スカイリムをシャルティアで遊ぶ   作:Revak

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第16話

 

「あ、戻って来たでありんすね」

 

 クジラの骨の橋から四人の男女が歩いて来た。

 一人は当然イナル。残る三人は三英雄と呼ばれる者たちだ。

 

 集眼のハコン。黄金の柄のゴルムレイス。古きフェルディルの三人だ。

 

 彼らはかつて世界の喉でアルドゥインを星霜の書を使って封印し、世界を一時とは言え平和にしたまごう事無き英雄たちだ。

 だが竜戦争事態おとぎ話のように語られるようになった今の時代で知る者は非常に少ない、あるいはいないだろう。ファレンガー当たりなら知っていそうなきもするが。

 

 四人は橋を渡ってこちらに来ると女がシャルティアとウルフリックに近づいて笑顔で話しかけて来た。

 

「君がドラゴンボーンの仲間たちか! 共にアルドゥインを倒そう!」

 

 そうゴルムレイスがにかっと笑みを見せた。

 ゴルムレイスは女戦士だ。スチールプレートの鎧を着た戦士で、顔は晒している。

 

「えぇ。よろしく頼むでありんす」

「しかしこの霧では戦えない。まずはこの霧を晴らさければ」

 

 そういうのはフェルディルだ。彼は老人だが体躯はがっしりとしている。両手剣使いの男だ。ローブを着ているが魔術師ではない。

 

「晴天の空! 共に叫ぶのだ!」

 

 ハコンがそう叫んだ。

 

「「「「ロク ヴァ コール!」」」

 

 四人のシャウトが重なり、霧が晴れた。

 一メートル先も見えぬ濃霧は去った。だが、アルドゥインの声が響いた。

 

『ヴェン ムル リーク!』

 

 アルドゥイン専用のシャウトだ。

 

 濃霧が発生し、せっかく晴らした霧が再度湧いて出てくる。

 

「もう一度叫ぶのだ!」

 

「「「「ロク ヴァ コール!」」」

 

 再度霧が晴れた。

 それにより羽ばたきの音が聞こえてくる。

 

 空からやってくるは終末を齎す竜、アルドゥインだ。

 

「■■■■■!」

 

 アルドゥイン専用のシャウトを叫ぶ。

 使われたのはドラゴンストームコール。

 空から無数の隕石が降ってくる。

 

「「ロク ヴァ コール!!」」

 

 それに対しハコンとフェルディルが晴天の空のシャウトを叫んだ。

 ドラゴンストームコールも天候操作の一種なので晴天の空で晴れにすることが出来る。

 

「「ジョール ザ フル!」」

 

 ゴルムレイスとイナルがドラゴンレンドのシャウトを放った。

 ゴルムレイスのシャウトは外れたがイナルのが命中。アルドゥインが地に落ちる。

 

「地面に落とした程度で勝てるとでも思ったか! ── スゥ カハ ディーン!」

 

 アルドゥインが激しき力のシャウトを行使する。

 激しき力は人間が使うと武器に風を纏い攻撃力と攻撃速度を上昇させるシャウトだ。

 本家本元、本来の使い手であるドラゴンが使えば翼に風の刃を纏うという強力なシャウトと化す。

 

 アルドゥインが更にイナルに向かって突撃する。

 

 この場で自身の命に届くのはドラゴンボーンだけだと理解しているのだ。

 

 そこに横からシャルティアがスポイトランスで突撃した。

 

 ランスチャージ。特殊技術(スキル)込みの一撃によってアルドゥインはひっくり返る。

 だがすぐに体勢を直しシャウトを放つ。

 

「ヨル トール シェル!」

 

 ファイアブレスのシャウトがシャルティアに命中する。だがシャルティアにダメージは無い。

 炎に対し完全耐性を得ている為たとえ竜王のブレスだろうとそれが炎属性ならば無効化出来る。

 

 シャルティアが突撃し、それに合わせウルフリックがシャウトを放った。

 

「ファスローダー!」

 

 揺ぎ無き力のシャウトによってブレスが一時中断される。

 

 そしてその隙を突いて六人で囲んで攻撃をする。

 

「舐めるな! ファスローダー!」

 

 アルドゥインは地面に向かって揺ぎ無き力を放った。

 何を、と思ったが瞬間アルドゥインが空に跳んだ。

 不可視の衝撃波の反動を使い宙を舞ったのだ。

 ただし飛行能力を失っている今滞空も出来ないし落下の制御など出来ない。

 

「ウルドナーケスト!」

 

 しかしそこで更にシャウトを使う事でアルドゥインは空中から特定の者への突撃を可能にした。

 

 イナルに向かって真っすぐ突撃する。

 イナルは盾を構え防御するがアルドゥインは全高五メートルほどのドラゴンだ。

 それだけの竜となると質量も相応に重く、ただの突進でも馬鹿みたいなダメージを叩き出すことが出来る。

 

 イナルは空を舞った。

 

「ドラゴンボーン!」

 

 ウルフリックがイナルに駆け寄った。

 

 アルドゥインが姿勢を直しイナルに向かって攻撃しようとする。

 

「させないでありんす!」

 

 そこにシャルティアが突撃する。

 

 シャルティアのスポイトランスとアルドゥインの刃の翼が交差する。

 スポイトランスにダメージは無い。だがアルドゥインの翼にも大したダメージが無い。

 これは終末の竜の力が神話級武器に匹敵するという証明でった。

 

 シャルティアは後ろに飛び魔法を放つ。

 

<輝光>(ブリリアントレイディアンス)!」

 

 対個人向けの神聖属性の魔法をシャルティアは放った。

 アルドゥインの体が神聖な光に包まれる。

 

 神聖属性の魔法の基本ダメージは相手のカルマ値に依存する。

 勿論アンデッドのように神聖属性が弱点、という場合には強力な効果を発揮するがやはり一番は相手のカルマ値がマイナスの場合だ。

 人間相手にも通じるがカルマ値がマイナスでない相手には通じにくい魔法でもあり、使い勝手が多少悪い魔法だ。

 

 そして肝心のアルドゥインのカルマ値は驚異のマイナス五百。システム上の限界値だ。

 

 アルドゥインはかつて暴虐の王として君臨し圧政を強い、更に今度は世界を己の欲によって滅ぼそうとしている。

 

 

 かつてのアルドゥインはこうではなかった。

 

 高潔なる支配者であり、民に慕われる王であった。

 

 だが──壊れて(バグって)しまった。

 結果アルドゥインは本来の機能を失い、世界を喰らう怪物となり果ててしまったのだ。

 

 しかし過去をいくら語っても意味はない。重要なのは今だ。

 

 アルドゥインは痛みを感じながらもシャルティアに攻撃する。

 

「フォー コラ ディーン!」

 

 アルドゥインは今度はフロストブレスのシャウトを放った。

 アルドゥインのシャウトの熟練度はそれを専門にするドラゴンと同等以上。強力な冷気の吐息だ。

 

 シャルティアは防御魔法を展開する。

 

<石壁>(ウォール・オブ・ストーン)!」

 

 石の壁が地面から生え、防壁となる。

 だがすぐに凍り付き、砕ける。シャルティアに冷気ダメージが入る。

 

(いてぇぇぇ!)

 

 ナークリーンの時はカスダメージが蓄積するだけだった上痛みに強いアンデッドなのでたいして気にしなかった。

 だがアルドゥインのシャウトは強力無比。シャルティアのHPがガンガン削れていく。

 と言っても百レベルなので総合的には大したことないが、それでも一気に削られていくのは痛みを伴う。

 

「痛いでありんすよ! <朱の新星>(ヴァーミリオン・ノヴァ)!」

 

 対個人最強の炎魔法をシャルティアは放った。

 アルドゥインの体が燃え盛る。だが、ダメージ量はそこまでではない。

 アルドゥインは種族特性として炎と冷気、雷に対し五十パーセントの耐性を持つためだ。弱点属性というのを持たない。

 ただしそれら以外──ユグドラシルにある負属性や酸、神聖属性などには脆弱性を持たないが耐性も持たない。

 この世界にその属性が無い、という訳ではない。サイジックの者などはそれらの魔法を持っている。

 

 シャルティアはこっそり唱えていた<生命の精髄>(ライフ・エッセンス)でHPの減り具合を見て弱点じゃないと察する。

 

「ならこれはどうでありんしょう? <第十位階死者召喚>(サモンアンデッド・テンス)

 

 召喚されるのはお馴染みドゥームロードだ。

 

 ドゥームロードが前衛に出る。

 

「ディノク! アンデッド風情が我に敵うか!」

 

 アルドゥインは刃つの翼を持ってドゥームロードを攻撃する。

 しかしそれが隙となった。

 

「ジョール ザ フル!」

 

 横からイナルがドラゴンレンドを放ち、アルドゥインは喰らった。

 効果時間が無くなりそうだったのがこれで振り出しに戻った。

 

「己!」

 

 アルドゥインは怒りに身を任せドゥームロードを怒涛の攻撃で攻め立てる。

 ドゥームロードは防御に回るが本来攻撃に使うアンデッドなのでおぼつかないし、レベル差もある──アルドゥインの方が上──故ドゥームロードのHPが残り五割を切った。

 

 シャルティアは空に浮かび上がり、魔法を放つ。

 

 幾つかの特殊技術(スキル)で最強化した魔法の雨がアルドゥインを襲う。

 

 アルドゥインは回避しようとするが三英雄とウルフリック、イナルがそれを許さない。

 シャルティアが使える魔法は少ないし、属性も少ない。だから魔法攻撃は苦手だ。

 

 だから少しだけバフをかけてから上からアルドゥインの背中に向かってランスチャージをお見舞いした。

 

 背中がごりっと抉られる。

 そのまま更に抉ろうとするがアルドゥインがシャウトを使う。

 

「ファイム ジー クロン!」

 

 使われたのは霊体化のシャウトだ。

 体を一時アストラル体に変え物理的干渉を無効化するというシャウトだ。

 

 しかしながらシャルティア相手には通じない。

 スポイトランスには当然非実体の相手にもダメージを通せるデータクリスタルが入ってる。通常よりはダメージ量が減るが攻撃は通る。

 しかしシャルティアは足場にしていた背中の実態が無くなった事で地面に落下した。

 スタッと着地したがアルドゥインが跳躍し、霊体化を解除した。

 そのまま口を大きく開けシャルティアの腹を噛んだ。

 

「ちっ!」

 

 シャルティアは<ミストフォーム>の特殊技術(スキル)でその拘束を逃れた。

 イナル相手にこの特殊技術(スキル)を見せたのは痛手だが必要経費と割り切る。

 

 距離を取って実体を戻すとイナルが突撃していた。

 既に持ち込んでいたポーションで体を治していたのだ。

 

「ドラゴンボーン!」

 

 アルドゥインが憎悪に歪んだ瞳で睨んだ。

 

 アルドゥインとイナルが衝突する。

 

 イナルの武器は竜の物だが、それでも竜にはランクがある。

 その中でも最上位に近い竜の素材だが、アルドゥイン相手には格落ちする。

 しかし二週間の猶予でネロスに施して貰った付呪の力。それにエオルンド・グレイ・メーンの鍛冶技術を持ってして竜王と相対出来るほどになっている。

 

 イナルが剣で何度も斬り付ける。しかしそれに対しアルドゥインも刃の翼で攻撃し、噛みつきも使う。

 

 横から三英雄とウルフリック、シャルティアが攻撃しようとする。ドゥームロードは自滅で送還されていた。

 

「貴様らはこれの相手でもしていろ! フィーク ロ サー!」

 

 使われたのは幻影を生み出すシャウトだ。

 

 アルドゥインを真っ黒に塗りつぶしたような影絵の様な幻影が召喚された。

 

 アルドゥインの影は三英雄に襲い掛かる。

 

 この影は時間制限と不死性こそ持たないが戦闘能力はアルドゥインの少し下程度……並みのドラゴンなど余裕で上回る強さを持つ。いかに三英雄としてもすぐには倒せない。

 

 シャルティアがアルドゥインに横から攻撃しようとするとアルドゥインはぐるっと回転しながら尻尾攻撃を放った。

 防御が間に合うも吹き飛ばされた。

 

「ちっ」

 

 シャルティアは舌打ちをする。

 

 ──強い。

 

 正直に言ってシャルティアはアルドゥインを舐めていた。ナザリック最強の守護者である自分なら苦もなく倒せるだろう、と。

 だが現実はどうだ。ドラゴンボーンのシャウトが無ければ解除できない不死性に加え高い戦闘力を併せ持つボスキャラだ。

 

 勿論これはシャルティアがまだ本気でないというのがある。<清浄投擲槍>や<不浄衝撃盾>などは使っていない。切り札に近いからだ。

 魔法こそ縛ってないが特殊技術(スキル)に関しては目に見えてわかる物は殆ど縛っている。

 この世界の者は現状味方であると同時に敵だ。モモンガ様のお言葉一つで殲滅すべき敵に変わる。だから手札を晒しすぎることは出来ない。

 だからこの死者の世界でもイナルという生者が居るから本気を出せていなかった。

 

 まぁ、先ほど<ミストフォーム>を使ってしまったのであまり隠せていないが。

 

 シャルティアは舐めていた己を恥じ、本気で突撃する。

 

<大致死>(グレーター・リーサル)!」

 

 アルドゥインに負の属性のエネルギーが大量に送り込まれた。

 相手に負のエネルギーを送り込みダメージを与える魔法だが負属性なのでアンデッド相手には逆に回復魔法となる。

 しかしアルドゥインはアンデッドでもないので普通にダメージを受けた。

 

「無駄だ! 幾ら足掻いても終末の時は覆らない!」

「やってみなくちゃわからないだろう! アルドゥイン!」

 

 イナルが抵抗するように叫び、攻撃を加えていく。

 

 イナルを援護するようにシャルティアが攻撃をする。

 適度にヘイトを買い、防御していくというタンクの役割をやっていく。

 シャルティアは実際の戦闘経験こそ殆どないがゲーム自体はそこそこやっていた。だから立ち回りもある程度わかる。それが功を成した。

 

 そして影を倒した者たちが援護に来る。

 

「今日が最後の日だ! アルドゥイン!」

 

 ハコンがそう叫びながら尻尾に大ダメージを与えた。

 

 アルドゥインは苦痛に顔を歪ませた。

 尻尾が半分ほど斬れており、動かすだけでちぎれてしまいそうだ。

 

「ジョール ザ フル!」

 

 イナルが解けかけていたドラゴンレンドを再度かける。

 

 そして、ついにイナルの剣がアルドゥインの首を貫いた。

 

 アルドゥインは苦しみの様な声を上げる。

 更にアルドゥインの体が発光し、鱗がボロボロと落ちていく。

 

「ズーウ、ウンスラード! ズーウ、ニス、オブラーン!」

 

 アルドゥインから全ての鱗が抜け落ち、影のようになる。

 そして体が発光し、光となって空高く昇っていった。

 

 そして──霧が晴れた。

 薄い霧に覆われたいたソブンガルデが本来の輝きを取り戻す。

 うっすらと世界が発光し、空の美しいオーロラが良く見える。

 

「終わった……のか」

 

 イナルがはぁ、と地面に座り込んだ。

 

 生者であるイナルは疲労もする。この激闘中倒れなかっただけ奇跡と言えるだろう。

 

「終わったでありんすね……強敵でありんした」

 

 シャルティアはそう呟いた。

 

 そこにツンがやってくる。

 

「流石はドラゴンボーン。これであの竜はアカトシュの元へ帰っただろう。次は……本来の役割を取り戻していると良いが──と、少し喋りすぎたな」

「なんでぬしは参戦しなかったでありんす?」

 

 シャルティアは気になっていたことを問いかけた。

 

「定命の者の問題に神々が関わる訳にはいかない。既に人は自分の足で立って歩けているのだから、介護など不要だろう?」

「……そう言う事なら納得してあげりんす」

 

 イナルはそこで立ち上がり、武器をしまった。

 

「それでは……名残惜しいがタムリエルに戻るとしようか。長居するのも悪いしな」

「ソブンガルデは死者の地だ。生者が長くいると何か問題が起こるかもしれない。それは正しい判断だ。では、二人を元の世界に戻そう」

 

「その前に礼を言わせてくれ! アルドゥインを倒してくれてありがとう! ソブンガルデに来たら馳走を渡そう!」

 

 そうゴルムレイスが笑顔で言った。

 

「我々からも賛辞の言葉を遅らせてくれ! ありがとうドラゴンボーン!」

 

「ドラゴンボーンを称えよ! 最も新しき竜の血脈に祝福を!」

 

 称えられたイナルは少し恥ずかしそうな表情を浮かべた。

 

「そして、異なる地からやって来た少女にも祝福を!」

 

 シャルティアは自分も褒められ良い気になった。

 

「それじゃあ、ニルンへ送ろう。ナール ダール ヴス!」




メインクエストは終わったけどまだ続きます
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