41人と思われていた至高の御方々。しかし、彼らには42人目がいた。
至高の御方を殺す至高の御方御方。
─────山の翁、ハサン・サッバーハである。

1 / 1
途中から台本多発フェーズに入ります。苦手な方はご注意ください。


至高の審判者

地下ナザリック大墳墓、玉座の間─────

 

「さて、王国に攻め入る計画も練り終わった所で、お前たちに言っておくことがある。私の私欲の話もあるが、聞いてくれるか。」

広大な部屋の中央。玉座に座する、眼窩に赤き焔を宿した死の支配者が骨を鳴らす。

 

彼が目を向ける方には、幾百もの配下達。赤いスーツに身を包んだ悪魔、

デミウルゴスが口を開く。

 

「は、なんなりと。」

 

「うむ。ではアルベド。お前たちの言う至高の御方々は全員で何名だ?」

 

アルベドと呼ばれた、艶やかか黒髪を携え、純白に身を包んだ淫魔が答える。

 

「はっ。至高の御方々は全員で41名。何度も復唱した、いと尊き数字です。」

 

近くに並んだ配下達も強く頷く。死の支配者も軽く頷いたあと、その言葉を否定する。

 

「そう、41名。お前らに伝えた人数はその通りだ。」

 

「私達に伝えた人数は、ということは実際には違うと言うことでしょうか?...まさか、41人よりも少なく...!?」

 

あちこちから悲鳴があがる。喧騒に主が手を上げる。

 

「騒々しい!静かにせよ。」

 

喧騒がピタッと止む。主の言葉をしかと聞いた合図だ。

 

「実際はその逆だ。ギルドメンバーには、42人目、つまりあと一人お前らの知らない人がいる。」

 

喜びと感嘆の混じった声が漏れる。少しばかりそれを知らなかった悔しさの声も上がるが、それは至高の御方の隠蔽の結果であり、それは悔やむどころか気付かなくて当然になる。次第と声も静まる。

 

「彼は私と同じく髑髏面でな、共通点も多いのだ。大きな点は2つ。ひとつは私のギルドリーダーと同じように、特殊な役割があること。そして特殊な職業を持っていること。そして、これは共通点とは違うが彼は特殊な種族に進化している。」

 

「おお!偉大なるアインズ様と似たお方!宜しければぜひ教えていただきく存じます。」

 

「うむ。まずは職業。彼の持つ職業は冠位暗殺者《グランドアサシン》。ユグドラシルにおいて、最初に暗殺者となり、また誰よりも早く職業レベルを極めたたった1人のみがなれる職業だ。」

 

「おぉぉ...!!グrrrrrランドアサシン!!万全の準備すら無に帰す!!!暗殺者の始まり!!「殺人」の象徴となる暗殺者の極!!その方がこのナザリック地下大墳墓にいらっしゃるとは!!」

 

「うむ。私の奥義である、「The Goal Of All Life Is Death」と同じ効果である、即死無効を更に無効化し即死させる効果。それが彼には低確率ながら通常の剣戟に備わっている。奥義、彼で言う「宝具」ともなればもはや確定した死だ。」

 

周りから恐怖、尊敬、畏怖の声が上がる。配下の1人であるシャルティア・ブラッドフォールンが洗脳され、敵に回った時、主が使用した奥義と同じようなものを軽く扱えるというのだから当然だろう。

 

「そして特殊な種族。彼の種族は死を告げる天使《アズライール』。アンデッドでありながら、死霊系は勿論信仰系も同程度に鍛え、また種族のレベル上限を上げる超希少アイテムをこれでもかと使い、二種族を極めた者のみがなれる種族だ。これも彼一人しかいない。」

 

死と悪辣の象徴であるアンデッドでありながら、生と善良の象徴である天使。それの頂点だというのだから、配下達の感動と歓声はさらに大きくなる。確かに、主人にも似ている。そこに、さらに核爆弾級の情報も加わる。

 

「彼はプレイングスキルも世界最高峰。ギルド最強のメンバーであるたっち・みーさんにたっちさんが6、彼が4の勝率を収めるほどだ。」

 

最強のギルドメンバーであるたっち・みー。

その創造NPCであるセバスが空いた口の塞がらない表情を浮かべ、またたっち・みーの強さを誰よりも目指したギルドメンバー、武人建御雷の創造したNPCのコキュートスが驚きの声を上げる。

 

「聞クトコロソノ御方ハ戦士職二ステータスデ劣ル暗殺者!!ソウデアリナガラアノタッチ・ミー様トホボ互角ノ強サヲ持タレルノデスカ!?」

 

「───────ああ、言い忘れていたな。この勝率は『正面戦闘』での勝率。何でもあり...不意打ち上等の戦いではたっちさんは彼に勝ったことはない。つまり0対10だ。」

 

「─────。」

 

もはや驚愕の声すら出ない。条件さえ整えれば、最強の戦士にも負けないさらなる最強だということになる。

 

「しかも彼の使う装備は、防具はともかく武器は大剣。しかもノーマルだ。」

 

もう苦笑いすら浮かばない。なんという頂。コキュートスからしたら、頂すら見えない山の後ろにさらなる大きな山があるようなものだ。

 

「す、既に聞いた事ですらかの御方の偉大さは十分過ぎるほど伝わりましたが...まだ仰られていない特殊な役割とは、なんでありんすか?」

 

配下の1人であるシャルティア・ブラッドフォールンが口を開く。他の配下達も唾を飲み耳を傾ける。

 

「彼の役割は審判者でありながら執行者。一言で纏めるならば断罪者だ。」

 

「おお...!!流石は至高の御方。愚者共であふれているこの世を断罪するのでしょうか!?」

 

「ん?いや、彼が断罪するのはお前らの言う愚者ではない。───────我々ギルドメンバーだ。」

 

「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」

 

「彼はどちらかというとたっちさんのような秩序側。だが彼は悪たらんとするこのギルドに容認し、加え所属してくれている。その矛盾に大義を成すため、彼は大剣を持ち、誇り高く、全ての腐敗...つまり劣化を許さない。もし私が下衆や悪辣の獣に堕ちるような事があれば、彼が現れ私を殺す。もちろん私はどうしようもない。あのたっちさんすら凌ぐ強者なのだからな。」

 

至高の御方ですら恐れる至高の御方、配下の中には怒りを覚える者もいたが、そのほとんどは行き場の無い絶望的な恐怖と崇高なる畏怖だった。

 

「まあ、長々と喋ったが実は彼も今この場にいてな。」

 

主がそう口にした瞬間、辺りを殺気という言葉では足りない「負」が辺りに立ち込める。意識を飛ばすもの、錯乱するもので溢れた。唯一正気を保った、デミウルゴスやアルベド、コキュートスやシャルティアら守護者、セバス等の守護者に匹敵する者たちだけだった。戦闘メイドであるプレアデスは姿勢が崩れ、口のふちから泡が漏れるも何とか意識を保っている。耐えている守護者達も、冷や汗をまるで夏場に運動したかのように流し、涙を滝のように流していた。

 

「既に存在を感知しただろうが、改めて登場してもらおう。頼めるかな?」

 

「承知した。契約者よ。そして心して聞け、我らの信仰者たる守護者達よ。私こそが至高の者共の暗殺者。幽谷の淵より現れ至高を殺す者。山の翁、ハサン・サッバーハである。」


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。