め近接戦へ。遠距離の撃ち合いは不利だと判断したからだ。殴り、蹴り、殴り、また、殴る。
「オラオラオラオラッ!!」
「いい、すごくいいよ。その冷たい殺意、その熱い肉体の躍動!堪らないよッ!❤︎」
殴り合いでは俺が優勢だが、負けじと反撃してくる。膂力ではこちらが優っているが、あっちは上手い。そして、体の急所となる部分に、
衝撃が吸収されるなら、斬撃を試してみよう。俺は武器庫念獣の口から、ベンズナイフを取り出して斬りかかった。それにヒソカが驚き咄嗟に後ろに跳んだが、踏み込みが遅い――
「うぐッ!?♠︎」
右脇腹を刺した。そのまま胴体を横に切り裂こうとしたが、トランプで首を斬られかけたので引く。チャンスを逃してしまい、毒が仕込んであるベンズナイフを買うべきだったと後悔したが仕方ない。
「こっちだよ。おいで❤︎」
再び距離を詰めようと思ったが、踵を返してこちらに背を向けた。そして、木々の間を飛ぶように移動し始めた。
木々の間からトランプが大量に飛んできたが、俺も銃を2丁取り出し応戦する。お互いに撃ち合っていると、地面を這うように姿勢を低く接近してきた。俺が蹴る方が速――「隙あり❤︎」
――ザシュ!!
「!?」
俺の右足が斬られて血が吹き出す。ヒソカを蹴ろうと思ったが地面から足が離れなかった。下をみると
俺の脚力でも動かん、ガムの粘着性を強化したのか…!まずいな、ヒソカが攻撃を仕掛けてくる。しょうがないアレを使うか……。
武器庫念獣の口から、A級念具『
――パァン!!
「ぐっ!?♠︎」
念を宿した道具――念具。それは念能力のような特殊な効果をもった道具の総称である。その効果の強さと希少さで等級に分けられ、一番上からA〜G級までがある。
『
随分使ってきたから残りが少ない、全て焼き切れる前に殺す。
「……なんだいそれは?不思議な感覚がしたよ♦︎」
「素直に答えるわけないだろ。俺は
「くくくっ随分と嫌われたもんだね。
お互いに軽口を叩きながらも止血をする。俺は脚に紐を巻いて、ヒソカは腕に
「メンチはどこにいる?島にいるのか?」
「ボクの体のどこかにメモがあるから探してみなよ。できるものならね❤︎」
「殺して奪えってことか。それは、わかりやすくて結構だッ!」
「それには触れない方が良さそうだ♠︎」
予測通り警戒して距離をとった。近距離戦は不利だと判断したようだ。こちらの有利な土俵に上げたいが、こうも徹底的に避けられると難しい。
だが、これでいい。いや、これがいい。ヒソカ、気づいているか?誘導されていることに。この森は俺の狩場だ――
――ドカァン!!
「!!?❤︎」
ヒソカの左足が爆発で吹き飛んだ。オーラでギリギリ防いだが、肉が爆散し骨が露出している。地雷を踏んだのだ。
ワイヤー式爆弾、地雷、まきびし、鉄線、トラバサミ。ヒソカが最初ペラペラ喋っている時に、あらゆる罠を設置しておいた。
「ここが、お前の墓場だ」
スモークグレネードを大量に投げると、森が白い煙に包まれた。ヒソカが俺を見失う。
………。
………。
………。
「初めて地雷を踏んだよ。こういう罠が沢山あるのかい?♦︎」
………。
………。
………。
「つれないなぁ、もっと会話を楽しもうよ?♠︎」
………。
………。
………。
「……煙が晴れた。なぜ何も…?まさか、狙いは
――ザシュ!!!
「!!!?❤︎」
ナイフでヒソカの首元を刺した。
武器庫念獣と
――ザシュ! ザシュ! ザシュ!
首元に刺さったナイフを、そのまま降ろし胴体を上から切り裂く。右足を連続で刺して、最後に頭に刺して、これで終わり。ヒソカは血の海に沈んだ。
「少し……勘が戻ったかな?」
――――――
「メンチさん、メンチさん。大丈夫ですか?」
「……こ、ここは?あたしは、どうして…?」
「はぁ、あなたが無事で本当によかった……」
地面に倒れていたメンチを抱き起こしながら、怪我が無いか確認する。
あの後、無事にメンチを発見できた。島の北東の洞窟にいた。ヒソカのメモは血で読みづらかったが、嘘は書いてなかったのでよかった。
メンチの体に傷はないようだが、首の後ろに誰かのオーラの残穢が微かに残っている。おそらくそのオーラの持ち主が、誘拐を実行した犯人なのだろう。本当に微かにしか残っていないので、見てもわからない、匂いを嗅ごう。すんすん。
「ちょっと顔が近いって……何で首を嗅いでくるのよ!や、やめなさいっ!!」
ビンタされた痛い。このオーラの匂いはイルミだった。やっぱりあのクソロン毛だったか。ヒソカの友達はこの試験に一人しかいないし、プロハンターを誘拐するなんて普通の念能力者じゃ不可能だ。
「自分がなんで、ここにいるのか覚えていますか?」
「………覚えてないわ。説明してちょうだい?」
かくかくしかじか。まるまるうまうま。な感じで説明をした。説明が終わると自分が誘拐されたことにオーラが荒ぶった様子だったが、今は抑えることにしたようだ。
「助けてくれてありがとう。……ていうか、あんたボロボロじゃない!早く手当をしないと――」
「いえ、試験官が受験者に手を貸すのはルール違反でしょう。見た目ほど傷は深刻ではないので、お気になさらず」
嘘です。すごく痛い。特に足が。骨まで斬られている。
メンチは船まで歩いていこうと体を起こそうとしたが、上手く動かせていない。おそらくイルミの針で洗脳された影響なのだろう。
「船まで送っていきますよ。弱った女性を放っては置けない。必ずメンチさんをお守りします」
「そ、そう……。ありがと……」
メンチをお姫様抱っこ、お姫様抱っこで送ってあげた。ぐふふ。
――――――
今日は本当に疲れたな……。
太陽が地平線へ沈んでいくのを眺めながら、今後のことを考える。
ヒソカをヤッてしまったなぁ……。マズイよなぁ……。ゴンが強くならないかもしれないし、
……まぁ、いいか。
右足はクソ痛いし、全身ボロボロだし、今日は散々な目に遭ったけど――
メンチさんは無事だった。
それに――
お姫様抱っこ、最高だったなぁ……。ふへへ。
……まぁ、今日は良い日だったってことで。