禪院の式神姫 作:いかいしんしょうまこーら
木刀の切っ先が土を擦らなくなった頃、術式について教える者が別についた。
その老人は、十種影法術を使えるわけではなかった。禪院家に残された記録を読み、過去の術師ができたことをウチに伝えるだけだった。
影へ物を入れられるらしい、と教わった翌日、庭へ筵が敷かれた。木札、短い棒、丸い石。その端には、両手で抱えるほどの鉄の塊が置かれている。
母さまが死んだ次の日に木刀を返してきた男は、筵の横に立っていた。術式を教えるためではない。ウチが無茶をしたとき、止めるためだ。
「まずは木札からです。足もとの影へ沈めるつもりで」
老人が言った。
木札を影へ押し当てる。硬い地面に重なっているはずの黒が、指先を拒まなかった。水より重く、泥よりなめらかなものへ手を入れたように、木札がゆっくり呑まれていく。
手を離すと、影は元の薄さへ戻った。
「入ったん?」
「出してみてください」
もう一度、影へ手を差し込む。何も見えないのに、さっきの木札だけはどこにあるか分かった。端をつまんで引けば、濡れても汚れてもいない木札が出てくる。
短い棒も入った。丸い石を沈めたとき、肩へ少しだけ重みが増えた。
石を出す。重みが消えた。
「今の、なんや?」
「収納した物の重さです。影へ隠せても、なくなるわけではありません」
「ウチにそのまんま掛かるんか……」
「左様にございます」
老人はそこで稽古を終わらせようとした。ウチは筵の端にある鉄の塊を指した。
「あれも入るん?」
「いずれは。今の朔弥様には重すぎます」
「持ち上げられへんでも、影には沈められるかもしれん」
「沈めた後は、その重さがすべて朔弥様へかかりますゆえ」
「石より重いだけやろ」
「比べものになりません」
「入れてみんと分からへんやん」
返事を待たず、鉄の塊へ両手を触れた。表面は冷たく、持ち上げようとしてもびくともしない。その下へ影を広げると、鉄が少しずつ沈み始めた。
半分を越えたところで、肩を上から掴まれた。
違う。肩だけではなかった。首も背中も腰も、急に重くなる。膝が折れ、筵へ手をついた。鉄の塊は残りも一息に呑まれ、影から消えた。
「出してください! 今すぐに!」
男の声が頭の上から落ちてくる。片手を影へ入れようとしても、腕が上がらない。
「朔弥様!」
「分かっ、てる……!」
歯を食いしばって肘を伸ばした。手のひらが影へ触れた途端、鉄の角が地面から突き出る。押し返されたように全体が飛び出し、筵を巻き込みながら土の上へ転がった。
身体が軽くなる。息を吸うと、胸の奥まで一度に空気が入って咳き込んだ。
老人が、土の上に転がった鉄の塊を見た。
「重すぎると、申し上げたはずです」
「でも、入ったやろ?」
膝についた土を払い、鉄の塊を見る。外にあるときは持ち上げることもできない。影へ入れれば、立てなくても身体全体で重さを受けられた。
「これ、もっと小さいのある?」
男はすぐには答えなかった。
「何に使うおつもりですか」
「立てる重さから始める」
木刀を振り、腕が動かなくなるまで続ければ、次は少し長く振れるようになる。重いまま立ち、歩き、木刀を振れるようになれば、影から出したときには今より軽く動ける。
術式の稽古も同じだった。玉犬を長く出した日は、腹の底が空になったように力が抜ける。それでも毎日繰り返せば、次は少し長く保つ。
「重いまま玉犬も出せたら、両方いっぺんに鍛えられるやろ」
男は鉄の塊とウチの膝を交互に見た。
「当主へ報告します」
「好きにしたらええ。小さいのも用意して」
その日の夕方、薄い鉄板が三枚届いた。
◆
一枚目は、すぐに身体へ馴染んだ。
二枚目を入れると、廊下の角を曲がるたびに身体が外へ振られた。食事の箸がいつもより重く、布団へ入っても肩が畳へ押しつけられる。朝まで影に残すことは禁止されたので、人が寝静まる前に板を出した。
三枚目には、しばらく手をつけなかった。
男は、木刀を振るときに腰が浮かなくなり、玉犬を二頭とも出したまま庭を走れるようになれば、次を入れてよいと言った。
潰れて死ねば、当主にはなれない。耐えられない重さまで増やす気はなかった。
ただ、増やす時期を男の見立てだけで決めるつもりもなかった。
二枚を影へ入れたまま、黒と白の玉犬を呼ぶ。二頭が地面へ前脚をついた瞬間、腹の奥から何かを引き抜かれた。肩が沈み、膝が揺れる。
白い方がすぐに寄ってきて、鼻先を膝へ押しつけた。黒い方は男とウチの間へ立ち、こちらを振り返る。
男は庭の端から木刀を取り、ウチの前へ立った。
「続けますか?」
「やる」
木刀を構えた。男の一太刀が頭上から落ちてくる。木刀で受け、腰を沈めて衝撃を足裏から土へ逃がした。一打目は受けきった。
続く二打目で、踏ん張った足が土を滑る。姿勢を戻せないまま、男の木刀が再び振り上げられた。
三打目を受けようと木刀を持ち上げたとき、白い玉犬の前脚が透けた。黒い方も、背から影へ崩れ始める。
男は、振り下ろす寸前で木刀を止めた。
それでも、もう身体は支えきれなかった。玉犬を保ち、鉄板の重さに耐えたまま二度の打ち込みを受けただけで、式神と身体の両方へ回す呪力が尽きていた。
膝をつき、木刀を取り落とす。同じ重しでも、玉犬を出す前のようには耐えられない。鉄板を影から出そうにも、手のひらを地面まで運べなかった。
「重しを出せ!」
男が、鉄の塊を沈めた日と同じ声を出した。
二頭の形が消えきる前に、影に命じる。鉄板が一枚、足もとから跳ね出た。土へ落ちる音と一緒に息が戻る。もう一枚も吐き出させると、ようやく身体を起こせた。
喉の奥に鉄の味がした。口元を拭った指へ、薄く血がついている。
「死にたいんですか」
「死んだら、当主になれへん」
「なら、二度と勝手な真似はなさらないでください」
男は怒っていた。術式を失うのが怖いのか、ウチが死ぬのが困るのか、その両方かは分からない。
落ちた鉄板へ白い玉犬が鼻を寄せた。黒い方も庭に残っている。二頭を出したまま立つだけなら、重さにも耐えられた。そこに打ち込みを受ければ、同じ重さでも身体は支えきれなかった。
「次に鉄板を増やすんは、玉犬を二頭とも出したまま打ち込みを受けられるようになってからにする」
「話を聞いておられましたか?」
「聞いた。せやから、潰れんやり方に変えるんやろ」
木刀を振れても、玉犬を出して走れても、別々にできるだけでは足りなかった。片方ずつ耐えられる重さを基準にしたのが間違いだった。
男は地面の木刀を拾い、柄をこちらへ向けた。
「今日は終わりです」
「まだできる」
「口の中を切っておられます。続きは明日です」
差し出された木刀を受け取り、玉犬を影へ戻した。男は自分の木刀を置き、吐き出した鉄板を二枚とも抱え上げた。
◆
玉犬は、呼び出すたびに全身を外へ出すものだと、老人から教わった。
けれど、影へ戻るときは、鼻先から尾まで同時には消えなかった。足が沈み、胴が崩れ、最後に耳の先が黒へ溶ける。
戻る途中で止められないか試すと、白い玉犬は前脚と頭だけを残した。
「不完全です」
老人は嫌そうに言った。
そばで見ていた男が、白い玉犬の前へ木刀の先を差し出した。白は前脚で木刀を押さえ、そのまま顎で噛み止める。男が引いても、頭と前脚は形を保った。木刀を引き抜いた男は、今度は白の頭の後ろ、胴が影へ沈んでいるところへ振り下ろした。木刀は白の胴をすり抜け、その下の土を叩く。頭と前脚は、出したままの形を保っていた。
「使えるやん」
「完全に顕現したときより力が落ちています」
「壊されるとこも減るんちゃう?」
白を影へ沈め、今度は黒い玉犬の爪だけを出す。地面を走らせた影から爪を突き出し、男の前で筵を裂いた。男がその爪を狙って木刀を払う。木刀が触れる前に、ウチは爪を影へ沈めた。男の木刀が通り過ぎたところで、少し離れた影から出し直す。男はすぐに木刀を返したが、爪はまた影へ沈んだ。
「形を保ちなさい。十種影法術は、式神を正しく顕現してこそ──」
老人の言葉を遮る。
「ちゃんと出してる時に壊されたら、戻ってこんのやろ?」
十種影法術の式神は、完全に壊されれば二度と同じ姿では呼べない。力は別の式神へ継がれると教わったが、失ったものがそのまま返るわけではなかった。
「形の足りひん分は、数と呪力で埋める」
「今のあなたに、その呪力があると?」
「今は足りん。せやから増やすんやろ」
足もとの影に沈めた薄い鉄板は、前より増えていた。玉犬を影に置いたままでも、木刀を振れる。走れる。眠っている間も身体を支えられる重さだけは残し、すべて外すことはほとんどなくなった。
形を崩した玉犬を、影の中へ広げる。白と黒は二頭の獣ではなく、爪と牙を隠した黒い波になった。まだ庭の端までは届かない。出した爪も、完全な玉犬より浅い傷しかつけられない。
それでも、一か所を木刀で叩かれただけでは消えなかった。
「もう一度」
男が木刀を構える。
ウチは木刀を地面へ置き、玉犬の形を作った。二頭を呼び出して影へ沈め、木刀を拾い直す。
「どちらから来ます?」
「言うたら稽古にならんやん」
男が間合いへ入った。木刀が肩を狙う。受ければ、次の動きが遅れる。半歩だけ踏み込み、男の木刀の下へウチの木刀を差し込んだ。
鉄板の分、腕は男より遅い。
男の木刀がウチの木刀を滑り、肩へ落ちてくる。その直前、足もとの影から白い顎が噛みついた。木刀の勢いが止まる。男が引こうとしたところへ、黒い爪が袴の裾を地面へ縫いつけた。
木刀の切っ先を喉元へ向ける。
男は噛まれた木刀から手を離した。
「……参りました」
初めて勝った。
白い顎が木刀を離す。黒い爪も影へ戻した。どちらも全身は見せていない。
「次は、最初から影にいるものとして考えて」
「相手に手の内を明かす方がおかしいでしょう」
「ウチが毎回勝っても、稽古にならんやろ」
男は袴の裂け目を見下ろした。昔なら、女に負けて袴まで破られたうえ、次も勝つと言わんばかりの口を利かれれば、怒鳴っていたかもしれない。今は木刀を拾い、構え直す。
「では、次はそこから引きずり出します」
白と黒の影が足もとで揺れた。
◆
それからは、新しい式神を従えるたび、すぐ外へ出すより先に、影の中で動かす方法を探した。必要な部位だけを出し、別々の性質を一時的に重ねる。形が崩れて動かなくなれば呪力の流し方を変え、壊れそうになれば完成する前に影へ戻した。
うまくいかなかった試みの方が多い。影から出す呪具の向きを誤り、柄頭を足の甲へぶつけて腫らしたこともある。式神を広げすぎて立っていられなくなり、隠していた鉄板を全部吐き出したこともある。
式神を影へ出し入れするうち、自分の身体も沈められることに気づいた。
最初は指だけだった。次に手首、肘まで入れた。肩を沈めたところで身体が傾き、そのまま頭まで影へ落ちた。
驚いて腕を伸ばすと、さっきまで立っていた場所へ肩から転がり出た。男が木刀を放り出し、こちらへ駆けてくる。
「何をされたんです!」
「入ってみた」
「ご自分を!?」
「玉犬が入れるんやから、ウチも入れるかと思って」
口へ入った土を吐き、もう一度影へ手をつく。
「おやめください! 戻れなくなれば──」
「戻れたやろ」
次は転がらずに出る。身体を腰まで沈め、影の外の土へ両手をつく。足をつく場所は見えない。それでも、沈む深さは呪力で変えられた。
男に引き上げられる前に、自分で庭へ戻る。
「隠れられる」
「逃げるために、ですか?」
「違う」
相手の攻撃が届かないところへ沈み、影の中には式神を残す。やり過ごしたあと、別の角度から自分も出る。逃げるだけで終える必要はない。
「先に攻められても、沈んで避けたら玉犬でやり返せる」
黒い玉犬が影から鼻先だけを出した。男は何も言わず、落とした木刀を拾った。
◆
薄い鉄板が重しだったのは、初めのうちだけだった。
一枚増やすたびに足を取られていたのが、厚い鉄板へ替わる頃には、多少増えたところで歩幅も変わらなくなっていた。厚い鉄板にも慣れると、両腕で抱えるほどの鉄塊を一つ沈めた。それを出さずに食事をし、庭を走り、玉犬を影へ広げたまま男の木刀を受けた。
重しが増えるほど、次の重しを加えられるようになるまでの間隔は短くなった。身体が重さに耐える頃には、前と同じ数の式神を動かしても呪力が残った。その分だけ式神を増やし、影の中で広げる範囲を伸ばす。呪力が尽きるまで続けるうち、重い身体のままこなせる稽古も増えていった。
鉄塊を二つ、三つと増やしたあと、庭を造り替えた際に運び出された庭石まで影へ沈めた。何人もで動かしていた石が影へ消えると、最初の日だけは踵が土へ深く沈んだ。それでも外さずに歩けるようになり、次の庭石を加えた。
影へ沈められるものも増えていた。最初の鉄塊一つで身体を支えきれなかった頃とは違う。鉄塊と庭石を抱えたまま呪具を加え、式神を何体も影の中で動かせた。
その間に、稽古着は何度も丈が足りなくなった。
調伏した式神と影の扱いに慣れるにつれ、禪院家の術師について任務にも出るようになった。任されることが増え、相手にする呪霊も強くなる。それに応じて、術師としての等級も上がった。
京都校へ入る話は、庭石を影に残したまま、普段と変わらず歩けるようになった頃に決まった。
出発の朝、直毘人の座敷には、入学に必要だという書付が置かれていた。呪術、結界、呪具、任務。家の中だけで学ぶより、触れられるものは増える。
「寮も使えるよう手配してある」
直毘人が言った。
「住まん」
「家を出たがっていると思っていたがな」
「誰が言うたん」
「家の者を信用していない顔をしている」
顔のことは知らないが、言われていることは合っていた。
「信用してへんから、ここへ帰る」
禪院家には、過去の十種影法術使いが残した記録も呪具もある。高専でしか得られないものを取り、ここにしかないものも使う。寮へ移って、どちらか一方を捨てる理由はなかった。
「京都校から毎日戻るつもりか」
「戻れる距離なんやろ?」
「任務で遅れる日もある」
「その日は泊まる」
直毘人は書付を指で叩いた。
「高専では、禪院の名も十種影法術も、実力の代わりにはならん」
「せやから行くんや」
呪霊を祓えるかは、任務で試してきた。けれど、家の者は十種影法術を知ったうえでウチを見る。知らん術師が何をしてくるか、その相手にウチのやり方がどこまで通用するかは、まだ分からない。ウチのやり方を崩せる相手は、多い方が稽古に使える。
「誰にも無視できんくらい強うなってきたるわ。ご自慢のクズ息子にも言うとけ。お前を潰すんはウチや、ってな」
書付を取る。直毘人は止めなかった。
「好きにしろ。ただし、禪院家の恥を晒すな」
「家の方がウチの恥にならんようにしてや」
座敷を出ると、廊下に荷が並べられていた。着物、稽古着、書物、日用品。女が大きな包みを持ち上げようとしている。
「それ、置いて」
「ですが、お車までお運びを」
「ウチが持つ」
包みの下へ影を差し入れる。一つずつ沈めるたび、肩へ重みが加わった。すでに入っている庭石と鉄塊、呪具に、これから使う物が重なる。
「すべて、でございますか」
「なんちゃ問題ない」
最後の包みが消えると、廊下には荷が一つも残らなかった。
足もとの影には、庭石も、鉄塊も、木刀も、呪具も、調伏した式神もいる。外から見えるのは、朝の光を背にしたウチ一人の形だけだった。
草履を履き、門へ向かう。
一歩ごとに、石畳が足の裏へ硬く返ってくる。影の中身が増えても、足取りは変わらなかった。
門の外で、京都校へ向かう車が待っていた。そこまでの石畳を、影の荷を一つも出さずに歩いた。
高専で覚えた戦い方は家へ持ち帰る。手に入れた呪具は、この影へ沈める。
ウチは影の重さに膝を折らず、開いた門の外へ出た。
◆
十種影法術についての知識は、禪院家の方が多かった。歴代の術師が残したものも、式神を扱うための稽古も、家で一通り与えられていた。
京都校で増えたのは、家の稽古にはいなかった相手だった。
その最たるものが、東堂葵だった。式神を前へ出せば正面から力ずくで崩し、距離を取って布陣を組み直せば、拍手一つでウチと式神の位置を入れ替えた。禪院家で教わったとおりに式神を動かすだけでは、崩されたあとの立て直しが間に合わなかった。
通い始めてからの二か月は、景色が入れ替わったあとの判断が遅れ、その隙に東堂の拳を受けた。影に庭石を残しているのはウチの都合で、東堂には関係ない。その重さのまま式神を狙いどおりに動かし、立ち位置を崩されても次の手を止めないようにした。
同じ崩され方を二度繰り返すつもりはなかった。三か月目に入る頃には、入れ替えられた直後にも足を止めず、東堂が踏み込む先へ式神を差し込めるようになっていた。
高専で渡された教本や任務の記録は、持ち帰って禪院家の記録と並べて読んだ。家の記録には、過去の十種影法術使いが何を従え、どこで調伏に失敗したかが残っている。高専の記録には、禪院家の者が相手にしなかった術式や、家の外で起きた任務の失敗が載っていた。
片方にないものが、もう片方にはあった。
どちらも読み、試すべきものは覚えた。どの重さで身体が沈み、二体へ呪力を分けたとき、どこから片方の動きが鈍るのか。稽古のたびに確かめ、一度見極めた境界は忘れなかった。
一級呪霊を単独で祓った任務報告が重なる頃には、まだ従えていない式神は魔虚羅だけになっていた。
任務で戻れない日を除き、日が暮れる前には禪院家へ帰った。翌朝になれば、また同じ門から京都校へ向かう。
ある朝、庭の隅へ新しい庭石が運び込まれていた。
男は黙ってその前を空けた。ウチも聞かず、石の下へ影を伸ばした。最初の鉄塊一つで「当主へ報告します」と言っていた男も、この頃には庭石が一つ影へ消えたくらいでは座敷へ向かわなくなっていた。直毘人も、もう何も言わなかった。
足もとの影はウチ一人の形をしたまま、中身だけが昨日より庭石一つ分重かった。
Tips:第二話で直毘人が手ほどきを受けさせると言ったが、体が未熟なため、あの時点では座学メイン。モブ講師たちは今後登場予定なし。おそらく真希に殺される。
Tips:オリジナル設定。影に重いものを詰め込み鍛えることで、呪力総量も鍛えられる。荷重に耐えられなくなり、排出もできなくなるほど詰め込みすぎると、体の内側に潰れて圧死する。また、重さを呪力で支えられないと外的に影響を及ぼす。具体的には禪院家の床が抜ける。