スカイリムをシャルティアで遊ぶ   作:Revak

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気づいたら文字数多くなっちゃった


第18話

 

 シャルティアはリフテンに来ていた。

 リフテンに来るのはこれで二度目になる。

 

 小隊──十二人の帝国軍人を連れてリフテンにやって来たのだ。

 

 勿論ここには転移魔法で来ている。

 シャルティアはこういった時に転移魔法で各地を巡っているのだ。

 目的は殆どが野盗化したストームクロークの殲滅などでスカイリム各地に居る彼らをすぐに殲滅するには転移魔法という圧倒的素早さを持つシャルティアの力が不可欠だ。

 そして今回は砦を占拠している推定ストームクロークの残党の殲滅。戦闘力も居るのでシャルティアが来たのだ。

 

 門を潜り中に入る。

 

 リフテンは湖の端に創られた都市で、街の一部は水路になっている。

 ぞろぞろと帝国軍を連れて歩くと当然注目を集めるが、何か言う者はいない。

 

 かつてシャルティアはこのリフテンを攻め落としに来たことがある。その時にも普通に戦ったので少女に見えるが実際は強者だという事をリフテンの住民もよく知っているのだ。

 

 そして通路を歩いて行き、広場を通って奥のミストヴェイル砦に向かう。

 その門の前でシャルティアは小隊に向かって告げる。

 

「他の者たちはここで待機でありんす」

「畏まりました」

 

 そしてシャルティア一人でミストヴェイル砦に入っていく。

 

 入ってすぐには凵上のテーブルがある。

 そしてその上には小さな階段があり、その上段には玉座がある。

 

 玉座に座っているのは新しいリフテンの首長、メイビン・ブラック・ブライアだ。

 

「首長。久しぶりでありんすね」

「あなたですか。帝国は人材が足りていないのですか?」

「大戦のあとだからしょうがないと割り切って欲しいでありんすねぇ……それで、情報が欲しいでありんすが」

「それなら執政に聞きなさい。ヘミング。説明を」

「はい。得た情報では彼らはドーンガードと名乗り、対吸血鬼の組織と銘打っていますが……その実誰彼構わず人間を集めているようです。種族、身分を問わず。そして彼らのリーダーと思われるイスランというレッドガードの男が何か訓練をしているようです。表向きは対吸血鬼と言っていますが、実態は不明です」

「なるほど。であれば帝国軍が御用改めするべきでありんすね」

「御用改め? ……まぁ、はたから見れば謎の武装集団でしかないので検挙すべきですね。場所はミストヴェイル砦の右手の門を通った先の街道を進んでいき、橋を渡ったところの洞窟の先とのことです」

「わかりんした。ではすぐに出立するでありんす」

「その前に報酬を渡してもらいましょうか」

「えぇ。相応の額を持ってまいりんした」

 

 シャルティアはアイテムボックスから金貨が入った袋を執政のヘミングに渡した。

 

「結構。今更ストームクロークに暴れられても困るので、問題にはきちんと対処してくださいね」

「言われなくても対処するでありんすよ。ではこれで失礼」

 

 シャルティアはそういうと砦を出た。

 

「では今から仮想ストームクローク残党のドーンガード砦に行くでありんす。心していくように」

「はっ!」

 

 そして小隊は進んでいく。

 

 この中にハドバル居たら楽なのになぁ、とシャルティアは思いつつリフテンを出て進んでいく。

 ハドバルは心を病んで帝国軍を脱退してしまった。

 同胞であるストームクロークを手に欠けることに疲れたのである。

 

 そうして暫く進み、熊を殺して進んでいくと橋を渡る。

 

「多分ここでありんすね」

 

 シャルティアは亀裂を見て呟いた。

 

「ではここからは敵地と思って警戒しながら進むように」

「畏まりました」

 

 そして小隊は亀裂を進んでいく。

 

 すぐに外に出た。目の前には湖がある。

 そして、道の端に一人の男が立っていた。

 

「もし、そこの人。少し聞きたいことがあるでありんす」

 

 シャルティアがそう声をかける。

 

「て、帝国の方ですか?」

 

 そうノルドの男、アグミルは若干怯えながら返答した。

 

「えぇ。この先のドーンガード砦について聞きたいんでありんすが、何か知っているかえ?」

「と、特には何も……ただ吸血鬼退治をしている、としか」

「そうでありんすか……では、我々は先に行くでありんす」

「あ、あの。帝国軍の方が来るという事は何かあるんですか?」

「なにかあるかもしれないかわからないから来たでありんす。相手がストームクロークの残党である可能性を踏まえ小隊で来たでありんすよ」

 

 シャルティア──いや帝国にとってドーンガードは訳の分からない武装集団に過ぎない。

 砦こそ昔にイスランが購入した物だが今更になって人手を集め武装した集団をつくり始めている。厄介事でないとしたら何だというのか。

 

「そう、なのか……うーん。あなた達の後からついて行ってもいいかな? この目で確かめたいんだ」

「ついて来てもいいでありんすが命の保証はしないでありんすよ」

「わかっている。大丈夫だ」

「ならいいでありんすが。では行くでありんすよ!」

 

 そうしてアグミルを加えた一行は奥へと進んでいく。

 

 奥に少し進むと巨大な砦が見えた。これがドーンガード砦だ。

 第二紀の頃に建てられた砦だが逸話が幾つかある。

 

 更に進んでいき、登っていく。

 

 そうすると門の前に着く。

 門の前には一人のノルドが居た。

 

 重層鎧を着ているが、顔は晒している。

 

「帝国の者たちが何の用だ?」

 

 そう男、セラーンは警戒しながら問いかけた。

 

「この砦に武装勢力が集まっていると聞いて、確認しにきんした。ストームクロークの残党だと困るでありんすからね」

「なるほど、確かにはた目から見れば野盗の一種に見えても可笑しくないか……だが我々はドーンガード。対吸血鬼の組織だ。人を相手にすることはない……勿論、こちらが野盗に襲われた場合は別だが」

「それをすぐ信じる程馬鹿ではありんせん。そちらのトップと話をさせておくんなまし」

「いいだろう。この砦の中にイスラン……我々のリーダーがいる。案内しよう」

 

 そう言うとセラーンは門を開け中に入る。小隊とアグミル、シャルティアも入っていった。

 

「……帝国軍の者たちが何の用だ?」

 

 入るなり早々レッドガードの男──イスランが警戒しながら問いかけた。

 

「武装した勢力が生まれつつあると聞いて来たでありんす。それの危険性を把握するために来たでありんすよ」

「……なるほど。ならば問題はないだろう。我々はドーンガード。対吸血鬼の組織、人間に害を与える者たちではない。帝国にもそう報告するといい」

「それをすぐ信じるという訳にはいきんせん。なので──<全種族魅了>(チャームズピーシーズ)

 

 魔法によりイスランの目がまどろむかに思えたが、イスランは正気を保ったまま、両手斧を抜いた。

 

「ぐっ……何をした?!」

「単なる精神操作の魔法でありんす。精神操作で事実しか言えない状態にすれば嘘も何も言えないでありんしょう?」

「野蛮だな、いつから帝国は蛮族の国になったんだ?」

 

 そう言いながらもイスランは苦い顔をする。

 この世界の精神操作系の魔法は一定レベルまでの相手にしか通じない、という物だ。

 そしてイスランのレベルは五十。それだけの強者に通じる精神操作魔法は限られるし、あったとしてもそれは幻惑系に特化した者が使う魔法だ。

 

「うーん。しかしこれに抵抗されると困るでありんすね……」

 

 シャルティアはこれ以上の精神操作の魔法を習得していない。<支配>(ドミネイト)などは取得していないのだ。

 だから精神操作で事実を言わせるというのは出来ない。

 

 シャルティアはこれまでストームクロークの再起を図っている者に対し精神操作で計画を話させ捕縛するというのをしていた。

 その手が通じぬ相手に会うのは初めてである。

 

「いっそのこと全員殺すでありんすかね」

 

 シャルティアが軽くそういうとイスランとセラーンが殺気を放った。

 だが、軽いものだ。シャルティアをビビらせるほどではない。

 

 そこに第三者が現れた。

 

「何故ここに帝国の者たちがいるんだ?」

 

 そう言いながら入って来たのはステンダールの番人、トランだ。

 ステンダールのローブを纏った男で背には両手斧を背負っている。

 頭髪がない男でもあった。

 

 ステンダールの番人とはオブリビオンの動乱以降各地に現れたデイドラに対し対処するために創られた組織であり、対デイドラの組織だ。

 だがその実戦闘力は大したことがないという悲しい組織でもある。

 

「トランか。何故ここに来た? 番人と私のつながりはもう絶たれたはずだが」

「番人たちがそこら中で襲われている。吸血鬼たちは我々が思っていたよりはるかに危険な存在だ。だから……お前の助けが必要なんだ」

「なんか事情あるっぽいけどそれ後にして欲しいでありんす。こっちは今帝国の公務中でありんすから」

 

 何か言おうとしているトランを遮りシャルティアが言った。

 

「そうなのか? イスラン、何をしでかしたんだ?」

「何もしていない。ただ吸血鬼に対する戦力を集めていただけだ」

「だというのならもう解散してくれないでありんす? 吸血鬼など帝国軍の敵ではないでありんすから」

「……今も都市を襲っているというのに、のんきな物だな」

「奴らの親玉を見つけ次第、わらわがぶっ飛ばして終わりでありんす。それに反乱が終わったことで治安も改善され、野盗の数も減ってきているでありんすから、現地戦力で吸血鬼対策は出来ていると考えるでありんす」

「だがそれは突発的な襲撃に対する対症療法でしかない。この襲撃の原因をどうにかせねば事態は好転しないだろう」

 

「それなら、気になる話があるんだ」

 

 そうトランは話し始めた。

 

「ディムホロウ墓地に吸血鬼たちが集まっているらしい。そこに吸血鬼が求める何かがあるはずだ」

「なるほど……でありんしたらわたしたちがそこを調査するでありんす。そこから芋ずる式に吸血鬼をぶっ潰して終わりでありんす」

 

 シャルティアにはあまり同族意識がない。

 この世界の吸血鬼はモラグ・バルというデイドラロードが作り出した病によって変化した人間に過ぎない。

 ユグドラシルの様な純粋な化け物とはまた違った存在である。だからシャルティアはこの世界の吸血鬼に同族意識を持ってない。だから自分の手で殺そうが部下が殺そうがたいして何も思わない。

 

「……ドーンガードを解散する事は出来ない。高まる脅威に対し対策が居るからな。だが、ストームクロークのように内乱をするつもりはない」

「で、ありんしたら定期的に何かやらかしてないか監査をするのと、何かしら起こった場合には責任を取ってもらう。それでいいでありんすか?」

「……わかった。受け入れよう」

「では、ぬし、ディムホロウ墓地とやらについて教えておくんなまし」

 

 

 

 ■

 

 使わなかった小隊をソリチュードに戻したシャルティアはソリチュードで執務を終わらせた後、一人スカイリムの空を飛んでいた。

 ドーンスターに転移してから南西に飛んで行くと山が見える。

 

 シャルティアは普段着のドレスのまま飛んで行く。

 

 山の麓には襲撃され焼け落ちたステンダールの番人の間がある。

 そこから少し進むと山道があり、そこを登っていく。

 

 階段を登っていくと洞窟の入り口があった。

 

「おや、イナルじゃありんせんか」

 

 そして入口前にはイナルが居た。

 

「シャルティアか! 久しいな、どうしてここに?」

 

 シャルティアは地面に降りながら言った。

 

「帝国の公務の一種でありんす。ここに巣食う吸血鬼たちから最近続く襲撃の黒幕を吐かせるでありんす」

「なるほど。そう言う事なら協力しよう。俺もここに巣食う吸血鬼退治を任されたのでな」

「では、行くとするでありんすか」

「あぁ、行こう」

 

 そして二人は洞窟内に入っていった。

 

 

 入って少し進むと其処には塔の様な物があった。

 奥には通路があるが、鉄の鎖が降りている為通れそうにない。

 

 そしてその道の前には吸血鬼が二人と、デスハウンドが一体居た。

 デスハウンドは真っ黒な犬型のアンデッドであり、歯茎がむき出しになっている。

 氷のマントを常に纏っており、近づく者に冷気ダメージを与える。

 その代わり炎に対し脆弱性を持つ犬型のアンデッドだ。

 

 イナルが突撃する。

 疾風の旋風も使っていないのに高速移動だ。

 

 そのままデスハウンドの頭を叩き潰し殺す。

 

 遅れてシャルティアが突撃。片方の吸血鬼の頭をねじ切った。

 

「敵襲か?!」

 

 そして男の方の吸血鬼が叫ぶがもう遅い。

 イナルが片手剣で縦に斬り裂き殺した。

 

 殺された吸血鬼は灰となっていく。この世界の吸血鬼特有の現象だ。

 

「どうやってこの先に行くかな……」

「あの砦が怪しそうでありんすね」

「だな」

 

 そして二人は砦に行くと鎖を見つけ、それを引くと鉄の檻が下がっていった。

 

 そうして二人はダンジョンを進んでいく。

 

 道中スケルトンが出たりしたがシャルティアのアンデッド退散で吸血鬼事消滅させ、ドラウグルも倒して進んでいく。

 そして扉を開いて階段を降りていくと最奥の様な場所に出た。

 

 奥には円形上の広間がある。奥にスイッチが置いてあるだけの場所だ。

 地底湖の上に作られた円形上の場だ。

 

「番人の仲間か!」

 

 そう叫びながら吸血鬼──ロキルが突撃する。

 シャルティアは<生命の精髄>(ライフ・エッセンス)で一番HPが多い相手がロキルと判断し他の吸血鬼と従徒を殺す。

 

 そのままシャルティアはロキルの両足を爪で斬り裂き落とした。

 

「がぁ?! おのれ! 定命の──……いや、違う?」

 

 ロキルはシャルティアを見て目を点にした。

 

「同族? いや、だが気配が違う……何者だ、お前は」

「シャルティア・ブラッドフォールン。帝国の将軍でありんすよ」

「そうか……お前がドラゴンボーンの……クソ、なんて日だ」

「さて、では幾つか聞きたい事があるでありんすから、答えてもらうでありんすよ~」

 

 シャルティアはぐひひと笑みを浮かべた。

 吸血鬼相手に精神操作の特殊技術(スキル)や魔法は通じないのはこの世界でも同じだ。だから魔法で強制的に話させるという事は出来ない。

 だがこの世界の吸血鬼は痛みを感じる。と言っても生者よりは鈍いが、それでも痛い物は痛い。

 

 だからシャルティアはアンデッド相手に拷問をしようと企んでいた。消滅しかけたら<大致死>(グレーター・リーサル)で回復させればいい、と。

 

 シャルティアはロキルの右腕の人差し指を引き千切った。

 

「し、質問してから拷問しろ!」

 

 正論だった。

 イナルは何をしているんだ、と肩をすくめながら近くにあった本を拾い、読み始めた。

 

「それは失敬。では、あなたたちはここで何をしていたでありんす?」

「帝国の者に言う訳ないだろう!」

「じゃあもう一本と行くでありんすよ~」

 

 シャルティアは笑顔で右手の中指を引き千切った。

 

「ぐ、ぬぅ! 私にも忠誠がある。言う物か!」

「──つまりは忠誠を誓う誰かが居ると、それは誰でありんす?」

 

 シャルティアの言葉にロキルはしまった、という顔をした。

 

「い、言う訳にはいかない! 言えば俺があの方に殺される!」

「であれば、こちらに寝返るというのはどうでありんしょう? 私直属の部隊として雇ってもいいでありんすよ」

「に、人間が吸血鬼を雇うというのか?」

「実際ソリチュードの宮廷魔術師は吸血鬼でありんすが、問題なくやれているでありんすよ」

 

 事実だ。

 ソリチュードの宮廷魔術師の名はシビル・ステントールという二百年以上生きている吸血鬼だ。

 それ以外にもシロディールにはジェイナス・ハシルドア伯爵という吸血鬼の領主が居る。

 

 吸血鬼は見つけたら殺せ、とは言われるが殺されるのは殆どが理性が殆どない──吸血衝動に駆られるような者たちだ。

 だから理性を強く保ち、人との共存が可能な吸血鬼……あるいはデイドラは人との共存を許されているのである。

 

「だ、だとしても駄目だ。裏切り者は殺される!」

「わたしがその裏切った相手をぶち殺すから問題ないでありんすよ。さぁ、吐いて楽になりなんし」

「駄目だ! 誰もあの方には勝てない!」

 

 ロキルはそう叫んだ。

 目には涙が浮かんでいた。

 シャルティアは思ったより強情だな、と謎の感動をしていた。よっぽどの忠誠があるのか。

 

(いや、これは主に対する恐怖でありんすね……)

 

 おぉ、怖い怖いとシャルティアは笑みを浮かべた。

 

「ふむ。本を読んだがまるでよくわからなかった」

 

 イナルはそう言いながらも本をバックにしまっていた。

 

「それで、だ。シャルティア。話さないなら殺したらどうだ? 苦しめるのはあまり……な」

「うーん。まぁ話さないというのなら仕方ないでありんすね……後で鑑定魔法でも使うでありんすか」

「あぁ、そうだ! 殺せ!」

「では」

 

 シャルティアはロキルの首をねじ切った。

 それによりロキルは灰となった。

 

「あそこに何かありそうでありんすよねぇ」

「だな」

 

 二人は地底湖の上に浮かび上がる石の祭壇上に進んだ。

 何かしらの儀式的な意味合いが強そうな場所だ。中央には石柱があり、ボタンが付いている。

 

「これ押したらどうなるんだろうな」

 

 イナルがそう言いながらボタンを押した。

 ボタンに穴が開きそこから棘が突き出してイナルの右手の甲を貫いた。

 

「オーマイガッ!」

 

 イナルは慌てて手を上にあげ棘から離した。

 

「大丈夫でありんすか?」

 

 不死者のohに似たようなトラップの話あったな、と昔を思い出し懐かしみながらシャルティアが声をかけた。

 

「問題ない……この程度の痛みには慣れている」

 

 イナルは歴戦の冒険者だ。斬られた事も腹を貫かれた事だってある。

 バックからポーションを取り出し飲む。それにより傷がふさがり治った。

 

 それと同時に周囲から紫色の炎が噴き出す。

 床の隙間から溢れているように見えた。

 

「これは……」

 

 シャルティアが炎に触れるが痛みはない。ダメージもない。

 

「これは……何かしらのギミックか? どう解除するのか……」

「このかがり火台動かせそうでありんすね」

 

 シャルティアがそう言いながらかがり火台を動かした。

 炎の先端部分に触れるとかがり火台に紫の炎が灯り、床の隙間から繋がる様に炎が噴き出した。

 

「これを繋げろ、という事だろうな」

「で、ありんすね」

 

 二人はギミックを作動させていき、紫の炎の円を作る。

 

 するとギミックが作動する。

 床がへこんでいき、中央から棺が出て来た。

 それと同時に炎も消える。

 

「これは……」

 

 イナルが棺に手を触れると棺が開き、中から女性が出て来た。

 長い黒髪に赤い瞳の美女だ。歳は十九程度だろうか。

 吸血鬼が着ている鎧に似た物を纏っている。

 

「あなたたち……誰ですの?」

 

 そう女──セラーナはイナルとシャルティアに問いかけた。

 

「俺はイナル。冒険者だ……そういうそちらは?」

「……見てわかりませんの? 吸血鬼ですわ」

「吸血鬼か……こちらを襲いはしないだろうな」

「しませんわ。相手の実力がわからない程愚かではなくてよ……ただ、そちらの少女は?」

「わたしはシャルティア・ブラッドフォールン。帝国の将軍でありんす」

「帝国? どちらの?」

「どちらも何も帝国は一つしかありんせんが……しいて言うならシロディールの帝国でありんす」

「シロディールに帝国が?」

「……シロディールの帝国はタイパー・セプティムが起こした帝国だ。それは約六百年前……それほどの間眠っていたのか?」

 

 イナルがそう問いかけた。

 

「……それだけの時間が経っているとは……思ったより厄介なことになっているようですわね。そして、そちらのブラッドフォールン、という方。あなた……人間ではないようですが」

 

 その言葉にイナルはどこか納得したような表情を見せた。

 この世界の住人ではないと聞いていたが、その力はただの人間には過ぎた物だ。人間でないというのなら納得できる。

 

 吸血鬼は同族を嗅ぎ分ける嗅覚を持つ。だからセラーナはシャルティアが人間ではなく……そして吸血鬼に近しい存在だと見破ったのだ。

 

「まぁ、イナルは信用できるでありんすから正体を明かしてもいいでありんすが……わたしは真祖の吸血鬼(トゥルー・ヴァンパイア)。ただ、モラグバルとは関係のない別世界の存在でありんす」

「……オブリビオンの向こう側から来たという訳ですの?」

「まぁ、そう思ってもらって結構でありんす」

「そう……複雑になってきましたわね。それで、お二人は私をどうするおつもりですか?」

 

 その言葉に二人は悩んだ。

 

「俺としては吸血鬼たちが狙う君について詳しく知りたいが……」

「帝国としては吸血鬼の親玉に関わってそうなおんしに対し聞き取りをしたいでありんす。ソリチュードまで来てもらえないでありんすかね」

 

「……どちらも無理、ですわね。深く知らない方たちに話せる事ではありません……ただ、家族のいるところに行けば、何か話せると思いますわ」

「うーん……それはどこでありんす?」

「ソリチュードから北西に進んだところに島がありますわ。その島に城を建てて住んでいるず……変わってなければ、ですが」

「あぁ。知っていんす。ただそこは廃墟だと聞いたでありんすが……吸血鬼の根城になっていたとは。あとで帝国に報告しないといけないでありんすね」

「報告はお好きなように。ただ……関わるのはお勧めしませんが」

「ところで、君の名は?」

 

イナルが気になって問いかけた。

 

「私はセラーナ。どうぞよしなに」

「よろしく、セラーナ。詳しい話はあとでしよう。ここから出よう」

 

 イナルがそう言い、二人は同意することで墓地から出ることになった。

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